現代的ハッチバックの試金石、VW ゴルフ!
フォルクスワーゲン ゴルフ
1974年の初代ゴルフ発売から、現行の7代目まで、40年以上も世界中で愛され続けるゴルフ。
人気は一部の好事家によるものではなく、現在まで歴代モデルが生産された台数は3,500万台以上と、世界でも3番目に多く生産された車名とされます。
パッと見た印象では、スマートなデザインで質感が高く、高品質な印象を受けはしますが、なぜそこまで愛されるのか、疑問に思われたことはありませんか?
フォルクスワーゲン ゴルフ カタログ
もちろん、ポッと出の人気ではなく、40年以上も人気を継続させているのですから、ゴルフならではの魅力がたくさんあるはずです。
しかも、日本カーオブザイヤーを輸入車として初めて受賞するなど、その魅力は日本人にもぴったりハマるもののよう。
大まかにではありますが、そのゴルフならではの魅力を4点まとめましたので、ご紹介します。
■ゴルフの魅力1. 落ち着いたスマートなスタイル
フォルクスワーゲン ゴルフ 初代(海外仕様)
やはり、ゴルフを語る際は、普遍的かつドラマチックなそのスタイルを外しては語れないでしょう。
イタリアの伝説的カーデザイナー、ジョルジェット・ジウジアーロの手による初代ゴルフのデザインは、初代にして既に完成していました。
前輪駆動のメカニズムをボンネット下に収め、乗員と荷室を広く取る、合理的な2ボックススタイルのフォルム自体は、先行していた例がいくつもあったのですが、クリーンな面構成とシャープなラインによるハンサムなデザインは、ジウジアーロならではのものでした。
現在のゴルフにも見られる、存在感のあるCピラーなどの初代ゴルフの特徴を受け継ぎつつ、革新性も持たせながらデザインされてきた歴代のゴルフは、今やハンサムなだけでなく、高級感、ちょっぴりセクシーさまで感じるようなデザインへ進化しています。
■ゴルフの魅力2. 大きすぎず小さすぎない絶妙なサイズ
フォルクスワーゲン ゴルフ GTE(欧州仕様)
欧州や日本の道路事情・駐車場事情において、使いやすさの限界サイズを外してこないのもゴルフの美点です。
どうしても、居住性向上や、衝突安全性向上のために、自動車メーカーとしては自動車の外寸はどんどん大きくしていきたいもの。しかし、フォルクスワーゲンは、ゴルフの扱いやすいサイズを無闇に大きくしてきませんでした。
もちろん初代から比べるとゴルフも大きくはなっているのですが、それでも日本で現在販売されている7代目では全長約4.3m、全幅約1.8mと、どんな場面でもしっくりくる黄金比のようなボディサイズ。
室内の程よい広さと走行安定性を両立させた、機能的なパッケージングです。
■ゴルフの魅力3. スポーティなGTI、ハードコアなRも!
フォルクスワーゲン ゴルフ R
実用性一辺倒でないところもゴルフの魅力。ベースモデルでも上質な走りの楽しさは実現されているのですが、よりスポーティさを求める要望にも常に応えてきました。
初代から継続してラインナップされているホットモデル「GTI」は、ハッチバックの実用性を保ちながら運転の楽しさも追求するという欲張りな車「ホットハッチ」の人気を沸騰させた先駆車の一台です。
また、普段は4気筒エンジンが収まっているゴルフのエンジンルームにも入る狭角V6エンジンを搭載した3代目ゴルフ VR6や、狭角V6を引き継ぎつつ市販車として初めてDSGギアボックスを搭載した4代目ゴルフ R32、4気筒ターボに切り替わった6代目ゴルフ Rなど、GTIよりも高度なスポーツ仕様も用意。
サイズの小ささに引け目を感じない、堂々と大型スポーツカーにも追いつけそうな走行性能を持つグレードを用意したことは、ゴルフが一般大衆の味方であることを如実に示していました。
■ゴルフの魅力4. 未来を見据えたバリエーション、eゴルフやGTE
フォルクスワーゲン eゴルフ (e-HAYAMACATION 提供車両)
また、先進的なパワートレインの実現もゴルフは忘れていません。
初代の頃から「シティストーマー」としてEVの可能性を模索していたゴルフは、量販仕様となるeゴルフを2013年に発表。2017年には日本でも発売されました。
残念ながら現在では販売が終了していますが、ゴルフの先進的な思想を表した特徴的なモデルでした。
また、完全電気自動車への橋渡しとなるプラグインハイブリッド仕様車も、エコムード満載ではなくGTIを彷彿とさせるスポーティな「GTE」としてラインナップするなど、エコ一辺倒ではない姿勢もゴルフらしいですよね。
フォルクスワーゲン ゴルフのスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4,265mm×1,800mm×1,480mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,635mm | |
最大乗車定員 | 5名 | |
車両重量 | 1,240kg | |
燃費 | JC08モード:19.1km/L | |
エンジン種類 | 直列4気筒ターボ 1,197cc | |
エンジン最高出力 | 77kW(105PS)/4,500-5,500rpm | |
エンジン最大トルク | 175N・m(17.8kg・m)/1,400-4,000rpm | |
駆動方式 | 前輪駆動(FF) | |
トランスミッション | 7速DCT | |
新車価格 | 2,380,910円(消費税抜き) |
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4,265mm×1,800mm×1,480mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,635mm | |
最大乗車定員 | 5名 | |
車両重量 | 1,430kg | |
燃費 | WLTCモード:18.9km/L | |
エンジン種類 | 直列4気筒ディーゼルターボ 1,968cc | |
エンジン最高出力 | 110kW(150PS)/3,500-4,000rpm | |
エンジン最大トルク | 340N・m(34.7kg・m)/1,750-3,000rpm | |
駆動方式 | 前輪駆動(FF) | |
トランスミッション | 7速DCT | |
新車価格 | 3,618,182円(消費税抜き) |
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4,265mm×1,800mm×1,480mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,635mm | |
最大乗車定員 | 5名 | |
車両重量 | 1,580kg | |
充電電力使用時走行距離(プラグインレンジ) | 国土交通省審査値:45.0km | |
電力消費率 | 国土交通省審査値:5.32km/kWh | |
ハイブリッド燃費 | JC08モード:19.9km/L | |
エンジン種類 | 直列4気筒ターボ 1,394cc | |
エンジン最高出力 | 110kW(150PS)/5,000-6,000rpm | |
エンジン最大トルク | 250N・m(25.5kg・m)/1,500-3,500rpm | |
モーター最高出力 | 80kW(109PS) | |
モーター最大トルク | 330N・m(33.6kg・m) | |
駆動方式 | 前輪駆動(FF) | |
トランスミッション | 6速DCT | |
新車価格 | 4,408,182円(消費抜き) |
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4,275mm×1,800mm×1,465mm | ||
---|---|---|---|
ホイールベース | 2,635mm | ||
最大乗車定員 | 5名 | ||
車両重量 | 1,510kg | ||
燃費 | JC08モード:13.0km/L | ||
エンジン種類 | 直列4気筒ディーゼルターボ 1,984cc | ||
エンジン最高出力 | 228kW(310PS)/5,500-6,500rpm | ||
エンジン最大トルク | 400N・m(40.8kg・m)/2,000-5,400rpm | ||
駆動方式 | フルタイム四輪駆動(4WD) | ||
トランスミッション | 7速DCT | ||
新車価格 | 5,371,819円(消費税抜き) |
【日本のライバルと徹底比較】VW ゴルフ vs トヨタ カローラ
フォルクスワーゲン ゴルフ TSI コンフォートライン テックエディション
冒頭でお伝えした、世界累計生産台数ランキングの1位は、我らが日本のトヨタ カローラとされています。
カローラは出自はセダンではありますが、長い歴史の中でハッチバックボディも継続してラインナップ。
特に最新型のハッチバック、カローラスポーツはゴルフともバッチリ比較できるライバルですので、詳しく比べてみましょう。
■【ゴルフ vs カローラスポーツ】内外装・使い勝手編
フォルクスワーゲン ゴルフ
デザインは好みによる部分が大きいため、どちらが優れているとは言い難いのですが、ゴルフが完全に勝ってしまう部分は実用性。
カローラスポーツはかなりキャビンが絞り込まれており、ハッチバックの傾斜角もキツめ。カローラスポーツの荷室も、ゴルフバッグが収納可能など十分に使える空間は用意されていますが、見比べるとゴルフの荷室の広さはゴルフの圧勝と言えそうです。
また、カローラスポーツはそのスポーティなデザインゆえ、リヤバンパーの張り出しが大きい点も、荷物の出し入れで気を遣うところです。
トヨタ カローラスポーツ
しかし、そんな不便を押してまで乗りたくなる挑戦的なデザインとなったカローラスポーツは、セダンの「カローラ」、ワゴンの「カローラツーリング」とともに、これがカローラ?!と驚くほどの変革を遂げた点は見逃せないかもしれません。
内外装ともに大幅にデザインが向上したカローラスポーツは、ゴルフのような作り込まれた精緻感とは異なる印象ですが、街中でのインパクトはかなりのもの。
どちらも5人が乗れる実用性がありますので、欧州車らしいシックな印象のゴルフか、もはやマンガの秘密兵器のようなトンガったデザインのカローラスポーツか、お好みのデザインを選ばれると良いでしょう。
■【ゴルフ vs カローラスポーツ】走行性能編
フォルクスワーゲン ゴルフ TGI(欧州仕様)
スペック表に現れる性能としては、ゴルフはカローラスポーツに追い付かれている印象。
特にカローラスポーツのハイブリッド仕様では燃費性能がよく、プラグインハイブリッドのゴルフ GTEではEV走行が可能とはいえ、ハイブリッド燃費では圧倒的な差をつけられています。
また、同じ1.2リッターのダウンサイジングターボエンジン搭載車でも、出力とトルク、燃費の全てでカローラスポーツが上となっています。
しかし、燃費のカタログ値よりも普段の使い勝手をとった印象のゴルフは、コンパクトなハッチバックとは思えない高級車のごとく安定した乗り心地が持ち味。この安定感には、カローラスポーツは及ばないかもしれません。
トヨタ カローラスポーツ
カローラスポーツに対してのアドバンテージは、ゴルフのグレード展開の多さもあります。
1.2リッターターボの小排気量モデルから、クリーンディーゼルのTDI、スポーティなGTI、プラグインハイブリッドのGTE、スポーツカーも真っ青の動力性能を誇るRまでバリエーションが豊かなので、ご希望の動力性能を選びやすいのがポイント。
カローラスポーツには、海外仕様ではよりパワフルな2.0リッターハイブリッドなどの用意もあるのですが、国内仕様は1.8リッターハイブリッドと1.2リッターガソリンターボの2種類のみ。もう少しパンチ力のあるグレードの追加が望まれるところです。
■【ゴルフ vs カローラスポーツ】価格編
フォルクスワーゲン ゴルフ インテリア
先ほどもお伝えした通り、ゴルフのグレード展開は、上を見ればキリがないほど幅広いもの。そこで、1.2リッターターボ同士と、ゴルフのクリーンディーゼル搭載仕様であるTDIとカローラスポーツのハイブリッド仕様で、2020年9月現在の税抜き新車価格を比べてみましょう。
まず、エントリーグレードの役割もある1.2リッターターボ。ゴルフはTSIトレンドラインが最も廉価なグレードで、2,380,910円が設定されています。対するカローラスポーツは、なんと6MT仕様のG“X”が最も廉価で1,971,819万円と、45万円ほど安い計算に。
その上、ゴルフ TSI トレンドラインではプリクラッシュブレーキなどの予防安全装備は標準装備なものの、アダプティブクルーズコントロールやレーンキープアシストといった便利装備はオプションに留まるので、装備内容を揃えようと思うとさらに価格差が広がってしまいます。
トヨタ カローラスポーツ インテリア
また、ゴルフTDIとカローラスポーツハイブリッドのトップグレード同士では、ゴルフ TDI ハイライン マイスターが3,618,182円、カローラスポーツ ハイブリッド G“Z”が2,582,728円と、差額は100万円を超えてしまいます。
ゴルフの走行性能の高さはご紹介した通りではありますが、それ以外の装備面では、ゴルフ TDI ハイライン マイスターには電動レザーシートやパーキングアシストが標準装備となるくらいでしか差がなく、コストパフォーマンスではやはり日本車が圧勝してしまいますね。
この差額分の価値をゴルフに見出すかどうかはオーナー次第です。カローラスポーツのトップグレードを買うくらいのつもりで、欧州ハッチバック車の本質としてゴルフ TSIトレンドラインを選ぶのも面白そうですね。
トヨタ カローラスポーツのスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4,375mm×1,790mm×1,460mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,640mm | |
最大乗車定員 | 5名 | |
車両重量 | 1,390kg | |
燃費 | WLTCモード:25.6km/L | |
エンジン種類 | 直列4気筒 1,797cc | |
エンジン最高出力 | 72kW(98PS)/5,200rpm | |
エンジン最大トルク | 142N・m(14.5kgf・m)/3,600rpm | |
モーター種類 | 交流同期電動機 | |
モーター最高出力 | 53kW(72PS) | |
モーター最大トルク | 163N・m(16.6kgf・m) | |
駆動方式 | 前輪駆動(FF) | |
トランスミッション | 電気式無段変速機 | |
新車価格 | 2,582,728円(消費税抜き) |
欧州で既にデビューしている新型ゴルフをご紹介!
フォルクスワーゲン ゴルフ 新型
2019年末から欧州での発売が開始されている新型ゴルフ。現在日本で販売されている7代目の後継にあたり、ゴルフの伝統を受け継ぎつつも様々な新機軸が満載です。
まず一番驚きなのはスタイリングの変化かもしれませんね。ゴルフと分かるデザインながらも、7代目よりも睨みのきいた細目のヘッドライトはかなり低い位置に設置され、ボンネットがより伸びやかに長くなった印象を与えますね。
フォルクスワーゲン ゴルフ 新型
リヤスタイルも、ゴルフらしさはそのままに、ふくよかな曲面でありながらより直線的でシャープになった印象。新たに凹凸がなくシンプルになったVWエンブレムも備わり、新世代の車であることが伝わってくる仕上がりですね。
フォルクスワーゲン ゴルフ 新型 インテリア
室内では、まるでハイエンドな高級車を思わせる、電子制御シフトレバーの小ささが印象的。その分センターコンソールには活用できるスペースが増え、小物入れが追加されていますね。
また、評判の高いデジタルドライバーズディスプレイも引き続き搭載されており、インテリア全体を通してクリーンでミニマルな印象。
新たにマイルドハイブリッド仕様の設定や、新開発のクリーンディーゼルも欧州では設定される、8代目の新型ゴルフ。
日本導入時期は未定となっていますが、続報に期待したいところです。
フォルクスワーゲン ゴルフ R(2014年型)
まとめ
フォルクスワーゲン ゴルフ GTE(欧州仕様)
フォルクスワーゲン ゴルフの魅力をお伝えしてきましたが、いかがでしたか。ゴルフがハッチバック界で特別視されるほど、トータルバランスに優れた実用車であることがご理解頂けたかと思います。
実際、街中で見かけても、輸入車だぞ!という押し出し感ではなくスマートな印象を感じますよね。
欧州車はモデルライフ終盤にこそ熟成が進んで最高の仕上がりになる、とも言われます。7代目ゴルフが円熟の今、ゴルフを愛車に選ばれてはいかがでしょう。