オーバードライブの意味
オーバードライブの意味
本来オーバードライブというのは、機械や人などを「酷使する」ことを意味していますが、自動車の世界ではどういう事を指してこの言葉を使うのでしょうか?
車にはエンジンとタイヤの間にギアが装備されており、そのギアの切り替えを行うことで、タイヤが一回転する間に、エンジンは何回転をするかの調整を行っています。
このギアチェンジを手動で行うのがマニュアル車で、自動で行うのがオートマチック車です。
エンジンの回転数とトランスミッションの回転数の比率が1:1以上の状態(エンジン回転数がトランスミッション の回転数より多い状態)の事をオーバードライブと呼びます。
■【補足】ギア比について
ギア比についても少しだけ説明します。ギア比とは、簡単に言うと二つの歯車(ギア)の歯数の比のことです。
自動車の世界では、タイヤが1回転するのに、エンジンを何回転させるのかというのを表します。
ギア比が低い(大きい)と力は小さいが加速はしやすく、反対にギア比が高い(小さい)と力は大きくなり、加速がしづらくなるという特徴があります。
エンジンとタイヤを回転させる際、トランスミッションが介入することでこのギア比を変える役目を果たしています。
オーバードライブスイッチの使い方
スズキ ジムニー
オーバードライブが使われるケースを考えてみましょう。
急な上り坂だとパワーを要求されることもしばしあることでしょう。自力で登れないことはないのですが、やはりパワー不足は否めないところです。
オーバードライブは、瞬間的に加速を要求される追い越しをするときや下り坂が長い区間でエンジンブレーキを効かせたいときに有効とされています。
とはいえ、これらの条件を満たす場合でのスイッチ使用は車そのものに負担がかかりやすくなるというリスクを伴います。
■【補足】エンジンブレーキとは?
エンジンブレーキの原理は、エンジンの回転数を使ってブレーキをかけるといったものです。
下りの山道を走っていると、徐々にフットブレーキをかけながら運転すると思いますが、フットブレーキばかりを多用し過ぎるとその摩擦熱が原因で逆にブレーキの効き目を喪失することにも繋がります。
下り坂が続く峠道などでは、フットブレーキのみに頼らず、アクセルペダルから足を離してエンジンブレーキを効かせることで減速しましょう。
オーバードライブオフランプが点滅している時は?
ホンダ ゼスト
通常時は、ATミッションの状態がどのようになっているのかを表示するために点灯しています。
ATシフトそのものがD(ドライブ)に設定しているときで、オーバードライブそのものがオフになっていることで初めて点灯してくれるのです。
また、変速装置に不具合が生じたときに発生することもありますが、異常個所を知らせている可能性もあることから、最寄の整備工場でみてもらいましょう。
オーバードライブスイッチがない車もある
一昔前の車には当たり前のようについていたオーバードライブスイッチですが、最近では無段変速機の導入によりオーバードライブスイッチがない車種も増えています。
オーバードライブスイッチは歯車によって変速してくれますが、無段変速機は歯車の概念よりもプーリーにベルトを巻き付けながら変速を行う形にシフトしているからです。
この技術により、各自動車メーカーもオーバードライブスイッチの役目は終わったものとされ、無段変速機の導入に積極的となっています。
オーバードライブについて気を付けたいこと
スズキ アルト X
オーバードライブ車を運転している方にとって注意しておきたい点がありますので、これから運転する方にとって要点を紹介しておきましょう。
■燃費にも注意
オンにすることで、エンジンの回転数を抑えて走行することができます。
そのため、燃費向上に繋げることができます。
■基本的にオンにしたままで運転する
スイッチを不用意に押して、それによる車の挙動の変化に気を取られて事故が起こる可能性もゼロでありません。
せっかくのドライブが台無しにならないよう、出発前にはスイッチをオンにしてあることを確認してから運転をしましょう。
まとめ
スズキ アルト X
今回の記事ではオーバードライブについて紹介してまいりましたが、最近の車種ではそのシステムを導入していない車種が増えているのを目の当たりにすると時代の流れを痛感します。
高速走行中に一瞬だけ加速したい場合など、シフトノブの小さなオーバードライブスイッチを押して、前方の車を追い越し、またスイッチを押すという動作はもう見られなくなりつつあります。
それは、オーバードライブというシステムが過去の遺産になるくらい自動車の技術が進んでいることを物語っているのでしょう。