トヨタ シエナとは
≪写真提供:response≫トヨタ シエナ
トヨタは今や日本のみの企業ではなく、世界中さまざまな自動車の販売を行っています。それぞれの国によって自動車事情は異なっていることもあり、国によってラインナップにはかなりの違いがあります。例えば、日本においては道路事情などの問題から大型の車は敬遠される傾向にあり、コンパクトカーが人気を集めています。
一方で、広大な国土を持つアメリカやオーストラリアなどでは大型のモデルが人気です。各国の自動車事情や需要、そして法令などに準じたモデルを展開する形になるので、海外では人気モデルなのに日本では販売されていないといった車も少なくありません。
例えば、ピックアップトラックのハイラックスは海外で高い人気を誇るモデルであったにも関わらず、日本市場ではあまり需要がなかったために2017年に復活するまでの13年間は日本のトヨタのラインナップからは外れていました。
しかし、日本で販売されていないモデルであっても魅力的なものがいくつもあります。北米市場で高い人気を誇るシエナもそのひとつです。ここでは日本では販売されていない隠れた人気車であるシエナについて詳しくご紹介します。
■トヨタ最大級のミニバン
シエナの初代モデルは1997年に登場しました。実はこのモデルの前身となったのはかつてのトヨタを代表するミニバンだったエスティマです。日本では非常に高い人気を誇ったエスティマは北米市場でもプレビアという名称で販売されていました。
しかし、大型車が人気のアメリカにおいてはサイズ的にやや物足りないということもあり、日本とは別の道を歩むことになります。日本では、その後もエスティマの販売が継続されましたがアメリカでは1997年に打ち切られ、代わりにカムリのプラットフォームを流用した大型ミニバンを投入することになりました。それがシエナです。
1997年に発売された初代モデルは大型のボディにやや低めの全高というシルエットがスタイリッシュで、乗用車のようなスタイルで乗ることのできるミニバンとして人気を集めました。
はじめてのフルモデルチェンジがおこなわれたのは2003年です。この2代目シエナは初代のコンセプトを引き継ぎながら、さらにボディサイズが拡大されています。
3代目シエナは2010年に登場し、デザインがよりスタイリッシュで高級感あるものに変更されています。このモデルから大型ミニバンでありながら高級ミニバンとしての色合いが強くなりました。
そして2020年に登場したのが現行モデルにあたる4代目です。このモデルもやはり超大型ミニバンとなっており、さらに高級感も増しています。
全長は5mを超え、全幅も2m近い超ビッグサイズのボディはまさにアメリカンサイズと呼ぶに相応しいでしょう。サイズは大きいですが全高はアルファードなどよりも低い1,740mmに抑えられていますのでよりスポーティでスタイリッシュな印象に仕上がっています。
■海外で人気の定番モデル
北米市場に合わせるためにデザインされたこともあり、シエナはアメリカを中心に高い人気を集めています。アメリカ市場のミニバンとしては定番モデルのひとつであり、同じくアメリカ市場で大型化されたオデッセイと共に幅広い層の支持を集めています。
シエナは基本的に北米専売モデルとなっていますが、世界各国でも注目を集めており、シエナを輸入して販売している業者なども少なくないほどです。先代の3代目モデルまでは日本でも見かける機会があり、ある程度の台数は日本に入ってきています。
■スポーティで洗練されたスタイリング
シエナには多くの魅力がありますが、大きなボディながらスポーティで洗練されたスタイリングもそのひとつです。全長、全幅は非常に大きいものの全高が抑えられているので普通乗用車に近いスポーティな印象に仕上げられています。
3代目モデルまではエスティマの後継モデルということもあって、曲線を多用したデザインでしたが、現行モデルでは直線的なスタイルに変更され、よりシャープになりました。
■質感の高い内外装にも注目
シエナの初代、2代目は大衆車的な印象の強いモデルでしたが、3代目からは高級路線にシフトしています。今回の4代目もその流れを汲んでおり、内外装ともに非常に高い質感のパーツで統一されています。まさに高級ミニバンと呼ぶにふさわしい仕上がりです。
日本で高級ミニバンというとアルファードがとても高い人気を集めていますが、シエナも高級感では負けていません。デザインはやや控えめでマイルドな印象となっていますので、アルファードとはまた違った高級感を持っています。
新型シエナは日本にも上陸する?
≪写真提供:response≫トヨタ シエナ
シエナは初代モデルから北米専売モデルということもあって、日本では正規販売はされていません。しかし、超大型ボディなど日本で販売されているモデルにはない魅力を持っているので、購入したいと考えている方も多いでしょう。
そこで、ここからは新型シエナの日本上陸の可能性についてご紹介します。
■現時点では日本上陸の予定はなし
正規販売についてですが、残念ながら現時点では予定されていません。これまでもシエナは日本でも人気が高く、輸入販売を行っている業者もあったほどですが、正式販売されることはありませんでした。やはり、日本市場に投入するにはあまりにもサイズが大きすぎることから、販売は難しいのかもしれません。
また、日本市場には同じ高級ミニバンカテゴリーにアルファードとヴェルファイアという人気モデルがあるという点も、シエナを日本市場に投入しにくい理由の一つです。
そのほかに、日本の流行も影響しています。日本でも一昔前までは全高の低いスタイルのミニバンが人気を集めていました。しかし、現在ではより広い車内空間を確保するために全高の高いモデルへの需要が高くなっています。
そのため、ビッグボディを持ちながら背の低いスタイルを持つシエナはあまりマッチしないのです。
■並行輸入での購入はできる?
海外専売車であっても、一定の基準を満たせば並行輸入によって購入して登録することができます。そのため、3代目シエナまでは輸入して販売する業者や街を走行しているところを見る機会もありました。しかし、現時点で4代目モデルは日本には入ってきていないようです。
その理由としては日本では登録できない可能性があるという点が挙げられます。シエナは4代目モデルからハイブリッドモデルのみのラインナップとなっています。
そこで、駆動用バッテリーが日本の基準に合致しているのかの確認ができていないのです。日本とアメリカに限った話ではありませんが、自動車の安全基準は国によって異なっています。自動車を販売するためには製造国ではなく販売する国の基準に合わせる必要があるのです。特に、ハイブリッド車のバッテリーに関しては複数の安全基準があり、検査にかかる費用も膨大です。
ハイブリッドモデルでも日本で同じ仕様のモデルが発売されている場合は安全基準の確認も容易なので並行輸入してそのまま登録が可能です。しかし、シエナの場合は日本では同じ仕様のモデルが販売されていないことから登録が非常に困難になるのです。
■今後、日本でシエナが購入できるようになる可能性
日本でシエナが購入できるようになるとすれば2つのケースが考えられます。1つは日本トヨタから正式に販売されるというケース。前述の通り、現時点では日本市場への投入の可能性は低いですが、将来的に販売される可能性はゼロではありません。先ほども少し触れましたが日本市場では13年もの間販売されていなかったピックアップトラックのハイラックスも2017年から正式に販売されるようになっています。そのため、日本市場での人気が高まれば発売される可能性はあるでしょう。
もうひとつの可能性は並行輸入です。先ほど、並行輸入しても登録が困難であることをご紹介しましたが可能性がゼロというわけではありません。正式に検査を行って日本の基準を満たしていることが証明できれば日本での登録が可能となります。もちろん、検査にはかなりのコストがかかるので簡単なことではありません。
しかし、日本での需要が高まり、輸入業者がコストをかけてでも検査を行う価値があると判断されれば輸入に向かって動き出す可能性はあります。
このように、現時点では日本でシエナを購入するのは困難ですが、将来的に購入できるようになる可能性はあります。ただ、3代目以前のモデルは日本でも登録が可能です。数は少ないものの日本の中古市場でも見られますのでどうしてもすぐにシエナに乗りたい方はチェックしてみましょう。
■シエナの価格は?
シエナは日本では販売されていませんが、北米では日本円にして400万円前後からの価格帯で販売されているようです。もちろん、複数のグレードが用意されており、上位グレードになれば500万円を超える価格が設定されています。価格的にもやはり高級ミニバンであると言えるでしょう。
ただ、すべてのグレードがハイブリッドになっているという点を考えるとコストパフォーマンスはそれほど悪くありません。
仮に日本で正式に販売されるようになった場合も同程度の価格帯になることが予想されます。並行輸入の場合は、輸入に必要なコストが上乗せされる形になりますのでもう少し価格は高くなります。
まとめ
≪写真提供:response≫トヨタ シエナ
シエナは北米市場を中心に販売されているトヨタの大型ミニバンです。全長5mを超える迫力のサイズが魅力的。現時点では日本では販売されておらず、並行輸入が困難なモデルではありますが、今後購入できるようになる可能性も十分に残されています。
シエナに乗りたいという方は逆輸入業者などの情報をしっかりチェックするようにしましょう。