欧州主力車種ならでは実力!トヨタ オーリスの魅力とは
トヨタ オーリス
日本ではもう少し小型のハッチバック車が人気ですが、トヨタ オーリスが属するCセグメント市場は、自動車の生まれた地、欧州ではまさに主力で、ライバルが星の数ほど存在する激戦区です。
そんな市場で鍛えられたオーリスは、欧州車のような走行性能と洗練されたルックスを兼ね備えた魅力的なハッチバック車として、メーカーの地元に輸入される「逆輸入車」のように、欧州クオリティを引っ提げて日本に凱旋した車でした。
現在はカローラスポーツへ車名が変わってしまっていますが、カローラスポーツでも追求されている走行性能重視の姿勢は、オーリスでも共通でした。
トヨタ オーリスの魅力をまとめてご紹介します。
■オーリスの魅力:内外装にわたる洒脱なスタイル
トヨタ オーリス(初代 2006年型) インテリア
オーリスの特徴は、出自であるカローラの落ち着いた印象とは異なる、活発で洗練された印象の内外装。
特に2代目オーリスではかなり挑戦的とも思える先鋭のデザインを採用し、常識外れの広告戦略もあって話題になりましたが、今思えばオーリスは、トヨタのデザイン革命の嚆矢だったのかもしれませんね。
■オーリスの魅力:速度レンジの高い欧州仕立ての走行性能
トヨタ オーリス
平均速度が日本の数段上となる幹線道路をガンガン飛ばせる必要もある欧州でも売る車ですので、余裕ある走行性能、特にシャシー性能を有していた点も、オーリスの特徴でした。
また、欧州市場のトレンドであるダウンサイジングターボエンジンを積極的に搭載したり、ハイブリッド搭載グレードを導入した2代目オーリスで見て取れる通り、パワートレインに関しても環境規制や燃費規制に敏感に対応していた印象があります。
歴代オーリスをそれぞれご紹介!ご先祖モデルも
■【ご先祖】カローラFX(1984〜1995年)
トヨタ カローラFX
国民車、カローラのハッチバックモデルという位置付けでもあるオーリスは、3代目カローラに設定された「リフトバック」が最も古いご先祖となりそうです。
ハッチバックというよりは現代的に呼ぶならスポーツワゴンというような見た目のカローラ リフトバックは、どちらかといえば当時の北米市場を意識したもので、欧州風味ではありませんでした。
トヨタ カローラFX(3代目)
やや空白の期間があって登場したカローラFXは、まさにオーリスの直系のご先祖と呼べそうな欧州調のスポーツハッチバック。
オーリスと同じく、落ち着いたコンセプト展開が主だったカローラとは違うスポーティさを訴求したカローラFXは、トップグレードのGTによる走りのイメージも強く、実際にレースでも活躍しました。
■【ご先祖】カローラランクス/アレックス(2001〜2006年)
トヨタ カローラランクス
そしてオーリスの前日譚となるのが、カローラのハッチバック版、カローラランクスでした。
事実上の先代となるカローラFXのようなカリカリのスポーツイメージは持ちませんでしたが、カローラセダンのリヤを切り詰めたフォルムは十分にスポーティ。
やや太めのCピラーなど、ルックスでも初代オーリスの特徴的な部分を先取りしていました。
また、カローラ店向けのカローラランクスの姉妹車として、ネッツ店向けにはアレックスが設定されました。
カローラランクスとの差はグリルなどの細かな違いには止まりましたが、オーリスはネッツ店専売車種だったため、実質上、アレックスが直接の先代にあたります。
■初代オーリス(2006〜2012年):3ナンバーサイズで心機一転
トヨタ オーリス(初代 2006年型)
国産ハッチバックとしては当時異例の全幅1,760mmのワイドボディで、カローラランクス/アレックスとは違う3ナンバーが特徴的な初代オーリス。
もちろんこのワイドトレッドは走行性能を重視したがためのもので、欧州仕様とも共通の数値でした。
ワイドトレッドだけでなく、足回りの感覚も欧州車を彷彿とさせるスポーティさ。快適性重視だったランクス/アレックスとはここも違う点でした。
トヨタ オーリス(初代 欧州仕様 2010年型) HSD
欧州市場向けにはモデル後期にハイブリッド仕様が追加されるなど、まさにトヨタの主力戦略車種だったオーリス。
内外装ともに、当時のトヨタラインナップのデザイン言語を用いながらも、柔らかな曲面でふくよかさが表現されたエクステリアや、センターコンソールのシフトレバー下部を空洞にしたフライングバットレス構造を有するインテリアなどは、オーリス独自の魅力に溢れたものでした。
■【番外編】初代オーリスの姉妹車「ブレイド」(2006〜2012年)
トヨタ ブレイド(2008年型) バージョンL
欧州が主なターゲット市場だったオーリスに対し、日本市場向けの姉妹車として、小さな高級車、ブレイドも登場しました。
オーリスよりも大排気量のエンジンを搭載し、より日本人が高級車に求めるデザインを内外装に採用したブレイドは、時代を先取りしすぎていたのか、イマイチ不発のまま、2代目オーリスへフルモデルチェンジする際にモデル消滅してしまいました。
なんと、最大では3.5リッター V6エンジン搭載仕様まで用意されたブレイドは、オーリスの余裕あるシャシー性能を存分に活かした特別な車でした。
■2代目オーリス(2012〜2018年):挑戦的なルックス
トヨタ オーリス(2代目 2016年型) 120T ”RSパッケージ”
柔らかな表情の初代オーリスに対し、デビュー当初から攻撃的な、トヨタの呼称する「キーンルック」をこれでもかと表現していたのが2代目オーリス。
CMなどの広告戦略のインパクトも強く、一気にターゲット層を若くしたいトヨタの意思が透けて見える仕上がりは、見た目に違わずとびきりスポーティでした。
トヨタ オーリス(2代目 欧州仕様 2017年型) ツーリングスポーツ フリースタイル
86を思わせるようなダッシュボードデザインなど、インテリアからもスポーツムードがムンムン。
モデル後期にはついにハイブリッド仕様が日本に正規導入されたり、1.2リッターダウンサイジングターボ搭載グレードを追加したりと、日本でも大活躍だった2代目オーリス。
欧州でも先鋭的なデザインもあって人気を博し、ワゴンモデルの「ツーリングスポーツ」というボディバリエーションまで登場しました。
■【番外編】シャア専用オーリスの鮮やかなレッドボディ!
ジオニックトヨタ シャア専用オーリス
2代目オーリスを語る際には外せないのが、「シャア専用オーリス」でしょう。
人気すぎて第二弾のシャア専用オーリスIIまで設定されたほどのこの特別仕様車は、機動戦士ガンダムに登場するキャラクター、シャア・アズナブルが、自身の搭乗するモビルスーツを量産機とは違う赤塗装としていたことに由来する、いわば実物大のキャラクター商品。
2012年のホビーイベントに出展されたコンセプトカーを起源とするもので、当時はまさかそのまま発売されるハズがない、と思っていた世間の予想の裏をかき、そのまま市販してしまうという遊び心のある取り組みでした。
ガンダムの世界観をうまく表現した仕上がりはコアなファンにも大好評。限定販売はすぐに完売してしまったとのことです。
■【後継】カローラスポーツ(2018年〜現在)
トヨタ カローラスポーツ
登場時には「これがカローラ?!」という驚きの声も多く聞かれたカローラスポーツのスタイリングは、実はオーリスの後継車として見るとしっくりハマるものがありますね。
新たに大きめのアンダーグリルが加わった点はありますが、フロント部の表情はそっくりで、全体的な前屈みのフォルムなども、オーリスとの共通性を感じさせる部分です。
カローラシリーズへと返り咲いたカローラスポーツは、オーリス以上にシャシー性能が評判。四輪独立懸架サスペンションを全車に奢るというクラス常識を外れた走り重視の姿勢は、世界中で高評価を得ています。
トヨタ オーリスの中古車価格まとめ
トヨタ カローラiM(米国仕様 日本名:オーリス) PAPADAKIS RACING フォーミュラドリフト参戦車
オーリスは、実用車という性格もあってか、中古車市場では非常に豊富な在庫!とまではいかず、2020年9月現在では676台の中古車在庫しか確認できません。
最終型となる2代目オーリスの中古車平均価格は税抜きで1,020,000円、初代オーリスは355,455円と、価格としてはかなりこなれてきた印象です。
もちろん、2代目なら2018年式の低走行車も選べますし、限定車の「シャア専用モデル」の在庫も確認できるなど、かなり選びやすくなっています。
初代に関しては、年式が古くなってきたにもかかわらず様々なグレードが選べることが驚きですし、車両価格も10万円台から在庫があるなど、オーリスの魅力をお安く体験できる点はとても惹かれるところですよね。
トヨタ ブレイド
また、初代オーリスのハンサムな顔つきではなく、もっと高級感のあるスタイルとハイパワーをお求めの方には、姉妹車のブレイドがおすすめ。
こちらはオーリスより新車価格が高かったこともあって販売台数が少なかったため、中古車在庫も少なめとなっています。2020年9月現在では93台の在庫しか確認できず、そのうち3.5リッター V6エンジンを搭載した狂気のトップグレード「マスター」は7台のみの在庫となっています。
まとめ
トヨタ オーリス
ラテン語の「Aurum(金)」や「Aura(オーラ)」から名付けられたオーリス。その名の通り、ハッチバックながら実用性一辺倒でない、どこか独特な「オーラ」が感じられる1台ですよね。
車名としては消えてしまいましたが、後継のカローラスポーツは、オーリスの伝統を継いだハッチバックとして、これからも末長く続いてほしいものです。