冬の間しか使わないスタッドレス、どうやって保管してる?
グッドイヤー アイスナビ7
自動車通勤をされる方や、お買い物に送り迎えにと毎日車を利用する方なら、毎年寒くなってきたら、スタッドレスタイヤを装着するという方も多いことでしょう。
冬の怖い凍結路面や積雪路面に対して、優れた性能で大きな安心感をもたらしてくれるスタッドレスタイヤは、運転中の心の余裕を保つ、冬ドライブの重要なパートナーですよね。
しかし、春がやってくるとスタッドレスタイヤはお役御免で、サマータイヤに履き替えるので、DIYでタイヤ交換を行う方なら、ご自宅でスタッドレスタイヤを保管している場合がほとんどでしょう。
このスタッドレスタイヤの保管、場所は取るし運ぶのは大変だし、億劫に感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
しかも、保管の方法によってはスタッドレスタイヤの寿命を縮めている可能性もあるとなると、正しい保管方法が気になってきますよね。詳しくご紹介していきます。
■保管方法によってはスタッドレスの寿命を縮めているかも…
横浜ゴム アイスガード6
自動車という重量物を支えることのできるタイヤですので、スタッドレスタイヤもかなり頑丈に作られており、ちょっとやそっと放置した程度では問題がなさそうに思えます。
しかし、スタッドレスタイヤもゴムでできているので、だんだんと劣化が進むのは避けられませんし、車輪として重要な円形が歪んでしまったりなどすると、次回の使用時には車に悪影響を与えてしまうおそれもあります。
気をつけておきたいポイントをしっかり押さえておくことで、安くない出費であるスタッドレスタイヤをできるだけ長持ちさせることにつながります。
【厳選3点】スタッドレスタイヤの保管方法、ここに気をつけよう
■直射日光や水分、高温を避ける!
《画像提供:Response 》メルセデスベンツ EQC アクセサリー装着車
タイヤをはじめとしたゴム製品は、直射日光などに含まれる紫外線が当たると劣化が加速します。また、電子機器などの近くで発生することのあるオゾンもタイヤの大敵ですし、水分や油分も避けなければなりません。熱源の近くもご法度と、意外と要求事項が多いのがタイヤの保管場所です。
とはいえ、暗い室内の涼しい空間をタイヤのために確保できない場合もあるはず。外に保存する場合は、できるだけ上記の避けるべきものから遠い場所に、しっかりとしたタイヤ専用のカバーをかけて保管するとよいでしょう。
ゴムの劣化を誘発する上記のものがタイヤの近くにあると、ゴムが劣化してしまい、表面がひび割れたり、しわがよったりして、正常な使用に適さなくなってしまいます。
■空気圧は半分程度まで下げておく
《画像提供:Response 》タイヤ交換 イメージ
DIYでタイヤ交換を行う方なら、タイヤ単体ではなくホイールとセットの状態で保管することが多いでしょう。そのような場合なら、交換してもらうタイヤショップなどで、保管するタイヤの空気圧を半分程度まで下げてもらうとよいでしょう。
重量物である車を支えるためには高い空気圧が必要となりますが、タイヤが外されている状態なら内側から強い圧力で支え続けることは不必要な負荷となります。とはいえ、空気を全く入れていないと保管時の変形を誘発しやすいので、半分程度がおすすめされます。
また、空気を抜いたタイヤを装着する前には、再び空気を充填してから車に装着するようにしましょう。ご自分でタイヤ交換をされる方の場合は、難しい場合もあるかと思いますが、保管状況を最適化すればスタッドレスタイヤの買い替えサイクルが大きく延ばせるかもしれません。少しの面倒ですが、取り外し後と取り付け前に、ガソリンスタンドなどで空気圧を適宜調整してもらうとベターですね。
■ホイール付きで保管なら「平積み」がおすすめ
《画像提供:Response 》タイヤ販売 イメージ
ホイールとタイヤのセットで保管をされる場合なら、空気圧の調整もおすすめですが、保管場所での置き方にも気を配りたいところ。ホームセンターなどでもよく見かけられるタイヤを縦方向に収納する「タイヤラック」ではなく、横方向に寝かせて保管する「平積み」がおすすめされます。
タイヤとホイールの重量を、タイヤラックに接する2点のみで長期間支えさせると、タイヤの接地面の変形の元になったり、その部分だけ劣化が強く進んでしまったりしまうので、それらを避けることができる平積みがおすすめです。
平積みといっても床や地面に直接触れさせるのではなく、タイヤを袋に入れる、段ボールなど緩衝材になるものを底面に敷く・タイヤ間に挟んでおくなどの配慮をしておくことで、より長持ちな保管が可能でしょう。
タイヤラックに収納する際も、ひと月に一回程度タイヤを回してあげることで、タイヤの接地面にまんべんなく負荷をかけてあげるようにするとよいでしょう。
いざスタッドレスを使用する前に、確認しておきたい3点!
■残り溝深さは大丈夫?冬用タイヤとして使用できないかも!
《画像提供:Response 》ミシュラン X-ICE SNOW EverWinterGripコンパウンドを溝底部まで採用
タイヤにちょっと詳しい方なら、残り溝限度は深さ1.6mmで、そこまで達するとトレッド面にスリップサインが出るから分かる、ということもご存知かもしれません。しかし、スタッドレスタイヤを冬用タイヤとして使用するなら、溝の判断基準が異なるということは、もしかするとあまり知られていないかも。
冬用タイヤは、新品時の溝深さの50%より溝が浅くなってしまうと冬用タイヤとしての使用が認められません。冬用タイヤ規制時などが発生した場合、スタッドレスだから安心と思っていても、実は溝深さが浅すぎてサマータイヤ扱いだった!なんてことも発生しかねません。
そう、冬用タイヤとしては認められない溝深さのスタッドレスタイヤでも、残り溝1.6mmまではサマータイヤとして問題なく使用ができるので、乾燥路面や凍結のないウェット路面なら問題なし。とはいえ、スタッドレスタイヤとしては新品への交換が必要です。
スリップサインがタイヤのサイドウォールに△マークで示されているのに対し、新品時50%の溝深さを示す「プラットフォーム」は上矢印マークで示されています。
■ゴムが硬くなっていないかも要チェック
《画像提供:Response 》トヨタ RAV4
なかなかプロでないと判断が難しい部分ではありますが、スタッドレスタイヤはそのしなやかなゴムによって路面への密着性を上げて、厳しい冬の路面でもしっかりグリップ力を発生させるもの。そのため、ゴムが劣化して硬くなってしまうと、本来の性能を発揮することができません。
タイヤショップなど、プロに依頼すると、硬度計と呼ばれる測定器でスタッドレスタイヤのゴムの硬さを測ってもらえます。
タイヤショップなどで交換を依頼する方ならチェックをお願いしやすいですし、DIYで交換する方でも、ちょっと硬くなってきているかも?と思ったら、取り付け前にタイヤショップなどに持ち込んで、確認してもらうと安心ですね。
■変形・キズ・ひび割れがあるとNG、空気圧も忘れずに
《画像提供:Response 》ひび割れのあるタイヤ
取り外して保管している間だけでなく、冬の間に走行中、異物などが挟み込まれていたり、刺さったりしている場合もあるかもしれません。また、保管中に劣化が大きく進み、変形やキズ、ひび割れが発生する可能性もあります。
タイヤ4本ともを、裏表まで含めてしっかりと目視で確認することが必要です。キズやひび割れなどは、タイヤ内部に達しない限りは使用できる場合もありますが、判断が難しい場合もあるので、不安なら取り付ける前にタイヤショップなどのプロに確認をしてもらうといいでしょう。
また、取り付け前後で空気圧の確認と調整も忘れずに行いましょう。
保管サービスを利用すれば、場所も取らないし楽チン!
カー用品店 イメージ
タイヤを置いておくような広いスペースの確保は難しいし、そもそも重たいタイヤを運ぶのも大変だし手が汚れるし… 面倒なことが重なるタイヤの保管ですので、タイヤショップなどでのタイヤ預かりサービスを利用するのもよいでしょう。
スタッドレスの履き替え時期になったら、預けているタイヤショップの車で向かうだけ。重たいタイヤを運ぶ必要もないですし、簡単便利、それでいてプロによる安心感のあるタイヤ取り付けをスムーズに行ってもらえる点もメリットでしょう。
基本的にタイヤ預け料が発生する点はデメリットではありますが、保管スペースの関係だけでなく、タイヤ交換にまつわる面倒を低減するという意味でも、タイヤ保管サービスを検討してみる価値はありそうです。
■ショップでのタイヤ保管、料金目安はどれくらい?
実際にタイヤ専門店やカー用品店などでタイヤ保管サービスを利用する場合、料金はどの程度になるのでしょうか。
カー用品点の例を見ると、軽自動車サイズなら基本料が2,000〜3,000円、1ヶ月ごとの保管料金が400〜500円程度の場合があるようなので、高くても大体約4,000円/月程度でしょう。タイヤサイズが大きくなると、1ヶ月あたり6,000円〜9,000円程度かかってしまう場合もある様子です。
普段愛車の整備をお願いするショップに保管を依頼しておけば、いざスタッドレスタイヤに履き替えの際は車で訪れるだけでよいので楽ではありますが、その利便性と価格とのバランスをどう捉えるかが判断のポイントとなりそうですね。
まとめ
《画像提供:Response 》トヨタ マークX
スタッドレスタイヤの保管方法についてご紹介してきました。ご自宅だけでなく、多くのタイヤショップなどでは預かり保管サービスも展開していますので、ぜひお近くのお店で確認してみるとよいでしょう。
また、ただ保管するだけでなく、できるなら可能な限り多くのシーズンにわたってスタッドレスタイヤを活用していきたいですよね。安い買い物ではないスタッドレスタイヤですので、保管のコツにも気をつけておきたいところです。
よくある質問
■スタッドレスって何年使えるの?
スタッドレスタイヤの寿命は使用状況などによっても大きく異なるため、一概に何年と定まっているものではありません。新品状態なら、適正な保存の元では3シーズン保管されても性能がほぼ維持されていたという調査結果もあるものの、毎シーズンの使用開始前に、タイヤショップなどで点検してもらうと安心でしょう。
■スタッドレスはいつごろ装着すればいいの?
目安として、その年の初雪が予想される時期より1ヶ月前程度を見ておくと安心です。冬の寒さが本格化してからでは、タイヤショップやカー用品店では混雑しがち。また、初雪以前にも路面凍結の可能性があるため、早めに交換を済ませておくと安心ですね。
■スタッドレスを一年中使用してはいけないの?
スタッドレスタイヤは冬専用タイヤのような印象もありますが、乾燥した路面や凍結していない濡れた路面で使用しても全く問題はありません。ただし、ゴムがやわらかいなどの特徴に起因した乗り心地や操縦性の違いがあるので、冬季以外ではサマータイヤを使用したほうが快適に運転できそうです。