TRDとは
86 TRD 14R-60
TRDとは、トヨタ自動車グループの一社である株式会社トヨタカスタマイジング&ディベロップメント(TCD)が手掛けるブランドの1つです。
かつて同じトヨタ自動車グループの完全子会社の1つであったトヨタテクノクラフト(TTC)が所有していましたが、2018年4月よりトヨタモデリスタインターナショナルと株式会社ジェータックスとの合計三社による統合でTCDが誕生しました。
TCDはトヨタや日野自動車の特装車事業、トヨタの高規格救急車ハイメディックなども手がけています。またTRDの他に、MODELLISTA(モデリスタ)も所有するブランドの1つです。
TRDってなんの会社?
トヨタ TRDライズ
トヨタ車はもちろん、それ以外のメーカーを問わず車に興味のある方であれば一度は耳にするであろうブランド・TRDですが、主にレーシングカーの開発を行っています。
またレースチームで培った技術を活かして、トヨタ車に向けたチューニングパーツの製造および販売業務もその事業の内の1つです。
商品の販売自体はトヨタのディーラーもしくはトヨタモビリティパーツ(トヨタ部品共販)にて、その他では著名なカーショップでも行われています。
前身であるトヨペットサービスセンターの頃は、ツーリングカーレース用の車両開発を手がけていました。
1970年代前半にはトヨタのワークス参戦活動が休止しますが、1975年にトスコ・デポを設立して翌年76年にはTRDに改称し、ブランド展開を開始して現在に至ります。
レースでよく見るTRD
トヨタ プリウス TRD
TRDは米国発祥ではない自動車メーカーとしては初となるNASCAR参戦を果たし、2007年にはNASCAR最高峰であるカップ・シリーズへと参戦するという偉業を達成します。
以降はシボレーやフォード、ダッジというアメリカのビッグ3と並び戦い続けています。このTRDの躍進は、アメリカ部門であるTRD U.S.A.との協力体制が不可欠でした。
エンジンとシャーシに関するエンジニアリングをアメリカ部門が先に行い、同じデータをトヨタの参戦チームと共有することにより、開発のスピードアップへと大きく貢献できたからです。
2008年の9月にシャーロットの中心地より北上したエリア、サリスバリーにて新ファクトリーをオープンしました。ここでは主に、シャーシのエンジニアリングをチームに供給することが目的です。
■チームTRDとトムス
TRDと同じく、トムスもトヨタにおけるモータースポーツ活動の看板と言えるブランドです。この二社の違いとして挙げられるのは、TRDはトヨタ直系のワークスチームであることです。
一方でトムスはトヨタのオフィシャルチューナーであり、密接な関係であるものの資本関係はなくセミワークスという立ち位置になります。
そもそもTRDとは、東京トヨペットの買い取った車両の整備再生事業がその始まりとなっています。1963年に開催された第一回日本グランプリの頃より、トヨタのモータースポーツ業務を正式に委託されました。
2年後にはTRDの前身である特殊開発部を設立し、さらに10年後の1975年にはモータースポーツ部品などの開発を行うトスコ・デポが設立されています。その翌年の1976年より、TRDブランドとしての活動を始めて現在に至ります。
現在はレーシングカーやカスタムパーツ・アフターパーツの開発、エンジンの開発などが主な業務です。加えてGRMNやコンプリートカー、コンセプトカーの他に特装車両の開発・生産に携わるなどその事業は多岐にわたります。
対してトムス(TOM'S)は、1974年に設立されたブランドです。翌年にはトヨタチューニングショップの認定を受けたのち、1982年にはWECグループCに参戦しています。
87年にはトヨタ・チーム・トムスとしてル・マン24時間レースに参戦しました。以後JGTCやF3、スーパーフォーミュラなどの数々のレースにおいて数多くのタイトルを獲得しています。
TRDの手掛けるトヨタの車種
トヨタ TRDグリフォンGT86
TRDが手掛けるトヨタの車種として、GRMNの車両開発が挙げられます。GAZOO活動の一環として行われたプロジェクトであり、86やマークXをベースにして開発され台数限定で販売されたコンプリートカーです。
年間販売台数のトップの座を記録し続ける、カローラシリーズにもTRD仕様車があります。通常のカローラに加えて、カローラツーリングやスポーツも同じくTRDによってリリースされています。
トヨタ最小のミニバンであるシエンタや、世界初の量産ハイブリッド車であるプリウスなども同様です。
■TRDの手掛けるレクサスの車種
パーツ開発のコンセプトとしては、エアロダイナミックコントロールとトータルバランスの2点が主体です。洗練されたスタイルかつ機能美を追求したスポーツパーツをテーマとしています。
シンプルな造形でありながらも空力性能の総合力を飛躍的に高めたエアロパーツと、ドライバーの心をくすぐるサウンドを轟かせるスポーツマフラーが大きな特徴です。
純正の車体カラーを際立たせるべく、黒色塗装のブラックエディションも設定されています。
TRDの知名度
GRロゴ入りアルミテープ
日本を代表するレースで必ず目にするTRDですが、何といってもその地位を向上させたのは同ブランドが開発したエアロパーツといっても過言ではありません。
レーシングパーツサプライヤーから始まり、トヨタ車のカスタムパーツ開発に長年携わっているTRDは、多くのドライバーから人気があります。
たとえば後期30アルファード用のエアロパーツを例にとってみても、ブランドの特色であるスポーティーさを意識させるデザイン、LEDスポットライトやメッキガーニッシュなど目を引く要素が満載です。
エアロを始めとした各種パーツ類はトヨタの各車種にマッチする一方で、車体の外観の雰囲気を一新する力を持ち合わせています。
日本国内においてはもちろん、海外でもTRDのパーツは高い人気を誇っています。国内ではアルファードを例に挙げても、TRDのエアロパーツは売却査定時においてプラスになることが多い様です。
■TRDのステッカー
多くのトヨタのスポーツタイプの車両に貼られているステッカーのうち、やはり人気が高いのはTRDです。赤色もしくは黒色の背景に白地のTRDのロゴ、縁なしの黒文字のロゴなどいくつかのバリエーションが用意されています。
もしくはブランド名の略称ではなく、レーシング・ディベロップメントを象ったステッカーもあります。
サイズも多彩であり、車体に直接貼るタイプから身の回りの愛用品に貼って楽しむためのミニステッカーまで、その種類は幅広いです。
TRDの商品
トヨタ RAV4 TRDオフロード
その地位を築き上げたエアロパーツやマフラーだけでなく、TRDはさまざまな商品をリリースしています。
圧力損失の低減とろ過率のアップが見込めるスポーツオイルフィルターやエレメント交換型オイルフィルター、デファレンシャルギヤのための超高性能潤滑油であるLSDオイルなど実に多彩です。
スポーツモデルに適した超高性能エンジン用のエンジンオイル、ラリーやレースだけでなくストリート走行にも適したオイルなどもあります。
ゴムブッシュによる優れた衝撃吸収能力を発揮するスポーツリンク、足回りと共に強化しておきたいメンバーブレースなど枚挙に暇がありません。
■TRDはスポーツカー専門ではない
86をとしたスポーツカーだけでなく、ハイエースなどキャブオーバー型の乗用車に向けたパーツも手掛けています。
ボディ部から見ていくとフロントスポイラーに始まりサイドスカート、リヤのバンパースポイラーなどが挙げられます。
快適な走りと安定感を提供するアルミホイール&タイヤセット、運転席と助手席用のシートやサンシェードまで用意されているほどです。
ルックスをより一層スタイリッシュに演出したいなら、TRDのロゴが配置されたプロテクションシートがおすすめです。
まとめ
TRDのノア、ヴォクシー、エスクァイア向けカスタムパーツ装着車
TRDは東京トヨペットの下取りを行う中古車再生が目的に設立され、1976年より本格的にブランド展開を始めました。
主要なレースで必ず目にするほどのチームと、そこで培われた技術を基に優秀なパーツをリリースし続けています。