そもそもニュートラルの意味とは?
ニュートラルについて知ろう
「ニュートラル」は英語での「neutral」のことで、意味は「どちらにも偏らない」「真ん中にある存在」「中立的」などを指しています。一方に寄ってしまうことがなく、中間にあるのがニュートラルです。
また、人の気持ちや感情でも「どちらでもない」「はっきりしない」などの意味合いがあり、職場では「ニュートラルな立場を貫く」つまり、「どちらでもない立場をとる」という意味になります。
車での「ニュートラル」は、シフトチェンジする前のギアが入っていない状態を言います。車のみならず機械全般において「ニュートラル」とは、どちらにもギアが入っておらず動作が伝わっていないことを意味すると捉えて差し支えありません。
オートマチックの車では、一例としてP・R・N・D・2・Lの順番でギアがあり、Nにすることでニュートラルになります。走行中の車はギアをニュートラルにすることでエンジンをかけたまま止まることができます。
エンジンとタイヤが嚙み合っていないのでアクセルを踏んでも動力がタイヤに伝わらず、吹かしているだけの状態になり、やがて車は停止するわけです。
車を止める時に同じようなギアでパーキング(P)ギアがありますが、このギアは車を完全に止めるためのギアであり、ロックもかかるため動かすことはできません。
ニュートラル(N)ギアは、ギアが噛み合っていないため抵抗がなく動かせるのです。
緊急時に活躍!
ニュートラルは車が止まっている時に使用するイメージですが、実際ニュートラルは緊急事態の時に活躍するギアなのです。
車が故障し走行できなくなった場合、シフトノブをN(ニュートラル)にしてレッカー車などに引っ張ってもらう時や押して移動させる時に使用するギアになります。
もし、踏み切りの真ん中でエンジンが停止してしまって身動きが取れない状態の時にロックされるP(パーキング)ですと、車の後ろから押してもなかなか動かすことができません。
その場合でもタイヤロックされないN(ニュートラル)を使用し、安全な場所へ移動させましょう。
ニュートラルギアは何のために必要?
ジープ チェロキー
ニュートラルギアの必要性について見ていきましょう。
■ニュートラルギアの使い方(使いどころ)
渋滞で長い時間車を停止させる時にもニュートラルを使用します。
パーキングでも良いのですが、停車するたびにシフトノブをパーキングまで持っていくとリバースの「R」を通過するため、バックランプが点灯してしまい後続車が驚く可能性があります。
また、運転中にペダルの踏み間違えや「R」と「D」を間違えて運転手がパニック状態になっている際に車が暴走してしまうため、その暴走を止める手段にもニュートラルは使えるので知識として記憶することをおすすめ致します。
車の故障はいつきてしまうのか誰にも予測がつきません。エンジンの故障だったり、エンジン以外の故障だってあります。定期的にメンテナンスを行っていても突然くる故障には、ご自身では対応しにくいものです。
万が一の場合、故障してもすぐ移動できるようにギアをニュートラルにする癖を付けておくと良いでしょう。ニュートラルギアに入れることができれば、後は押してあげると動かすことができます。
ニュートラル走行は危険?
何故、ニュートラルに入れて走行すると危険なのか見ていきましょう。
■下り坂でニュートラルに入れると危険?
下り坂で使っても大丈夫?
ニュートラルギアに入れ、車を流すように下り坂を走ると燃費向上につながると言う方もいますが実はその逆なのです。
エンジンブレーキは、ガソリンを消費することはないのです。それに対してニュートラルはアイドリングになりますので、エンジンブレーキは掛かりません。
フットブレーキだけで下ると、ブレーキパッドが焼けてしまい効きが悪くなって「フェード現象」が出てしまう可能性が高くなってしまいます。
更には、液圧系の場合は加熱が起こり内部に蒸気で気泡ができてしまい「ベーパーロック現象」が発生することもあり、その時気泡が圧力効果を低くしてしまうのです。
そうなってしまうとフットブレーキを使用しても止まることができず、危険が増えてしまいます。
走行中、下り坂でアクセルを離すとエンジンブレーキがずっと掛かっているため車の重心は前にある状態なのです。そのため、前輪に圧がかかりフットブレーキやハンドリング操作が可能になります。
更に、下り坂でアクセルを踏んでいない状態だと、自動でニュートラル状態になって燃費を良くしようとする車種もあり、ほとんどが外車で、これを「コースティング機能」と呼ばれています。
その機能がある車は、アイドリング中でガソリンをあまり使わない直噴エンジン車であることが多く、走行中にニュートラルも使用することが考えられているため「コースティング機能」が装備されている車以外では、下り坂でもニュートラルを使う必要はありません。
■信号待ちでニュートラルに入れると危険?
信号待ちでの使用は?
一番危ないことが「ニュートラル」に入れたことを忘れていて、信号が青に変わった時にアクセルを踏んで吹かしてしまうということです。
そこで慌てて「ドライブ」に入れてしまうと急発進する可能性があるため、前の車に追突する危険性があります。
また、ニュートラルに入れて信号待ちをしていると後続車が突っ込んできそうな場合に前に進むことができず、避けることができず交通事故に巻き込まれる可能性が高まり危険です。
ギアをニュートラルに入れると燃費が向上するって本当?
ニュートラルと燃費の関係は?
昔の車はニュートラルギアを使うと燃費が向上した例があったようですが、現代の車は目で確認しても分からない程の差になっております。
ニュートラルギアはエンジンの回転数が落ち、残りの力で走っているような状態になりますが、エンジンはかかっているのでガソリンを使ってしまうのです。
現代の車はコンピューター制御システムにより、ニュートラルよりはドライブに入れたままエンジンブレーキを効かせた方が燃費が良くなり、摩擦力も少なくなるためギアの故障の確率も低くなるでしょう。
また、最近のエンジンは「フューエルカット」という機能があり、アクセルを踏んでいない状態でエンジンの回転数が高ければエンジンにガソリンが送ることを防ぎ、ある程度回転数が下がってから回復させるということです。
要するに、エンジンブレーキが効いてエンジン音が少しうるさくなってもガソリンはエンジンに送られていないため、燃費向上や節約につながるのです。
そんなに燃費に差がないことが分かれば、停止する時や下り坂でニュートラルに変えるよりはドライブのままエンジンブレーキを使って減速など行うことをおすすめ致します。
停止する時は長時間の場合、ブレーキを踏んでおく時間も長くなるため疲労回避のためにも、ニュートラルに入れサイドブレーキを引いて待っておくことがいいでしょう。
まとめ
安全運転で快適なドライブを!
ニュートラルはエンジンブレーキが効かないため、下り坂ではブレーキを普段より多く使わないといけません。しかし、それだと故障の原因になってしまいブレーキの効きが悪くなってしまいます。
ですから、ニュートラルを使う際は安全面にも考慮した上で使うようにしましょう。