軽は賢く選ばないと大損しちゃう?!「不人気車」の中古を狙え

スズキ ハナレ(東京モーターショー2019 出展車両)
いつの時代も庶民の味方の車といえば、小回りがきいて維持費もお得の軽自動車。しかし、最近はちょっと事情が変化してきているようです。
ボディサイズやエンジンサイズは軽自動車規格で定められているので変化はありませんが、もはや小型の普通車を飛び越してしまうほどに予防安全装備が充実したり、駐車支援などの先進的な装備が選べるようになったり、はたまた高級感あふれるインテリアが選択できたりと、軽自動車がこれまでになく豪華になっていく一方、価格もグングンと上昇しています。
新車とはいえ軽自動車に200万円はちょっと抵抗がある、という方も多いのではないでしょうか。
そんなあなたに是非おすすめしたいのが、いわゆる「不人気」軽自動車の中古車たち。先述したようにボディサイズやエンジンサイズでは差別化ができないのが軽自動車の常ですので、新市場を開拓すべくさまざまな新たな発想を持ち込んだり、先行した成功例を横目にもっと高みを目指す軽自動車が多数存在してきました。
そんな車たちの中には、魅力がたっぷりなのに残念ながら流れを捉えられず、いまいち人気の出なかった車種もたくさん。これら車種は、もとよりお得な中古車の中でもさらに狙い目の選択肢の一つなのです。
2021年に是非注目したい、お得で狙い目な中古軽自動車を、5台まとめてみました。
2021年の今が買い!狙い目中古軽自動車5選
■日産 デイズルークス:スーパーハイトワゴンの使い勝手が格安!

日産 デイズルークス
2020年3月に後継車の「ルークス」に代替わり済で、先代モデルとなる「デイズルークス」。ちなみにデイズルークスの先代はこちらも「ルークス」という車名だったので、呼び方は先祖返りしたことになります。
軽自動車新車販売台数ランキング上位を占有してもはや何年経ったかわからないほどに、継続的な人気のあるスーパーハイトワゴン系の車種となっています。
スーパーハイトワゴンは中古車といえども人気があるので極端に値落ちすることはあまりありませんが、それでも旧型車はやはりお買い得。
もはや商品の魅力としては成熟してきているジャンルでもありますので、値段がジリジリ上がっている最新型モデルを選ばずとも、抜群の室内ユーティリティなどの魅力は十分堪能できます。
日産 デイズルークス インテリア
まるでリムジンのような後席の足元空間、室内高1,400mmという頭上の余裕は、もはや旧型であることなど関係のないデイズルークスの魅力の一つ。
シンプルなデザインながらタッチ式のエアコン操作パネルを採用するなど、ライバルとは一味違うインテリアが見所の一つです。
さらにグレードによっては、軽自動車初採用だったナノイー搭載リヤシーリングファンといった快適装備や、日産車でおなじみのアラウンドビューモニターなどの先進装備もどんどん投入されたほか、2018年5月の改良では自動ブレーキ性能を大幅に向上。こちらも軽自動車初だった前方の歩行者を検知する踏み間違い衝突防止アシストの搭載も話題でした。

日産 デイズルークス ライダー
現行モデルのルークスでは、エクステリアが全体的にシャープなディテールに改められていますが、デイズルークスのデザインもまだまだ現役。ルークスでは設定がなくなってしまった、メッキグリルが煌びやかなライダーも、デイズルークスならではの魅力の一つですよね。
これだけ充実の商品性ながら、N-BOX、スペーシア、タントの3強にはやや力及ばずといった印象からか、お買い得感の高いデイズルークス。
中古車平均価格では100万円台とそこまでお安くはありませんが、価格帯としてはなんと20万円台から在庫が確認できるなど、スーパーハイトワゴンの使い勝手は欲しいけど、最新型は高すぎる!とお思いの方にこそぴったりな選択肢のひとつでしょう。
日産 デイズルークスのスペック・中古車情報まとめ
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 3,395mm×1,475mm×1,775mm(S 2WD) | |
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エンジン種類 | 直列3気筒ガソリン 0.66L 直列3気筒ガソリンターボ 0.66L | |
JC08モード燃費帯 | 18.2〜22.0km/L | |
新車価格帯(消費税抜) | 1,127,319〜1,827,000円 | |
中古車平均価格(消費税抜) | 約102.5万円 | |
中古車本体価格帯(消費税抜) | 約24.5〜178.0万円 |
■ホンダ N-WGN(初代):キリッとした目つきがカッコいい

ホンダ N-WGN G SSパッケージ(左)、N-WGNカスタム ターボ SS 2トーンカラースタイルパッケージ(右)
先ほどのデイズルークスよりもやや全高を抑えたハイトワゴンスタイルなのがホンダ N-WGN。こちらも2019年8月に新型モデルにバトンタッチが完了しており、先代モデルという扱いになっています。
スーパーハイトワゴンのN-BOX、セダン系のN-ONEに続く第三弾として発売されたN-WGNは、その両方のいいところどりをしたような多面的な魅力が持ち味の一つ。先代モデルとはいえ、まだまだ魅力は色褪せていません。
現行型N-WGNが丸目や角目基調のややファニーな表情に仕立てられていることもあり、標準仕様とカスタムの両方で、眼光鋭い先代N-WGNの方がお好みの方もいらっしゃるかもしれませんね。ボディサイドを前後方向に貫くキャラクターラインも、伸びやかさを感じさせます。
ホンダ N-WGN インテリア
N-WGNのどこがN-BOXとN-ONEのいいところどりなのかというと、室内の広々さと安定した乗り心地を高い次元で両立していることに尽きるでしょう。
N-BOXより低めとはいえ1,600mm台の全高によって、室内空間は余裕そのもの。頭上の余裕はスーパーハイトワゴン系には敵わず、自転車などが楽々載せられる、というわけにはいきませんが、シートに座ってゆったり過ごす限り、その差を実感するケースは意外と少ないことでしょう。
また、より低重心なボディによるキビキビと走れる性能も魅力。自然吸気エンジンでは、N-BOX・N-ONEよりも高圧縮比化されたことで、日常でうれしいパワフルさはそのままに低燃費性能にも磨きをかけました。
ホンダ N-WGN
N-BOXなどのスーパーハイトワゴン系と比べ、外観が大きく違った印象を与える一番のアングルは、意外と後ろ姿かもしれませんね。天地方向・幅方向にこれでもかと広げられた、もはやバンを思わせるような四角さが目立つN-BOXに対し、上に行くにつれてキャビンが絞り込まれていくN-WGNはスマートな印象。
それでいて台形状に地に足着いたイメージもあり、どっしりと安定した印象も。外観的にスーパーハイトワゴンは好みじゃない、という方にぜひおすすめしたいフォルムとなっています。
ライバルであるワゴンRやムーヴに比べ、新参者だけに固定ユーザーがいない点が災いしてか、初代モデルではあまりパッとした販売成績が残せなかったN-WGN。しかし、そのあらゆる部分で高得点を取れる多面的な魅力は、新型モデルが登場した今でも色褪せることはありません。
なんと中古車平均価格で100万円切り、まだまだフレッシュな見た目ながら10万円台から在庫が確認できるという現在のN-WGNの相場は、隠れたバーゲンのひとつでしょう。
ホンダ N-WGN(初代)のスペック・中古車情報まとめ
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 3,395mm×1,475mm×1,655mm(G 2WD) | |
---|---|---|
エンジン種類 | 直列3気筒ガソリン 0.66L 直列3気筒ガソリンターボ 0.66L | |
JC08モード燃費帯 | 24.2〜29.2km/L | |
新車価格帯(消費税抜) | 1,028,182〜1,481,819円 | |
中古車平均価格(消費税抜) | 約86.0万円 | |
中古車本体価格帯(消費税抜) | 約19.5〜155.0万円 |
■ダイハツ キャスト:エレガント・スポーティ・アクティブの三味勢揃い
ダイハツ キャストアクティバ
こちらはまだ販売が続けられているものの、2020年にグレード展開が改められ、現在では「スタイル」グレードに限っての販売となっているダイハツのトールワゴン、キャスト。
2015年の登場時にはむしろSUVルックの「アクティバ」がメインで訴求されていましたので、こちらの印象が強いという方もいらっしゃるかと思います。
なんと同一車種ながら性格の違う3グレードをラインナップするという異例の展開となったキャストは、3グレードで共通のキュートな丸目や印象的なルーフラインといった特徴は残しつつ、SUVのラギッドさのある「アクティバ」、ホットハッチ風の「スポーツ」、プレミアムベーシックといった装いの「スタイル」と、お好みやライフスタイルに合わせて異なる個性が選べた点が新鮮でした。

ダイハツ キャストスポーツ
アクティバでは現在でも快進撃が続くスズキ ハスラー、スポーツでは同じく5ドアでターボエンジンを搭載するスズキ アルトワークス、スタイルではホンダ N-ONEと、それぞれのグレードでがっぷり四つのライバルが存在したキャスト。
しかし、そのバリエーションの豊富さが器用貧乏ととられたのか、キャラクターが定まらずにアピール力が薄かったのか、それぞれのライバルに対してあまり大きな爪痕を残せていないのが現状かもしれません。
しかし、ここまでユーザーの個性を際立たせる選択肢を用意してくれる軽自動車というのも稀有な存在。主にはエアロパーツや室内の仕立ての違いとはいえ、パッと見てしっかり異なる個性を感じさせるスタイリングが確立されている点は、軽自動車づくりに長けたダイハツならではの車といえそうです。
ダイハツ キャストスタイル
もちろん、キャストスタイルをお求めの場合はまだ新車で購入ができますし、先ほどご紹介したN-WGN同様、スーパーハイトワゴン系よりもグッとお安い新車価格が設定されている点はキャストスタイルの利点なのですが、狙い目なのは中古車。
キャストアクティバは既に中古車でしか手に入れられない上に、中古車在庫は非常に充実していますので、なんと流行のSUVスタイルを40万円台から狙うことができます。
硬派なあなたなら、60万円台から在庫されているキャストスポーツのターボエンジンも使いこなせることでしょう。
まだまだ新しい車ですので、安全装備パッケージのスマートアシストIIやスマートアシストIII装着車が選べる点もうれしいポイントですね。
ダイハツ キャストのスペック・中古車情報まとめ
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 3,395mm×1,475mm×1,600mm(スタイルX) | |
---|---|---|
エンジン種類 | 直列3気筒ガソリン 0.66L 直列3気筒ガソリンターボ 0.66L | |
JC08モード燃費帯 | 24.6〜30.0km/L | |
新車価格帯(消費税抜) | 1,109,455〜1,585,637円 | |
中古車平均価格(消費税抜) | 約114.7万円 | |
中古車本体価格帯(消費税抜) | 約39.8〜167.9万円 |
■スズキ セルボ(5代目):まるでクーペのスペシャル感

スズキ セルボ
こちらは2006年デビューとやや世代が古くはなるものの、それを補ってあまりあるスペシャル感満点さがうれしい、スズキ セルボ。
初代は1977年発売と長い歴史を持つ車名の一つで、4代目にあたるセルボモードから若干空白期間を挟み、より個性に磨きをかけて登場したのが今回ご紹介する5代目となっています。
切長のヘッドライトや、ノーズからリヤまで滑らかなワンモーションフォルムなど、外観だけでも他の軽自動車とは違うことをしっかり主張していますよね。

スズキ セルボ インテリア
軽自動車の中でもよりスタイリッシュさを求める層向けに開発された5代目セルボは、エクステリアだけでなくインテリアも充実の仕上がり。ダッシュボードからドアトリムまで続く滑らかな曲線のアクセントは、まるで高級セダンやミニバンのような豪華さが感じられますね。
また、スペース効率重視が最優先となりがちな軽自動車ではインパネシフトが多く採用されるのに対し、セルボではフロアシフトをこだわって採用。こちらも数ランク上の車のような上質感があります。

スズキ セルボ Gリミテッド
一般的なノンターボエンジンとターボエンジンに加えて、日本初となる直噴ターボとCVTの組み合わせによる刺激的なパフォーマンスグレード「SR」が用意されていた点もセルボのポイント。こちらはパワフルさだけでなく、高効率なCVTによって全グレードトップの低燃費を実現していた点も、未来的な部分でした。
やや年式が古くなってきていることから、中古車平均価格ですでに20万円台、なんと1万円台から在庫が確認できるなど、そのスペシャルな存在感に対して暴落ともいえそうな相場が展開されています。今でも古びないそのスタイルを手にするには、今が絶好のチャンスといえそうです。
スズキ セルボ(5代目)のスペック・中古車情報まとめ
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 3,395mm×1,475mm×1,535mm(G 2WD) | |
---|---|---|
エンジン種類 | 直列3気筒ガソリン 0.66L 直列3気筒ガソリンターボ 0.66L | |
10・15モード燃費帯 | 18.4〜23.0km/L | |
新車価格帯(消費税抜) | 904,910〜1,405,091円 | |
中古車平均価格(消費税抜) | 約24.4万円 | |
中古車本体価格帯(消費税抜) | 約1.9〜61.0万円 |
■三菱 i(アイ):キュートなルックスと理詰めのパッケージング

三菱 i
まるで豆のようなツルンとしたフォルムが印象的なこちらは、三菱 i(アイ)。5ドアの軽乗用車として非常に稀と言える、エンジンをリヤタイヤ直前にレイアウトしたミッドシップレイアウトとなるアイは、2006年にデビューした異色の存在でした。
ライバル不在の独自路線ということもあり、2013年までモデルチェンジしないまま長い期間製造され続けたほか、なんと現在でもEV仕様の「i-MiEV」の生産が続けられている長寿車なのです。i-MiEVはもともと軽自動車登録でしたが、2018年の仕様変更に伴って小型車登録になっています。
一度見たら目に焼き付く個性的なルックスなのですが、最近では街中で見かける機会もとんと少なくなってきていますよね。

三菱 i
なんとなく小動物的な愛らしさも感じさせるフロントの表情などを見て、もしやスタイル重視のハリボテか?とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、その成り立ちは実に真面目なもの。
一般的な軽乗用車が車両前端にエンジンを搭載するのに対し、アイは前述の通り後席の後ろに、やや後ろに傾けながらエンジンを搭載。これによって軽自動車最長のホイールベースを実現しており、余裕の安定性を誇ります。
なんとそのホイールベースは次点のN-BOXなどよりも30mm長い2,550mmとなっており、これは三菱の小型ハッチバック、ミラージュよりも100mmも長く、限られたスペースを最大限に活用するアイのコンセプトがよくわかりますね。
また、高級スポーツカーなどに用いられるミッドシップレイアウトによって、軽乗用車として珠玉のハンドリングも実現。実用性だけでなく、運転しても楽しい点もポイントです。

三菱 i
崇高な設計思想のもと、これまでにない軽乗用車の形にチャレンジしたアイでしたが、あまりに新しすぎた仕上がりもあってか、大ヒット車となることは叶いませんでした。しかし、一部のファンからは熱狂的な支持を受けたほか、量産EVとして世界初となるリチウムイオン二次電池搭載のi-MiEVの礎となるなど、三菱だけでなく自動車業界にもたらした影響は決して少なくないでしょう。
年式の古さや、購買層の薄さもあってか、中古車平均価格で20万円台、なんと本体価格では1万円切りの在庫まで確認できるアイは、もしかすると将来はクラシックカーとして価値が爆発するかもしれませんので、変わり種としてではなく、実用的かつエポックメイキングな自動車史の中の一台として手に入れても楽しそうですね。
三菱 iのスペック・中古車情報まとめ
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 3,395mm×1,475mm×1,535mm(ビバーチェ 2WD) | |
---|---|---|
エンジン種類 | 直列3気筒ガソリン 0.66L 直列3気筒ガソリンターボ 0.66L | |
10・15モード燃費帯 | - | |
新車価格帯(消費税抜) | 1,112,728〜1,588,091円 | |
中古車平均価格(消費税抜) | 約23.0万円 | |
中古車本体価格帯(消費税抜) | 約0.8〜72.0万円 |
まとめ

ダイハツ D-X(東京モーターショー2011 出展車両)
前半3台ではまだまだ現役のおすすめ軽、後半2台では実力十分で今こそ見直したい名車の軽をご紹介してきました。
「不人気」だなんてレッテルを貼ってしまうのが申し訳ないほどに、どの車もユーザーのことを考え、価格を抑え、性能を向上させ、と涙ぐましい努力の結晶であることは、ひしひしと伝わってきますよね。
不人気なのではなく、自分にしかこの魅力がわからない超・名車なんだ!と思って乗れば、愛着もひとしおかもしれませんね。