トヨタの軽自動車「ピクシス」
トヨタの軽自動車シリーズである「ピクシス」は、ダイハツからOEM供給(他社で生産したある会社の製品を販売すること)を受けているシリーズです。ピクシスシリーズはそれぞれダイハツの車両がベースとなっており、基本性能はベースとなった車両と全く変わりません。
ピクシスシリーズの歴史
ピクシスシリーズは2011年9月に「ムーヴコンテ」をベースとした「ピクシススペース」が発売されました。
同年の、2011年12月に「ハイゼットカーゴ」と「ハイゼットトラック」をベースとした「ピクシスバン」と「ピクシストラック」が発売されます。
その後、2012年5月に「ミライース」がベースの「ピクシスエポック」が、2015年7月に「ウェイク」をベースとした「ピクシスメガ」が、2016年8月には「キャスト」をベースにした「ピクシスジョイ」が発売されています。
2016年12月には一番最初に発売されたピクシススペースが生産終了となったため、現在では5車種がシリーズを構成しています。
■ダイハツからのOEM提供
ピクシスシリーズはダイハツからのOEM供給となっているため、ベース車両と基本性能は変わりません。しかし、決してメリットが無いわけではありません。車両によってはオプションが変更されている場合もあり、独自のカラーが設定されている場合もあります。
【トヨタ 軽自動車】ピクシスジョイ
ピクシスジョイは2016年8月に発売されたモデルで、 ダイハツ キャストをベースとしています。
キャストにはエクステリアの異なる3種類のモデルが存在していたため、ピクシスジョイも3つのグレードが作られました。SUV風味のモデルであった「キャストアクティバ」がベースの「ピクシスジョイC」、モダンな外観の「キャストスタイル」をベースにした「ピクシスジョイF」、スポーツ車風味モデルであった「キャストスポーツ」に該当するモデルが「ピクシスジョイS」です。
ピクシスジョイは燃費性能は30.0km/Lとピクシスエポックに負けており、他の実用部分でも見劣りする部分があります。どちらかといえばピクシスジョイはジョイ(楽しみ)という名前の通り、乗って楽しむための車です。例えば、ピクシスジョイCのエクステリアカラーには19パターンものバリエーションが用意されており、インテリアも6色から選べます。カラフルな色に囲まれれば、毎日楽しく運転できるでしょう。
ピクシスジョイの新車価格は1,225,800円~で、中古車価格は平均121万円です。先進安全システム「スマートアシストⅢ」搭載モデルは中古価格が高くなるため、非搭載モデルを探せば、お得に購入できます。
「ピクシスジョイ」(2017年10月発売モデル、CXグレード)
乗員定員:4名
全長:3,395mm
全幅:1,475mm
全高:1,630mm
ホイールベース:2,455mm
車両重量:840kg
最高出力:52ps(38kW)/6,800rpm
最大トルク:6.1kg・m(60N・m)/5,200rpm
種類:水冷直列3気筒DOHC12バルブ
総排気量:658cc
燃料タンク容量:30L
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
燃費:30.0km/L
駆動方式:FF
トランスミッション:CVT(無段変速車)
【トヨタ 軽自動車】ピクシスエポック
ピクシスエポックは2012年から発売されたモデルで、ミライースをベースとしています。
ピクシスエポックの優れた点は、ミライース譲りの乗りやすさと燃費の良さです。ミライースは低い車高にも関わらず、広めの車内スペースを確保している車で、ファミリーカーとしてもゆったり乗れる軽自動車です。また、視界も良く、最小回転半径も4.4mと小さいために取り回しもしやすいです。
ミライースのイースとはダイハツの開発した燃費向上技術の略で、ミラよりも燃費面を重点的に改良した点がアピールされています。ミラの燃費が24.2 km/Lであるのに対し、ミライースおよびピクシスエポックは35.2km/Lと燃費性能が大幅に向上しています。家計にやさしい経済的な使い方ができそうです。
ピクシスエポックの新車価格は1,209,600円~で、中古車価格は平均66万円です。2013年8月と2014年7月のマイナーチェンジでそれぞれ燃費が向上されているため、年式の古い車両は価格が安くなっています。
「ピクシスエポック」(2017年5月発売モデル)
ドア数:5ドア
乗員定員:4名
全長:3,395mm
全幅:1,475mm
全高:1,500mm
ホイールベース:2,455mm
車両重量:650kg
最高出力:49ps(36kW)/6,800rpm
最大トルク:5.8kg・m(57N・m)/5,200rpm
種類:水冷直列3気筒DOHC12バルブ
総排気量:658cc
燃料タンク容量:28L
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
JC08モード燃費:35.2km/L
最小回転半径:4.4m
駆動方式:FF
トランスミッション:CVT(無段変速車)
【トヨタ 軽自動車】ピクシスバン
ピクシスバンはハイゼットカーゴをベースとして、2011年12月に発売されました。
ハイゼットカーゴはバンタイプの車として好評を博した車であり、広々とした室内空間や小回りの利く運転性能の良さはピクシスバンでも健在です。軽ならではの扱いやすさを生かして広く活用できます。
ピクシスバンはビジネスで使うことを念頭に置かれており、ハイゼットと並んで軽自動車の中で抜群の積載性能を誇ります。後部座席を全て下ろせば完全にフラットな空間が出来上がり、大荷物を積むときに便利です。さらに、バックドアを開ければ車のほとんど全幅にわたる開口部が出てくるため、やはり荷物の積み下ろしに活用できます。
燃費も17.8km/Lと悪くなく、ハイエースのような大型バンより小回りの利く運用方法ができるでしょう。
ピクシスバンの新車価格は1,085,400円~で、中古車価格は平均66万円です。ハイゼットカーゴよりも知名度が低いため、同じ年式ならハイゼットカーゴよりも安く売られている中古車もありお得です。
「ピクシスバン」(2017年11月発売モデル、)
ドア数:5ドア
乗員定員:4名
全長:3,395mm
全幅:1,475mm
全高:1,765mm
ホイールベース:2,450mm
車両重量:920kg
最高出力:53ps(39kw)/7,200rpm
最大トルク:6.1kg・m(60N・m)/4,000rpm
種類:直列3気筒DOHC
総排気量:658cc
燃料タンク容量:40L
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
JC08モード燃費:17.8km/L
最小回転半径:4.2m
駆動方式:FR
トランスミッション:4速AT
【トヨタ 軽自動車】ピクシストラック
ピクシストラックはハイゼットトラックをベースとして、2011年12月に発売されました。 ピクシスシリーズの中でも、農業従事者が使うことを念頭に置かれて製作されています。
ピクシストラックはトランスミッション方式や装備の違いによってグレード設定が分けられており、 最も基本的なグレードであるスタンダードにはエアコンやパワーステアリングがついていません。
同じくスタンダードに分類される「スタンダード SA IIIt」ではより車内装備が充実しており、「スタンダード 農用スペシャル 」および「 スタンダード 農用スペシャル SA IIIt」は荷台作業灯がついているなど、農業の現場で使うことをより意識しています。
最後の「エクストラ SA IIIt」は車内装備などを高級化したグレードです。各グレードはそれぞれ2WDとパートタイム4WDの設定があります。
ピクシストラックの新車価格は928,800円~、中古車価格は平均71万円です。
「ピクシストラック」(2017年11月発売モデル、スタンダードグレード,
AT車)
ドア数:5ドア
乗員定員:2名
全長:3,395mm
全幅:1,475mm
全高:1,780mm
ホイールベース:1,900mm
車両重量:760kg
最高出力:34ps(46kw)/5,700rpm
最大トルク:6.1kg・m(60N・m)/4,000rpm
種類:直列3気筒12バルブDOHC
総排気量:658cc
燃料タンク容量:35L
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
JC08モード燃費:18.4km/L
最小回転半径:3.6m
駆動方式:FR
トランスミッション:4速AT
【トヨタ 軽自動車】ピクシスメガ
ピクシスメガは軽トールワゴン「ウェイク」をベースとしており、2015年7月に発売されました。
ピクシスメガは軽自動車の中では車内容積が広いため、居住性も高い他、大きな荷物も載せることができます。さらにスライドドアを装備しているため、後部座席の乗り降りもスムーズです。加えて、助手席を倒してテーブルにしたり、後部座席を倒してフラットに近い空間を作り出したりといったシートアレンジも自由自在です。
ファミリーカーとして使うことはもちろん、アクティブな外観を持っているためアウトドアレジャーにも使えそうです。
他の長所としては、全高が高いため視界が広いことが挙げられます。全グレードでスマートアシストⅢを搭載しているため、視界の広さと合わせてさらに事故の危険性を下げられるでしょう。ただ、全高が高いため、横風などの影響は受けやすいかもしれません。
ピクシスメガの新車価格は1,688,040円~で、中古車価格は平均127万円です。軽自動車に比べればやや高めの価格設定ですが、中古車価格でもそれほど値段が落ち込んでいないところに人気の高さがうかがえます。
「ピクシスメガ」(2018年1月発売モデル、Dグレード)
ドア数:5ドア
乗員定員:4名
全長:1,835mm
全幅:1,475mm
全高:3,395mm
ホイールベース:2,455mm
車両重量:990kg
最高出力:52ps(38kW)/6,800rpm
最大トルク:6.1kg・m(60N・m)/5,200rpm
種類:水冷直列3気筒DOHC12バルブ
総排気量:658cc
燃料タンク容量:36L
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
燃費:25.4km/L
最小回転半径:4.4m
駆動系
駆動方式:FF
トランスミッション:CVT(無段変速車)
【トヨタ 軽自動車】ピクシススペース
最後の紹介となるピクシススペースは2011年9月に発売されたモデルで、ピクシスシリーズの先駆けとなりました。
ベースとなった車両は「ムーヴコンテ」です。残念ながら、2016年12月に生産終了しているため現在では新車購入はできませんが、性能は決して低くない軽自動車です。
ピクシススペースはムーヴコンテをベースとしているため、長所もムーヴコンテに準じます。
ムーヴコンテはその四角い外見が内部の居住性を高める一因となっており、ピクシススペースでもゆったりとした体勢で運転できる点が魅力です。
さらに、燃費も27.0km/Lと良好な数値を見せるため、軽自動車としては一般的な使い方ができるでしょう。
ピクシススペースの中古車価格は平均70万円です。中古車価格ではムーヴコンテに負けますが、乗る人があまり多くなかったためか、走行距離の少ない車が見られます。ムーヴコンテのような車が欲しい方は比較検討してみてはいかがでしょうか。
「ピクシススペース」(2014年4月発売モデル、Lグレード)
ドア数:5ドア
乗員定員:4名
全長:3,395mm
全幅:1,475mm
全高:1,655mm
ホイールベース:2,490mm
車両重量:830kg
最高出力:52ps(38kW)/6,800rpm
最大トルク:6.1kg・m(60N・m)/5,200rpm
種類:水冷直列3気筒DOHC12バルブ
総排気量:658cc
燃料タンク容量:36L
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
JC08モード燃費:27.6km/L
最小回転半径:4.5m
駆動方式:FF
トランスミッション:CVT(無段変速車)
【最新】ピクシスシリーズ 売上人気ランキング
ピクシスシリーズの売上人気ランキングは以下のようになっていました。
第1位 ピクシスメガ
第2位 ピクシスジョイ
第3位 ピクシスエポック
第4位 ピクシスバン
第5位 ピクシストラック
シリーズの中では、軽自動車が上位に来ており、バンとトラックがそれぞれ4位と5位を占める結果となりました。面白いのは1位~3位の軽自動車の並び方で、人気の軽トールワゴンであるピクシスメガが1位なのは納得できます。
第2位には燃費性能に優れたエポックが来ると思っていましたが、ピクシスジョイが第2位という結果になっています。結果を見ると燃費・実用性だけではなく、デザイン性能・ホビー目的で購入するピクシスユーザーは多いのかもしれません。
まとめ
ここまで紹介してきた通り、ピクシスシリーズはダイハツの各ベース車両と性能の違いはありません。しかし、ピクシスシリーズには独特の良い所があります。
ピクシスシリーズは今後もダイハツから新たな供給を受けて新シリーズが発売される可能性があるため、もし欲しいダイハツのモデルがあるなら、トヨタに要望を送ればかなうかもしれません。これからのピクシスシリーズも楽しみです。