「プラグインハイブリッド」とは?ハイブリッドとの違いは?
ランドローバー・ディフェンダー 「P400e」
■プラグインであること
ハイブリッドとPHV(プラグインハイブリッド)の違いは、まずPHVでは外部電源からの充電が可能な「プラグイン」であることです。
ハイブリッド車ではガソリンエンジンを利用した充電や、減速時の回生ブレーキなどを利用した充電しかできないのに対して、PHVではコンセントなどの外部電源を利用した充電も可能となっています。これがハイブリッドとPHVの大きな違い「プラグイン」なのです。
■EV走行距離の差
また、最近のハイブリッド車もある程度の距離や速度域まで、エンジンを始動させずにEV走行が可能なのですが、PHVはハイブリッドより大容量のバッテリーを搭載していることが多く、EV走行できる航続距離がハイブリッドよりも長くなっています。
ハイブリッドのプリウスとプリウスPHVを例を挙げると、プリウスの蓄電池容量は3.6Ah(E-Fourは6.5Ah)に対して、プリウスPHVは25Ahと大容量となっています。
プリウスは発進時や極低速時のみにEV走行を可能にして燃費を稼ぎ出していますが、プリウスPHVは法定速度内の速度域ならEV走行が可能で、高速での追越しもEV走行で可能になっています。
■燃料費の差
ハイブリッドのプリウスではエンジンの補助にモーターを使いますが、プリウスPHVではモーターだけの走行には限界があるので、そのエンジンとモータ-を併用するハイブリッドを補助にしている感じです。
燃費は、運転者によりますが、プリウスPHVの方がハイブリッドのプリウスよりも安くなります。プリウスPHVはEV走行できる60km以内なら、家庭でバッテリーにためた電力だけで走行できるのでガソリンは基本的に一滴も使いません。
EV走行距離をすぎればハイブリッド走行になるので、プリウスと基本的に同じ燃費となります。(重量増のためなどでプリウスよりは燃費がダウン)
代わりに電気代はかかりますが、深夜電力を使うなど賢く充電すれば住宅用電気の小売り価格の方がガソリンよりも安く済みます。
PHVとPHEVに違いはあるのか?
BMW 530e xDrive
PHVは「プラグインハイブリッド自動車」、PHEVは「プラグインハイブリッド電気自動車」のことで、三菱自動車や日産、ホンダはプラグインハイブリッドのことをPHEVと呼んでいます。PHEVとPHVは、メーカーによってシステムの呼び名が違うだけで、大きな違いはありません。
世界的にみるとPHVの方が多いようですが、どちらかに統一された方がユーザーにはわかりやすいのですが、メーカーの方針次第なので無理なのでしょうか。
PHVに乗るメリット・デメリット
三菱 エクリプスクロス PHEV
次にPHVのメリットとデメリットについて解説します。メリットの多いPHVですが、まだ少数派にとどまっているのには理由があります。
■PHVのメリットは?
主なメリットはやはり燃費の良さと、EVのように電気のみで走行できる(短距離)ことになります。また、大容量バッテリーを搭載しているので、アウトドアや非常時などでAC100Vコンセントを使えるのもメリットとして注目されています。
■PHVのデメリットは?
ハイブリッドに比べて車両価格が高いことと、充電するための設備を用意しなくてはならないことです。ハイブリッドであるだけで、ガソリン車より割高になっているのに、さらに高いのは上級車種以外に採用されない大きなデメリットとなっています。
新車価格面で例を挙げると、ハイブリッドのプリウスが260万~355万円程度なのに対して、プリウスPHVは331万~439万円程度となっています。
また、給電スポットは多くなっていますが、PHV最大のポイントである家庭での充電は駐車スペースに充電設備を備えている事が必須となるのも特に集合住宅では難しいポイントで、普及を妨げるデメリットといえます。
PHVに乗るメリット | PHVに乗るデメリット |
・ハイブリッド同様、燃費が良い ・電気のみで走行できる距離が長い ・ハイブリッドよりも環境性能が高い ・車で通常の家電を使うことができる | ・車両価格が高い ・車内スペースが狭くなる ・充電設備が必要になる |
今選べる国産PHV・PHEV
エクリプスクロス PHEV
現在国産車では、トヨタと、三菱、ホンダが今選べる国産PHV・PHEVをラインアップしています。
トヨタはハイブリッド、三菱はEVで培った技術でそれぞれ魅力的な車種となっています。
■トヨタ プリウスPHV
トヨタ プリウスPHV
2017年2月のフルモデルチェンジで、搭載されるリチウムイオン電池が8.8kWhの大容量となり、WLTCモードによる充電電力使用時走行距離が60kmまで拡大し、EVによる最高速度も135km/hまで引き上げられています。また、ハイブリッド走行時の燃費もWLTCモードで30.3km/Lを実現しています。
また、2020年7月の改良ではAC100V・1,500Wの外部給電機能が新たに全車標準装備となったほか、2019年5月9日の一部改良では、外部給電装置(V2H)が新たにオプション設定され、別売りのV2H機器と接続することで家庭用電力として利用することが可能になり、逆に住宅の太陽光発電などの家庭の配線をそのまま利用しての充電が可能になっています。
■トヨタ RAV4 PHV
トヨタ RAV4 PHV
大容量リチウムイオンバッテリーを車体中央の床下に搭載し、WLTCモードによる充電電力使用時走行距離はプリウスPHVを大きく上回る95km、ハイブリッド燃費は22.2km/Lを達成しました。さらにガソリンタンク容量も55Lを確保したことで、航続距離は1300km以上を実現しています。
また、最大1500W(AC100V)の外部給電機能は標準装備され、バッテリーだけを使って給電するEV給電モードと、バッテリー残量が所定値を下回るとエンジンが起動し、ガソリン満タン状態なら最大出力となる1,500Wでも3日程度連続して供給できるハイブリッド給電モードがあります。
■三菱 アウトランダーPHEV
三菱 アウトランダーPHEV
2012年12月に、トヨタのプリウスPHVに続く日本での量産型プラグインハイブリッドの2車種目として登場。車両のベースをSUVのアウトランダーとしていることが最大の特徴です。
最新モデルでは駆動用バッテリーとエンジンを大幅改良を実施して、WLTCモードによる充電電力使用時走行距離を57.6kmに、ハイブリッド燃費を16.4km/Lに向上させました。
2020年で日本市場においてベースとなる「アウトランダー」ガソリンエンジンモデルが生産終了しており、次期型への期待が高まっています。
■三菱 エクリプスクロスPHEV
三菱 エクリプスクロス PHEVモデル
2020年12月に追加されたPHEVモデルには、アウトランダーPHEVにも採用されている2.4Lガソリンエンジンに、前後1基ずつの高出力モーターと13.8kWhの大容量駆動用バッテリーを組み合わせたPHEVシステムを搭載したことでWLTCモードによる充電電力使用時走行距離は57.3kmとなっています。
そして、200Vの普通充電と急速充電に対応し、普通充電で満充電まで約4.5時間、急速充電なら80%までを約25分で充填することができます。
また、走行モードは「EV走行モード」、「シリーズ走行モード」、「パラレル走行モード」の3種類が走行状況に応じて自動切り替えわります。
さらに、ツインモーター4WDをベースとした車両運動統合制御システムS-AWCを採用し、より細かい精度での制御が可能になって、走行性能が高められています。
トヨタ | プリウス PHV | RAV4 PHV |
ハイブリッド燃費 | 26.2~30.3km/L | 22.2km/L |
EV走行距離 | 50~60km | 95km |
車両本体価格(税抜き) | 3,011,819~3,992,728円 | 4,263,637~4,900,000円 |
※WLTCモード燃費
※上記スペックと価格は2021年1月現在のメーカー公式サイトによります。
三菱 | アウトランダー PHEV | エクリプスクロス PHEV |
ハイブリッド燃費 | 16.4km/L | 16.4km/L |
EV走行距離 | 57.6km | 57.3km |
車両本体価格(消費税抜き) | 3,968,000~4,813,000円 | 3,499,000~ 4,070,000円 |
※WLTCモード燃費
※上記スペックと価格は2021年1月現在のメーカー公式サイトによります。
まとめ
今回はPHVについて解説しました。ハイブリッドとどこが違うのがポイントになりますが、PHVは家庭のコンセントで充電できるハイブリッド車で、EVのように走ることもできるのが最大の特徴となります。
デメリットもあるので、全ての人におすすめできるというわけにはいきませんが、条件にあう方は、次の車の選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。