道路交通法における「スピード違反」とは?
スピード違反とは正式な交通違反を「速度超過」といいます。
法定速度で規制された速度を上回ることとされており、重大な事故につながることも多いので道路交通法によって厳しく制限されています。
スピード違反になる定義は2つで「道路交通法第22条」と「道路交通法施行例 第11条」に記載されています。
第二十二条 車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない。
第十一条 法第二十二条第一項の政令で定める最高速度(以下この条、次条及び第二十七条において「最高速度」という。)のうち、自動車及び原動機付自転車が高速自動車国道の本線車道(第二十七条の二に規定する本線車道を除く。次条第三項において同じ。)以外の道路を通行する場合の最高速度は、自動車にあつては六十キロメートル毎時、原動機付自転車にあつては三十キロメートル毎時とする。
道路交通違反ではスピード違反についてこのように定められています。
普通車の一般道の法定速度は60kmですが、40kmや50kmに規制されている道路もあります。
そのため理解はされていると思いますが『60kmまでならスピードを出してOK』と認識しないようにしましょう。
また、原付バイクの場合は標識の有無に関わらず法定速度は30kmとなっています。スピードを出そうと思えば60km前後までは簡単にスピードが出てしまうので注意が必要です。
【スピード違反点数別】反則金・罰金はいくら?
スピード違反で取締りを受けた場合、反則金、罰金、懲役の3つの中からいずれかの罰を受けなくてはなりません。
反則金と罰金は同じと思っている方も少なくないと思いますが、明確な違いがあります。
まず、反則金と罰金の違いを説明するにあたって「交通反則通告制度」についてを簡単に説明します。
「交通反則通告制度」とは、違反点数が6点未満の軽微な交通違反の手続きを簡略化する制度です。
軽微なものでも刑事罰として手続きを進めることは可能ですが、軽微な交通違反のすべてを裁判所で裁判を起こしていては、裁判所や警察などの行政機関がパンクしてしまいます。
そのような事態を避けるために、軽微な交通違反には「交通反則通告制度」によって行政上の手続きを簡略化し、行政だけでなくドライバーの負担も軽減しているのです。
■反則金は行政処分
反則金は交通反則通告制度によって、軽微な違反に課せられる行政処分になります。
課せられた反則金は行政上において秩序罰であるため、罰金のような刑事罰と異なるため「前科」がつくことはありません。
反則金は、スピード違反を犯した際に警察から渡される「納付書・領収証書」に記載があるため郵便局や銀行の窓口にて現金の一括払いのみで支払いをします。
■罰金は刑事処分
軽微な違反に課せられる反則金の支払いと違い、6点以上の重い交通違反に対して課せられる刑事罰を罰金刑になります。
罰金を伴う重大な交通違反を犯してしまった場合「告知書(通称:赤切符)」が当事者に渡されます。
赤切符を切られると罰金か懲役刑になるため、当事者には「前科」が付きます。
反則金と罰金の違いについて、詳細はこちらの記事にてご覧下さい。
スピード違反点数別の反則金・罰金一覧【一般道路・高速道路】
スピード違反での反則金や罰金は、速度超過によって変わってきます。
罰金の場合は、裁判官が判決によって罰則を決めるため予め罰金額が決まっているわけではありません。反則金は超過速度によって金額が変わります。
超過速度 | 違反点数 | 反則金 | 罰金 |
---|---|---|---|
15km未満 | 1点 | 9,000円 | - |
15~20km未満 | 1点 | 12,000円 | - |
20~25km未満 | 2点 | 15,000円 | - |
25~30km未満 | 3点 | 18,000円 | - |
30~50km未満 | 6点 | - | 最大10万円※6~8万円が相場 |
50km以上 | 12点 | - | 最大10万円※6~8万円が相場 |
超過速度 | 違反点数 | 反則金 | 罰金 |
---|---|---|---|
15km未満 | 1点 | 9,000円 | - |
15~20km未満 | 1点 | 12,000円 | - |
20~25km未満 | 2点 | 15,000円 | - |
25~30km未満 | 3点 | 18,000円 | - |
30~35km未満 | 3点 | 25,000円 | - |
35~40km未満 | 3点 | 35,000円 | - |
40~50km未満 | 6点 | - | 簡易裁判所で罰金決定 |
50km以上 | 12点 | - | 簡易裁判所で罰金決定 |
スピード違反に対する刑事罰は?80km/L以上は逮捕?
車でのスピード違反(速度超過)は原則的に道路交通法違反となり、6カ月以下の懲役または10万円以下の罰金の刑事罰を受けることになります。
ただ、冒頭でも説明させて頂いたとおり、軽微な違反については交通反則通告制度に基づいて刑事罰として裁かれないことがほとんどです。
しかし、下記の場合は刑事罰として逮捕される例となります。
■ スピード違反以外にも交通違反を起こしている場合
■ スピード違反で取締りを受けた際に無免許だった
■ アルコール反応が出た
また、スピード違反の停止命令を受けているのに逃走した場合や、法定速度からあまりにも速度超過している場合(80km/hが目安)は略式裁判とならず、検察が公判請求を行い刑事処分とされ懲役刑になる可能性があります。
記憶に新しい事例としては、2018年3月1日、東京都国立市の中央自動車道で法定速度を135km/hも上回る、時速235kmで逮捕されたという事件や、11月には東大阪市内の自動車専用道路「第2阪奈道路」で、60km/hの法定速度を220km/hも上回る時速約280kmで走行し、逮捕された事例があります。
スピード違反で免許停止(免停)になるのは時速何km超過から?
一般道路では30km以上、高速道路では40km以上の速度超過からが一発免停となります。
しかし、これは「前歴なし」の方のみ当てはまります。
3年以内に他の交通違反を起こして点数が加算されている場合は、上記のスピード超過以下でも免許停止になる可能性があります。
免停(免許停止処分)については下記の記事にて詳しく紹介しています。
最後に
スピード違反は、交通違反の中でも取締りが多いため普段から車を運転する方は特に気を付ける必要があります。
また、スピード違反は他の交通違反よりも反則金が高くなっています。
そして、罰金刑になった場合も5万~10万円の支払いを命じられることがあります。
ここまで反則金や罰金が高額な理由は、重大(生死に関わる)な事故につながる可能性が高いからです。
高い反則金や罰金を払うのを回避するだけでなく、事故防止のためにもスピードの出し過ぎには注意し安全運転を心がけましょう。