9年ぶりに200件を下回った鉄道係員への暴力…(大手民鉄16社)
2017年5月25日、日本民営鉄道協会は、大手民鉄16社(東武、西武、京成、京王、小田急、東急、京急、東京メトロ、相鉄、名鉄、近鉄、南海、京阪、阪急、阪神、西鉄)での平成28年(2016年)4月~平成29年(2017年)3月に発生した駅員や乗務員等の鉄道係員に対する暴力行為の件数について集計を行い、発表しました。
平成27年度と比較し、36件減少の189件となり平成19年度(2007年)以来9年ぶりに200件を下回る結果となりました。日本民営鉄道協会の発表では、鉄道事業者による啓発ポスター掲示、警察官、警備員の巡回、配置などが要因で鉄道係員に対する暴力行為が減少したという発表をしています。
画像は2013年に製作された「暴力禁止」のポスター
しかしながら、減少したとはいえ年間で189件。単純に考えても2日に1回は駅員や乗務員に対する暴力行為が行われている、と考えると現代社会の闇を感じてしまいます。
■全国での発生件数はなんと、800件超え。
しかもこの件数は東京近郊、大阪・京都近郊の大手民鉄でのみ起こった件数です。国土交通省鉄道局が行っている鉄道職員に対する暴力行為についての2015年度(平成27年度)の調査(2016年12月発表)では、全国で873件もの暴力行為が発生しています。
873件を1年間と捉えると、1日あたり約2.4人(若しくは2.4回)の駅員や乗務員などの鉄道員が何かしらの暴力行為を振るわれているという結果に。電車遅延や、急停車などに対しての苦情やクレームの件数ということであれば納得のいく件数ですが(苦情、クレームはもっと多いかと思いますが)、1日に2.4回という暴力行為が行われているというデータは正直、衝撃的ですね。
暴力行為の加害者・・・一番多い年代は?
では、この駅員や乗務員など鉄道員に対しての暴力行為。年代別に一番多い年代は何歳代なのでしょう。こちらも日本民営鉄道協会の公表している資料にデータがありました。
平成28年度の加害者年齢分布
上記は平成28年度の加害者年齢の割合になります。大手民鉄16社で起きた189件の暴力行為のうち、30代と60代が41件(22%)と同率で1位。次いで40代、20代、50代と続いています。
28年度のデータのみではなんとも言えないと感じたので、年間200件を下回っていた平成19年度まで遡り、9年分のデータをまとめて加害者の年代を算出してみました。
9年間の合計で見ると、加害者の年代で一番多いのは2187件中442件で20%の30代。続いて411件19%の40代、次いで409件、19%の60代という結果となっています。
■意外と多い、60代以上の暴力行為・・・
また、このデータに関しても、全国に目を向けると2014年度までは、60代以上が2014年度まで5年連続でトップだった様子。「キレる若者」という言葉を、聴かなくなって久しい気もしますが、その代わり台頭してきたようにも感じる「キレる老人」という言葉。
脳科学・医学的な観点でも要因が挙げられることも多い「キレる老人」というワード。
認知症は診断されてからでは健常な脳には戻せません。そして治療薬もありません。
しかし、軽度認知症(MCI)の状態で早期に介入できれば健常な脳に半数以上の方が戻ると言われています。
長谷川先生はアルツハイマー病の真因は「ホモシステイン酸」というアミノ酸であることを研究し論文として発表されました。この「ホモシステイン酸」の抑制、つまりは体内から減らすことがアルツハイマー病の予防や根本治療につながると考えられます。
▼ 著書の内容紹介
◎「キレる老人」は認知症の可能性大!
◎早期発見のカギは「画像診断」
◎早期診断・早期治療に消極的な病院に要注意!
◎認知症薬のコワイ副作用
◎「薬漬け」治療から脱するための選択肢とは
◎ストレスに敏感な女性は、アルツハイマー病になりやすい!
◎アルツハイマー病になりたくなければ緑茶を飲みましょう
◎コーヒー、カカオは脳にとってのスーパーフード
脳科学や医学的な観点、要素も確かにあるのだとは思いますが、生活保護受給者の半数近くが、高齢者世帯であるといった点や、減り続ける年金の受給額など、国全体の問題と密接なつながりがあるように感じてなりません。
暴力行為に至った理由。1位は「理由無く突然に」…
「キレる老人」が多いという点ともう1点。日本民営鉄道協会発表の資料を見ていると更に驚くべき点が「暴力行為に至った理由・契機」です。
平成28年度 主な契機
上記は、平成28年度のデータですが暴力行為に至った契機を見てみると、1位は「理由無く突然に」で25%という結果。2位は酩酊者に近づいて、3位迷惑行為を注意して、となっています。なんと28年度は発生した暴力行為の4件に1件が「理由無く突然に」という理由になっています。
こちらのデータも過去9年間まで遡り確認しましたが理由の1位はほとんどの年度が「理由無く突然に」が1番多い契機となっていました。
平成28年度の加害者の飲酒状況
また、2位の理由が「酩酊者に近づいて」となっていますが加害者の飲酒状況に関しては、飲酒ありが61%、飲酒なしが23%という結果となっています。
飲酒状況の過去データに関しても同様に確認したところやはり60~70%程は飲酒ありという結果。当然のようには感じるのですが、裏を返すと全体でも2~3割の加害者が「飲酒なし」で暴力行為に至ってるという点にも驚きです。
駅員に対する暴力 具体的な事例は・・・
駅員、鉄道員に対する暴力行為。200件を下回ったとはいえまだまだ、多くの事件が発生していることに間違いはありません。発表された資料には具体的な事例がいくつか紹介されていたので、ピックアップしてみました。日本民営鉄道協会サイト内の民営鉄道協会からのお知らせより抜粋して掲載しています。
曜日:月曜日 時間帯:深夜(22 時~ 終電 ) 場所:改札
契機 理由なく突然に 年齢 不明 飲酒:あり
改札口を突破したお客さま に対し、駅係員2名にて事情を伺っていところ、お客様がポケットから小銭を落とされたため、駅係員がそれを拾おうとした際に右手を足で蹴られ、負傷した。
※画像はイメージです
曜日:月曜日 時間帯:日中(9時~17時) 場所:列車内
契機 理由なく突然に 年齢 70歳代 飲酒:なし
車掌が、社内のお客様全員に降車をご案内しているにもかかわらず降車しないお客様に対して降車をお願い出たところ、加害者は突然怒りだし、車掌の右頬を拳で殴った。
曜日:木曜日 時間帯:日中(9時~17時) 場所:改札
契機 理由なく突然に 年齢 20歳代 飲酒:なし
改札口で駅員がお客様から乗車券紛失の申し出を受けた。駅員はお客様に乗車駅や購入金額などを伺い、再度身の回りを御確認いただくようお願いしたところ、突然右手で胸を殴られ、更に左頬を殴られた。これにより駅員は左頬骨を骨折した(全治28日)
と、気になったものを3つ選んで掲載しました。こういった事件が多発しているので駅員は雨の日、傘の持ち歩きが増える天候の際は怖い、という声も出ているようです。
■暴力行為は犯罪です!
啓発ポスターなどでも周知していますが、暴力行為は「犯罪」です。傷害罪、暴行罪などの罪で処罰される、されている事例が多々あります。暴力行為を行ったことによって、自らの人生をも狂わせ兼ねませんので絶対にやめましょう。
交通ルールも然りですが、公共の場では「思いやり」を持って、且つルールを守り利用するようにしましょう。
■交通ルール・マナーに関する記事
9割以上が守っていない交通ルール!?信号のない横断歩道について
https://matome.response.jp/articles/6582017年6月9日から、JAFが「信号機のない横断歩道における実態アンケート調査」を実施しています。2016年6月に実施された交通マナーに関するアンケートでも取り上げられていた問題ですが、「横断歩道」に関する法律・ルールを再度知っていただくと共に、関連するデータ等を記事にしています。アンケート結果も随時反映します。
2016年の6月15日から30日の16日間、JAFのホームページ内で実施されたアンケート結果です。お住まいの都道府県の運転マナーランキングは・・・!?
【動画も話題】岡山は日本一ウインカーを出さない県!?運転マナー…
https://matome.response.jp/articles/475こちらの記事では、2016年の6月15日から30日の16日間、JAFのホームページ内で実施された交通マナーに関するアンケート結果を、「ウインカーを出さない車が多い」といった質問別に分けランキング化しました。話題になっている岡山トヨペット作成の動画も合わせて掲載します。