トヨタ ヴィッツの自虐的CM「The making of new Vitz story」
これまで見た自動車メーカーのCMの中で最も面白いといわれている傑作です。自動車メーカーのCM映像は画一的でつまらないという意見を、CMのクリエーターがクライアント(トヨタの人?)に、自慢のアイデアをことごとくダメだしされて、結局つまらないCMになってしまうという自虐ネタ。
CMクリエーター氏が考えた当初の構想は、青いヴィッツに乗った犯人が派手なカーチェイスを繰り広げるというもの。しかし、クライアントがヴィッツを犯罪車が運転していることで、視聴者からのクレームを懸念して却下となります。これは確かに一理あるためクリエーターも納得。
恋人を助けるために、正義感のある若い女性がヴィッツを操り、カーチェイスさながらに前を走行する車を華麗なテクニックでかわすクリエーター氏の自慢のシーンでは、ヴィッツが搭載する安全機能との兼ね合いで却下。ハイブリッドらしく、静かに発進し、「トヨタ・セーフティセンス」のアラートが鳴らないように安全運転で走ることに。
最終的には登場人物がジャマともなり、「CMなんだ。映画つくってるんじゃないんだぞ!」の言葉にクリエーター氏が思わず「ウルセーな・・」と小声でつぶやくことも。
結局、当初の案とはまるで異なる映像になりますが、最後のシーンでは一瞬、ヴィッツがトラックになるという、クリエーター氏の反骨精神も見られます。
なぜか広島弁バージョンもあります。
This is, Vitz ナオミ篇
そしてYouTubeの再生回数230万回を記念してタレントのナオミさんの登場する「This is, Vitz ナオミ篇」までつくっちゃいました。
日産エクストレイルVS岡持バイク?
日産も影?でおもしろいことやってました。エクストレイルと岡持バイクのどちらが水をこぼさずに悪路を走るかという対決です。
エクストレイルの先進テクノロジーを駆使した安定性と、空気ダンパーや金属バネで振動を吸収する岡持(正式名称出前運搬機)を搭載したバイクの、どちらの走行安定性が優れているのかの勝負です。
結果は映像をご覧になっていただくとして、なぜ相手がライバルのSUVではなく岡持バイクなのかと思われましたか?もし、対決相手がC-HRやヴェゼルであったら普通のクルマサイトの企画ですし、ライバルをコケにした映像ですとぎすぎすします。
岡持バイクならだれも文句は言わないしおもしろい。それだけの理由なんでしょう。でもこのバイクホンダかなー。
フォード ライフルもマシンガンも心配なし、心配は別のところに・・・
勇ましい音楽も、場を盛り上げるナレーションも一切ないけれど、これほど見ごたえのあるプロモーション映像も少ない。そして、懇切丁寧なテロップすらないのですが、そのメッセージは誰にでも伝わるのです。つまり、このパトカーになっている警察官は、けっして銃撃により死ぬことはない、ということです。
フォードはアメリカの警察車両に採用されている「インターセプター」に、高い装甲能力を持たせた「Ⅳ型バリスティックパネル」と呼ぶこの特殊ドアパネルを装着することを発表しました。
実際にライフルやマシンガンをクルマに向けて発砲するシーンでは、拳銃はもとより、ライフル銃やマシンガンなどの襲撃からも乗員を護る装甲能力を備えていることがわかり、このような特殊パネルが作り出せるフォードの高い技術力は賞賛に値します。
しかし、このような装甲能力が必要なアメリカの銃社会は、ドラマや映画以上に危険が多いということと、このようなドアパネルも撃ちぬく銃や銃弾が開発される「盾と鉾」状態にならないことを祈るばかりです。
ボルボマニアとサーブマニア必見! 男の意地をかけた愛車対決?スウェーデン映画「幸せなひとりぼっち」
最後に、メーカーのプロモーション映像よりずっと心に残る映画の紹介を。2016年12月に公開されたスウェーデン映画「幸せなひとりぼっち」は、妻に先立たれ会社もクビになり、もはや人生を諦めるハズだった主人公が、近隣住民との交流を通して心を溶かしはじめ、「人生とは何か」、「愛とは何か」を問うヒューマンラブドラマです。
主人公のオーヴェは、サーブの信奉者、そして同じスウェーデンのボルボとそのオーナーを完全に敵視しています。さらに「スウェーデン車以外のクルマに乗るなんて。友達じゃない!」と言い切ってしまうほど。
決してクルマがメインのドラマではないのですが、自動車ファンには大なり小なり持っている感情を見事に表現してくれ、ボルボマニアとサーブマニアはストーリーの重要な要素となっています。
ボルボ愛好家の友人との、男同士の意地をかけた愛車自慢対決では、サーブ92、サーブ9000、サーブ9-5といった懐かしのサーブ車をはじめ、ボルボやBMWも登場して車ファンには楽しめる作品です。
まとめ
15秒、30秒という時間の制限があり、どうしてもクルマの外観などを写しておしまいにならざるを得ないTVのCMと異なり、WEBサイトやYouTubeで流す目的のプロモーション映像は、メーカーやその車を良く知るうえで大変よくできた内容になっています。そして、近年では映画並みの予算と規模で製作されることも多く、クルマファンでなくても楽しめる内容のものも多くあります。
しかし、メーカーがあの手この手で訴えるよりも「幸せなひとりぼっち」を見た後で、サーブの中古車を探したくなるように、ストリー性が重要なのも事実なようです。
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