トップへ戻る

デフロックとは? オフロード車や軽トラには必要? 仕組みや用途を徹底解説!

デフロックとは? オフロード車や軽トラには必要? 仕組みや用途を徹底解説!

沼地や山地を走るオフロード車によく採用されているデフロック。その仕組みを知っていますか。このページでは、そもそもデフロックとはどういうものかという基本的な解説から、デフロックが必要な車、そしてデフロックが実際に使用されている車をそれぞれご紹介します。実は危険なデフロック搭載の車での雪道での走行についても説明します。

[PR]本ページはプロモーションが含まれています
⏳この記事は約3~4分で読めます。


デフロックとは何?

デフロックは正式名称を「デファレンシャルロック」といいます。左右のタイヤの回転差を固定するために使用されるものです。通常の車だと、デフにロック機能が付いていません。これをオープンデフといいます。このオープンデフには弱点があります。それはひとつのタイヤが空転してしまうと、他のタイヤも動かなくなってしまうことがあるという点です。例えば、雪の上や沼地などの悪路でひとつのタイヤがはまり込むと、他のタイヤにも動力が伝わらなくなってしまうのです。

デフロックはそんな状態でもタイヤの空転を防ぎ、悪路からの脱出を助けてくれます。デフロックは、不安定な道を走る軽トラックやオフロードカーにはなくてはならない存在なのです。

デフロックを理解するために知っておきたいこと

デファレンシャルギア(デフギア)の特性を理解することによって、デファレンシャルロック(デフロック)をより深く理解することができます。「内輪差」という言葉をご存じでしょうか。例えば、とある車が半径300mの円を描きながら走っているとします。R300という標識のあるカーブを走行しているイメージを持ってください。このとき左右のタイヤは異なる軌道を描きます。内側のタイヤの軌道は、外側のタイヤよりも、小さな円を描きます。これが内輪差です。描く円の大きさが違うということは、左右のタイヤの回転数が異なっているということです。

デフはこの回転差を、内部のギアを利用して吸収します。もしデフが機能しなかった場合、発生した回転差を逃すために、内側のタイヤを滑らせる必要が生じます。その結果、内側のタイヤが激しく摩耗することになるのです。このようにカーブを曲がる際には必要不可欠なデフですが、ときに問題が発生することがあります。悪路を車が走っているときに方輪が浮いてしまうと、反対側のタイヤに駆動力を伝えられず、動けなくなってしまうことがあるのです。

例えば、雪道などで動けなくなっている車を観察すると、片方のタイヤは激しく空転しているのに対して、もう一方のタイヤは全く動いていないことがあります。もしこの車にデフロックが付いていれば、片方のタイヤを回転させると、もう一方のタイヤも回転するため、よりスムーズに脱出することが可能です。このように悪路で頼もしい味方になってくれるデフロックですが、両方のタイヤが空転するとさすがに動けないので、その点はご留意ください。

そもそもデフロックはどういった車に必要?

デフロックはどんな車に搭載されているのでしょうか。主に搭載されているのは、悪路を走ることの多いオフロード車と、比較的柔らかい土やぬかるんだ道をよく走る軽トラックです。デフロックを付けると悪路走破性が高まりますが、一般の舗装路を走る際にはタイヤをすり減らしてしまうなど、逆効果になってしまいます。

そこでデフロック用のスイッチを搭載している車がほとんどです。デフロックが必要なときだけスイッチをONにできるよう設計されているのです。今からデフロックがなぜオフロード車と軽トラックに用いられるようになったのかを詳しく見ていきます。

オフロード車

オフロード車は、普通の車では動けなくなってしまうような道を走ります。例えば、雪道や泥道、沼地などです。しかし、こういった悪路を走るためには、車自体にそのための性能が備わっていないといけません。4つのタイヤ全てにエンジンからのパワー(トラクション)を伝える必要があるのです。そのため、オフロード車には4WDというシステムが備わっています。これによって、オフロード車は4つのタイヤ全てにトラクションを分配できています。

しかし、この4WDシステムの均衡を壊すものがあります。それはデファレンシャルギアです。4WDには前輪用と後輪用の2つのデファレンシャルギアが備わっています。デファレンシャルギアには左右のタイヤの回転差に干渉する機能があります。この回転差に干渉する機能のうち、悪路走破性に影響を与えるのが、左右均等にトラクションを分配するという点です。

例えば、もし車が沼地にはまってしまって右側のタイヤが空転してしまった場合、右側のタイヤのトラクションは0です。デファレンシャルギアは回転差を調整するために、もう一方の左タイヤのトラクションも0にしてしまうのです。その結果、車はいつまでたっても沼地から抜け出せなくなります。そこでオフロード車にはデフロックが必要となります。デフギアをロックすることよって、右側のタイヤが空転したとしても、左側のタイヤの力によって脱出することができるようになるのです。

軽トラック

どうして軽トラックにデフロックが付いているのでしょうか。それは軽トラックが使用されるシーンをイメージするとわかります。例えば、軽トラックは農家でよく使用されます。農家の方が乗る軽トラックは畑の上を走ったりするので、高いオフロード性が必要です。

また、もしタイヤが悪路にはまって抜け出せなくなったら、農作物の出荷が遅れてしまうかもしれません。そうなれば各方面に影響が出ます。そういう理由で、軽トラックにもデフロックが必要なのです。

デフロック搭載の主な車種

デフロックはどのような車種に搭載されているのでしょうか。ここでまとめてみます。

普通車編

普通車のなかでデフロックが付いていることが多いのは、なんといってもスズキのジムニーでしょう。ジムニーは軽自動車に分類されますが、ラダーフレームとリジットアクスルサスペンションによって、高い悪路走破性を誇っています。クロスカントリー競技にも使用される車として知られていますが、実はもとからデフロックが搭載されているわけではありません。

デフロックが付いていなくてもトラクション性能が高いことや、車の販売価格を抑える必要性があったため初期装備されていないという説があります。一般の方にとっては別にデフロックが付いていなくても気にしないかもしれませんが、本格的なクロスカントリーファンには物足りなかったようです。そこでジムニーのアフターパーツとして、デフロックを搭載することが可能となったのです。

ジムニー乗りに人気のデフロック

ジムニー愛用者に人気なのが、エアロッカーというデフです。これはオーストラリアのARB社が販売しているものです。エアロッカーの中には小型のコンプレッサーが搭載されており、デフロックを遠隔操作することができます。オーストラリアはほとんどの国土がオフロードといいても過言ではありません。ARB社はそのようなオーストラリアを拠点として、全世界に向けてオフロードカー用の部品を販売しています。クオリティが非常に高いため、世界中の軍隊に正式採用されるほどです。このミリタリー感も、ジムニーファンの心を揺さぶるポイントです。

日本では株式会社アウトバックが正式代理店としてエアロッカーを取り扱っています。こちらもオフロードカー用パーツの老舗メーカーとして知られています。価格はだいたい14万円前後、その他にも交換工賃などが発生しますが、ジムニー乗りは自分の手で装着してしまう人が多いようです。

ARB – Differential Airロッカー24スプラインパーツ# ba205 a

軽トラック編

ひと昔前でしたら、各メーカーがこぞって軽トラックを開発していました。しかし今では自社で生産することをやめて、OEM供給をしています。

OEM供給にすることで開発費や生産費などを抑えることができるからです。また軽トラックの場合、OEM供給でも売上が順調であることも一因でしょう。これから各メーカーのデフロック搭載の軽トラックを紹介していきます。

スズキキャリイ "KC農繁仕様/KC 4WD 5MT”

スズキキャリィのOEM供給として販売されているのが以下の3車種です。

・マツダスクラムトラック

・三菱ミニキャブトラック

・日産クリッパー

スズキキャリィは、現在販売されている軽トラックの中でも、最大のエンジン出力を誇っています。搭載されているパートタイム4WDとデフロックによって、その出力の良さを活かします。合計4社から販売されているので、街中でよく見かけるのではないでしょうか。

ダイハツハイゼット “農用スペシャル”

ダイハツハイゼットのOEM供給として販売されているのは以下の2車種です。

・トヨタピクシストラック

・スバルサンバートラック

パートタイム4WDが搭載されているほか、MT車では「スーパーデフロック」という機能も装備されています。これは農用スペシャルグレードだけに与えられる機能で、悪路から脱出しやすくなる可能性がより高くなるとのことです。色の種類も豊富で、農業に携わる女子からも支持されています。

ホンダアクティ “アタック”

各社がOEM供給へと舵を切る中、ホンダは一貫して自社生産にこだわっています。ホンダの軽トラックはアクティです。軽トラックの中で唯一フルタイム4WDとミドシップエンジンレイアウトを搭載しています。ホンダアクティには独自のコンポーネントがあり、まさに畑のタイプRです。

雪道でのデフロックは注意が必要?

デフロックは悪路での走行を助けてくれますが、雪道になると非常に危険になります。

4WDは特に注意すべき???

4WDでデフロックされている車が雪道を走る際は、細心の注意が必要です。デフロックされている状態の4WDは、カーブが曲がりにくくなっています。前後のタイヤが同じ回転数のまま、曲がろうとするからです。

通常の道路でさえ曲がりにくいのに、それが雪道になると、カーブを曲がり切れずに事故を起こしたり転落してしまう場合もあります。必要時以外はデフロックを切っておくなど、対策をしておきましょう。

まとめ

デフロックはオフロードを走る際、私たちの安全を守ってくれる頼もしい存在です。また農家の方たちも助けるなど、私たちの気がつかないところで社会にも貢献しています。普段はあまり意識しませんが、デフロックは世の中にとって大切なものなのです。


関連するキーワード


豆知識

関連する投稿


車のエアコンガス チャージ・補充方法は?入れ方や料金を徹底解説

車のエアコンガス チャージ・補充方法は?入れ方や料金を徹底解説

季節の変化で気温が変わると必要になるのが車のエアコン。車のエアコンが効かなくなると、ドライブが快適ではなくなるだけでなく、車内が不快な環境になることもあります。今回は、そのエアコンのために補充が必要なエアコンガスについて、エアコンガスが少なくなったときに出る症状、補充の費用目安、自分での補充を行う場合の手順など徹底解説します。


【交通安全協会】入会は任意、会費を払うメリットは?実はお得?

【交通安全協会】入会は任意、会費を払うメリットは?実はお得?

免許証の交付や更新時などに入会できる「交通安全協会」ですが、そもそも入会は任意なのか義務なのかといった疑問から、チャイルドシートの無料レンタルや協賛店の割引などの入会メリット、会費を紹介します。また、入会と退会の方法についても記載しています。


駐車違反の反則金はいくら?標識がなくても駐車禁止の場所は?

駐車違反の反則金はいくら?標識がなくても駐車禁止の場所は?

当記事では駐車禁止違反(駐禁)について、違反をしてしまった際の反則金・罰金、違反点数などの罰則内容から、駐車禁止のステッカーを貼られてしまった場合にどうすればいいのか等の対処方法、駐禁の反則金の支払いについてや、違反をしてしまった場合はすぐに出頭すべきか否か等をまとめて掲載しています。(※情報は執筆時点のものです)


免許停止(免停)とは?免停になる違反点数や免停期間、講習に関する疑問を解決

免許停止(免停)とは?免停になる違反点数や免停期間、講習に関する疑問を解決

交通違反や交通事故によって違反点数が加算され、一定の点数を超えると免許停止(免停)になります。免停となる点数や免停期間、免停講習はどのようなことをするのかなど、免停に関する疑問をわかりやすく紹介します。


金融車とは?相場より安く販売される理由と知っておくべきデメリットを解説

金融車とは?相場より安く販売される理由と知っておくべきデメリットを解説

車を安く購入する方法にはさまざまなものがあります。中でも相場よりかなり安く販売されていることで注目されているのが金融車です。ここでは金融車とは何なのか、そしてメリットやデメリットについてわかりやすく解説します。


最新の投稿


ダイハツ新型「ロッキー」発表!安全性の向上と価格改定を実施

ダイハツ新型「ロッキー」発表!安全性の向上と価格改定を実施

ダイハツは2024年11月5日に、コンパクトSUV「ロッキー」の一部改良モデルを発表しました。安全性を高めたほか、価格を改定したといいます。


車の雪対策に!準備しておきたいグッズや降雪時の運転前・運転中・駐車時に気を付けるべきポイントを徹底解説

車の雪対策に!準備しておきたいグッズや降雪時の運転前・運転中・駐車時に気を付けるべきポイントを徹底解説

突然の積雪に見舞われると、準備不足から大きなトラブルにつながることもあります。雪による交通事故や車の故障を防ぐためには、事前の準備と適切な対策が欠かせません。この記事では、車の雪対策として、事前に揃えておきたいグッズや雪道での運転時の注意点、駐車時の積雪への対策などを詳しく解説します。これから始まる寒い季節に備え、この記事を参考に雪対策の準備を整えておきましょう。


MOTA(モータ)の新車見積は超便利!自宅で簡単比較見積

MOTA(モータ)の新車見積は超便利!自宅で簡単比較見積

MOTA(モータ)が提供する新車見積は、これから新車を購入する人にオススメのサービスです。通常、新車を購入するには、ディーラーや販売店へ足を運んで見積りや商談を直接やり取りしたり、比較検討するために複数のディーラーや販売店へ出向かなければならなかったりと大変です。しかし、MOTA(モータ)の新車見積は自宅に居ながらWEBだけで、気になる新車を簡単に複数のディーラーや販売店から見積りをしてもらうことが可能です。そこで本記事では、MOTA(モータ)の新車見積サービスについて、特徴からメリット・デメリット、そして利用方法についても詳しく解説していきます。新車購入を検討している方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてくださいね。


スバル新型「サンバーバン」発表!安全性高めた「軽バン」登場

スバル新型「サンバーバン」発表!安全性高めた「軽バン」登場

スバルは2024年11月7日に、軽バン「サンバーバン」の一部改良モデルを発表しました。側面衝突時の乗員保護を高めたといいます。


オートウェイのタイヤは安い?特徴・注意点や購入の流れを解説

オートウェイのタイヤは安い?特徴・注意点や購入の流れを解説

タイヤが安く買えることをテレビCMなどでアピールしている「オートウェイ」。本当に安く買えるのでしょうか。また、安く買えたとしても品質に問題はないのか不安に思われる方もいるでしょう。さらに、オートウェイはネットで簡単にタイヤが買えますが、取り付けはどうすればいいのか気になるところです。そこで本記事では、オートウェイの特徴や注意点をはじめ、本当に安いのか、品質は大丈夫なのかということや、購入して取り付けするまでの流れも解説します。そろそろタイヤ交換を考えている方は、この記事を読んで参考にしてください。