セルシオとは?
《写真提供:response》初代セルシオ
トヨタが製造発売していた高級セダンがセルシオになります。この車は好評のうちに惜しまれつつ姿を消しました。しかし、レクサスと名を変え後継車として販売されたというある意味珍しい車でもあります。
販売実績は好調であったはずのセルシオですが、販売中止になってしまった不運のモデルと言ってもいいでしょう。その大きな理由としては、レクサスブランドが関わっているようです。その理由はどこにあったのでしょうか?
セルシオは、1989年の販売開始から2005年に至るまで販売されていました。3代目のモデルチェンジを経て4代目に当たるモデルからレクサスに統合され、その名前は終焉を迎えています。
何故セルシオは消えたのか?
《写真提供:response》3代目セルシオ
何故セルシオは消えてしまったのか?多くのファンが失望したことも事実です。時を待たずに後継車は登場しましたが、セルシオの名前が継承されることはありませんでした。その名は「レクサス LS460」へと変わりました。
レクサスへと移行したのには理由がありました。それは1980年代中盤から後半の円高による輸出力低下に原因があったようです。
特にアメリカ向けの輸出は貿易摩擦を背景に苦戦しており、日本車は高品質・低価格という評価が定着していましたが、この円高により低価格で競争する戦略だけでは難しい時代へと入っていきました。
そこでトヨタは販売競争力の強化を図るべく、収益力の高い高級車への参入を決定しました。こうした背景をもとに登場したのが「レクサス」ブランドでした。
1989年トヨタは海外・国内向けに高級車ブランドの「レクサス」を展開しました。先行してアメリカのレクサスから発表された「LS」が、後にセルシオとの統合を図るモデルとなりました。
そして2005年レクサスの日本国内での販売を開始したのと時を同じくして2006年セルシオは販売を終了し、その後「レクサス・LS」に移行され、セルシオの名前はトヨタのラインナップから姿を消したのです。
セルシオの実力
その実力は高く、セルシオの登場は国内での高級車の概念を一段引き上げた感があります。その走行性能は少し前のスポーツカーに匹敵し、乗り心地はセンチュリーの後部座席のフィーリングに近い高級感に溢れていました。全てが上級モデルといえる仕上がりになります。
4.3リッターV8エンジンはとにかく滑らかで静かというのが、多くの人が寄せる感想ではないでしょうか。回転数でいえば3500回転までは静かの一言です。3500回転以上でメカニカルノイズが聞こえ始めますが、そのサウンドは決して不快なものではなく、無機質ですが心地よく感じることができます。
通常の高速クルージングも2000回転もあれば十分で、6速100kmの巡航はわずか1800回転でこなす実力となっています。6速ATもマニュアルモード搭載になりエンジンの回転数は殆ど吹け上がらないのに、速度だけが上がっていく高級車と呼ぶに相応しい加速を約束してくれます。
乗り心地はボディ剛性が高いために、穏やかと呼ぶに相応しいものにセッティングされています。またこのボディ剛性の高さゆえにワインディングロードすらも楽しめる車へと昇華されています。
その実力は乗り心地・走行性能全てが高い次元で融合し、まさに高級車と言える一台でしょう。
■セルシオのグレード
セルシオのグレードはA仕様・eR仕様・C仕様などがあり、同じ仕様の車にもインテリアセレクションやFパッケージなどがありました。
基本設定はどのグレードも大きな差はなく、ほぼ共通といっても良いものでした。特筆すべき点といえば、走行性能に特化したeR仕様があったことでしょうか。この点から見ても運転する楽しみをセルシオは兼ね備えていました。
■セルシオのエクステリア
《写真提供:response》3代目セルシオ
決して派手な装飾などはありませんが、そのどっしりとした貫禄ある風貌は飽きの来ない重厚さで溢れていました。厚みのあるヘッドライト形状や逆台形のグリルなどはその典型と言えます。
また目には見えない部分にも配慮が施され、アンダーボディに整流カバーや整流板を設けることにより、量産車の中でも最高水準のCD値0.25を達成するなど、抜け目がない仕上がりとなっていました。
このように派手さはないものの、全てが高次元で融合したデザインは、発売を終了して十数年を経た現在でも古さを感じさせません。
■セルシオのインテリア
《写真提供:response》3代目セルシオ
インテリア部分においても、完成度の高さは今でも人気の秘密の1つとされています。パネルについては木目調を積極的に取り入れ、内装の色との組み合わせをより調和したものへと見直されています。
運転席や助手席、後部添乗席のシートに皮製品を取り入れるだけでなく、オプティトロンメーターを見やすくすることにより、運転面においても快適なドライブができるよう環境面が整えられています。
高級車の内装が広いといった窮屈さを感じさせない作りは、洗練されたスタイルとされ現在でも十分通用可能であることを物語っています。
セルシオの中古販売価格
A仕様:20万円台~80万円台
B仕様:20万円台~80万円台
C仕様:10万円台~230万円台
eR仕様:20万円台~290万円台
年数が経っている車なので金額に見合った程度の車が多くあります。平均価格は60万円台ほどで価格帯:10万円台~290万円台となっています。この車は応談の車もあるので気になる方は確認してみてください。価格は車両本体価格となります。
※情報は車情報サイトresponse中古車価格より(2021年1月現在)
セルシオの後継車
《写真提供:response》初代レクサス LS
セルシオの後継車は間違いなくレクサスでしょう。クラウンのマジェスタ・アスリート・ロイヤルも生産終了した今、レクサスがその位置を担っていることは明かで、それほどレクサスは高級路線を追求している車だといえるのではないでしょうか?
現在国内でもレクサスブランドの車がトヨタの高級車といえる分野を担っていることはトヨタの戦略であり狙いとなっています。この流れは今後も変わることなく継続していくでしょう。
セルシオという名の最高級
《写真提供:response》3代目セルシオ
トヨタにはセンチュリーという名の車が最高級車として存在しますが、センチュリーはご自身で運転するというよりも後部座席にゆったりと乗車する車のイメージが高いのではないでしょうか。
自分で運転する車としてはやはりセルシオが乗用車の中では最高峰だったのです。そのセルシオの特筆すべき点としては静粛性があげられます。ふんだんに使用された防音・遮音材によりロードノイズや風切り音などは車内に殆ど届きません。
また多くのウッドを採用したことにより、そのインパネは重量感と落ち着きを醸しだし、運転する者に所有する満足感を与えます。
セルシオのパワーシートは最適のポジションを記憶して、シート位置だけではなくサイドミラーやハンドルの位置までもセット出来ます。
こういう細かな配慮まで怠らないのが最高級の由縁です。乗る者全てに最高の乗り心地を約束するセルシオのシートは満足の出来る仕上がりといえます。
レクサスはセルシオを超えられるか?
《写真提供:response》2代目 レクサス LS
正当な後継車であるレクサス・LSに受け継がれた伝統は、今なお色褪せることなくセルシオの血統を受け継いでいるといっても過言ではありませんが、レクサスはやはりレクサスでなければ超えたとはいえないのでは無いでしょうか?
レクサスは進化の歩みを緩めませんでしたが、多くの人はセルシオを超えたとは思っていないのかも知れません。そういう意味においてはセルシオを超えたとはいえないかも知れません。セルシオは想像以上に大きなインパクトがあったことがうかがえます。
まとめ
《写真提供:response》3代目セルシオ
今なお人気の高いセルシオです。流石に新車では手が出しにくかった方でも、最近では値段も求めやすくなって購入を検討する方もいることでしょう。セルシオは年齢を問わず長く乗り続ける事の出来る車です。一度は乗ってみたい車セルシオをお楽しみ下さい。