卒検とは何をする検定?
| 何をするのか | 教習所の検定員が同乗し、路上を4,500m以上走行し、所内で方向変換または縦列駐車を1回行う。信号通過や右左折、横断歩道の通過、路端への停車と発進が課題に含まれる。路上と所内のどちらを先に行うかは教習所によって異なる |
| 何点で合格か | 100点からの減点方式で、普通免許は70点以上が合格。2025年4月からの新方式でMT免許を受ける場合は、AT車で行う項目とMT車で行う項目のそれぞれで70点以上が必要。採点は原則として乗車から下車までが対象で、ならし走行など一部の区間は採点されない |
| 一発で中止になる行為 | 信号無視、指定場所での一時不停止、横断歩行者の前で止まらない、安全間隔の不保持などの「危険行為等」と、危険回避のため検定員がブレーキやハンドルを操作した場合、減点の合計が合格点を下回った場合 |
| 落ちたらどうなるか | 1時限以上の技能教習(補習)を受けた後に再受検できる。施行規則に受検回数の上限はない。補習料と再検定料は教習所ごとに定められている |
| 受かったらどうするか | 卒業証明書(技能検定日から1年有効)を持って住所地の運転免許試験場へ行き、適性試験と学科試験を受ける。技能試験は免除される |
卒検の合格点は施行規則で定められた70点で、教習所ごとの独自基準ではありません。減点の点数と中止事項も警察庁の通達で公開されているため、何が何点かを知った上で受ければ、対策の的を絞れます。
なお、2025年4月から普通MT免許の検定方法が変わり、新方式では路上走行などをAT車で、クラッチやギア操作を確認する項目をMT車で行います。
卒検の位置づけと受けられる条件
卒業検定は、道路交通法99条の5に定められた「技能検定」の一つで、指定自動車教習所が教習を終了した人に対して、技能検定員に行わせる検定のこと。合格者には技能検定員の証明を付けた卒業証明書が発行されます。
教習所の技能検定には、第1段階の終わりに受ける修了検定と、全教習の終わりに受ける卒業検定の2種類があり、修了検定に合格すると仮免許の技能試験が免除されます。
卒検を受けられるのは、技能教習と学科教習の両方を修了した人で、修了した日から3か月以内に受ける必要があります。教習そのものにも期限があり、施行規則は教習を9か月以内に修了させることを教習所に求めています。
技能教習の最後には「教習効果の確認」、いわゆる「みきわめ」があり、成績が良好と認められた人だけが教習修了となります。
「卒検 学科」と検索する人が多いのですが、卒業検定は技能の検定で、学科の試験は含まれず、運転に必要な知識を問う学科試験は卒業後に運転免許試験場で受けます。
ただし、教習所によっては、卒検の申込条件として学科教習の全講義の受講と、卒検前の学科効果測定の合格を求めています。調布自動車学校(東京都調布市)の場合、卒検の受検資格は、学科の11〜26番講義を受講して卒検前学科効果測定に合格していること、技能第2段階のみきわめが修了していることの2つです。
修了検定と仮免許学科試験については、下の記事で確認できます。
卒検当日の流れ
検定の進め方は教習所ごとに異なりますが、警察庁が教習所の指導基準として定める「指定自動車教習所業務指導の標準」と、教習所公式の案内例を合わせると、当日の流れは次のようになります。
| 受付・集合 | 指定時刻に集合し、本人確認を受ける。玉里自動車学校(鹿児島市)の例では9時10分集合 |
| コース発表・検定の説明 | 検定コースは当日に管理者が決め、多くは検定開始の1時間前に発表される。玉里自動車学校では9時20分から検定説明とコース発表 |
| 路上検定 | 4,500m以上を走行。原則として乗車から下車までが採点範囲で、ならし走行など一部の区間は採点されない。検定の公正を保つため、次の受検者を検定車両に同乗させるなどの措置がとられる |
| 所内検定 | 方向変換または縦列駐車を1回行う。路上と所内のどちらを先に行うかは教習所によって異なる |
| 合格発表 | 玉里自動車学校の例では12時30分ごろに発表し、その後に卒業式と卒業証明書の交付 |
運転免許試験場の技能試験では、普通免許の路上試験の前におおむね100mのならし走行を行い、この間は採点しませんが、業務指導の標準は教習所の技能検定についてならし走行を省略しても差し支えないと定めています。
ならし走行の有無と、路上と所内の順序は、当日の検定説明で確認しておく必要があります。
服装にも決まりがあり、警察庁の実施基準では、げた、サンダル、ハイヒールなど運転に適さない履き物の受検者は、その日の検定を延期します。持ち物は教習所が案内し、玉里自動車学校の例では免許証、仮免許証、卒業式で使う認印を持参し、マイナンバーカードは持っている人のみ持参する案内です。
調布自動車学校の例では、教習簿のほかに本籍地記載の住民票と写真2枚を卒検時に提出し、眼鏡やコンタクトレンズの人は視力の再検査があるため持参が必要です。
卒検の路上で何を見られるか
卒業検定の実施方法と合格基準は、施行規則で運転免許試験の技能試験の例に準ずると定められています。そのため、路上で行う課題は警察庁の技能試験実施基準に従い、普通免許では次の条件を満たすコースで行われます。
| 信号のある交差点の通過または一時停止 | 1回以上 |
| 右折・左折 | それぞれ2回以上 |
| 横断歩道の通過 | 2回以上 |
| 路端への停車と発進 | 1回 |
| 障害物の設置場所の通過 | 1回 |
| 方向変換または縦列駐車 | 1回(所内) |
| 走行距離 | 4,500m以上(路上) |
| 道路の条件 | 40km/h以上で走行できる道路を含む |
検定員は走行順路を指示しますが、順路を間違えても、それ自体は減点されません。ただし、正しい順路に戻るまでの運転は採点の対象です。路端への停車では、停車位置や方法が「駐停車方法違反」として見られ、発進時には合図と安全確認が採点されます。
卒検の採点のしくみと合格点
技能試験と技能検定の採点は、100点からの減点式で、施行規則は、運転装置の操作、交通法規の遵守、運転姿勢その他安全運転の能力を採点の対象と定め、普通免許の合格基準を70%以上の成績と規定しています。
新方式でMT免許を受ける場合は、AT車で行う項目とMT車で行う項目のそれぞれで70%以上が必要で、AT限定免許にはMT車で行う項目がありません。仮免許(修了検定)の基準はAT項目70%以上・MT項目60%以上のため、卒検で高くなるのはMT項目の基準だけです。
減点は、同じミスを繰り返すたびに減る「回数減点」が原則です。一方、「特別減点細目」に指定された項目は、1回目は減点を保留し、2回以上になると1回目にさかのぼって全部減点されます。エンストがその代表例で、1回だけなら減点されずに済みますが、2回目で合計20点の減点になります。
減点の点数は、警察庁の「採点基準の運用の標準」で細目ごとに定められています。路上での主な細目を点数別に整理すると、次のようになります。
| 5点 | ドア・後写鏡・ハンドブレーキなど乗車時の安全措置の不備(特別減点)、合図の不履行、停止位置不適 |
| 10点 | シートベルト不着用、安全不確認、エンスト(特別減点)、逆行(小)、発進手間どり、速度が速すぎる(小)、急ハンドル、ふらつき(小)、脱輪(小)、巻き込み防止措置の不備、駐停車方法違反、切り返し、クリープ現象で車を動かす、課題不履行 |
| 20点 | 逆行(中)、速度が速すぎる(大)、側方などの間隔不保持、徐行違反、交差点等進入禁止違反、優先判断不良、横断者保護違反、速度超過 |
安全不確認は1回10点ですが、交差点、進路変更、発進、後退のたびに確認箇所があるため、同じ細目で繰り返し減点されやすい項目です。
20点の項目は、徐行違反や横断者保護違反のように交通法規に直結するもので、2回で40点となり、それだけで不合格になります。
■一発で検定中止になる行為
減点の途中でも、警察庁の実施基準が定める次のいずれかに当たると、その場で検定は中止となり不合格です。
| 危険行為等 | 実施基準が列挙する行為(下の一覧) |
| 試験官補助 | 危険を回避するため検定員がブレーキやハンドルを操作した場合、または危険回避のために安全運転支援装置が作動してアクセル・ブレーキ・ハンドルの操作が行われた場合 |
| 減点超過 | 減点の合計で合格点を下回ることが確定した場合 |
| 指示違反 | 検定員の指示に従わなかった場合 |
路上の「危険行為等」として実施基準に挙げられているのは、逆行大(おおむね1m以上の後退)、発進不能、暴走、ふらつき大、通過不能、脱輪大、接触大、右側通行、安全地帯等進入、後車妨害、信号無視、進行妨害、横断等禁止違反、指定場所不停止(一時停止の標識がある場所で停止線の直前に止まらない)、歩行者保護不停止等(横断中や横断しようとする歩行者の前で止まらない)、安全間隔不保持、踏切不停止等、追越し違反、割込み、安全運転義務違反、通行禁止違反です。
このうち操作に関わるものは、採点基準に具体的な線引きがあります。通過不能は所内の狭路で切り返し4回、路上ではおおむね同じ場所で切り返し2回に達した時点で成立し、発進不能は一車長の間でエンストを4回した場合などが該当します。
一時停止については、停止線の2m以上手前で止まった場合は停止位置不適の5点減点で、そのまま停止線の直前で再停止しなければ指定場所不停止として中止です。
2025年4月から変わったMT免許の卒検
警察庁は、2025年(令和7年)4月1日から、普通免許と普通二種免許の技能試験・教習・技能検定の方法を見直しました。
新方式では、路上走行を含む項目をAT車で行い、クラッチやギア操作の技能を確認する項目をMT車で行う方式で、施行規則の走行距離の定めも、AT車で行う路上の部分は4,500m以上、MT車で行う所内の項目は1,200m以上と分かれています。
ただし経過措置があり、従来どおりMT車で全ての課題を行う方法も当面の間は認められているため、教習所によって卒検の方式が異なる点に注意が必要です。
MT車で行う項目は「クラッチとギアだけを見る短い走行」ではなく、所内コースで一通りの課題をこなす検定です。
警察庁の実施基準では、普通免許のMT項目の課題として、指示速度による走行、指定場所での一時停止1回以上、右折・左折それぞれ1回以上、信号通過、横断歩道の通過、踏切の通過、曲線コースと屈折コースの走行、坂道コースの走行(坂道での一時停止と発進を含む)、方向変換1回、障害物設置場所の通過が定められています。
新方式では、MT項目の減点はAT項目と分けて集計され、それぞれで70点以上が必要です。AT項目は合格したがMT項目だけ不合格だった場合、業務指導の標準では、再検定はAT項目とMT項目の両方を受け直し、その前の1時限以上の補習はMT車による教習で足りる扱いで、本人が希望すればAT限定免許の卒業証明書を受け取ることもできます。
AT限定免許を取得した後にMT車に乗るための限定解除審査は、下の記事で確認できます。
卒検に落ちたらどうなるか
不合格になった場合、施行規則は、1時限以上の技能教習を受けた後でなければ次の卒業検定を受けられないと定めており、施行規則34条に受検回数の上限はありません。
ただし、卒検は教習を修了した日から3か月以内に受ける必要があるため、この期間内に補習と再受検を終えなければなりません。
業務指導の標準は、受検資格のある人が週2回以上受検できるよう教習所に配慮を求めていますが、実際の日程は教習所の検定実施日や予約枠、補習の予約状況で決まります。
補習と再受検の費用は、教習所ごとに定められています。
公式サイトで確認できる例を挙げると、沼自動車学校(岡山県津山市)は補習料金が1時限5,100円で、卒業検定の料金は9,900円(検定料6,600円と卒業証明書発行手数料3,300円)で、トヨタ中央自動車学校(愛知県豊田市)は補習教習料が1回5,610円(税込)、卒業検定再受検料が1回6,050円(税込)です。
調布自動車学校(東京都調布市)は延長技能教習料が1時限4,840円、再技能検定料が1回6,600円です。
補習料と再検定料が不要になる追加プランを用意している教習所もあります。沼自動車学校は22,000円(税込、30歳以下)の「安心パック」で卒業までの補習料と技能検定不合格時の再検定料が不要になり、調布自動車学校は11,000円の「セーフティ」(39歳以下)で延長技能教習料と再技能検定料を規定時限の2倍まで保証します。
玉里自動車学校のように、加入の期限を初回受検前までとしている教習所もあるため、不安があるなら入校時か初回の卒検前に確認しておく必要があります。
卒検に受かったらどうするか
合格すると卒業証明書が交付されます。卒業証明書には期限があり、道路交通法97条の2は、技能検定を受けた日から1年以内の卒業証明書を提出した人について技能試験を免除すると定めています。1年を過ぎると技能試験の免除は受けられません。
免許を受けるには、卒業証明書を持って住所地の運転免許試験場へ行き、視力などの適性試験と学科試験を受けます。学科試験は択一式または正誤式の筆記試験、または機器を使った試験で、合格基準は施行規則で90%以上の成績と定められています。
指定自動車教習所は2025年(令和7年)末で全国に1,277か所あり、その卒業者で2025年中に運転免許試験に合格した人は144万6,135人です。指定教習所の卒業者は、免許取得時に義務付けられている取得時講習も免除されるため、試験場で受けるのは適性試験と学科試験だけになります。
卒検に関するよくある質問
■卒検は実技だけですか
技能の検定だけで、学科の試験はありません。運転に必要な知識を問う学科試験は、卒業後に運転免許試験場で受けます。教習所が卒検の申込条件に学科の効果測定の合格を求めている場合はありますが、それは教習所内の確認で、検定そのものには含まれません。
■卒検は何分くらいかかりますか
法令や警察庁の実施基準に検定時間の定めはなく、路上の走行距離4,500m以上と課題の回数が定められています。1人あたりの運転は道路事情で変わり、次の受検者が同乗して順番に受検するため、自分の順番までの待ち時間も加わります。玉里自動車学校の例では、9時10分の集合から合格発表が12時30分ごろで、その後の卒業式を含めると13時半から15時半ごろまでかかります。
■方向変換と縦列駐車はどちらが出ますか
課題は「方向変換または縦列駐車を1回」で、検定コースは当日に教習所の管理者が決め、検定開始の1時間前に発表されるため、どちらを行うかはその発表で分かります。どちらが出ても対応できるように、両方を練習しておく必要があります。
■エンストしたら落ちますか
エンストは10点の「特別減点細目」で、1回目は減点が保留され、2回目で1回目にさかのぼって合計20点の減点になります。1回のエンストで不合格にはなりませんが、一車長の間で4回エンストすると「発進不能」で検定中止です。
■検定員に補助ブレーキを踏まれたらどうなりますか
危険を回避するために検定員がブレーキやハンドルを操作した場合は「試験官補助」として検定中止になります。警察庁の実施基準では、危険回避のために安全運転支援装置が作動してアクセル・ブレーキ・ハンドルの操作が行われた場合も同じ扱いです。一方、安全運転支援装置の事前警報を受けて受検者自身が回避操作を行い、装置による操作に至らなかった場合は「警報」の細目で10点の減点となります。
■卒検に受からない人はどうすればいいですか
不合格のたびに1時限以上の補習を受けて再受検できます。減点の点数と中止事項は公開されているため、検定員から指摘された細目を上の減点表で確認し、補習でその項目に絞って練習するのが近道です。教習を修了した日から3か月以内という期限があるので、日程は早めに組む必要があります。
まとめ
卒検は、指定自動車教習所の技能検定で、路上4,500m以上と所内の方向変換または縦列駐車を行い、100点からの減点で70点以上なら合格です(新方式のMT免許はAT項目・MT項目それぞれ70点以上)。
減点の点数は5点・10点・20点の細目に分かれ、信号無視や一時不停止、横断歩行者の前で止まらないなどの危険行為等と、危険回避のための検定員の補助は減点に関係なく中止となります。
落ちても1時限以上の補習を受ければ再受検でき、合格すれば卒業証明書で技能試験が免除されるため、教習修了から3か月以内、卒業証明書は1年以内という期限を意識して進めてください。


