初代は1985年登場! FRスポーツ「BMW M3」の不変の魅力
BMW M3(海外仕様車)
BMW M社の手がけるスポーツカー「Mモデル」たちの中でも、最も知名度の高いモデルの一台がM3でしょう。
もとよりスポーティさが際立っている3シリーズをベースとし、さらにスポーツ志向のチューニングを加えたホットモデルであるM3は、世界的にも高い人気を得続けています。
そんな人気の理由はどんなところにあるのでしょうか? M3の魅力を簡単にまとめましたのでご紹介します。
■直列6気筒、後輪駆動、不変のレシピ
BMW M3 CS(海外仕様車)
SUV全盛の今や、セダンという車型自体が稀少な存在へとなりつつありますが、初代M3から一貫していることは後輪駆動のスポーツカーであることに尽きます。
また、歴代M3のエンジンは直列6気筒が多く用いられてきており、BMWらしい「シルキーシックス」と呼ばれるようなスムーズな回転フィールと、パンチのあるパワーを楽しむことができる点も今では伝統の一つでしょう。
これらを組み合わせた結果の車が、運転が楽しくなるのは当たり前なのですが、メーカーによってはスポーツカー需要の減少などから同種の車を取りやめてしまう例もしばしば見られる世知辛い現代。
量販が見込めないようなそんなレシピを、BMWとBMW M社はラインナップし続けてくれているだけでなく、M3の進化を止めないでいてくれる点が、長年にわたって幅広い支持を受け続けている理由の一つかもしれませんね。
■家族揃ってサーキットアタック可能?!実用性の高さ
BMW M3 CS(海外仕様車) リヤシート
M3は、Mモデルらしく室内の誂えも上質な点が特徴的なほか、一部のハードコアグレードを除けば4〜5人乗りが可能な点が普段使いではうれしいポイントでしょう。
初代M3など、世代によっては2ドアのみのラインナップだったものもありますが、近代では4ドアボディモデルが継続的にラインナップされており、日常の使い勝手はさらに向上しています。3シリーズ譲りの後席や荷室のゆとりは、その動力性能の高さを考えると驚異的とも言えそうですね。
そのままサーキットに持ち込んでアタック可能な高性能を持ちつつ、日々の家族サービスにも十分以上に活躍してくれる柔軟なユーティリティ性は、M3の大きな魅力の一つでしょう。
■最新のBMWを反映したアグレッシブなスタイル
BMW M3 CS(海外仕様車)
Mモデルの中でもかなり過激なエアロパーツが特徴的なM3。より大型のMモデルたちではやや大人っぽいデザインにまとめられてしまうこともしばしばのようですが、歴代M3のスタイルは、その時々のBMWのデザインの方向性を強く感じることのできるアグレッシブさが魅力的です。
特に現在発表済の6代目となる最新型M3では、ノーズ部の天地方向いっぱいに広げられた縦長のキドニーグリルが特徴的。4シリーズで先行してデビューしていたデザインではありますが、今後のBMWのデザインを予告する意味合いもあると思われる挑戦的なデザインとなっています。
もちろん、見栄えだけを取ったデザインでないこともM3の魅力の一つ。どの部分にも技術的な裏付けのあるデザインは、眺めているだけでも楽しめる部分ですね。
BMW M3のスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4,685mm×1,875mm×1,430mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,810mm | |
最大乗車定員 | 5名 | |
車両重量 | 1,640kg | |
燃費 | JC08モード:11.9km/L | |
エンジン種類 | 直列6気筒ガソリンターボ 2,979cc | |
エンジン最高出力 | 331kW(450PS)/7,000rpm | |
エンジン最大トルク | 550N・m(56.1kgf・m)/2,350-5,500rpm | |
駆動方式 | 後輪駆動(FR) | |
トランスミッション | 7速DCT | |
新車価格 | 11,636,364円(消費税抜き) |
歴代M3を振り返ってみよう!どの世代がお気に入り?
■初代M3:伝説的なデビュー、DTMでの激戦が印象深い
BMW M3(初代) E30 ロニー・ファイグ・エディション
1985〜1990年:E30型
M3の伝説の始まりは、ツーリングカーレースに出場するためのホモロゲーション(公認)取得のためにデビューした1985年から始まりました。
デビュー自体はM5と同年の1985年でしたが、スポーツセダンとしての性格付けが強く見られたM5に対し、M3の軸足は完璧にサーキットとレースに置かれていた点が刺激的でした。
特に初代M3では過激なエアロパーツが目を引く部分ですよね。前後のブリスターフェンダーなどはレーシングカーの血統を感じる部分。先行して販売されていたM1の直列6気筒エンジンをベースに4気筒化した2.3リッターエンジンを搭載し、コンパクトなボディを活発に走らせていました。
ドイツツーリングカー選手権(DTM)へのBMWの参戦は現在も行われていますが、初代M3とメルセデスベンツの190E 2.3-16との激戦が繰り広げられていたことを覚えている方もいらっしゃるかもしれませんね。
■2代目M3:一気に地味に!セダンが初登場、SMGを初搭載
BMW M3(2代目)
1993〜1998年:E36型
2年間の空白ののちに発表された2代目M3は、初代のヤンチャとも言える攻撃的スタイルから一転、落ち着いたエアロパーツを装備した3シリーズクーペといった装いで登場しました。
4気筒エンジンを搭載していた初代に替わり、新たに3.0リッター、後には3.2リッターに拡大される直列6気筒エンジンを搭載。特に3.2リッターエンジン車では、ハイパフォーマンスエンジンの指標の一つであるリッターあたり100PSを超える321PSの高出力によって、動力性能にはさらなる磨きがかかっていました。
2代目M3でトピックとなるのは6速SMG(シーケンシャル・マニュアル・ギアボックス)の搭載でしょう。
F1参戦によって経験を積んだセミオートマチック技術を用い、1997年に追加されたこのトランスミッションは、クラッチを必要としないイージードライビングと、瞬時のシフトチェンジをもたらし、M3がスポーツカーの新たな時代を開いた瞬間でした。
■3代目M3:バルジ付きボンネットが勇ましい!CSLの復活も
BMW M3(3代目) CSL
2000〜2006年:E46型
先代ではややビジュアルアピールが足りなかったことの反省からか、パワーバルジ付きボンネットやより拡幅が目立つオーバーフェンダーなどが装備された3代目M3。
エンジンは先代と同じく3.2リッター 直列6気筒でしたが、ボディスタイルではあえて2ドア限定に変更することで、高いボディ剛性の確保を狙いました。
先代でデビューしたSMGは、日常域での使い勝手や信頼性にやや難があったことを受け、3代目M3では進化したSMG IIを搭載。クラッチレス・スポーツドライビングの世界をさらに広めていました。
3代目で特徴的なのは2001年に発表されたM3 CSLというハードコアモデルの登場でしょう。装備を簡素化したりカーボン素材を積極的に用いるなど、ライトウェイトの略であるLを車名に持つだけに徹底した軽量化が進められ、100kg以上の減量に成功。
パワーアップしたエンジンと専用の足回りで、最強のM3として君臨していました。
■4代目M3:なんとV8搭載!排気量アップで性能もさらに高みへ
BMW M3(4代目) クーペ GTS
2007〜2014年:E90(セダン)、E92(クーペ)
ベースとなる3シリーズの進化に伴って、ボディサイズがだんだんと大型化してきていたM3。4代目に至って、そんなハンデを覆すべくなんと4.0リッターのV型8気筒エンジンへとパワートレインを変更し、ついに最高出力は400馬力台へと突入しました。
また、先代のCSLで見られたような軽量化策をベースモデルでも積極的に投入。なんとクーペのルーフをカーボンファイバー製としたり、各パーツをアルミニウム製に置き換えたりなど、コストのかけられた軽量化によって、先代比での重量増は100kg以内に抑えられ、よりパワフルになったエンジンのパフォーマンスを存分に味わうことができました。
先代では廃止されたセダンですが、なんと2007年の東京モーターショーでM3 セダンがワールドプレミアされ、復活しました。3シリーズはクーペとセダンではエクステリアデザインが異なっていましたが、V8エンジンを搭載している都合もあってか、M3セダンはM3クーペと同様の顔つきになっていた点も印象深いですね。
■5代目M3:直6に回帰も今度はターボエンジンだ!軽量さが光る
BMW M3(5代目) 30イヤーズ・アメリカン・エディション
2014〜2020年:F80型
3シリーズクーペが新たに4シリーズとして独立したこともあり、M3はセダンボディ専用となり、クーペボディはM4と呼ばれるようになりました。
先代モデルではV8らしからぬ軽快な回転フィールとパワーで好評を得ていたエンジンは、再度BMWらしい直列6気筒エンジンに回帰。しかし、世界的なダウンサイジングターボの流れもあってか、ターボを装着して排気量を3.0リッターに縮小した点が特徴的です。
登場当初こそM3の伝統である自然吸気ハイチューンエンジンが失われたことを嘆く声も聞かれましたが、低中回転域でのパンチのあるトルクや、431PSというハイパワーはターボでこそ得られる部分。意外なメリットとして燃費が向上しているなど、段々と受け入れられていった感がありました。
「ミッション・インポッシブル」など、近年の銀幕での活躍も印象深いところですね。
新型M3が欧州発表済!ちょっとだけ予習しましょう
■縦長の大型キドニーグリルを装備
BMW M3(海外仕様車)
3シリーズセダンでは一般的サイズのキドニーグリルが装着されていますが、M3には、4シリーズで先行して登場していた縦長仕様の大型キドニーグリルが装備されます。
デザイン的にまだやや違和感を感じなくもないかと思いますが、大型のグリルはその背後に潜む高性能エンジンの存在を誇示するものとしてハイパフォーマンスカーでは常套手段でもありますので、M3のキャラクターを考えればぴったりなのかもしれません。
さらに、BMWの解説によれば、この縦長デザインは往年の名車「3.0CSi」などに用いられていたデザインを現代的に再解釈したものとのこと。そう言われてみれば、横に広がるよりは縦に伸びる方が、BMWの伝統には沿った進化に思えてきますね。
■直6ターボエンジンはさらにパワーアップ!MTも続投
BMW M3(海外仕様車) エンジンルーム
排気量と構成こそ、3.0リッター 直列6気筒ターボエンジンで5代目モデルと変化がありませんが、中身は最新仕様にアップデート。
5代目M3では、ライバル車種と比較した際の最高出力の低さがたびたび指摘されていたこともあってか、ベース仕様であっても480hp、よりハイエンドな「コンペティション」グレードではなんと510hpというハイパワーに進化する新型M3。
ベース仕様では引き続き6速MTが選べるという選択肢の広さも、スポーツカーといえどマニュアルが選べる車種がどんどん減っている現代においてありがたいところで、競合車種としては唯一の設定になるとのこと。
また、5代目では7速だったDCTも、新型では8速へと段数が増やされ、さらに加速性能を増していることでしょう。
■なんと四輪駆動モデルもスタンバイ!
BMW M3(海外仕様車)
もはや後輪の2輪だけでは扱いきれないほどの高出力となってきていることもあってか、M3としては史上初となる四輪駆動モデルの将来的な追加も予告されています。
「M xDrive」と名付けられたこの四輪駆動システムは、通常状態ではFRレイアウトを維持しつつ、路面状況や走行状態に応じて4WDへと変化する優れものとなるそうです。
詳細な性能や、いつ追加されるのかなどは今後の続報を待つ必要がありますが、普段はFRの爽快なハンドリング、いざという時に四輪駆動のトラクション性能が得られるとすれば、おいしいとこどりの完璧な性能が実現されていそうですね。
BMW M3の中古車価格まとめ
BMW M3
残念ながら新型M3の正式国内導入は未だ発表されておらず、現在のところM3を手に入れる方法は中古車しかありません。
2020年11月現在の中古車市場では、M3系を合わせて130台の在庫が確認できます。現行モデルに限った中古車平均価格は653.8万円となっており、最安では400万円台から在庫が見られるなど、新車価格が1,000万円を優に超えるハイパフォーマンスカーであることを思えばかなりバーゲン価格となっているようです。
5代目M3のモデルライフ後半に設定されたハードコアモデル「CS」や、よりハイパフォーマンス仕様の「コンペティション」グレードなどではやはり高値となっていますが、それでもM3は将来の名車となりそうな車ですし、現在の落ち着いている中古車相場のうちに手に入れておく方が良いのかもしれませんね。
まとめ
BMW M3(海外仕様車)
BMWの誇る本格スポーツセダン「M3」の魅力についてお伝えしてきました。
長い歴史の中、色々な構成要素の変化はありつつも、ドライバーズカーとしての性能を追求する姿勢に変化がなかったM3。最新モデルの日本導入が待たれます。