軽が豊作続きの今こそ買いたい、輝く歴史の1ページたち
スズキ ツイン カタログ
日本国内での軽自動車の存在感は、過去にないほどに増しています。
新車販売台数の比率を見れば、普通車トップのトヨタ ライズが2020年1月〜6月で約5.8万台を売ってトップに立ったのに対し、軽自動車では同じ期間でN-BOXが約10.1万台もの販売台数で1位。2位のスペーシアでも約6.5万台、3位のタントで約6.2万台と、軽自動車の圧倒的な人気が見てとれますよね。
ここまでの人気となっている点は、もはや軽規格の縛りを感じさせない動力性能や装備内容の充実っぷり。特に予防安全装備や運転支援装備では、一部小型車を大いに上回る充実した装備が軽自動車では一般的になってきています。
しかし、それらの機能向上によって、軽自動車の新車価格がだんだんと上昇していることも事実。自動車の価格自体が常に上昇傾向にあるとはいえ、そろそろ200万円も見えてきた軽自動車の新車は、なかなかプレミアムな存在になりつつあります。
そこでおすすめしたいのが、個性たっぷりの中古軽自動車たち。もとより価格が安い軽中古車の中でも、単なるアシとしてではなく、愛でたくなるような魅力に満ちたこだわりの車選びをすることで、節約しながらの充実のカーライフが送れそうですよね。
今おすすめしたい、こだわりの3台の軽中古車をご紹介していきます。
■スズキ ツイン(2003〜2005年):パーソナルコミューターを先取り
スズキ ツイン
一目でなんじゃこりゃ?!と思ってしまいですが、ミニカーのような愛らしさのあるこちらはスズキ ツイン。
約2.7mに抑えられた全長からもお察しかとは思いますが、あえて室内は2人乗りに割り切った、シティ派コミューターとして登場しました。
排気量だけでなくボディサイズに規制のある軽自動車において、特に大事な全長を使い切らないのは異例のこと。しかし、新規格の軽自動車として最小級のボディによって、こちらも最小級の3.6mという回転半径を実現しているので、狭い道やUターンだってサラッとこなせてしまう点が魅力的です。
スズキ ツイン
丸がデザインモチーフとされたツインは、その愛らしい見た目がまずインパクト抜群ではありますが、中身は同社の長い軽自動車の経験に基づく堅実な仕上がり。実績のあるK6A型ガソリンエンジンは粘り強い性能が持ち味で、600kg台からという軽い車重に対して十分以上のパフォーマンスを発揮します。
また、パワートレインのトピックとしては軽自動車初となるハイブリッド仕様の設定も挙げられます。小さな車内空間ながらバッテリーを追加で搭載したハイブリッド仕様は、パラレル方式の簡易的なシステムではありましたが、10・15モード燃費で34km/Lという脅威的な低燃費を誇りました。
スズキ ツイン インテリア
二人乗り仕様であることはご紹介しましたが、なんと車体後部にはハッチバックドアすら持たず、トランクスペースへのアクセスはシートを倒すか、リヤガラスハッチ越しという点もびっくりポイントではありました。
その代わり、それらの割り切った設計によってコストカットも成功。エアコン・パワステなどの装備がつかないスパルタンな仕様とはいえ、最廉価なガソリンAグレードでは当時の価格で49.0万円という低価格が実現されていました。
スズキ ツイン ハイブリッド
長年の開発ののち、トヨタがEVのパーソナルコミューターをついに発売するなど、にわかに盛り上がりの兆しのある都市型パーソナルコミューター市場。しかし、今から15年以上前に、すでに軽自動車として実現されていたツインは、時代を先取りしすぎた傑作だったのかもしれませんね。
すでに室内ユーティリティの高いトールワゴン系が人気となっていたこともあり、販売面ではかなり苦戦したツインですが、その小回り性能は現在の日本であっても大活躍してくれるはず。
意外と多くの在庫台数が中古車で確認できる上、平均価格も30万円台と落ち着いているので、通勤やお買い物の相棒にこの愛らしいスタイルを選べば、毎日が楽しくなりそうです。
スズキ ツインのスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 2,735mm×1,475mm×1,450mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 1,800mm | |
最大乗車定員 | 2名 | |
車両重量 | 600kg | |
燃費 | 10・15モード:22.0km/L | |
エンジン種類 | 直列3気筒ガソリン 658cc | |
エンジン最高出力 | 32kW(44PS)/5,500rpm | |
エンジン最大トルク | 57N・m(5.8kg・m)/3,500rpm | |
駆動方式 | 前輪駆動(FF) | |
トランスミッション | 3速AT |
スズキ ツインの中古車価格まとめ(2020年12月調べ)
中古車在庫台数: 140台
中古車平均価格: 37.9万円
中古車本体価格帯: 12.8〜108.0万円
■スズキ Kei(1998〜2009年):身軽なSUVルックが「映え」る!
スズキ Kei
軽自動車でもSUV系車種のラインナップが広がってきていますが、都市型SUVとして先駆けた車の一つが、こちらのスズキ Keiです。現在でいえば、ハスラーの先輩にあたる立ち位置と言えるかもしれませんね。
その名も軽自動車のケイ…というKeiは、ダジャレかと思いきや「軽の中の軽」を目指すという高い志の現れとのことです。覚えやすく、秀逸な車名でした。
スズキ Kei
デビューは1998年と、現在のブームよりもはるか昔にSUV系のデザインを取り入れたクロスオーバー車であるKeiは、なんとデビューから2009年まで大きなモデルチェンジなく販売が継続されたというロングセラーカー。
SUVだからといって自己主張の激しくない、どこか肩の力を抜いて気軽に付き合えそうなそのスタンスや、遊び心と実用性のバランスが市場から支持されてのことでしょう。
スズキ Kei インテリア
無論、最新のスーパーハイトワゴンや、やや背を低く抑えたハイトワゴンにすら室内スペース効率では劣るものの、軽セダン系よりもゆとりのある室内は、前席2人分なら十分以上の広々感があります。
後席を折り畳めば荷室床面とフラットになるなど、軽自動車らしくユーティリティ性にもこだわったつくりは、現代でも便利に使えそうですね。
スズキ Kei ワークス
やや背が高めとはいえ全高は1,600mm以下に抑えられているKeiは、ターボエンジン搭載のホットモデルのラインナップも特徴的でした。現代ではアルトワークスが復活していますが、先代アルトワークスが販売終了後には、スタイルも勇ましいKei ワークスがその座を引き継いでいました。
実用車というキャラクターづけもあり、あまり大事に乗られていない印象のものも見られますが、それでもライトな感覚のSUVスタイルは現代でも魅力的ですよね。2009年まで販売が続いたこともあり、まだまだ高年式の車両も探せる点もポイントでしょう。
ターボエンジン搭載車ならその意外なほどの力強さも楽しめますね。
スズキ Keiのスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 3,395mm×1,475mm×1,550mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,360mm | |
最大乗車定員 | 4名 | |
車両重量 | 820kg | |
燃費 | 10・15モード:19.6km/L | |
エンジン種類 | 直列3気筒ガソリンターボ 658cc | |
エンジン最高出力 | 47kW(64PS)/6,500rpm | |
エンジン最大トルク | 106N・m(10.8kg・m)/3,500rpm | |
駆動方式 | 四輪駆動(フルタイム4WD) | |
トランスミッション | 5速MT |
スズキ Keiの中古車価格まとめ(2020年12月調べ)
中古車在庫台数: 386台
中古車平均価格: 21.9万円
中古車本体価格帯: 0.1〜118.0万円
■ホンダ トゥデイ(1985〜1998年):絶頂期のブッ飛びホンダDNA
ホンダ トゥデイ(初代) ホンダコレクションホール収蔵車両
今や軽自動車市場は背が高めの車両が人気を占めていることもあって、非常に新鮮なスタイルに映るのがホンダの軽、トゥデイです。後年には原動機付自転車の車名として復活したことを覚えている方もいらっしゃるかもしれませんね。
当初は税制上のメリットの大きかった軽ボンネットバンとして登場したトゥデイは、もはやスポーツカーを思わせるような低い全高と寝かせられたフロントウィンドウが特徴的。
ホンダが現在でも用いる「M・M(マンマキシマム・メカミニマム)思想」に基づくデザインは、エンジンルームを極限まで小さくまとめることで、低い全高ながらゆったりと座れる室内を実現していました。
ホンダ トゥデイ(二代目)
ホンダらしいスポーティな操縦特性も合わせて、独自の立ち位置を確立したトゥデイは、二代目ではより乗用車として一般的な方向性に修正されたように思えるものの、ホンダらしい車作りが軽自動車でも体感できる車種でした。
初代モデルではまさにクサビのようなスタイル、二代目前期モデルではなんと下側にヒンジをもつトランクリッドを持つなど、外観や使い勝手のあらゆる部分で個性的かつこだわりの感じられるポイントが多くあった点は、トゥデイの魅力の一つでしょう。
ホンダ トゥデイ(初代) カタログ
室内空間としては、さすがに二代目モデルでもデビューが1993年でボディサイズが旧軽規格に基づくもののため、現代の軽セダンと比べると単純に狭いと評さざるを得ませんが、意外と大人4人でもしっくり納まることができる点は、設計の妙なのでしょう。
しっかりとした実用性を保ちつつ、軽量ボディに当時のオープン2シーター「ビート」と同様の高度な独立スロットル機構、MTREC(エムトレック)を搭載したハイチューンエンジン仕様まで用意されるなど、趣味車としても十分な実力がありました。
ホンダ トゥデイ(初代) カタログ フロントの1本ワイパー
年式の古さもあって中古車在庫台数は豊富とはいえないほか、グレードや色なども自由には選びにくくなってきているトゥデイですが、その斬新なスタイリングは現代の街中でも注目の的になれることでしょう。
ベーシックカーというキャラクターながら、サンルーフがオプションで用意されるなどカスタマイズ面でも見所のあったトゥデイ。
綺麗な個体を格安に手に入れられるのは、もしかすると今がラストチャンスかもしれませんね。
ホンダ トゥデイのスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 3,295mm×1,395mm×1,350mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,330mm | |
最大乗車定員 | 4名 | |
車両重量 | 700kg | |
燃費 | 10・15モード:18.0km/L | |
エンジン種類 | 直列3気筒ガソリン 656cc | |
エンジン最高出力 | 35kW(48PS)/6,300rpm | |
エンジン最大トルク | 56.9N・m(5.8kg・m)/5,500rpm | |
駆動方式 | 前輪駆動(FF) | |
トランスミッション | 3速AT |
ホンダ トゥデイの中古車価格まとめ(2020年12月調べ)
中古車在庫台数: 67台
中古車平均価格: 33.4万円(初代)、32.4万円(二代目)
中古車本体価格帯: 19.0〜88.0万円(初代)、13.0〜129.8万円(二代目)
まとめ
ホンダ トゥデイ(初代) カタログ
中古で今こそ買いたい、個性爆発の3台をご紹介してきました。
日本のベーシックカーの立場を長年担ってきた軽自動車は、日本独自の世界に誇れる文化の一つですよね。
軽トラが北米などでカルト的人気を博したりするなど、自動車文化には予測のつかない面もありますので、ここでご紹介した車種もいつか価値が超高騰してしまうこともあるかも。お安く手に入れられる今のうちに、歴史の1ページを体感してみては。