クーペってどんなクルマ?
BMW 4シリーズ・クーペ 新型
クーペを定義付けるとすれば1列もしくは、2列シートを有し、2枚ドアの箱型乗用車のこととなりますが、これではなんのことかわかりませんよね。
一般的にイメージされるのは、2ドアでセダンよりもリアウインドウが傾斜しているボディスタイルの「ファストバック」と呼ばれる形ではないでしょうか。
ファストバック型のクーペをイメージすれば分かるように、ドアが4枚あるセダンと比べて、後部座席の居住性や荷室の広さを犠牲にしてでもデザイン優先の車種というのがクーペと言えるでしょう。
デザイン優先であることから、美しい形状の車種が多く、2列シートであっても実質的に2人乗りの2+2となることが多く、スポーツタイプに多く採用されます。
日本においては実用性の少なさからクーペを名乗る車種は減り続けていますが、そのスタイリングはセダンやSUVにも採用されており、4ドアクーペ、クーペSUVなどと言われることがあります。
■クーペはリアが命!
日産 スカイラインクーペ
つまり、クーペとはリアがシュとしていてカッコイイ車のことと言い切っていいと思います。外車(輸入車)では多くの車種にこの形状のモデルが存在し、また、正式にクーペを名乗っています。
国産車ではクーペを名乗っていたのは日産のスカイラインクーペが最後ですが、レクサスにはLC、RCというモデルがあり、車名にクーペとは付いていませんが公式サイトではセダンやSUVと並んで「クーペ」というクラスに紹介されています。
ちなみにマツダが初めて生産・販売した四輪乗用車は「R360クーペ」でした。たしかに2ドアで後部が多少傾斜していまし、スタイリッシュなデザインでした。
マツダ R360クーペ
初心者にもわかる かっこいいクーペ5選
さて、クーペモデルを国産車から探すと車種も販売台数も非常に少ないのがわかります。
しかし、どれもが素晴らしいデザインで一度は乗ってみたいと思えるものばかりです。そして、機能性や室内の広さを犠牲にしてでも美しさを追求したそのデザインは、見るものを魅了します。
■1. トヨタ GRスープラ
スープラRZ
2019年5月に17年ぶりの復活して5代目となったスープラは、直列6気筒エンジンとFR方式を継承し、ホイールベース、トレッド、重心高の3つの基本要素にこだわったピュアスポーツカーにふさわしいハンドリング性能を実現しました。
これはスタイリングにも表れていて、車体前方部を長く車室内部分を短く構成するというFRの2ドアクーペ特有のロングノーズ・ショートデッキのパッケージングとなり、ショートホイールベースと大径タイヤにより、タイヤの存在を強調するサイドビューが印象的です。
そして、歴代スープラの面影だけでなく、BMWとの共同開発車ということからBMWのZや、名車トヨタ2000GTにも通じるイメージもあります。
スープラのカッコ良さのポイントはここ!
スープラSZ
2シーターらしいタイトなキャビンと、ワイドトレッドからなるスーパーワイドスタンスの迫力あるデザインは強烈ですが、やはりクーペはルーフからリアへの流れるようなラインに注目。
空力的にどうこうというよりも、カッコイイからこうしました!と言って欲しいほどに見事な絞り具合と、後付けじゃないリアウイングが魅力的です。
スープラ (SZとSZ-R)
スープラのスペック
トヨタ スープラ
小振りに見えてもボディサイズはフェアレディZより一回り大きいスープラ。そしてともにBMW製の4気筒と6気筒のツインスクロールターボエンジンを搭載していますが、SZとSZ-Rではチューニングの違いだけで大きな性能差があります。
また、トップグレードのRZのエンジンは発売後わずか1年で47psアップされた改良をほどこされています。
スープラの主要スペック
全長×全幅×全高 | 4,380mm×1,865mm×1,290~1,295mm |
WLTCモード燃費 | 12.0~13.1km/L |
エンジン形式・排気量 | 直列6気筒・2,997ccターボ 直列4気筒・1,998ターボ |
最高出力 | RZ 285kW(387PS)/5,800rpm SZ-R 190kW(258PS)/5,000rpm SZ 145kW(197PS)/4,500rpm |
最大トルク | RZ 500N・m(51.0kgf・m)/1,800~5,000rpm SZ-R 400N・m(40.8kgf・m)/1,550~4,400rpm SZ 320N・m(32.7kgf・m)/1,450~4,200rpm |
※上記スペックは2020年8月現在のメーカー公式サイトによります。
トヨタ スープラ
スープラの試乗レビュー
改良版スープラRZ
考えてみれば、スープラに近いサイズ感のフロントエンジン・スポーツカーは世界的に見ても類例がほとんどない。このコンパクトさに、熟成された懐の深いハンドリングとドライブトレインを備えた改良型スープラは実に魅力的な存在といえる。
個人的にはスタイリングがもっとシンプルになればより嬉しいが、日本と北米のエミッション規制がいつ改正されるかわからない現在、最新のスープラRZは“ビンテージもの”といっても過言ではない価値を備えたスポーツカーといえるだろう。
2020年4月にパワーアップされたRZの試乗レビューですが、どのジャーナリストも絶賛するスープラの走り。世界的にも珍しい存在の6気筒クーペは、本当にこれで最後のモデルになるかもしれません。
最新であり、すでにビンテージというスープラに心惹かれる理由はこのあたりにあるのでしょうか。
■2. 日産 フェアレディZ
日産 フェアレディZ バージョンST
2008年12月に発売された通算6代目となる現行モデルのフェアレディZは、デザインに際しては初代フェアレディZ-S30型のスタイルを踏襲したとされます。
フェアレディZのアイデンティティである「ロングノーズ」を表現しつつ、ヘッドランプからウエストとアーチを描きながら駆け抜けるダイナミックなキャラクターラインと、FRを強く感じさせる張り出し量のあるリヤフェンダーが美しいクーペデザインを引き締めています。
そして、ヘッドランプとリヤコンビネーションランプは書道でいう「とめ、はね、はらい」的役割を担い、スタイリング全体を引き締める効果を狙ったブーメランモーションとなって、特徴的なフロントデザインとなっています。
また、2017年7月の一部改良では、ヘッドランプやリアコンビランプの輪部をブラックハウジングで強調させ、アウトサイドドアハンドルやリアバンパー下部をブラックに変更しました。
フェアレディZのカッコ良さのポイントはここ!
日産 フェアレディZ
特徴的なブーメラン形状のランプ類も魅力的ですが、やはりZを特徴ずけるロングノーズと、ルーフ先端からテールエンドまで一直線に伸びるクーペスタイルならではのデザインがポイントとなります。
リアボディの後端は、無粋なスポイラー類を排したのも美しさを引き立たせています。持論ですが、クーペボディにとって付けたようなスポイラーは似合わないのです。
日産 フェアレディZ
フェアレディZのスペック
日産 フェアレディZ
フェアレディZの全長は約4.3mとコンパクトカー並み。思ったより扱いやすいサイズだと思います。クーペの中でもフェアレディZの様な2人乗りスポーツカーは、後部座席がない分全長が非常に短く、運動性能が高められています。
フェアレディZの主要スペック
全長×全幅×全高 | 4,260mm×1,845mm×1,315mm 4,330mm×1,870mm×1,315mm NISMO仕様 |
JC08モード燃費 | 9.0〜9.2km/L |
エンジン形式・排気量 | V型6気筒・3,696cc |
最高出力 | 247kW(336PS)/7,000rpm 261kW(355PS)/7,400rpm NISMO仕様 |
最大トルク | 365N・m(37.2kgf・m)/5,200rpm 374N・m(38.1kgf・m)/5,200rpm NISMO仕様 |
※上記スペックは2020年8月現在のメーカー公式サイトによります。
2010年式 フェアレディZ
フェアレディZの試乗レビュー
日産 フェアレディZ
クルマ好きにとって2シーターモデルはあこがれの的で、一度は乗ってみたい、所有してみたいと思うタイプのクルマだが、実用面などを考えるとなかなか踏み切れないクルマという現実がある。そうしたなか、2シーターモデルのフェアレディZを日本で販売し続ける日産の心意気に感心。同時にフェアレディZに乗ることも、同じく大きな意義を持つこととなるはずだ。
そう、一度は乗ってみたいと思える国産車があるのは幸せな気持ちになります。実用的な車ばかりだとカーマニアも日産ファンも減り続ける事もあります。SUVはブームですが、クーペは一過性のブームではなく、セダンと並ぶ車の基本形なのです。
■3. トヨタ 86(ハチロク)
トヨタ 86 GTブラックリミテッド
2012年4月に発売された86は、本格的なライトウェイトスポーツカーでありながらも、200万円を切る販売価格(2012年4月当時)で話題を呼び、若者のクルマ離れを食い止めるというトヨタの意気込みを感じさせたモデルです。
水平対向エンジンによる超低重心のFRパッケージを採用することで、後席を備えながらもスポーツかーらしいクーペフォルムを実現。86が目指す運転する楽しさを見た目でも表現しています。
また、2016年のマイナーチェンジでは、フロントビューは従来型よりノーズ先端を下げ、グリル開口を横へ拡大することで、よりワイド&ローな構えとなり、全車標準装備となったBi-Beam LEDヘッドランプで表情も一変しています。
86のカッコ良さのポイントはここ!
86 GRスポーツ
2018年に設定された86のコンバージョンモデル「GR」と「GRスポーツ」には、専用のエアロパーツが装備されています。カスタマイズでコテコテのエアロを後付けするとせっかくのクーペフォルムが台無しになるのですが、さすがメーカー製とあって品があるのです。
標準車を購入して苦労するより、ズバリGRを選ぶのが正解です。残念ながら現行モデルではすでに生産終了となっていますが。
トヨタ 86
既に「GR」、「GR SPORT」が販売終了しましたので、標準モデルのみのラインナップとなっています。
5月に発売となった、ハチロクトレノ最後の特別仕様車をイメージした特別仕様車、GT“ブラックリミテッド”は魅力的ですが、MT車・AT車各43台ずつ、計86台の台数限定での抽選申し込み期間は4月で終了しており、現在は当選した幸運なオーナーのもとに実車が届き始めていることでしょう。
ちなみに、兄弟車種のスバルBRZは、すでに公式サイト上で「現行モデルについては、生産終了に伴い、販売店での在庫対応のみとなります。」と表示されており、新型へのカウントダウンが始まっています。
86のスペック
86 GTリミテッド
エンジンは同じでもMT車とAT車のチューニングが異なっており、特にスポーツカーらしいMT車を理想的な特性にすることにこだわっているのがわかります。
86の主要スペック
全長×全幅×全高 | 4,240mm×1,775mm×1,320mm |
WLTCモード燃費 | 11.8~12.8km/L |
エンジン形式・排気量 | 水平対向4気筒・1,998 |
最高出力 | 6Super ECT 147kW(200PS)/7,000rpm 6MT 152kW(207PS)/7,000rpm |
最大トルク | 6Super ECT 205Nm(20.9kgf・m)/6,400~6,600rpm 6MT 212N・m(21.6gf・m)/6,400~6,600rpm |
※上記スペックは2020年8月現在のメーカー公式サイトによります。
トヨタ 86
86の試乗レビュー
トヨタ 86
世界のマーケットにおいて、エコ・カーはもちろん大事であるが、スポーツドライビングを楽しめるクルマ、若い人が憧れるクルマを提案し続けることが市場全体を盛り上げる最大の手段だと思う。
「若い人が憧れるクルマ」という点では、クーペも同様。
現行86、そして時期モデルは大きな期待を背負っていると言って良いでしょう。
■4. レクサス RC
レクサス RC 改良新型(RC350)
RCは、LCの下に位置するクーペ専用モデルで、価格も1,000万円越えの高級クーペのLCの半値ほどで、レクサスとしても安価な車種と言えるクーペモデルです。
最新のRCは、レクサスのフラッグシップクーペのLCの流れを汲むデザインや走りを継承しながらも、より魅力的なクーペを目標に開発されています。
RCのエクステリアは、「アヴァンギャルド・クーペ」をテーマに、フロントからキャビン、リヤへと連続する一体感あるプロポーションとクーペならではの軽快なイメージが融合されています。
また、スピンドルグリルを起点とするワイド&ローのフロントビューと、張り出したホイールフレアがレクサスのスポーツクーペであることを主張しています。
そして2018年のマイナーチェンジで新たに搭載された超小型三眼LEDヘッドランプユニットがL字型のLEDクリアランスランプとの組み合わせなどによりエレガントな印象を与えるエクステリアとなっっています。
RCのカッコ良さのポイントはここ!
RC350
RCのカッコイイところはもちろんそのクーペデザインですが、ここで一押ししたいのは、張り出したホイールフレアです。後ろから見るとただものではない雰囲気が漂ってきます。
おとなしくて美しいデザインもクーペのカッコ良さですが、ワンポイントで存在感を示すのもカッコ良さなのです。