e-BOXER(イーボクサー)とは
スバル XV e-BOXER
■e-BOXER(イーボクサー)とは、スバル独自のパワーユニット
e-BOXERとはスバルが開発したパワーユニットです。
スバルの代名詞である水平対向エンジンに独自のハイブリッドシステムを搭載し、それらの総称をe-BOXERと呼んでいます。スバルのハイブリッド車に搭載されているシステムと考えるのが的確です。
e-BOXERではエンジン/モーター/バッテリーという3つの部品が重要な役割を果たしています。
エンジンによる駆動が基本となっていて、エンジンとモーターを走行場面や選択した走行モードに応じて最適化してくれるんです。
e-BOXERの特徴の1つとして強調されているのが、優れた重量バランスと低重心を兼ね備えたシステムレイアウトです。
上述したエンジン/モーター/バッテリーという3つの部品それぞれが左右対称に、なおかつこれらの部品が一直線上に配置されています。
水平対向エンジンのメリットの1つである低重心さと合わせて、このようなシステムレイアウトを達成しています。
エンジンやバッテリー自体のコンパクト化もなされています。
場面に応じた専用制御による走行モードの種類
e-BOXERでは5つの制御状態が存在しています。ここではそれぞれの制御について見ていきましょう。
■EV走行
EV走行とはモーターのみを使って走行する方法です。発進時と低速走行時に用いることで、低速回転域におけるエンジン効率性を補うようになっています(状況によってはエンジンを始動することがあるとのこと)。
■モーターアシスト走行
モーターアシスト走行は、エンジン駆動に加えてモーターを稼働させる走行方法です。形としてはエンジン駆動をモーターが補助するというようになっています。
これら2つのパワーユニットを用いた加速を可能にすることがモーターアシスト走行のメリットです。
■エンジン走行
その名の通りエンジンのみを用いて走行する方法です。高回転域ではエンジン効率が優れているので、モーターを使わずとも気持ちよく走ることができます。
エンジン走行時のモーターの役割は、モーターを回して駆動に使うのではなく、必要に応じてバッテリーの充電を行うことです。
■回生ブレーキ
回生ブレーキはアクセルオフの状態やブレーキングをしている時に発生するもので、減速エネルギーを電気へと変換します。これによってe-BOXERのバッテリーを走行中にも充電することができるというわけです。
■アイドリングストップ
アイドリングストップ機能も搭載されています。ブレーキを踏んで車が停車した時にエンジンを停止させるシステムです。
これによって停車中のエンジンへの燃料供給を中止させて無駄な燃料消費を防ぐことができるようになっています。
e-BOXER(イーボクサー) 機能別の専用制御
上記で紹介した走行場面に応じた専用制御に加え、機能に応じた専用制御をすることもできるようになっています。
軽快な走りを提供してくれるSI-DRIVEのスポーツモード、アイサイトの全車速追従機能付クルーズコントロール使用時に利用できる回生ブレーキとモーターアシストを利用するECOクルーズコントロール、そしてモーターのトルク性能やレスポンスを活かして走破性を高めたX-MODEという3種類の専用制御です。
これらを見ても分かる通り、燃費を意識したシステムであるだけでなく走りを楽しむこともできて実用的なシステムとなっています。
e-BOXER(イーボクサー)の搭載車両
e-BOXERがどのような特長を持ったパワーユニットであるかを説明したところで、スバルの現行ラインナップでe-BOXERを搭載する2車種のフォレスター Advanceとスバル XVについて紹介します。
■フォレスター Advance
スバル フォレスター 新型(アドバンス)
フォレスター Advanceはe-BOXERを搭載するグレードです。フォレスターには現在4つのグレードが用意されていて、その中で唯一e-BOXERを搭載しているのがAdvanceになります。
排気量2.0L の水平対向4気筒16バルブデュアルAVCS 直噴エンジン(型式FB20)とe-BOXERそしてリニアトロニックを組み合わせたパワートレインです。最高出力107kW(145PS)/6,000rpmに最大トルク188N・m(19.2kgf)/4,000rpmのスペックを備えています(値は共にグロス値です)。採用されているMA1型交流同期電動機で、最高出力10W(13.6PS)の最大トルク65N・m(6.6kgf)となっています。
スバル フォレスター 新型(アドバンス)
燃料消費率(燃費)はWLTCモードで14.0km/Lとなっていて、フォレスターの全グレードの中で最も優れた数値です。特に市街地での燃費が優れていて、11km/Lとなっています。
そのほかの情報としては、全長4,625×全幅1,815mmx全高1,715mm、車両重量はオプション装着無しの状態で1,640kg、最低地上高220mm、駆動方式はもちろん4WD、といった感じです。
なお、フォレスター Advanceの減速比3.900で、その他のグレードでは全て3.700となっています。e-BOXER搭載車の方がファイナルを落としてある点もポイントです。
■スバル XV Advance
スバル XVアドバンス
スバル XVには5つのグレードが用意されていて、その中で唯一のe-BOXER搭載グレードであると同時に最上位モデルにあたるのがAdvanceグレードです。
エンジンはフォレスター Advanceと同じFB20エンジン、モーターはMA1型を搭載しています。エンジンスペックからモーターのスペック、そしてバッテリーまで全て同じです。
そのほかの情報としては、ボディサイズは全長4,465mm×全幅1,800mm×全高1,550mm、車両重量1,550kg、燃料消費率がWLTCモードで15.0km/Lとなっています。
まとめ
今回はe-BOXERについて、その仕組みや特長、走行場面や機能に合わせた専用の制御、並びにe-BOXERが搭載される車種の情報を紹介しました。
スバル独自のハイブリッドシステムであるe-BOXERは燃費性能を向上させると同時に走行性能を高めることにも活用され、エコに意識しながらスポーティーな運転を味わうことができるようになっているのが印象的です。
現在e-BOXERを搭載しているフォレスター Advanceとスバル XV Advanceはどちらも同じエンジンですが、車両重量やボディサイズなどで細かな違いならびにモデルそのものの狙いが異なりますので、e-BOXERに魅力を感じる方はそれらの違いに注目して購入されることをおすすめします。