8ナンバーとは何?
ジャパンキャンピングカーショー2017
8ナンバーとは、特種用途自動車に与えられるナンバープレートで、管轄支局の横に書かれている分類番号が8で始まるもののことです。
特種用途自動車は、国土交通省による分類では、パトカーや消防自動車や救急車などが当てはまる『専ら緊急の用に供するための自動車』、採血車や図書館車などが当てはまる『法令等で特定される事業を遂行するための自動車』があります。
またその他にも『特種な目的に専ら使用するための自動車』として、ミキサー車やゴミ収集車などの特種物品を運搬するための車、患者や車いす利用者輸送用の車、はしご車や高所作業車などの特定の特種作業向けの車、キャンピングカーや放送宣伝車などの特種設備を有する車の4種類も、それぞれ特種自動車自動車に分類されます。
この中で、個人として関わりがありそうなのは、人気の高まっているキャンピングカーやキャンピングトレーラーではないでしょうか。そんな8ナンバーについて詳しく見ていきます。
8ナンバー登録で維持費はどう変わる?
お金
8ナンバーを与えられた自動車は、乗用車登録された車に比べて自動車税種別割や重量税といった法定費用が安く設定されています。
それに対し、車検時の点検整備料金・検査代や修理代、保険料が、特種車両である8ナンバー車は比較的高い料金設定である場合が多くあります。
また、自動車の購入費や日々のメンテナンス代を鑑みると、維持費に大きな違いはありません。
■1. 車検
8ナンバー車は、自家用乗用車と比較して車検期間や費用が異なり、自家用乗用車の車検期間は新車購入後に初回3年後・以後2年ごとですが、8ナンバー車の車検期間は新車・中古車を問わず2年ごとと決まっています。
車検時の手数料は、自家用乗用車・8ナンバー車ともに変わりありません。車検と同時期に、自賠責保険と重量税を更新します。
■2. 税金
自動車に関わる税金は、自動車税環境性能割(旧・自動車取得税)・自動車税種別割・自動車重量税の3つがあります。1つ目の自動車税環境性能割は、自動車を取得した方に対して課せられる地方税で、新車・中古車の購入だけでなく、無償譲渡された場合にも課税されます。
納付先は都道府県で、税率の設定は自家用乗用車と8ナンバー車では区別されません。2つ目の自動車税種別割は、自動車の種類、用途、排気量などにより決まっています。
2020年8月現在の東京都での税額を例にとりますと、令和元年10月1日以降に初回登録された車では、自家用乗用車では1.0L超 1.5L以下の標準税率は30,500円なのに対し、同じ排気量の8ナンバー車は24,400円と、6,100円ほど安くなります。
この差額は排気量が大きくなるほど広がっていき、4.5L超 6.0L以下では87,000円と69,600円となり、差額は17,400円です。
この8ナンバー車とその他自家用車の税額の相違は、2割ほどあり、8ナンバー車の方が安くなっています。
3つ目の自動車重量税は、自家用乗用車の場合、定員分の重量を含まない車両重量に応じて課税されますが、8ナンバー車の場合は、定員分の重量と最大積載量分の重さも含む車両総重量で課税されるため、単純な車両の重さによる比較はできません。
2020年8月現在の継続車検時の税額を例にとると、エコカー減税対象外・登録から13年未満で車両重量が2,600kgの乗用車では2年分で49,200円ですが、同等の条件で車両総重量が2,600kgの8ナンバー車は24,600円となり、同等の重量区分では8ナンバー車がかなり割安に設定されていることが分かります。
しかし、8ナンバー車は使用目的に応じた特種装備が備え付けられることを前提とした分類になっているので、実際に架装後のキャンピングカーの車両総重量で計算すれば、自動車重量税の差は大きくならないことが予想されます。
■3. 保険料
自動車に関わる保険は、自賠責保険料・任意保険とありますが、任意保険は保険会社によって違いがあるので、自賠責保険について見ていきましょう。
2020年8月現在の24カ月分の保険料で比較すると、自家用乗用自動車が21,550円、軽自動車が21,140円なのに対して、8ナンバー・普通車のキャンピングカーでは24,020円、8ナンバー・軽自動車のキャンピングカーでは12,760円となっています。
軽自動車の場合は8ナンバー車の方が安く設定されていますが、普通車の自賠責保険料については、8ナンバー車は高い設定となっています。
■4. 高速道路の通行料金
高速道路の通行料金は、車検証などからどの車種区分になるのか判断されています。
二輪自動車を含めた軽自動車、小型自動車・普通乗用自動車などの普通車、マイクロバスなどの中型車、路線バスなどの大型車、大型特殊自動車などの特大車といった5つで区分されています。
車種は形状・規格・乗用/貨物タイプ用といった種類に応じて判別されているので、自家用乗用車と8ナンバー車で料金が変わることはありません。
ただし、マイクロバスなどの中型車扱いになる車をベースにしたキャンピングカーでは、8ナンバー登録することによって、定員が10名以下であれば普通車区分の料金で高速道路を利用することができます。
8ナンバー登録のメリット
ハイエースベースのオリジナルレンタカー
8ナンバー車は他ナンバー車よりも車検費用・保険料(軽自動車の場合)・税金といった維持費が優遇されていて、安くなります。
また、1や4から始まる分類番号の商用車を8ナンバーに変更することで、車検期間が1年から2年になり、高速道路料金も普通車料金にすることができます。
8ナンバー車に登録することで維持費が安くなり、一部の車両で車検期間が延長できることがメリットとなります。
8ナンバー登録のデメリット
ゴミ収集車 新明和
8ナンバーは車検期間が初回から2年で、5や3から始まる分類番号がついた新車を8ナンバーに変更した場合に、初回車検の期間が1年短くなってしまいます。
8ナンバーには決まった構造要件があり、こうした構造変更についても手続きをしなければいけません。
また、過去に割安な8ナンバーを取得するために悪質な改造が多く行われた影響で、現在は、8ナンバーの取得に関した法令改正によって要件が厳格化し、大量の書類を書いたり複雑な手続きをする必要があります。
上記で述べた様に車検期間や構造要件等の複雑な手続きがあることがデメリットになります。
8ナンバーの取得方法
特種車両
8ナンバーを取得するには、取得に必要な設備を取り付けるため、事前に構造変更の申請手続きをしておく必要があります。
この手続きは、自主的な構造変更だけでなく、8ナンバー車を購入する際にも必要となります。構造変更の内容は車検の中で確認されるため、手間を考えると車検を受けるときに提出することが推奨されます。
■法律で定められた設備の取り付け
8ナンバーを取得するためには、法律によって定められた要件に則り、検査後に外せることが無いように溶接・ボルト・リベットなどで固定した寝台・調理設備・上下水設備などの特種設備を、運転席以外に備えます。
また、それらの特種な設備の占有する面積が1平方メートル以上(軽自動車では0.6平方メートル以上)なくてはならず、その面積は運転者席を除く規定の室内床面積の1/2を超えたものである必要もあります。
■構造変更の手続き
構造変更の申請に必要な書類は、合格印のある自動車検査票、自動車損害賠償責任保険証明書、自動車検査証、点検整備記録簿、自動車重量税納付書、第2号様式の申請書、手数料納付書、自動車税種別割納税証明書の8点になります。
変更内容によっては、第7~10号申請書が必要になるので確認しておきましょう。その他にも、8ナンバーを記すためのナンバープレートの購入や、自動車検査手数料が必要になります。
まとめ
日産 フェアレディ Z NISMO のパトカー
8ナンバー車は過去に8ナンバーの不正取得が横行したことにより厳格な手続きが必要な他、8ナンバーにしたからと言って総合的にかかる費用が割安になるわけではありません。
その事を理解した上で、8ナンバーを取得することをおススメします。