スリックタイヤとは?
横浜ゴム スリックタイヤ比較
スリックタイヤとは原則的に、F1レースやスーパーGTなどといったカーレース(各種モータースポーツ)に出場する車が使うタイヤの事です。
一番の特徴は、一般的なものと比べ水はけなどの役割を果たす溝が存在しない点です。また、走行中の摩擦による発熱でゴムが解けるため、粘着力を利用することにより路面との摩擦を高めてくれます。
また、スリックタイヤはレースの予選用と決勝用に分かれています。硬さや性質により異なるのが一般的で、共通点は天候が晴れの時に使われる事です。雨が降ると使えませんので、溝が入っているレインタイヤへ交換することになります。
スリックタイヤは公道で使えるの?
「横浜ゴム スタッドレスタイヤ勉強会」スリックタイヤで雪道を走行する様子
結論から申し上げますと、公道での使用は法律により禁止されています。
スリックタイヤ自体はレースとして使うことを前提に設計されていますので、「道路運送車両法」に基づき、車に装備してから国道や都道府県道など各種公道へ出ただけで即アウトです。装備していいのはレース場だけと限られています。
販売についてはレースに出るための方(もしくはチーム)に限られるため、規定により譲渡できないよう定められています。
スリックタイヤのメリット・デメリット
メリット・デメリットについても知ろう
レースにおいて高いグリップ力で高速カーブを華麗に駆け抜け、なおかつ強いブレーキに耐える強靭性がメリットで、レースでより早く走れるような構造になっています。
しかし、スリックタイヤは構造上、晴天時限定のタイヤであることから雨に弱いという弱点を抱えています。それは、一般的なタイヤと比べ「溝」が一切ないことが原因です。
そのため、雨天で使用するとハイドロプレーニング現象の発生率が高く、車がスリップし、クラッシュするといったことに繋がろかねません。前述にもあるように、雨天の場合はレインタイヤへ履き替えます。
気になるスリックタイヤの価格は?
F1レースに使われるスリックタイヤ
一般的なカー用品店で見る機会はまずないスリックタイヤですが、レースなどの場面において必要と判断される場合、特殊なケースではありますが販売をしています。
値段に関しては、1本当たりの相場が5万円前後からとなっています。
4輪車だけでなくオートバイ用にもスリックタイヤは販売されていますが、当然ながら4輪車も公道で使うことは法律で禁止されています。こちらもオートバイレースなどの競技用として販売されていますが、販売ルートの限定や転売などが禁止されています。
スリックタイヤ入手に関する注意点
2016年 F1 ヨーロッパGP予選の様子
スリックタイヤは、根本的に競技用として用途を限定して開発されたタイヤとなっています。レースというごく限られた範囲内でしか使う機会がないため、カー用品店やガソリンスタンドなどという一般市場には流通していません。
タイヤ本体には「公道での使用はできません」という旨が記載されており、レースなど各種モータースポーツに用途が特化されているため基本的には出場選手や関係者相手の商品であること、第三者への譲渡及び転売行為が一切禁止されているなど、厳格な規定が定められています。
■「Sタイヤ」について
スリックタイヤによく似たタイヤに「Sタイヤ」というものがあります。
セミスリックタイヤなどと呼ばれることもあるように、一般のタイヤに比べて溝が少ないのが特徴です。また、「Sタイヤ」の場合は公道を走ることもできます。
タイヤの性能はスリックタイヤのようなレーシング用タイヤに近い構造ではありますが、公道に出て使うことができる反面、騒音が大きいことや寿命が通常のタイヤと比べ短いことから、レーシング用を前提に開発されたタイヤの一つであることを理解しておきたいものです。
まとめ
スリックタイヤかレインタイヤか・・・その選択が勝敗を決める!
スリックタイヤは、公道での走行は道路運送車両法により禁止されています。競技専用のタイヤを装備して一般道に走ること自体違法ですので、日常的に使うことは全く考慮されていない特殊用途のタイヤであることを覚えておきましょう。
また、タイヤに熱を帯びることにより本来の性能を発揮することが特徴で、実際のレースで使う場合は、レース場の路面状態や天気、それに気温などといった各種コンディションを十分把握しておくことは重要です。
スリックタイヤはレースをするために生まれてきた、まさに特別仕様のタイヤそのものです。タイヤは車の中でも重要な役割を担っていますので、ぜひご自身の車のタイヤについても良く確認してメンテナンスを行ってください。