1.始めに
世界屈指の自動車先進国ドイツ。
そのドイツを代表する自動車メーカーのひとつである「BMW」。そんなBMWユーザーのほとんどが感じる不満点、それは…。「(カーオーディオの)音質」です。
まず始めに、BMWの音質が何故悪いのか?純正スピーカーはどのような仕様になっているのかを説明していきます。
※おすすめスピーカーの情報などを確認したい方は目次の3.BMWのオーディオを良くする方法は?からご覧下さい。
BMWの不満点
「高級車として有名な、あのBMWのオーディオが?」という声も聞こえてきそうですが、BMWユーザーの間では共通の認識となっています。
「自分だけじゃなかったんだ…」と思った方、「えっ、これからBMWを購入しようと思っていたのに…」と思った方には、是非この記事を最後まで読んでもらいたいと思います。
■BMWの純正カーオーディオ、不満の原因は?
では、なぜ「音質」に不満が出るのか、それには「CO2排出削減」という、現代ならではの原因があります。
CO2の排出量を削減する最も単純で効果的な方法は、「燃費を良くする」ことです。そして、燃費を良くするための一番の近道は、「軽量化=軽い車を作る」ということなのです。
軽い車を作るためには一般的に、「軽い素材を使う」、「使う材料の量を減らす」、「機能を減らす」というような方法を用います。
そして、その時々の流行や開発コンセプト、安全基準や衝突基準と照らし合わせながらギリギリのラインで設定していきます。
この軽量化の影響を一番強く受けているパーツは、内装等に使用するプラスチックと、ドアやボディなど、自動車のあらゆる部分に使用されている鋼板です。
実際にBMWの純正スピーカーを外すと分かることですが、フレームが樹脂でできています。
それなりの市販スピーカーであればフレームには金属が使われますので、樹脂が使われているのはやはり、軽量化が推し進められた結果と言えるでしょう。
なお磁気回路部は、純正スピーカーとしてはしっかりしている部類には入りそうです。
しかし…。全体的な印象としては、コストがかけられているようには見えません。
また、ドイツには、フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェ、メルセデス、オペルなど、たくさんの名だたる世界的な自動車メーカーが存在しており、自動車メーカー間の競争が常に起こっています。
カーオーディオに予算と時間を割く余裕は、そこまで多くはないでしょう。
結果として、「BMWの車格とオーディオが釣り合っているとは言い難い」という状況になっています。
BMWのライバルたちと比較すると、BMWはオーディオを犠牲にして予算と時間を他の部分に当てているのが良く分かります。
運動性能 | 快適性 | 安全性 | 価格 | |
BMW | ◎ | ○ | ◎ | ○ |
フォルクスワーゲン | ○ | ○ | ○ | ○ |
アウディ | ◎ | ○ | ○ | ○ |
ポルシェ | ◎ | △ | ○ | △ |
メルセデスベンツ | ○ | ◎ | ◎ | △ |
オペル | △ | ○ | ○ | ◎ |
2.BMWの純正スピーカー(オーディオシステム)の特徴
というわけで、BMWの音があまり良くない理由の1つ目は、「スピーカーにコストがかけられていないから」だったのですが、理由はそればかりではありません。
2つ目の理由はズバリ、「ツイーターが設定されていないから」です。
BMWの純正スピーカーシステムは、以下のようになっています。
フロントドアに10cmフルレンジスピーカーが左右に1つずつ、フロントシートの下にサブウーファー、リアにもフルレンジスピーカー。
年式やグレードにより、ツイーターやセンタースピーカーが搭載されたりと、多少のバラつきはありますが、だいたいこの仕様が多いです。
ちなみに、国産車では、ドアのスピーカーが17cmクラスで、かつダッシュボードの中等にツイーターが設定されていることが多くなっています。
このような17cm口径のスピーカーに比べれば、10cm口径のスピーカーは高音再生が得意なため、ツイーターはなくてもいい、と考えられたのかもしれません。
しかしながら、高音再生のスペシャリストであるツイーターを用いたほうが、音質的には圧倒的に有利です。ましてや、純正スピーカーにはそもそもコストがかけられていません。
コストがかかっているフルレンジスピーカーだったらまだしも、貧弱なフルレンジスピーカーでは、ツイーターがないことのデメリットばかりが目立ってしまうのです。
BMWの純正サブウーファー
ところで、BMWには、助手席の足元にサブウーファーが付いています。ドアのフルレンジスピーカーは10cmクラスであり、通常の17cmクラスのスピーカーに比べて低音再生を苦手としています。
低音を再生するためには、口径が大きいほうが有利だからです。その不利に対処すべく、サブウーファーが設定されているのでしょう。
このこと自体は歓迎すべきことなのですが…。しかしながら、ここでも1点、残念なことが起きています。
どうやら、純正サブウーファーとドアのフルレンジスピーカー間の“役割分担”が上手くいっていないように思えるのです。
本来ならば、サブウーファーに対しては高域をカットした信号を送り込み、ドアのスピーカーには低域をカットした信号を送り込みたいところなのですが、そういったコントロールが万全でない節がうかがえます。
結果として、低音がだぶついている傾向が出ています。
3.BMWのオーディオを良くする方法は?
本題に入っていきますが、BMWに限らず、車のオーディオを良くしようと思った時、普通は「新車購入時にサウンド系のオプションを付ける」か、「スピーカーなどのカーオーディオシステムを交換する」のどちらかを選択することになるでしょう。
■新車購入時にサウンド系のオプションを付ける
メーカー各社、ほぼ全ての車種でスピーカーやオーディオシステムのオプションが存在します。
それ相応の費用は発生(コストパフォーマンスについては疑問が残りますが)しますが、確実に音は良くなります。
※ハーマン・カードン(harman/kardon)とは、カーオーディオでは聞き慣れないかも知れませんが、ホームオーディオ界では知らない人はいないほどの知名度を誇る、世界有数のオーディオ機器メーカーです。
BMWの場合、ハーマン・カードン(harman/kardon)製のスピーカーがオプションとして設定されています。約15~18万円ほどの予算が必要ですが、純正スピーカーシステムと比較すると、完全に別物で高音質を得ることが可能です。
■スピーカーなどのカーオーディオシステムを交換する
一方、中古で購入したり、新車であっても購入後にスピーカー交換をしたくなってしまった場合は、後からスピーカー交換をしたり、オーディオシステムを入れ替える、という選択肢を取ることとなります。
また、「どうしても必要以上に高価格になりがちなメーカーオプションが嫌だ」、「お気に入りのオーディオメーカーがある」ということで、ユーザー側でスピーカー交換をする場合も多いでしょう。
スピーカー交換のメリットやその他情報(初心者向け)については下記の記事にて詳しくまとめていますのでご覧下さい。
車の運転、ドライブ中に"音楽"を聴く。という人はとても多いのではないでしょうか。こちらの記事では車内での音楽ライフをより豊かにするため、スピーカー交換のススメについてをまとめています。
ここからはいよいよ、どんなスピーカーを選ぶべきなのか、そして、どこで付けるべきなのかを紹介していきます。
4. BMWのスピーカー交換。おすすめのスピーカーは?
早速、BMWに向いているスピーカーを紹介していきます(取り付ける際には、何らかの取り付け用パーツが必要になったり、車両側の加工が必要になるケースも有り得ます)。
■【価格帯別】BMWにおすすめのスピーカー!特徴とおすすめのブランド
■~2万円
一般的に、エントリーグレードといえば、この価格帯の製品が該当します。
音質は”ソコソコ”といったレベルですが、予算が心許ない場合や、とりあえず試してみたいといった場合にはこの価格帯のスピーカーを選択すると良いでしょう。
とはいえ、純正スピーカーに“万単位”のコストがかけられているはずもないため、純正スピーカーより音が良くなることは確かです。
なお、このクラスのスピーカーの多くは「トレードインタイプ」のスピーカーとなっています。
ドライブ中など、車の運転中に欠かせない要素のひとつである「音楽」。こちらの記事ではカーオーディオを選ぶ際のスピーカーに焦点をあて、数種類存在するスピーカー毎の違いなどを解説しています。
製品によってはバッフルやアタッチメントなどで微調整をして取り付けることになりますが、スピーカーユニットが大き過ぎるケースはまれですので、純正スピーカーが付いていたように、そのまま同じ位置に取り付けることが可能なはずです。
メーカー名 | 型番 | 税抜価格 | オススメする理由・特徴 |
---|---|---|---|
carrozzeri(Pioneer) | TS-F1040 | 7,000円 | 高音再生用のツイーターが、ミッドウーファーの同軸上に取り付けられている“コアキシャル”タイプ。音のまとまりがよく、高域のキレ味も良好。何より価格が手ごろであることがうれしい。 https://jpn.pioneer/ja/carrozzeria/speaker/custom_fit_sp/ts-f1740_ts-f1640_ts-f1040/?ref=header |
ALPINE | STE-G100S | 13,000円 | 分離型のツイーターが付属し、クロスオーバーネットワークに、中/高級機にも多く採用されている特注品の音響用コンデンサー「SILMICシリーズ」を搭載。滑らかなボーカル音域や締りのある低音域など、内蔵アンプの性能をフルに引き出すことができるスピーカー。 https://www.alpine.co.jp/products/speaker/STE-G100S |
■2万円~6万円
エントリーモデルから少しステップアップしたモデルがこの価格帯に属します。トレードインタイプから、取り付けに専門加工が必要なモデルまで、さまざまなスピーカーが混在している価格帯です。
なお、2万円以下のスピーカーと比べると、価格が倍くらいになるわけですので、その分、クオリティも上昇します。高音質を求めるならば、このあたりの価格帯の製品にまで触手を伸ばしたいところです。
ただし…。
BMWに装着可能な10cmクラスの製品となると、選択肢はそれほど多くはありません…。
以下、2万円から6万円台の優良国産スピーカーを紹介しますが、これらが属しているシリーズには、残念ながら10cmモデルはありません。これらを装着しようとすると、大がかりな加工が必要になることを覚悟してください。
メーカー名 | 型番 | 税抜価格 | オススメする理由・特徴 |
---|---|---|---|
KENWOOD | KFC-XS174S | 32,000円 | 当機は、“ケンウッド”の旗艦ライン『XSシリーズ』の17cm3ウェイセパレート機。一見すると2ウェイだが、実はツイーターの同軸上にスーパーツイーターが設定されていて結果、3ウェイ構成となっている。なお当機はハイレゾ音源に対応していることも特長。同シリーズにはもう1機種、16cmモデルもある。 https://www.kenwood.com/jp/car/speakers_amplifiers/custom-fit-speakers/products/kfc-xs174s/ |
carrozzeri(Pioneer) | TS-V173S | 60,000円 | カロッツェリアの“カスタムフィットシリーズ”製品の中でのトップグレードモデル。同社のトップエンドスピーカー、『1000RSシリーズ』の思想と技術をふんだんに注入した意欲作。ただし、この『Vシリーズ』にも、一般的な17cmクラスの製品しかラインアップしていない。BMWに装着可能な10cmクラスのモデルの用意はない。 http://pioneer.jp/carrozzeria/speaker/custom_fit_sp/ts-v173s/ |
■6万円~
中級モデル。スピーカーのためだけにこの金額を払うのに戸惑いを感じるかも知れませんが、一度実際に音を聴くと明らかに違いが分かるほどの、納得の圧倒的サウンドです。
スピーカー自体の性能が高いので、純正オーディオユニットではちょっともったいないかも知れません。
上位モデルのメインユニットや外部パワーアンプを使用し、ワンランク上のサウンドを味わってもらいたいスピーカーたちです。
メーカー名 | 型番 | 税抜価格 | オススメする理由・特徴 |
---|---|---|---|
FOCAL | PLUG&PLAY elite for BMW | 85,000円 | 世界的な高級スピーカーブランド「フォーカル」の人気シリーズ『K2パワー』の10cm2ウェイコンポーネントスピーカーをベースにした、BMW用のスペシャルキット。配線用のパーツや特別にチューニングされた音響パーツまでも同梱。純正位置に違和感なく取り付け可能。ドアパネルの加工も不要。 https://www.focal-audio.jp/lp/focalbmw/ |
BEWITH | Reference AM Duo88 | 84,000円 | 国産ハイエンドカーオーディオブランド「ビーウィズ」の新スピーカー。振動板にはアルミとマグネシウムを混合させた特別な素材が用いられている。同社のフラッグシップスピーカーの技術が多々注入されていながら、手頃な価格に収められた意欲作。 http://www.bewith.jp/ja/products/speaker/reference_am_system.php |
■10万円~
10万円以上のモデルともなると、ある程度のキャリアのあるカーオーディオ愛好家からのターゲットとなる、本格派揃いとなっていきます。
ちなみに、10万円から20万円台の製品は“ミドルハイグレード”として認知され、それ以上の価格帯の製品は、“ハイエンドスピーカー”と位置付けられることが多いです。
なお、“ハイエンドスピーカー”は価格の幅が相当に広く、超高級品ともなると100万円を超えるものもちらほら存在しています。
ちなみに、10万円以上のスピーカーは、ほとんどのモデルが17cmクラスとなり、BMWの純正位置に簡単装着することは不可能で、かなりの大幅な改造が必要となります。
もっとも、高級スピーカーを装着しようとするケースにおいては、簡単に取り付けしただけではスピーカーの性能を100%引き出すことは不可能です。
ドア内部の音響的なコンディションを整えるための作業である“デッドニング”や、スピーカーの取り付け面をドアパネル面まで立ち上げる取り付け方(アウター化)等を施したほうが良いでしょう。
なので、BMW以外の車種に対しても採用される際には相応の費用をかけて取り付けられることが多いです。
メーカー名 | 型番 | 税抜価格 | オススメする理由・特徴 |
---|---|---|---|
carrozzeri(Pioneer) | TS-Z1000RS | 280,000円 | 長きにわたって国産ハイエンドカーオーディオ市場をけん引し続けてきた「カロッツェリア」のフラッグシップスピーカー。なお、当機が属する『1000RSシリーズ』には、ミッドレンジスピーカーもラインアップしていて、愛好家の間では、それを加えたフロント3ウェイシステムが組まれることも多い。 http://pioneer.jp/carrozzeria/car_av/highend_audio/ts_rs1000/lineup_z.php |
DIATONE (三菱電機) | DS-SA1000 | 670,000円 | 2016年秋に新登場した、「ダイヤトーン」のフラッグシップスピーカー。ツイーターの振動板には、超高級素材である“ピュアボロン”が用いられている。ちなみに2ウェイスピーカーではミッドウーファーの担当帯域が広く、周波数特性が乱れる部分が多かれ少なかれ発生するのだが、当機はそれを排除することに成功している。 http://www.mitsubishielectric.co.jp/carele/car_diatone/product/ds-sa1000/ |
■結局どの価格帯の、どのスピーカーを選ぶべきか?
エントリーモデルから超高級モデルまで、さまざまなスピーカーを挙げましたが、市場にはさらに多様なモデルが溢れています。
ゆえにスピーカーの選定に頭を悩ませている方も多いかと思いますが、BMWのスピーカー交換をするのであれば、一番オススメしたいスピーカーの価格帯はスバリ、「10万円前後」です。
この価格帯の製品は、「誰が聴いても良い音」であり「本気を出せばかなり上位の音を狙える」スピーカーです。
一度スピーカー交換をすればアップグレードせず長く使えるスピーカーなのです。
さらには、メインユニットの交換や外部パワーアンプの追加、高級サブウーファーの導入等々、システムを本格化させていっても使っていけるだけのポテンシャルをも秘めています。
上を見ればキリがないのがカーオーディオの世界ですが、実際のところ、この価格帯の製品でも相当に高音質です。
現実的な価格の中で、純正スピーカーとは見違える音が欲しいとなった際には、このくらいの価格帯の中から製品を選べば、後悔することはないでしょう。