日産サファリの変遷
日産 サファリ
日産サファリのルーツをたどると、1951年発表の「4W60型、パトロール」に行きつきます。このモデルは当時の日本において、クロスカントリー型モデルの先駆者的なものでした。
その後、1980年にサファリの初代モデル「160型系」が誕生します。
実は、この初代モデルは国内仕様と海外仕様で異なり、まず国内仕様のものに関しては、ボディーバリエーションがいくつか用意されており、4ドアのエクストラバンと2ドアのレンジトップ、2ドアモデルのハイルーフ仕様、消防車用のキャブ車など5タイプに設定されていました。
一方海外仕様のものに関しては、サファリではなく「パトロール」という名称で販売され、エンジン系の設定が「L28型ガソリンエンジン」と「LD28-T型ターボディーゼルエンジン」のものがありました。また、これらのタイプはATへの切り替えができる仕様です。
■1987年に2代目サファリが登場
1981年10月に開催された東京モーターショーにおいては、さらに新しく3タイプのモデルが発表されます。エクストラバンをベースとした「サファリ・イカルスモデル」と救急車としても使用可能だった「サファリ・災害救援車モデル」、TVドラマ西部警察に特装車として登場していた「サファリ・劇中車モデル」がそれになります。
この後もさらなるマイナーチェンジや、仕様設定の追加を経て1987年11月に「Y60型系」というサファリの2番目に当たるモデルが誕生します。
「Y60型系」と最初のモデルである「160型系」とのもっとも異なる点は、新型のフレームとサスペンションを装備し、安定した走行ができるようになったことです。
また、このタイプにも海外仕様のものがあり、海外仕様のものは、ルーフパネルがハイルーフのものやバックドアが非対称の観音開きモデルに統一されるなど変更点がありました。
■1997年に3代目サファリが登場
日産 サファリ(2004)
そして、いよいよ3代目として登場したのが「Y61型」です。1997年10月に誕生したこのモデルは、オーストラリアや中東の砂漠などの悪路を高速で走れるように開発されました。
エンジンも「TB45型」や「TD42T型」、「RD28ETi」、「ZD30DDTi型」等に一新され、内外装のマイナーチェンジや5速マニュアルモード付ATの開発、ブレーキ性能の向上が行われました。
3代目サファリに関しては、2004年の最後のマイナーチェンジでフロントグリル、バンパー等のエクステリアの変更、内装色をベージュに変え、オフローダーとしての大幅な変更が加えられました。
そして最終的に2007年6月をもってサファリは日本国内での製造を終了することになります。ただ、海外モデルとしては「パトロール」の車名で現在も生産されていて、Y62型系が最新モデルとして販売されています。
戦うサファリ!
日産 サファリ(2004)
昭和50年代の中ごろから後半にかけて人気を博した刑事ドラマ「西部警察」。
この西部警察の中にもサファリが登場します。
まずは、西部警察がどのようなドラマだったのか、見てみましょう。
■伝説のドラマ西部警察
西部警察は石原プロモーションによる製作で、1979年の10月に始まり、1984年の10月まで5年間にわたって毎週日曜日の夜20時からテレビ朝日系列で放送されました。
主役は、警視庁西部警察署捜査課、通称「大門軍団」の刑事たち。捜査課トップの木暮捜査課長役に石原裕次郎、大門軍団の実質的指揮官である「団長」大門部長刑事には渡哲也、大門の妹役として古手川祐子、刑事役にも舘ひろしや寺尾聡、峰竜太など個性派の大物俳優がそろい、日曜夜のお茶の間をくぎ付けにしていました。
西部警察の目玉は、なんといっても派手な銃撃戦、カースタント、爆破シーンなどのアクションシーン。破壊した車両は約4680台、破壊した建物320件、使用した火薬の量は4.8トン、使用したガソリンの量も12000リットルにも及ぶそうです。
大門団長のトレードマークといえば黒のサングラスでしたが、大門を演じた渡哲也氏いわく「いい歳をした大人が拳銃ごっこをするのが恥ずかしかったから」サングラスをかけていたとか。
それくらい、アクションに特化した刑事ドラマだったのですね。また、西部警察といえば「スーパーマシン」と呼ばれる特殊な設備を搭載した大門軍団専用の特殊車両も非常に人気を集め、刑事ドラマとしては他にあまり例を見ないミニカーやラジコンの商品も発売されていました。
■西部警察の中での「サファリ」
ベースは初代のYRG系サファリのバン(AD)
西部警察にサファリが登場したのは第111話の「出動命令 特車“サファリ”」。
大門軍団の特殊車両といえば、木暮捜査課長がオーダーするというのが定番でしたが、このサファリだけは金塊輸送を警護する命を受けた大門団長自らがオーダーし、運転は主として苅谷俊介演じる「ゲン」こと源田刑事が担当していました。
サファリのルーフには、犯人を殺さずに制圧するための高圧放水銃が備えられており、射程距離は最大で100m、水圧は14kg/㎡にもおよび、人間はおろか、車さえひっくり返すことが可能です。
また、フロントバイパーにも散水銃が設置されているほか、潜望鏡式のレーダーカメラを装備しており無線のみならず電話の傍受もできるようになっていたり、警視総監へのホットライン専用の電話機まで備え付けられていて、文字通りの「特別機動車両」となっていたのです。
■サファリ以外にも名車が
西部警察のスポンサー企業には日産自動車が入っており、特殊車両をはじめとして劇中で使用された車は日産自動車が提供していました。
木暮捜査課長の専用車としては「ガゼール・オープン」、スカイラインをベースにした架空モデルの「マシンX」、フェアレディZをベースにした後期の大門団長専用車「スーパーZ」などは、特に印象に残っている方も多いのではないでしょうか。
日産 スカイライン GT タイプSP
日産 フェアレディZ 50th アニバーサリー
ドラマ中のモデル車は現在も進化し続け走り続けています
サファリはどこへ消えた?!
■現在名はパトロール(アルマーダ)
パトロール
サファリは現在パトロール(アルマーダ)という名前になっており、海外向けにのみ生産されています。日本からは2007年に姿を消した車なのですが、現在販売されているパトロールはランクル200とは異なり、四輪独立サスで、ロールの制御ができる最新のダイナミクスが搭載されています。
そんなパトロールですが、現行モデルのパトロールY62型は2010年にデビューを果たした後、中東を中心に販売されています。2016年には北米でアルマーダという名前で販売されており、高評価を得ています。
国内外で高い人気があるパトロールは、海外と取引がある業者を利用しないと購入後に補修部品の確保に支障が出ますので注意が必要です。
■Y60型系、今買うならいくら?Y61型系では…中古車情報
サファリY60型系を購入したいと考えている人は多いです。その人気ゆえかY61型系よりも割高となっており、150万円前後~250万円前後のものが多いようです。
例を挙げると、1989年式が168万円、1995年式で248万円といったものがあります。出回っている台数もあまり多くはありません。
Y61型系になるともう少し数が増え、値段の幅が広がり80万円前後~250万円前後で、販売終了年でもある2007年式ですと約170万円となっています。
※自動車情報サイトResponse中古車情報より(2019年8月現在)
サファリは維持や燃費を考えると、必ずしもコストが良いとはいえない面もありますが、そのダイナミックなドライブフィールがファンにとっては他に代えがたいものであり、現在も熱狂的な存在感を放っています。
おわりに
日産 サファリ
サファリにはあのころの夢と情熱が詰まっていました。
しかし、それを夢のままで終わらせたくない人々は現在もなお愛車として乗り続け、日本販売復活の日を待ち望んでいます。
夢や情熱は時として時代を変えるほどのムーブメントを巻き起こすことをサファリを愛する人々は知っています。
さらにパワーアップして令和に登場する日も、あるいは…!