スポイラーとは?
【シトロエン C6 日本発表】速度感知式可変リアスポイラー
スポイラーとは、元々は航空機やグライダーなどのエアブレーキの事を指しており主翼の上部に装備されています。
スポイラーを直訳すると「損ずる・害する」ものという意味で、空気を堰き止めて力に変える装備なのでその名で呼ばれています。
では、車に装備されているスポイラーはどのように使用されているかというと、使用された当初、70年代のツーリングカーレースやシルエットフォーミュラに装備されたフロントスポイラーは「エアダム」とも呼ばれていました。
ディフューザーがない頃に車体の下に入った空気が抜けない事で圧力が高くなり、リフトフォースを発生させる原因を解決するために開発されました。車体の下に流れこもうとする空気を遮断し車体の側面にかき分ける空力デバイスです。
しかし、現代の車のスポイラーは空気の流れを堰き止める働きではなく、車体の先端で発生する空気の渦を押さえて揚力と空気抵抗を低減させるものに変わっています。
スポイラーの仕組み
マツダが米国で特許申請した格納式リアスポイラー
スポイラーには様々な種類とそれぞれの効果や意味を持っています。
例えば、フロントスポイラー・リアスポイラー・GTウィング・ディフューザーなどがあり、これらは「エアロパーツ」と呼ばれます。
エアロパーツは「空気=エアロ」その名の通り、空気力学により車の性能を向上させブレーキやエンジンの冷却効果を高め、車体の汚れを防ぐ事などを目的に使用される部品の種類のことをいいます。
空気力学により車の性能を向上させるというのは、車体を地面に押さえる力や空気抵抗を少なくさせる力で、「ダウンフォース」を掛ける力を強めるという事です。
抵抗を少なくすることで車は、速くなりその力が強ければ強いほど高速で走ることができ、カーブでの安定性があがるのです。
また、上記の説明は、レースで使用される事が想定され設計されていますが、公道でオシャレのために使用されるドレスアップが目的のエアロパーツもあります。
これらは、レース用のものからフィードバックされて制作されているものも多く、ものによっては燃費が落ちることや、車高が低すぎるゆえに起こるトラブルなどもあり得ます。
そんなことにならないように、気をつける必要があります。
■リアスポイラー
ホンダ・シビック・タイプR (欧州仕様)
エアロパーツの中でも、「リアスポイラー」とは、車の後部=リアに装備するということでその名が付いています。
装着する場所は、車種やタイプで違ってきますがセダンなどの後部が出っ張った形の車体の場合はトランクの上部になり、ハッチバックなどの場合はルーフの後端部などに装着します。
また、ハッチバックタイプのスポイラーはリアスポイラーでも別名で言われることもありテールゲートスポイラーとも呼ばれます。
特徴としては、リアスポイラーは、車体とスポイラーが密着しており車体後部の気流を取り除く目的で作られています。
その効果は、直線・ブレーキング・コーナリングなど、どんな場面でも走りが安定することです。特に高速走行の場合の効果は、歴然です。
さらに、加速がスムーズなことから燃費が良い傾向にあるのもその効果の1つといえるでしょう。
なぜ、安定走行が可能なのか?
車は、車体に沿って前から後ろに空気が流れていきます。空気が車体から離れていく時に回転する力を持った渦ができます。その渦が空気を乱し走行する車の進行と反対方向に引っ張る力を作り出してしまい、速度が落ちるのです。
そのような状態にならないようにリアスポイラーが効果を発揮しているのです。
■フロントスポイラー
GRフロントコーナースポイラー GRパーツ
フロントスポイラーには沢山の種類が存在し、車のフロント部分やバンパーに取り付けるエアロパーツを総称がフロントスポイラーと呼ばれています。
装着する場所は、フロントバンパーと一体となっているフロントバンパースポイラーやフロントバンパーの下の部分に装着するフロントアンダースポイラー・リップスポイラーなどがあります。
元々取り付けられているフロントバンパーを残したまま取り付けるタイプはハーフスポイラーと呼ばれており、取り付ける箇所により分けられています。
エアロパーツとして人気があるフロントスポイラーですが、ドレスアップが目的のものが多いようですが、機能としてはダウンフォースを得られます。
また、ブレーキを効率的に冷やすなど車の安定や走行性能を確保することが目的となっています。
スポイラーの修理は?
スポイラー 「美しくかつスポーティにカスタム」
次に、スポイラーのキズの修理方法について見ていきましょう。
① 洗車・キズを削る
洗車後、キズの表と裏にシリコーンリムーバーをスプレーしタオルなどで拭き取ります。
ササクレや盛り上がっているものをカッターなどで削ります。
② 下地研磨・サンドペーパー
パテの接着をよくするために、キズとその周り3cmほどを100番の耐水サンドペーパーで水をつけずに塗装をはがすように研磨します。
③ 脱脂
水分を拭き取りシリコーンリムーバーをし、汚れや油分を取り除き、タオルで拭き取ります。
④ 接着
グラスファイバーで、スポイラーの裏(割れた箇所)を補修します。
補修する場所に合わせてグラスファイバーをカットし、FRP補修キットのレジンか超強力接着剤を補修箇所に塗布していきます。
すぐに2枚重ねにしたグラスファイバーをのせヘラでよく圧着させ染み込ませます。
⑤ 硬化
固まるまで、自然乾燥で20分~30分程待ちます。
⑥ パテ
FRP用パテ(レジンとパウダーを混ぜたもの)をヘラにとり、キズを埋めるように成形していきます。
ゆっくりと薄くキズにパテを押しこむようにし、きれいにキズが見えなくなるように重ねて塗っていきます。
その後、自然乾燥で15分以上おきます。
⑦ 研磨
⑥で塗ったパテを100番の耐水サンドペーパーで水を付けながら、研磨していきます。
補修箇所との段差がなくなるよう320・600・1000番の順で水をつけ研磨していきます。
⑧ パテ研磨(ひっかきキズ)
研磨でできた細かなキズの補修と表面を整えるために「ひっかき傷を直すパテ」を薄く塗布していきます。
パテが硬化したら320・600・1000番の耐水サンドペーパーで水をつけながら研磨します。
⑨ マスキング
マスキングを施します。
⑩ FRPプライマー
吹き始めの液だれやスプレーの飛び散りを防止するために、段ボールなどで補修箇所に合わせて、あて紙を作っておきましょう。
FRPプライマーを補修箇所よりも一回りぐらい大きめに薄く2~3回を10分間隔でスプレーして30分ほど乾燥させます。
⑪ ペイント
プラサフ→脱脂→カーペイント→クリアペイント→ぼかし剤→乾燥1週間→コンパウンド
の順番で施工していきます。
スポイラーの塗装について解説 自分でもできる?
スポイラーをガッチリ守る「リップスポイラー」
塗装は、自分でする方法と整備工場などにやってもらう方法になりますが、ここでは簡単に材料と費用、また依頼した際の料金をご紹介していきます。
■DIYの場合
上記でも記載しましたが、手順としては、
プラサフ→脱脂→カーペイント→クリアペイント→ぼかし剤→乾燥1週間→コンパウンド
となります。
必要なもの
〇耐水サンドペーパー:220~1000ぐらい
〇密着剤:下地の素材と塗料の密着を強める下塗り剤
〇ウレタンサーフェーサー:素地と塗料の密着させる下塗り剤、また素地の凹凸を補修し均等の防錆効果もあります。
〇ウレタンカラー塗装:100~200mlぐらい、ラメなどが入っているものもオススメ。
〇ウレタンクリアー:トップコート
〇ぼかし剤
〇コンパウンド
費用
スポイラーは場所と数によって異なります。
ほとんどがスポイラー3点キットで39,800円からといった値段が一般的です。
ただし、マジョーラやパール塗装となると材料費が高くなります。
■整備工場の場合
スポイラーの塗装を業者に依頼した場合の相場は、20,000円からとなっており大きさやパーツの数、重ね塗り、模様などによって価格が変動します。
また、取り付けは別途料金が掛かります。
【スポイラーを装備した代表的車種】スバル レヴォーグ
スバル レヴォーグ STIパーツ装着車
スポイラーを装備した代表的な車として、ご紹介したいのは「レヴォーグSTIスポーツ」です。
エクステリアにフロント・サイド・リヤサイド・リヤアンダーにSTI製のアンダースポイラーを装備しています。
フロントアンダースポイラーはセンターが反るような形をしており見た目だけでなく空力効果も期待できそうです。
さらに、リヤアンダースポイラーはディフューザー形状を採用しており、空力昨日をさらに高め高速安定性を確保しています。
まとめ
スポイラー ポルシェジャパン、911 向けエアロキット
今回は、スポイラーについてご紹介してきました。
純正のものやそうでないものも含め、かなり沢山の種類や装着位置によってその区分が異なることがおわかりになられたかと思います。
ドレスアップのために装着する・効果を求めて装着するなど様々ですが、やはり気を付けなければならないのは車検に通るようにしておくことでしょう。