ターボ車特有の音 ~バックタービン音~
街中で「プシュルルルルル!」という音に引かれて視線を向けると、歴代ランエボや、GT-Rなどのスポーツカーが目に入る事が多いかと思います。
信号が青になると同時にブーンというエンジン音が聞こえた後、「プシュルルルルル!」という音が聞こえて、驚いた経験はないでしょうか。この音の正体は、バックタービン音と呼ばれる、ターボ車特有の音です。
ターボ車は、アクセルを踏み込むとエンジンに圧縮した空気を送り込むことで燃焼効率を高める機構になっているのですが、加速中に急にアクセルを踏み込むのをやめるとスロットルが閉じられます。
すると行き場を失った空気が逆流し、タービンブレードを振動させて音が鳴ります。これが、「プシュルルルルル!」という音の正体です。
これを防ぐ為の装置として、「ブローオフバルブ」があります。
街中で「プシュー!」という音を発する車 ~大型トラック~
こちらは大型トラックの採用されているエアブレーキが発生源です。何故音が鳴るのかを理解するには、エアブレーキのしくみを知る必要があります。
トラックに限らず大型車は、普通自動車と比べて車体が大きく、重量もかさみます。その為大型車では、より強力なブレーキが必要とされます。
普通自動車に採用されている油圧ブレーキは、倍力装置と呼ばれる装置を使ってブレーキを効かせていますが、大型車にも油圧ブレーキを採用すると、この倍力装置はとても大きなものになってしまいます。
それを避ける為に、より効率よく制動力を得られるエアブレーキが採用されているのです。エアブレーキは、エアコンプレッサー(空気圧縮機)を使って空気を圧縮し、ブレーキ弁とブレーキシリンダーの間を圧縮された空気で満たしています。
信号待ちなどで停止した時に発する「プシュー!」という音は、制動に使った圧縮空気が放出される音です。因みに、圧縮空気はギヤチェンジの際にも利用されており、またバスの扉の開閉にも利用されます。その為、ドアの開閉時にもあの「プシュー!」という音がなります。
バックタービン音を鳴らすやり方って?
スズキのアルトの場合、VSVの上のカプラーを外す事で、バックタービン音がなる様にする人が多い様です。工場出荷段階での純正ブローオフバルブは右ヘッドライトのすぐ側にある為、この作業の為には、フロントバンパーを取り外す必要があります。
配管を(タイラップ)結束バンドなどで固定する場合は、締め付けすぎない様に注意しましょう。また、この作業を行ったことでエンジンチェックランプが点灯する様です。
※しかしながら、この作業を推奨しません。
どうしても作業する場合は知識のあるショップへ依頼しましょう
目立つのは良いけれど・・
実は「プシュルルルルル!」という音がしている時は、サージングと呼ばれる、加圧された圧縮空気が逆流する現象が起きているのです。これはエンジン機関(タービンブレード)に相当な負担が掛かっている状態です。
この音が鳴る車は、何かしらかの改造を行っているか、もしくは部品が本来の役目をはたしていない状態ではないかと思われます。なぜなら、通常の工場出荷状態の車では、バックタービン音は通常、鳴らないからです。
重要!ブローオフバルブの役割
■ブローオフバルブとは
この、ブローオフバルブとは部品を表す言葉です。
ブローオフバルブは、ターボチャージャー付きエンジンにおいて、ターボチャージャーのコンプレッサーとスロットルバルブに発生する圧力を解放するバルブです。
※ブローオフバルブは、スロットルが閉じられる際にコンプレッサーとスロットルバルブ間の余剰圧力を解放し、スロットルレスポンスの悪化やコンプレッサブレードの負荷の原因となるコンプレッサーサージング(空気の逆流)を防いでくれます。
サージングとは何か?
ターボチャージャーへの空気の流量が急激に少なくなった時に起こる、機械的振動のことです。タービンブレードが激しく振動する為、故障の原因になり得ます。
「プシュルルルルル!」という音を派手に鳴らしている方は、ターボ車を運転する醍醐味として、このサージングを意図的に起こしているのではないかと思われます。
■気を付けて欲しいサージング
サージングが起きている状態は、エンジン機構、特にタービンに過度の負担がかかっている状態です。負担を掛けすぎるとタービンブレードを破損することになりかねないので、お薦めは出来ません。
どうしても音を鳴らしたいという方には「電子式ブローオフバルブ」を提案致します。値段も数千円と手頃で、エンジン機関を傷める事なく、「プシュルルルルル!」の音を鳴らす事が出来ます。また、この「電子式ブローオフバルブ」は、ターボ車以外にも取り付け可能な様です。
※取り付ける際には専門知識のあるショップへ依頼する事を強くお勧めします。
まとめ
今回の記事では、街中で聞いたことがあるであろう「プシュルルルルル!」音の正体についてお話してきました。
ターボ車全盛期に比べて、街中で遭遇する事は少なくなったとはいえ、まだまだこの音を鳴らしたい、という人もいると思います。
バックタービン音を奏でるために、社外品の大気開放式のブローオフバルブに付け替えている状態、またはブローオフバルブ自体を取り外している状態では車検に通りません。車の為を思えば工場出荷状態の純正バルブが一番です。
「プシュルルルルル!」が鳴っている状態は、車にとっては過酷な状態であるという事を理解し、大切な愛車をどうか、労わってあげて欲しいと思います。それでも、鳴らしたいという場合は、自己責任でお願いします。