軽自動車に関する基本事項を知ろう
■軽自動車の定義と始まり
軽自動車とは、軽自動車規格に基づいて製造された自動車のことです。日本独自の規格としても知られています。
軽自動車の規格は、全長・全幅・全高・エンジン排気量によって構成されていて、これら4つの事項を全て満たす必要があります。これら4つの要素の具体的な数値は次の通りです。
全長:3,400mm以下
全幅:1,480mm以下
全高:2,000mm以下
エンジン排気量:0.66L以下
軽自動車として販売されているものは、どの車種も上記の条件を必ず満たしていることとなります。
軽自動車の規格が制定されたのは1949年7月で、その後には12回に及ぶ規格の変更が為され、現在の規格は1996年9月に定められたものとなっています。1949年というと今からちょうど70年前、軽自動車の歴史は非常に長いです。
■日本全国の軽自動車の登録台数
2019年8月末時点の国土交通省のデータ「検査対象軽自動車保有車両数」によると、事業車283,286台、貨物車・乗用車・特種用途車が合計479,756台となっています。
軽自動車の人気の理由とは
■その1:維持費が安い
軽自動車が人気となっている要因で最も大きいものは、維持費の安さです。維持費の安さ、具体的には税金になります。
みなさんもご存知の通り、軽自動車にかかる税金で主要なものには軽自動車税と自動車重量税の2つが挙げられます。軽自動車税とは毎年4月1日時点で軽自動車を所有している方が支払う義務のある税金(地方税)、自動車重量税は車検のたびに支払う税金で自動車の重量などに応じて課金されます。
新規登録から13年未満の自家用乗用車の軽自動車なら軽自動車税は7,200円~10,800円、13年以上経過していると12,900円となっています。重量税も同様の仕組みとなっていて、登録から13年未満なら6,600円、13年以上なら8,200円、18年以上8,800円です。
軽自動車ではなく自家用乗用車の場合、排気量1.0L以下の自動車ですら自動車税で29,500円で、軽自動車税の最も高い場合と比較しても約2.7倍となっています。
重量税は車両重量0.5tあたりにつき4,100円/年で、継続車検時には2年分支払うので、車両重量1.0tの未満のコンパクトカー(新車登録から13年未満)なら16,400円です。
乗用車と比較すると、軽自動車にかかる税金が少ないことは明らかですね。
■その2:車両価格が安い
ホンダ S660 モデューロX
2つ目の魅力は車両価格が安いことです。カーナリズムで紹介している軽自動車の紹介記事でも軽自動車の価格を紹介しているので、そちらをご覧いただくと安さをより感じることができるかと思います。
軽自動車の新車は車両価格で100万円を下回るモデルが一定数存在しています。車両価格の高いモデルだと200万円というモデルもあるくらいです。ホンダ S660 Modulo Xの2,850,120円のような高額モデルもありますが、これはモデューロ特別仕様車のため、例外と考えてよいでしょう。
一昔前の軽自動車と比べると軽自動車の価格も高くなりました。しかし、乗用車の新車価格と比べるとその安さは明らかで、新車の車両価格が100万円を下回る乗用車は販売されていません。
軽自動車でもより良いものやスポーツタイプを選ぶと価格は上がりますが、車種をこだわらなければかなり安く抑えることができるのです。
■その3:燃費が良い
魅力その3は燃費が良い点です。様々な軽自動車を見ていると、総じて燃費性能が良い傾向にあります。ハイブリッドシステムを搭載する軽自動車も販売されるようになり、小排気量で軽量なボディと合わさって低燃費な軽自動車へと仕上がっているという印象です。
カーナリズムの兄弟サイトであるe燃費で軽自動車の実燃費ランキングをチェックすると、1位にランクインしているダイハツ ミライースは実燃費で22.92km/Lを記録しています。JC08モードカタログ値では32.2~35.2km/Lと、ベストコンディションでの燃費性能も高いです。
10位にはダイハツ ウェイクという軽トールワゴンに分類される車種がランクインしています。JC08モードで23.2~25.4km/L、実燃費で14.08km/Lです。
■魅力その4:街中での取り回しが良い
4つ目の魅力は街中での取り回しの良さにあります。
すでに紹介したように軽自動車のボディサイズは全長3,400mm以下・全幅1,480mm以下・全高2,000mm以下に定められています。デミオやヴィッツなどが該当する小型乗用車(5ナンバー)の条件は全長4,700mm・全幅1,700mm以下・全高2,000mm以下と定められていて、軽自動車よりも大きいです。
もちろん車両によって大きさは異なりますが、小型乗用車と比べると軽自動車はよりコンパクトになっていることがわかります。ボディサイズが小さければ車幅を気にせず狭い道を通ることもできますし、狭い駐車場でも大活躍です。
■魅力その5:下道を走るには十分なエンジン性能
魅力その5は下道を走るには十分なエンジン性能を備えている点です。
日本国内には軽自動車に搭載するエンジンの馬力を64馬力に規制する軽自動車馬力規制というものがあります。法律ではなく各自動車メーカーが自主的に規制するというものです。ちなみに、実際に上限ギリギリの64馬力のスペックを持つエンジンのほとんどがターボチャージャーを装着しています。
実際に軽自動車に乗ってみるとわかることですが、日本国内の下道(一般道路)の法定速度の上限は時速60kmとなっているので軽自動車でもそれほどストレスを感じることなく走行することが可能です。
軽自動車を購入する際に理解しておきたいこと
■乗車定員は大人最大4名 例外はある?
軽自動車の乗車定員は最大で大人4名です。一般的なコンパクトカーやSUVでも乗車定員は5名となっているので、軽自動車との大きな違いとなります。自分を含めて5人以上の大人でドライブをする機会のある方は、注意しましょう。
なお、12歳未満の子ども3人であれば大人2人としてカウントすることができます。つまり、軽自動車の後部座席に子供3人乗せても良いということです。ただし、シートベルトが1人分足らなくなります。
■小型乗用車よりもパワーが無い
小型乗用車よりもエンジンパワーが少ないということも覚えておきましょう。1.5Lエンジンのコンパクトカーであれば、最高出力110馬力に最大トルク130N・m程度のスペックとなっています。それらと比べると軽自動車のパワーの無さは明らかです。
高速道路のような100km近くの速度域で走ると、より感じることができるでしょう。
ドライブを思いきり楽しみたい、という方はあまり軽自動車向きではないかもしれないですね。
■運転時のフィーリングについて
よく言われているのは、今まで小型乗用車以上の車に乗っていた人が軽自動車に乗ると質感や剛性感の少なさを感じるということです。
確かに、小型乗用車以上の車と比較すると、ドアやボディ全体の剛性感、サスペンション、ブレーキetc、日頃から軽自動車に乗っていない方にとっては少し不満に感じる可能性もあります。
どういう人が軽自動車を購入するべきか
■移動手段としての車が必要
通勤や生活地点の地理的要因などで、移動手段として車が必要となる方であれば、軽自動車は便利です。車ですから購入にあたってある程度のお金は必要としても、全体的に維持費が安いので全体的にコストを抑えることができます。
■車の購入・維持費を抑えたい
車が無くても生活はできるけれど便利だから1台だけでも欲しいという方にも軽自動車は良いです。維持費は少ないので、割高感を感じることなく軽自動車を所有することができます。
■燃費性能に優れている車が良い
全体的に燃費性能に優れている軽自動車が多いので、燃費性能重視で車を選びたい方にも軽自動車はおすすめです。
■5人以上の大人を乗せる機会がほとんどない
5人以上の大人を乗せる機会がないのであれば、4人乗りの軽自動車でも乗車定員で困ることはほとんどありません。
■高速道路を走ることが少ない
高速道路を走行する機会が少なく、主に下道を走るという方であれば、軽自動車のエンジンパワーでもストレスなく走行することができます。下道や日常生活には軽自動車を使い、週末の趣味やちょっとしてドライブ専用に専用の車を所有する、という方法も良いでしょう。
まとめ
比較的購入しやすい車両価格に低い維持費、街中での取り回しやすさに燃費性能の高さなどが軽自動車が人気の理由であり、魅力になります。
小型乗用車と比べると性能的に劣る面があるとしても、軽自動車の使い方によってはそれが不便となることもありません。
ご自身の使い方にマッチしているのであれば、軽自動車を検討してみてはいかがでしょうか。