カーライフの一大事「車検」は面倒と出費のダブルパンチ!
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自動車は、購入時の負担も大きいものの、維持にも意外とお金がかかる乗り物です。
燃料代、任意保険料、自動車税などの、毎日・毎月・毎年かかる諸費用もありますし、数年に1回は自動車継続検査、通称「車検」という、大きめの出費が必要なイベントが待ち構えています。
一般的な乗用車なら新車でも3年後、それ以降は2年ごとに車検を通すことが法律で定められているので、同じ車を乗り続けたいなら車検を通すことは義務になっています。車検期間の前に車を乗り換えることもできますが、なかなか現実的でないとお思いの方も多いはず。
多くの人は、2〜3年に一度、車検費用を負担して車検を通していることでしょう。
さらに、費用がかさむというだけでなく、車検は意外と面倒なもの。引き取りと納車をお願いできるお店なら持ち込む必要はないものの、一般的には車検の点検整備には1日〜数日程度かかる場合が多く、その間は慣れない代車での生活になります。
さらに、多くの顧客を抱える人気カーディーラーなどでは、車検の予約を取るだけでも一苦労というところも。希望の日時を選べない場合も予想され、こちらも面倒の一因といえるでしょう。
■そもそもなぜ車検が必要なの?
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こんなに面倒でお金もかかる車検がなぜ必要かというと、道路運送車両法の第六十二条にて義務付けられているから。
車が必要な基準を満たしている証となる「車検証」には有効期間が定められていて、その有効期間を超えたあとは新しい車検証を発行してもらう必要があり、その際に行われる検査が車検というわけです。
そのため、車種に応じて車検期間はまちまち。自家用であっても、乗用車の中で乗車定員が11人以上となるバスなどは毎年車検が必要ですし、貨物自動車は総重量に応じて毎年のものもあるなど、不調が許されない用途の車では特に高頻度な車検で基準遵守を目指していることがわかります。
もちろん、車検が必要な理由は法律で定められているからというだけでなく、気づきにくい不調の前触れを点検整備することで気付き、修正できる機会という見方もあるでしょう。
自動車は膨大な部品で構成されており、その中には消耗部品も多く、定期的な交換で対応するものや、劣化してきたら交換するものもあります。数年というスパンの間で劣化した部品によって自動車のはたらきに不具合をもたらさないよう、車検の際は厳しい基準で検査が行われます。
毎日使っている車でも、あまりメンテナンスはできてない… そんな使い方であればなおさらに、定期的に車の「健康診断」にもなる車検の重要性が増していそうですね。
■車検切れ車で公道を運転するとどうなる?違反点数、罰金、懲役
無車検車への注意喚起はがき
車検が切れたからといって、自動車が途端に動かなくなるということはなく、いつも通りに運転できてしまうでしょう。私有地を走行する際はそれでも問題がないものの、公道を車検切れの状態で走ってしまうと、罰則の対象となります。
具体的には、「無車検車運行」として道路運送車両法違反となるので、違反点数が6点、30日間の運転免許停止、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金などが科せられます。
さらに、車検と同時に自賠責保険の手続きをしている場合も多いので、車検切れ車では自賠責保険も失効している場合が多いようです。その場合も「自動車損害賠償保障法違反」として罰則が設定されており、こちらも違反点数6点、1年以下の懲役または50万円以下の罰金となっています。
車検切れで自賠責保険も切れた車で公道を走行すると、違反点数は両方合わせた12点ではなく6点のみにとどまるものの、懲役期間や罰金額は、刑法の併合罪による計算に基づいて1年6か月以下の懲役または80万円以下の罰金と、かなり重めになります。
車検切れの車を移動する際には、積載車などで移送するなど特別な措置が必要となりますので、面倒も費用もかさみます。うっかりしていて車検が切れていた!なんてことのないよう、早めの車検を心がけたいところですね。
車検をお店に頼むと、費用相場はどれくらい?依頼先別まとめ
■カーディーラー:安心感の分、車検費用は高め
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車検を依頼する先としてポピュラーと思われるのが、カーディーラーでしょう。メーカーとの繋がりが深いので、その車に関するノウハウがしっかり蓄積されているだけでなく、点検整備に必要となる最新設備なども充実しており、車検を受けた後の安心感を高評価されることが多いです。
しかし、純正部品による整備や、予防的目線での部品交換など、コストがかさみがちなのも特徴的で、費用相場としては最も高い部類となります。
車検費用は、税金や自賠責保険料などの「法定費用」と呼ばれる部分はどこのお店でも共通で、それ以外の点検整備費や部品代などの部分で差が発生します。カーディーラーでは設定されている車検基本料が比較的高くなっている場合が多く、一例として軽自動車で3〜4万円以上、普通車で5〜6万円以上程度が設定されている場合も。
交換が必要な部品の費用などを別にしても、支払い総額で10万円を超えてしまうケースも見られます。
■車検専門店:激安価格が魅力的、必要時間も短め
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車検関連の業務に対象を絞り込むことで、作業スピードの速さと格安な基本料金を実現しているのが車検専門店です。
車検基本料は最も安い部類となっており、一例として軽自動車で1〜2万円以上、普通車で2〜3万円以上程度が設定されている場合も。支払い総額でも5〜6万円からと、カーディーラーと比べるとその差は歴然ですね。
しかし、よりきめ細やかな点検整備を期待できるカーディーラーに対し、車検専門店は車検に合格できる状態までの迅速な整備に重点が置かれている場合がほとんどなので、車検後の長期的な車の調子に不安を感じる場合もあるようです。
車検専門店であっても、しっかりとした点検整備を依頼できるプランを用意しているところもありますが、その分価格も上昇するので、どの程度の仕上がりを求めるのか、吟味が必要でしょう。
■カー用品店・ガソリンスタンド:店舗ごとに差、割安なことも多い
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近年利用する方の広がりを見せているのが、カー用品店やガソリンスタンドでの車検。特にガソリンスタンドでは、便利の良い立地に店舗がある場合も多いので、給油で行きつけのスタンドで車検を依頼できるという手軽さも光りますね。
こちらも車検専門店と同じく車検基本料金は安めに設定されていることがほとんどで、一例として軽自動車で1〜2万円以上、普通車で2〜3万円以上程度が設定されていることもあります。
カー用品店では消耗品が豊富な店頭品揃えから選択できたり、ガソリンスタンドでは給油クーポンが発行してもらえたりと、独自のメリットが多いことも特徴の一つ。
ただし、カーディーラーと比べると技術水準に不安を持つ方もいるほか、サービスの水準も店舗によってまちまちな点などは注意が必要ですね。ガソリンスタンドでは提携の整備工場に車検を委託する場合もあるので、その場合は必要な期間も長くなりがちです。
【さらに節約したい?】ユーザー車検という手段もあります
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ここまでご紹介してきたように、車検はプロに頼むのが一般的ですよね。しかし、車の持ち主自らが車を検査場に持ち込んで検査を受けることで、より車検にかかる費用を節約できる「ユーザー車検」という方法もあることはご存知でしたか?
プロに頼めば検査と合わせてやってもらえる車両の点検整備を事前にやっておく面倒はあるものの、近年ではユーザー車検にチャレンジする方もどんどん増えている様子。メリットや注意点をご紹介していきます。
車の状態次第では、必要なのは法定費用プラスαのみ!
当然、車検に合格する状態になっていないと検査には合格しませんが、近年の車では信頼性の向上も著しく、点検の結果DIYでも対処可能な軽微な整備のみで対応ができる場合もあることでしょう。その場合、車検に必要なのは自動車重量税や自賠責保険料に検査手数料のみと、格安に抑えることができます。
点検整備や検査や書類申請などの手続きを自分でする分、カーディーラーなどに車検基本料金として支払っている手数料や整備費用などが浮く形になるので、普通車であっても総額5万円程度からと、かなりリーズナブルな価格で車検を通すことができます。
点検整備はDIYが基本、検査場周辺の予備検査場なども利用可能
先ほどご紹介したように、点検整備まで自分ですることが車検代を安く上げるポイントではありますが、詳しくない方では対応が難しいもの。その点、検査場の周辺などには予備検査場などと呼ばれる簡易的な点検サービスを専門とした業者があることも多いので、車検でチェックされる項目がそれぞれ問題ないかどうかを事前にチェックしてもらうことも可能です。
簡単な調整で直るのに検査ラインで不合格になってしまうことの多い、ヘッドライトの光軸などを数千円程度でチェックしてもらい、異常があるなら調整してもらうことで、検査の合格率も上がります。
検査だけでなく書類手続きも必要
無論、車検は検査を受けるだけではなく、車検証を新しく発行してもらったり、自動車重量税を納付したりと、さまざまな書類のやり取りも必要となります。これらもユーザー自らが行うことで、車検費用の節約につながっているというわけですね。
普段訪れることのない場所での不慣れな書類作成に不安があるなら、こちらも検査場の周辺などに行政書士事務所がある場合も多く、必要な書類を提示することで代書を利用することもできます。こちらは1,000円程度からと、より割安な価格が相場のようです。
申請が必要な窓口は順序が複雑でわかりにくいこともありますが、近年では総合受付での案内なども充実しています。しっかり指示を聞いていけば、問題なく書類申請ができるでしょう。
【まとめると】手間はかかるけど節約度合いは大きいかも!
無論、車両の状態によっては大掛かりな整備が必要になる場合もあるので、一概に安上がりになるとは言い切れませんが、ユーザー車検はユーザー自らが手間をかける分、車検費用を低く抑えやすい点が特徴的でしょう。
数年に1回しかやってこない車検ですので、多少手間をかけてでも安く上げたいとお考えの方もいらっしゃるはず。後述する注意点などにも注意は必要ですが、節約のため、または自動車への理解を深めるためにも、チャレンジしてみてもおもしろいかもしれませんね。
■ユーザー車検で注意しておきたいポイント
検査には予約が必要!受けられるのは平日のみ
普通車なら運輸支局や検査登録事務所、軽自動車なら軽自動車検査協会に持ち込む必要のあるユーザー車検ですが、どちらも平日にしか開いていないので、少なくとも数時間は平日に時間の取れる方でないとそもそも検査を受けられません。
これらの検査場は、土日や祝日、年末年始以外で利用が可能なものの、昼休憩の間は業務受付しない点や、午後も受付は15時45分までと意外と短めな点にも注意が必要です。
またその検査も、直接行くだけでは受けることができず、事前に予約が必要な点もポイント。国土交通省や軽自動車検査協会のWebサイトなどで予約できますが、アカウント登録が必要になるなど事前準備も必要ですので、車検の有効期間ギリギリではなく、早めの準備が必要でしょう。
車両の状態によっては追加費用がかさむ場合も
当然、車検に通る状態になっていない車では検査に合格しませんので、事前に点検をし、必要な箇所には部品交換や修理などの整備を行う必要があります。
DIYで整備もバリバリこなす方なら問題ないものの、不慣れな方が点検整備を業者に依頼したりすると、リーズナブルさというユーザー車検のメリットが薄れてしまうことにもなります。
車両の状態によっては、整備費用が大きくかさんでしまうことも予想されます。そのような車両は、カーディーラーなどで車検を依頼していても同じように車検費用がかさむと思われますが、ユーザー自身の手間と、信頼のできる整備の安心感などを天秤にかけると、結局最初からカーディーラーに車検を依頼しておけばよかったということにもなりかねません。
【時間がないなら】ユーザー車検を代行してくれるサービスも
車検費用が節約できるのは魅力的だけど、平日は時間がどうしても取れない…という方や、複雑な書類作成や窓口の訪問が面倒という方なら、軽度な整備点検と検査場への持ち込みなども含めて代行してもらえるサービスにも注目しておきたいところです。
ユーザー自らで整備点検して検査を受けることが特徴のユーザー車検の代行、というとややこしいものの、カーディーラーなどと比べてより絞り込んだ点検などに抑えることで、格安な費用で代行してもらえる場合が多いようです。
また、自動車の構造や整備に不慣れな方だと、明確に車検に合格できない状態であっても判断が難しいもの。ここはこんな風によくないので改善が必要、といった診断を、手慣れた代行業者に行ってもらえると、安心感もありそうですね。
ただし、手数料がかからない分節約できる点がユーザー車検のメリットですので、割安とはいえ代行業者へ代金を支払うことを考えれば、もとより格安価格の車検専門チェーン店などに依頼したほうが手間なく、代金も安上がりになってしまう可能性も考えられます。
車両の状態などによっても異なる部分ではありますが、しっかり下調べと比較をしておきたいところですね。
まとめ
東京運輸支局 車両検査場
ちょっぴりハードルが高めなものの、車検費用をグッと節約できる可能性のあるユーザー車検についてご紹介してきました。
ユーザー車検は万人におすすめできるものではありませんが、時間に余裕のある方や、自動車の整備に興味がある方などなら、チャレンジしてみるのも面白いかもしれませんね。愛車への理解とともに、愛着もより深まることでしょう。
よくある質問
■ユーザー車検ってどういうもの?
ユーザー車検とは、車の持ち主が自ら車検の検査を受けることです。ユーザー車検であっても税金などの法定費用は変わらず支払う必要がありますが、事前に必要な整備点検をした車であれば、カーディーラーなどに車検を依頼した際に発生する車検基本料金の分が節約できる可能性があります。
■車検は何年に一度受けるものなの?
一般的な軽乗用車や普通乗用車の場合は、新車登録から3年後に初回の継続車検を受け、それ以降は2年ごとに継続車検を受ける必要があります。
■ユーザー車検って素人でもチャレンジできるの?
ユーザー車検で検査を受けることや書類申請をしたりするのは、たとえば整備士資格などをお持ちでない一般のドライバーでも可能です。ただし、検査は平日のみであるほか、自動車に関する知識が一定程度ないと一部対応が難しいことも予想されるなど、ユーザー車検に対して手間がしっかりかけられる方でないとハードルは高めといえるでしょう。