車高調って何?
クスコから CR-Z 用車高調サスペンションキット
まず、車高調という言葉について説明します。
車高調とは、正確には「車高調整式サスペンション」といいます。これを呼びやすく短くした言葉が『車高調』というわけです。
■車高調って合法なの?関連法規まとめ
車高調で車高を変えた車はすごく目立つけど、そもそもこれって合法なの?と疑問を持たれる方も居るかも知れません。
日本の道路を通行する車両は、国土交通省の定める『道路運送車両の保安基準』の第3条細目告示〈第二節〉第85条で”自動車の地上高(全面)は、9cm以上であること。”とという規定の適用を受けます。
つまり、最低地上高が9cm以下の車両は公道を走行してはならないということです。また、最低地上高を測定する際の条件も細かく決められており、
”イ. 測定条件
地上高は、次の方法により求める物とする。
(1)測定する自動車は、空車状態とする。
(2)策定する自動車のタイヤ空気圧は、規定された値とする。
(3)車高調整装置が装着されている自動車にあっては、基準(中立)の位置とする。ただし、車高を任意の位置に保持することが出来る車高調整装置にあっては、車高が最低となる位置と車高が最高となる位置の中間の位置とする。
(4)測定する自動車を舗装された平面に置き、地上高を巻き尺等を用いて測定する。
(5)測定値は、1cm未満は切り捨て、cm単位とする。”
道路運送車両の保安基準の細目を定める告示〈第二節〉第85条より
https://www.mlit.go.jp/jidosha/kijyun/saimokukokuji/saikoku_085_00.pdf
となっています。
また、最低地上高だけでなく、車両の全高が車検証記載値から4cmを超えて変わってしまう場合は、構造変更検査が必要になるので、その点も注意が必要です。
車高を変える意味
テインの車高調キット「モノレーシング」を試乗
車高を変えることにはどのような意味があるのでしょうか?
まず、第1に挙げられるのは、見た目の印象をガラッと変えることが出来るという点と、次に挙げられるのは、乗り心地を変えられるという点です。
次の項で、ローダウンするメリット・デメリット、リフトアップするメリット・デメリットに分けて解説します。
■車高調でローダウンするメリット・デメリット
車をローダウンするメリットは、見た目から受ける印象の変化です。より地面に近く、低く構えたフォルムからは、見る者は精悍な印象を受けるでしょう。
また、重心が低くなることで、操縦安定性が向上することも期待出来ます。
ローダウンするデメリットとしては、いわゆる”路面からの突き上げ”を拾いやすくなることが挙げられるでしょう。簡単にいってしまえば、乗り心地が悪くなる可能性があるということです。
■車高調でリフトアップするメリット・デメリット
車をリフトアップすることのメリットは、見た目の印象の変化もさることながら、運転する人の目線の位置、アイポイントが高くなることでしょう。これにより見晴らしよく、より快適に運転することが出来る様になります。
車をリフトアップすることのデメリットは、コーナリング時に、車体のロールが大きくなってしまうことです。
ロールとは、簡単にいうと、車体を左右方向に傾斜させようとする力です。当然ながら、ロールが小さい方が乗り心地は良くなります。
サスペンションをより硬い物へと交換することでもロールを抑える効果が期待出来ます。
車高調とダウンサスの違いは?
マツダ3用ローダウンスプリング
車高調とよく似ている物に、ダウンサスがあります。
ダウンサスとは、文字通り、車高を下げる為のサスペンション(ばね)のことです。車高調は車高調整機構つきのサスペンションといえます。
車高調とダウンサス、車の車高を変えるという点では同じですが、ダウンサスは決まった車高にしか出来ないのに対し、車高調は一定の範囲内で車高を調整出来るという点が異なります。
価格も構成されるパーツ点数が少ない分、ダウンサスの方が低価格です。
■結局どっちが愛車にぴったり?!
車高調とダウンサス、どちらが良いのかというと、低予算でカスタムを愉しみたいのならダウンサス、豊富な予算があるのなら車高調がお勧めです。
ダウンサスはショックアブソーバーは純正品を用い、単純にサスペンションだけの交換なので、コストが安く済むのです。
一方、車高調は、安い物でも10万円から、高い物では100万円を超える物まで様々です。
車高調にも種類がある!価格目安もご紹介
ダンパーZZ-R スペックDSCプラス(86)
さて、車高調について概要を解説してきましたが、ここからは車高調の具体的な種類と価格の目安をご紹介します。
■全長調整式(フルタップ式)
全長調整式(フルタップ式)車高調とは、車高調のブラケット部分を可動させることによって車高を調整出来る装置のことです。
全長調整式(フルタップ式)車高調の最大のメリットは、その乗り心地です。
スプリングの長さやショックアブソーバーのシャフトの長さはノーマルの状態から変わらない為、車高を変化させても乗り心地が悪くなることがありません。
全長調整式(フルタップ式)車高調のデメリットは、価格の高さです。車高を大きく下げられる反面、下げ過ぎには注意が必要ということもいえます。
■ネジ式
ネジ式車高調の特徴は、スプリングを支えるロワシートがネジ式になっていることです。この為、容易にスプリングのストローク量を調節して車高を変えることができる点がメリットとして挙げられます。
全長調整式(フルタップ式)車高調に比較して構造が単純で、安価であげられることもメリットの一つです。
デメリットとしては、ネジ式車高調は、スプリングの長さ(位置)を調節することにより、ストローク量が小さくなる為、あまり車高を下げ過ぎた場合、”底付感”を感じてしまう点でしょう。
振動や衝撃を上手く吸収する為には、ほどほどにしておく必要があります。
車高調の取付け工賃相場ってどれくらい?
工賃相場
まず、車高調自体のパーツ代から先にご紹介します。
全長調整式(フルタップ式)車高調の場合、1台分のセットが約10万円からとなっています。ネジ式車高調の場合はもう少しお安く、7万円台からとなっています。
ご紹介した価格はいずれも新品の価格ですが、個人売買などで中古品を入手する場合は、状態をよく確かめてから購入する必要があります。
次に、取付け工賃の目安をご紹介します。
車高調の取付け工賃の目安は車種によっても異なりますが、おおよそ2万円台からで、ワゴン車は比較的工賃が高く、3万円台からとなっています。
オートエクゼ マツダ3用ストリートスポーツサス・キット
通販などで購入したパーツを持ち込みで取付け依頼する場合は、通常の工賃の1.5倍から2倍の値段になってしまう場合もあるので、ショップで購入するのか、通販で購入するのかはよく検討してから決めた方が無難でしょう。
また、車高調を一旦取付けた後、しばらくしてからやはり車高を調整したいとなった場合は、車高調を取付けたショップへ行けば、およそ1ヵ所につき2千円から3千円程度で調整してもらえます。
他に、覚えておきたいこととして、車高調の取付けを行うと、アライメントの調整という物が必要になります。この料金はおよそ1万円程度からとなっていますが、サーキット走行などをされる場合は、より専門性の高いショップで予算を掛けて細かく調整する必要があります。
まとめ
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今回は、車高調について詳しく解説しました。最後まで読んだ方には、乗り心地と見た目の印象を大きく左右するのが車高調であることがわかって頂けたと思います。
車高調を取付ける場合は、その特徴をよく理解した上で、信頼出来るショップへ依頼することをお勧めします。