スズキ ジムニーシエラならこんなところが幸せ!
昨今流行しているのSUVの中でも、軽自動車ならではのコンパクトサイズが特徴のジムニーは、その秀逸なデザインと価格のお手頃さによって大人気。2018年に現行型になってから2年が経過した今でもいまだに注文から納車まで1年半近くかかるそうです。
また、ジムニーとボディは共通ながら車体寸法がやや拡大された小型乗用車登録の仕様、つまり白ナンバーとなるジムニーシエラも、ジムニーには劣りますが1年近い納車待ちが続いているなど、需要の高さは弟分にも負けません。
しかし、なぜ、軽自動車でお手軽なジムニーだけでなく、税金や諸費用で高くつきそうな白ナンバーのジムニーシエラがわざわざラインナップされているのか、疑問に思われたことはありませんか。
小型乗用自動車サイズのジムニーは、シエラやワイドなど車名は様々ですが、初代ジムニーの頃から常々ラインナップされてきている歴史あるもの。ということは、ジムニーにはない、シエラならではの魅力があるに違いありません。
詳しく見ていきましょう。なお、本稿ではこれ以降、小型乗用自動車のことを「普通車」と呼称させていただきます。
■シエラの幸せポイント1. より運転しやすい安定感と余裕
スズキ ジムニー(欧州仕様) イタリア警察 カラビニエリ仕様
シエラにもたらされたのは、より車体左右に広がって取り付けられた左右のタイヤによる安定性と、大排気量な1.5リッター 直列4気筒エンジンによる余裕のある動力性能。
特に軽自動車と比べるとエンジンの余裕はかなり差がある部分で、新開発のエンジンはトルク値に余裕があり、舗装路上だけでなく、ジムニーらしく未舗装路を走行する際にもメリットがあります。
また、海外仕様のジムニーは全車ワイドボディ仕様であることからも分かるとおり、日本よりも速度レンジの高い地域で運転されてもOKな安定性があるのがシエラ。ややコーナリングでふらつきを感じることもあるジムニーに対して、より安定した運動性能を実現しています。
■シエラの幸せポイント2. よりカッコかわいいルックス
スズキ ジムニーシエラ(左)、ジムニー(右)
大小2つの箱にタイヤをくっつけたようなジムニーのシンプルなフォルムも、機能性の高さを感じさせる魅力的なものですが、ジムニーシエラのオーバーフェンダーには、そんなジムニーを一気に迫力をも感じさせるようなオフローダーに変身させる力があります。
ジムニーシエラとジムニーの車体をそれぞれ前から見ると、ジムニーは約1.7mの全高に対して約1.48mの全幅なので、やや縦長でヒョロっとしたイメージを感じさせますが、シエラは全幅が1.65mと広くなるので、よりしっかりと足を踏ん張って安定感が増した印象を受けます。
スズキ ジムニーシエラ ピックアップスタイル(東京オートサロン2019 出展車両)
スズキ ジムニーシエラ(左)、ジムニー(右) ダムド little G.パーツ装着車
また、人とかぶらないジムニーにするためにカスタマイズした際のフィット感も、現行ジムニーシリーズは大人気車種なだけに重要なポイントですよね。
スズキ公式によるカスタマイズコンセプト「ピックアップスタイル」では、シエラの素地仕上げのオーバーフェンダーが、ボディサイドに追加されたウッドパネルとのコントラストを演出しています。
また巷で話題の、ジムニーをメルセデスベンツ Gクラスやランドローバー ディフェンダー風に変身させるエアロキットを装着した際にも、より「本物っぽい」見た目を追求することができます。
画像でご紹介しているダムドの「little G.」では、シエラ専用でよりGクラスそっくりな形状のオーバーフェンダーが用意されていることもあり、よく見ても本物のGクラスと見間違えてしまいそうなほどの完成度の高さですね。
■シエラの幸せポイント3. オフロード走行にももってこい!
スズキ ジムニーシエラ
軽自動車を運転するとすぐに気付くのがその取り回しのしやすさ。長さ方向にも幅方向にもコンパクトなサイズなので、車両の端を把握しやすく、狭い道や駐車場でも扱いやすいですよね。
シエラはその点、基本のボディサイズがジムニーと変わらず、全長で155mm、全幅で170mmという寸法の拡大幅は、前後バンパーとオーバーフェンダーによって伸びた分のみとなっています。ジムニー同様の取り回しの良さ、見切りの良さは、大型SUVでは躊躇してしまいそうな鬱蒼とした林道であっても運転しやすいです。
また、ジムニー同様の本格的な4WDシステムと余裕あるエンジンとの組み合わせは、ジムニーらしくオフロード走行を行う際にもぴったりの特徴。
ジムニーがパワーを絞り出して進まなければならないような場面であっても、シエラのトルクと出力ならばゆったりと進める場合もありそう。また、オフロード走行を行う場所までの行き帰りでも、ゆったり走れるシエラの余裕が役立ちそうですね。
スズキ ジムニーシエラのスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 3,550mm×1,645mm×1,730mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,250mm | |
最大乗車定員 | 4名 | |
車両重量 | 1,090kg | |
燃費 | WLTCモード:13.6km/L | |
エンジン種類 | 直列4気筒 1,460cc | |
エンジン最高出力 | 75kW(102PS)/6,000rpm | |
エンジン最大トルク | 130N・m(13.3kg・m)/4,000rpm | |
駆動方式 | 四輪駆動(パートタイム4WD) | |
トランスミッション | 4速AT | |
新車価格 | 1,720,000円(消費税抜き) |
ジムニーシエラって普通車だから割高? 実際に確かめてみた
スズキ ジムニーシエラ
ジムニーシエラならではの魅力についてお伝えしてきましたが、その魅力のために払わなければいけない対価、ジムニーシエラとジムニーの実際のコスト差はどれくらいになるのでしょうか?
車両価格から維持費まで、詳しく調査してみました。
■【ジムニーシエラ vs ジムニー】車両価格編
スズキ ジムニーシエラ
2020年9月現在のそれぞれの税抜き車両価格をご紹介します。ジムニーシエラの場合、ベーシックな「JL」では5MT仕様で約163万円、4AT仕様で約172万円。豪華グレードの「JC」では5MT仕様で約178万円、4AT仕様はジムニーシリーズで唯一200万円超となる約187万円が設定されています。
対するジムニーは、シリーズ最廉価の「XG」では5MT仕様で約135万円、4AT仕様で約144万円。量販グレードと思われる「XL」では5MT仕様で約146万円、4AT仕様で約155万円。豪華グレードの「XC」では5MT仕様で約165万円、4AT仕様で約170万円が設定されています。
スズキ ジムニー
ジムニーに設定されている最廉価グレード「XG」に対応するグレードはシエラには設定されていませんが、グレード名末尾が「L」と「C」の2グレードでそれぞれ装備内容は同等。その2グレードの標準装備内容においてシエラとジムニーで差があるのは、シエラのみ防眩式ルームミラーが全車標準装備されていることと、シエラで15インチ、ジムニーで16インチというタイヤサイズの違いのみ。
そのため2車間の差額となる18.15万円は、1.5リッターエンジンや外装、拡幅された足回りの変更費用と見ることができます。
既にご紹介しているシエラならではの魅力に対して、高いと見るか安いと見るかは人それぞれですが、十分納得できる価格差なのではないでしょうか。ただし室内空間はシエラとジムニーで変わらないことを考えてしまうと、もう少し安ければなあという印象もありますね。
■【ジムニーシエラ vs ジムニー】購入時の諸費用編
スズキ ジムニーシエラ エンジンルーム
車を買う際には新車価格だけでなく税金や自賠責保険料などの諸費用の負担も必要になります。たとえ新車価格が同じ軽自動車と普通車であっても、これら諸費用は軽自動車の方が安くなるということは軽自動車の人気の理由のひとつです。
スズキのホームページ上の「見積りシミュレーション」を利用することで、それぞれの車の諸費用を確認することができます。どちらも量販グレードと思われるジムニーシエラ JL 4ATと、ジムニー XL 4ATの2台を、諸費用合計金額で比較してみましょう。
2020年9月現在の見積りシミュレーションの結果によれば、ジムニーシエラ JL 4ATの諸費用合計金額は約17.2万円、ジムニー XL 4ATの諸費用合計金額は約11.2万円と算出されます。このシミュレーションによれば差額は6万円ということですね。
普通車と軽自動車の間で支払額の差が大きくなる諸費用としては、自動車税種別割、環境性能割、自動車重量税の3種類がありますので、それぞれ詳しく見ていきましょう。
スズキ ジムニー エンジンルーム
まず「自動車税種別割」ですが、税率としては、ジムニーシエラは3.05万円、ジムニーは1.08万円となり、差額は約2万円となります。しかし、普通車の自動車税種別割は月割りで課税されるのに対し、軽自動車税種別割では月割り制度がないという差がありますので、車の購入時期によって差額が異なることをご承知おきください。
参考までに9月に新車を購入した場合を想定した本シミュレーションでは、シエラでは6ヶ月分の月割り相当額として約1.5万円がかかるのに対して、軽自動車のジムニーでは月割りされないため0円となり、差額が約1.5万円となります。
続いて、車を取得するときに課税される「環境性能割」では、軽自動車の税率は登録車よりも概ね1%優遇されていることや、シエラの車両価格がジムニーよりも高いこともあり、シエラでは約3万円なのに対し、ジムニーでは約1.4万円となり、差額は約1.6万円となります。
最後の「自動車重量税」は差額が大きく、両車ともエコカー減税対象ではないのですが、シエラでは約3.7万円かかるのに対して、ジムニーはたったの9千円となり、差額は約2.8万円にもなります。
この他にも、自賠責保険料やリサイクル料金などで数百円ほどずつジムニーが安くなるのですが、差額として大きいのは以上の3点。やはり、諸費用面での軽自動車の優遇はかなり魅力的ですね。
見積り合計金額としては、車両価格の差にこの諸費用の差が合わさって、ジムニー XLでは約182.3万円ですが、ジムニーシエラ JLでは約206.4万円と、200万円台に入ってしまいます。
■【ジムニーシエラ vs ジムニー】維持費編
スズキ ジムニーシエラ
車を購入した後にかかる費用としては、ガソリン代、任意保険料、それに自動車税などがあります。それぞれジムニーシエラとジムニーで比較していきましょう。
まず最も日常的に関連があるのはガソリン代ですよね。燃費面でいえば、ジムニーシエラで1.5リッター 直列4気筒自然吸気、ジムニーで658cc 直列3気筒ターボと、どちらもガソリンエンジンの直球勝負。
そのためカタログ燃費はあまり良いとはいえず、ジムニーシエラのWLTCモード燃費が4AT仕様で13.6km/L、5MT仕様で15.0km/L。ジムニーのWLTCモード燃費が4AT仕様で13.2km/L、5MT仕様で16.2km/Lとなっています。
2台のカタログ燃費を比較してみて興味深い点は、ジムニーの排気量が小さいからといって絶対的に燃費がいいとは限らないこと。高効率な5MT仕様ではシエラは負けてしまっていますが、4AT仕様ではシエラの方が低燃費という結果になっています。
これは、ジムニーがターボエンジンであることや、シエラはパワーに余裕があるためアクセル踏み込み量が少なくて済むことなどによると思われます。
スズキ ジムニー
実際に、燃費情報サイト「e燃費」調べの2020年9月現在の実燃費平均値では、MT仕様ではシエラとジムニーの差は僅か0.03km/Lとかなり拮抗。カタログ値ではやや差がついていても、実際に普段使用する分には、どちらもレギュラーガソリン仕様であることもあり大きな差はつかなさそうです。
しかし、維持費には、先ほど諸費用でもご紹介した自動車税種別割や自動車重量税も関わってきます。また軽自動車が安めになる任意保険料の差も合わせると、1年分換算ではシエラが5万円程度多くかかるという試算結果もあります。
燃費でおいていかれないのはシエラが頑張っているところなのですが、税金や保険料ではどうしても差がついてしまいますね。
■【ジムニーシエラ vs ジムニー】差額まとめ
スズキ ジムニーシエラ
ここまでの試算結果をまとめると、購入時の差額は約30万円弱、維持費では約5万円/年ほどシエラが割高になることがわかります。
より排気量の大きな「上級車」としてシエラを見れば、購入時の差額はなんとか納得できるかもしれませんが、毎年の維持費が5万円違ってくると、やはり価格面重視ではシエラは選びにくいかもしれません。
しかし、実際にシエラとジムニーを選ばれる際は、「遠出をよくするから高速道路でも余裕のあるシエラじゃなきゃダメ」とか、「街乗りでオシャレに使いたいだけだからジムニーでお得に済ませたい」など、実際の使用シーンを詳しく思い描いてから選ばれることをおすすめしたいところです。
割安とは言え、ご自分の使い方に合っていないジムニーで我慢するよりは、ちょっと奮発してシエラを選んだ方が幸せなカーライフを送れる場合もあるでしょう。年5万円と聞くと高いように感じますが、ひと月あたりで4000円強と考えれば、その節約の価値があるかどうかを見極めることが必要ですね。
中古車価格はどう? ジムニーシエラとジムニーで分析
スズキ ジムニーシエラ(右)、ジムニー(左)
ジムニーシエラとジムニーの中古車市場での大きな違いは、在庫台数です。2020年9月現在、やはり人気のジムニーでは404台の中古車在庫が確認できるのに対し、ジムニーシエラは半分近くの227台しか在庫が確認できません。
また、中古車平均価格を見るとジムニーシエラで260.3万円、ジムニーで239.9万円とどちらもかなり高め。新車価格以上に高騰している理由はシエラとジムニーで共通しており、大人気車種なので中古車でも安売りする必要がないこと、在庫が最上級グレードに集中していること、それにカスタマイズ済のコンプリートカーの在庫が平均価格を押し上げていることなどによるようです。
最上級グレードへの在庫集中は圧倒的なもので、ジムニーの最廉価グレードであるXGなどは30台あまりしか在庫がないほか、装備充実のシエラ JLも30台程度しか在庫されていません。スズキ セーフティ サポートが標準装備されるなど豪華な最上級グレードへの人気の集中が見てとれます。
現在の中古車市場におけるジムニーファミリーは、価格的には積極的におすすめしづらい状況ではあるのですが、新車よりも納期が断然早いと思われるほか、車検付きの在庫車両ならば諸費用が安くなります。欲しいオプションが装備されている在庫車が見つかれば、先を越される前に早めにお問い合わせされることをおすすめします。
また、購入後にカスタマイズをする予定の方にとっては、既にカスタムパーツが装着された中古車を選んでしまえば費用も手間も大幅に省ける可能性があり、おすすめです。
まとめ
スズキ ジムニーシエラ
車両価格や諸費用の差を乗り越えてでもシエラをおすすめしたい理由をご説明してきましたが、ご納得いただけましたでしょうか。
無論、ジムニーの方が自分のライフスタイルにはピッタリなんだけど、という方もたくさんいらっしゃることとは思います。しかし、「なんか高そうだしなあ」という先入観だけでシエラを候補から外してしまうのは、かなりもったいないかも!と思っていただけたのではないでしょうか。
ジムニーシエラとジムニーのどちらを選ぶか決めるのには、価格差ももちろんですが、将来的にどのように愛車を使っていきたいのかを考慮したほうが決めやすそうですので、ゆっくりお考えになって決めていただきたいところ。
この先シエラの生産をインドに移管する計画もあると噂されており、そうなればシエラもジムニーも、納車待ち期間がグンと短縮されることでしょう。