アルピーヌの歴史
1956年、フランスで産声を上げた伝統ある自動車ブランド「アルピーヌ」。その後1973年にルノーに買収されました。その際に正式名称が「ソシエテ・デ・オートモビル・アルピーヌ・ルノー」とかわると当時に、その車の生産拠点を1969年にフランス国内の「ディエップ」に移転し、現在も同じ場所で生産を続けています。
一時期、2012年からイギリスのケータハムという会社と共同でスポーツカーの開発を行い「オートモビル・アルピーヌ・ケータハム」として再び復活をし、メディアや関係者から期待をされていましたが、その関係は長く続かず、その後ルノーの手に戻り現在に至っています。
■創成期~レース活躍期(1956年~1973年)
アルピーヌの創業者あるジャン・レデレ。1922年の5月17日にフランスのディエップに生まれ、ガレージ(=いまでいう自動車整備工場)を経営していた父親の影響でクルマの世界に縁があり、ルノーでしばらく働いてた時期もありました。
1950年頃からドライバーとしてレースに参加しながらクルマのドレスアップや修理などを中心活動していましたが、1955年アルプスの山道をドライブする楽しさ。といった想いを込めて「アルピーヌ」を創業。ルノー製4CVをベースにした「A106」を造り
1962年にはアルピーヌの代表的な「A110]
また10年後の1972年には「A310」を作りあげました。
また、レースの世界でもアルピーヌはその名を轟かせます。1965年にルノーと手を組み、1971年のモンテカルロラリーで初優勝。1973年にはWR世界ラリー選手権において、初代コンストラクターズチャンピオンを獲得するといった活躍を見せます。
そういった華々しいレースでの成績とは裏腹に経営的には難しい状況もあり、ルノーに買収され再スタートを切ることとなります。
■アルピーヌとル・マン24時間レース
1960年代のアルピーヌは、と同じフランスのチューンナップメーカー、ゴルディーニと手を組み「ル・マン24時間レース」にも参加し毎回上位入賞をしていました。1970年から少しずつ改良を行い、1978年には念願の総合優勝を果たしています。
一方、市販車おいてもさらなる進化を遂げます。A110の後継車として生まれたA310は、当初、A110-1600系と同じ、ゴルディーニ手がける4気筒エンジンを搭載していましたが、車重が増えたことにより走行性能低下を招いてしまいました。
しかし、1975年からボルボ、プジョー、ルノーが手を組み開発した、PRV製2.7リッターV6エンジンを載せた「A310・V6」を開発。圧倒的な動力性能を得られたことで、再びその人気を得ることとなります。
■ルノー傘下前半期(1973年~1995年)
アルピーヌは1973年にルノーの傘下のブランドとなりましたが、その後も「A310」や「V6ターボ」など、アルピーヌの車体デザインコンセプトの一つでもある、FRP製ボディを載せたライトウエイトスポーツカーを造り続けていましたが、1995年に生産終了。
「A610」を最後にその名前をもつスポーツカーは一度、自動車史から姿を消すこととなります。
■ルノー傘下後半期(1995年~2001年)
1995年にA610の生産を終えて、アルピーヌという名前の車はなくなってしまいましたが、アルピーヌ社とディエップ工場は存続し、親会社のルノーのスポーツカーモデルを手がける存在としてその力を発揮します。
スポールブランドのスパイダーのやり始めとして、クリオV6やメガーヌ2・RS、クリオ2・RS、クリオ3・RSといった、ルノースポールブランドを支える車を製造しています。
そして2001年。ルノーの会長に今話題のカルロス・ゴーン就任を機に、ルノーの車種拡大戦略の一つとしてアルピーヌブランドの復活も期待されることとなります。
■復活期(2001年~)
モナコグランプリにおいて、コンセプトカーとしてアルピーヌの名が復活します。アルピーヌA110-50の登場です。
A110の50周年の記念モデルといわれていましたが、ミッドシップにマウントされたそのエンジンは、ルノー・日産の誇るスカイラインのエンジンを搭載。シャシーはもちろんサスペンションに至るまで、レースを意識した仕様がおごられ、モデルカーと言うよりスーパースポーツカーと呼ぶにふさわしい、新生アルピーヌを強く印象づけるデビューを飾りました。
ラリー界の金字塔、アルピーヌA110
1973年、世界各国で開催されていたラリーレースを、FIAが主導し統一レギュレーションのもと、シリーズ戦形式で選手権タイトルを争うラリーレースとして誕生した、スタートした世界ラリー選手権、WRC。
ラリーを戦うクルマにはサーキットを走行するマシンと異なり、路面のグリップが低い一般道を様々な天候条件で安定した走行性能、パフォーマンスを発揮することが求められます。
当時、クルマの走行性能を上げる手段として四輪駆動(=4WD、AWD)や、過給器付きエンジン(=ターボ、スーマーチャージャー)といったものの利用は想定されていたのですが、技術的に解決する必要がある問題や信頼性の部分において、ラリーレースの実用に耐えるレベルにはありませんでした。
そこでアルピーヌは、ラリーレースを戦うマシンのコンセプトに、一つの回答を世に送り出します。それがアルピーヌA110。その最大の武器は2つあり、後輪車軸より後ろに搭載されたエンジンでリヤタイヤを駆動するRR駆動形式と、徹底的に軽量化されたシャシー&ボディにありました。
A110の2つの武器は絶大なトラクションを発揮し、グリップの低い一般道でレースを戦うラリーレースにおいて、大きなアドバンテージを築くことに成功。初代WRCマニファクチャラー・チャンピオンという偉業を成し遂げたのです。
アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』で一躍有名に。アルピーヌA310
新世紀エヴァンゲリオンのミサト車として活躍したのがこのアルピーヌA310というクルマです。ラリーに向いているアルピーヌA110の後継車として生まれましたが、車体コンセプトが異なります。
エヴァンゲリオンの劇中でミサトがシンジ君を乗せて敵の攻撃や障害物をよけながら疾走するシーンがあるのですが、そのミサトの愛車が視聴者の心を動かして「このクルマ何?」という声が上がりました。
アニメの舞台は2015年の日本ではありましたが、劇中のA310はエンジンが電気モーターに換えられていて、元になったのが4気筒モデルなのか、V6エンジン搭載モデルなのかはいまだに分かっていませんが、そういったところを想像してしまうあたりが、アルピーヌの魅力ともいえるでしょう。
アルピーヌ”最後のスポーツカー” A610
1984年まで製造されていたアルピーヌ・ルノーA310の後継車として1984年から製造が始まりました。フランスでは、「アルピーヌ・GTA」と呼ばれていますが日本では「アルピーヌ・V6ターボ」と呼ばれています。
アルピーヌ・A610のスペックとしては、ボディはFRP製パネルを使っておりフレームは網管製バックボーン。外装はフランスのコーチビルダーであるウーリエによりデザインされ、フラッシュサーフェイス化されたそのボディ形状は、Cd値0.28を誇ります。
また、内装はマルチェロ・ガンディーニがデザイン。エンジンも2488ccターボをリアに積んでいて、最高出力200PS/5750rpm、最大トルク29.6kgm/2500rpm発揮します。尚、エンジン違いのバリエーションモデルとして、ターボでのパワーアップの代わりに排気量をアップした2849ccNAエンジンを載せた「アルピーヌ・V6GT」があります。
ルノー5(サンク)アルピーヌ・ターボ
ルノー5(サンク)ターボをベースに、アルピーヌが手を入れスポーツバージョンとして誕生したのが、ルノー5アルピーヌ・ターボです。見た目は至って普通の乗用車ですし、昔ながらの大衆車みたいな感じなのですが、F1エンジンにターボを持ち込んだルノーのターボ技術と、アルピーヌのレース哲学が詰め込まれた、ハイパフォーマンススポーツカーです。
あの有名な映画「トランスポーター」のワンシーンにもでてくるほど、今も根強いファンをもつクルマです。
アルピーヌA110、A310、V6ターボ、A610などの中古車
アルピーヌは、クラシックカーの中でも希少価値なクルマとなっていて、アルピーヌを取り扱っているお店は少ないようで、見つけたとしても値段は記載されておらずASK表示となっていることが多いです。
オススメとしては、インターネットや雑誌などで確認し電話で前もってアポを取って取扱店を訪問するのがいいでしょう。
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日本でのアルピーヌ車の販売窓口、アルピーヌ・ジャポン(ジャパン)
ルノージャポンは、2017年の10月11日にアルピーヌブランド車の輸入販売としてのビジネスユニット「アルピーヌ・ジャポン」を設立させました。
新しく設立された「アルピーヌ・ジャポン」のCEOには、ルノージャポンで代表取締役社長をしている大極司氏がそのまま務めることとなり、サービスやセールス、マーケティングを中心とした委託事業を行う目的で、今後、商品や販売に関しての発表をする予定とされています。
アルピーヌ セレブレーション発表から新型A110へ
アルピーヌは2015年6月。ル・マン24時間レース会場において、創業60周年記念車のコンセプトカー、セレブレーションを初公開しました。
その後の2017年のジュネーブモーターショーで新生A110が発表となりました。
まず第一弾として、20年ぶりに復活した限定車「A110プルミエール・エディション」が登場。
全世界で1995台が先行販売され、そのうち50台が日本で販売されましたが、すぐに完売。アルピーヌブランドの根強い人気を再認識することとなりました。
尚、今回の通常モデルは2種類あり、「ピュア」と「リネージ」の2グレードがあります。
最後に
20年ほどの眠りから覚め、新しく再出発を成し遂げた「アルピーヌ」。活動再開前のA610等はパワーアップしたけれど、人気はそれほど伸びなかったこともまた事実です。
しかし、新たな時代に向けて私たちの目の前に現れた、セレブレーションや新型A110は、かつての栄光をさらにブラッシュアップさせ、アルピーヌらしいアルピーヌの復活を期待させるものがあります。
フランスの古豪アルピーヌの復活に、これからも注目していきましょう。