ミニバンとは?
日産 エルグランド
ミニバンは一般的に1ボックスタイプの3列シートの車を指していますが、2ボックスタイプのミニバンも数多く販売されています。
実はミニバンには明確な規格や定義がありません。ではなぜ、ミニバンというのでしょうか。ここでは、ミニバンの由来や他の車との違いをご紹介します。
■ミニバンの意味は?
ミニバンの意味を解説する前に、まず「バン」の意味をご紹介します。
ミニバンの「バン」は、荷物運搬に用いられるバンのことで、元々は屋根付きの荷馬車のことを指す言葉である「キャラバン」が短くなってできた言葉とされています。アメリカでフルサイズと呼ばれるバンの小型版として「ミニバン」という呼び名が誕生し、現代に至ります。
「ミニバンにも大きな車があるのでは?」と思うかもしれませんが、昔のアメリカ基準では小さかったことから由来しています。昔のアメリカのワンボックスカーやトレーラーは、全長5m以上、幅2m以上の巨大な車種(フルサイズ)が主流でした。
その後、フルサイズよりも一回りコンパクトなワンボックスカーが登場し、ミニバンと呼ばれるようになり大ヒット。全世界に普及したということです。
■ミニバンと他の車種の違いは?
ここでは、他の車種とミニバンの違いを解説していきます。
ワンボックスとの違い
トヨタ ハイエース バン スーパーGL
ワンボックスは、四角い形の箱型のワゴン車かバンを指す言葉です。主な車種としては、ハイエースなどが挙げられます。
ハイエースといえばボンネットの中にエンジンルームは存在せず、エンジンはフロントシートの下に配置されています。このように前方にエンジンルームがなく、車が一つの箱で動いているように見える車種をワンボックスカーといいます。
ミニバンは現在、ワンボックスとひとくくりにされることが多いのですが、実際にはエンジンルームがボンネットの中にある2BOXタイプの車種が一般的です。
つまりミニバンとワンボックスカーの違いとしては、ワンボックスはエンジンが車体の下にあるのに対し、ミニバンはトランクルームにエンジンが収納されているということになります。
SUVとの違い
《写真提供:response》マツダ CX-5 XD
SUVは「Sport Utility Vehicle(スポーツ用多目的車)」の略で、オフロードの走行性と快適性を両立させた車種です。
SUVモデルの多くは2列シートの5人乗りで、少人数のドライブやアウトドアに向いています。一方でミニバンの主流は3列シートで沢山の荷物と人数を載せることができるため、ファミリー層に人気となっています。
ミニバンとSUVの違いとしては、ミニバンが多くの人を乗せたり荷物を載せることに特化しているのに対し、SUVは走行性を重視した車だということになります。
ミニバンの特徴
トヨタ ヴォクシー
ここからはより具体的に、ミニバンの特徴をご紹介します。
■乗り心地
ミニバンは車内空間が広く沢山の荷物を載せられるため、快適なドライブを楽しむことができます。また視界が広く車体も高いので運転しやすく、シートのアレンジ方法が多彩です。
各々に合わせた使い方ができることは、大きな特長といえるでしょう。このようにミニバンは、乗り心地という点では非常に使いやすい車種です。
■燃費
ミニバンの燃費は、他の車種と比較するとあまり良いとはいえません。広々とした車内空間を実現できるように、車体が重くなっているためです。さらに車高が高いため、走行時に空気抵抗が大きくなってしまうことも原因とされています。
これに加えてミニバンのメリットである「沢山の荷物を載せられる」という点も、全体の重量を増すことにつながり、燃費に影響を及ぼします。
急加速や急発進をせずにメンテナンスをこまめにすることで、燃費の向上は見込めます。しかしそれでもミニバンは、他の車種と比べると燃費という点では優れていないことを覚えておきましょう。
■サイズ
ミニバンにおいては、さまざまな大きさの車種が販売されています。小さくて小回りの利くコンパクトなものから、大人数で乗るのに適した巨大なものまで多種多様に販売されています。
ミニバンを選ぶ際は、自分の生活環境に合わせたサイズの車種を選ぶようにしましょう。
ミニバンのクラス
《写真提供:response》トヨタ ヴォクシー 特別仕様車 ZS“煌II"(ブラック)
ミニバンにはクラスというものがあります。クラスは一般的に車の大きさをあらわすもので、車体が大きくなると価格も高くなる傾向にあります。
■LLクラス
LLクラスは最も大きいクラスです。長さ約5mに迫り、高さ1.8mを超える、巨大なボディサイズが特徴。車体が大きいので車内空間が広々としており、3列目の乗り心地もバッチリです。
その分車体は重くなっており、大排気量エンジンが搭載されています。加速や高速走行もスムーズでエンジン音も静かという、優れたクラスといえます。ミニバンのなかでも特に高級なクラスで、新車の価格は一番下のグレードでも300万円以上します。
代表的な車種としては、日産のエルグランドやトヨタのアルファードなどです。
■Lクラス
Lクラスは全長4.7mから4.8m、幅が1.7m以上のクラスです。幅と長さはLLクラスとほぼ同じですが、高さが1.8m以下のミニバンがLクラスとして分類されています。
車高が低くなるため車内の空間はLLクラスよりも狭くなっていますが、その分走行性能はよく運転しやすいのが特徴です。
トヨタのエスティマや、ホンダのオデッセイなどがLクラスのミニバンです。
■Mクラス
全長が4.6から4.7m、全幅が1.7m前後で、高さ1.8m以上のミニバンがMクラスです。LLクラスほどではないですが車内空間は広々としており、後部座席でも快適に座れるのが特徴。
車体が大きすぎないため運転がしやすく、ファミリーカーとしても人気の高いクラスです。
トヨタのヴォクシーや日産のセレナ、ホンダのステップワゴンなどがMクラスに入ります。
■Sクラス
Sクラスのミニバンは全長4.6m、高さ1.6メートルほどで、Mクラスよりも少し小さくなっています。
車高は低く、排気量は抑えめです。Mクラスよりも車内空間が狭く、車高も低くなっています。そのため、安定した走行性能と運転のしやすさが特徴です。
代表的な車種は、トヨタのプリウスαやホンダのジェイドなどです。
■SSクラス
全長4.2m程度でコンパクトカーと同じような大きさのサイズなのが、SSクラスのミニバンです。車内空間を効率的に設計することで、3列目のシートを確保しています。
ボディが小さめで回転半径も小さく、小回りが利いて運転しやすいのが特徴。住宅街や街中で乗り回すのにぴったりなミニバンです。
ホンダのフリードや、トヨタのシエンタなどが代表的な車種です。
おすすめのミニバン5選
ここでは、おすすめのミニバンを5つご紹介します。どれも有名な車種なので、ぜひミニバン購入の参考にしてくださいね。
■日産 セレナ
日産 セレナ
日産 セレナは、Mクラスのミニバンです。2016年に旧型から新型のセレナに改良されました。
同一車線自動運転機能のプロパイロットが選択でき、渋滞中のアクセルやブレーキ、ステアリングを自動で制御してくれるので、長時間運転していても疲れないのが特徴です。
ダッシュボードや車体全体の見た目にもこだわっており、シャープでありながら車内空間を広々と見せるデザインになっています。
■ホンダ フリード
ホンダ フリード
2016年にフルモデルチェンジしたフリード。視界が良く、両端部分が拡大されたフロントウィンドウを搭載しているため、非常に運転がしやすい車種といえます。
コンパクトなタイプですが計算された車内空間で、1列目から3列目まで大人でも通り抜けられるほどです。また、車体が低く乗り降りしやすいのもメリット。
周りの車や歩行者との衝突を回避する衝突軽減ブレーキや、歩行者事故低減ステアリングなど、事故回避機能を搭載しています。さらに、ドライバーの負担を軽減してくれる機能もあるなど使いやすい車種です。
■トヨタ シエンタ
トヨタ シエンタ
トヨタのミニバンのなかで、最もコンパクトな車種のシエンタ。新車販売台数ランキングでは常に上位を守っています。
非常に使いやすいサイズ感とアレンジできる車内空間、トップレベルの低燃費という点から、特にファミリー層から絶大な人気を博しています。コンパクトなボディでありながら、最大7人まで乗車可能。回転半径が小さく、街中の走行にぴったりです。
カタログ燃費でも、WLTCモードでハイブリッド車が22.8km/L、ガソリン車でも最高17.0km/Lとなっており、ミニバンのなかでは抜群の燃費性能です。まさに、普段使いにぴったりのミニバンといえるでしょう。
■ホンダ オデッセイ
《写真提供:response》ホンダ オデッセイ
オデッセイはLクラスのミニバンで車内空間が非常に広く、大きな荷物や大勢でのお出かけの際に非常に便利です。
3列目のシートは床下に収納できます。さらに2列目を後ろまでスライドできるため、乗車する人数に合わせて車内空間をアレンジ可能です。
また重心が低いので乗り心地が良いだけでなく、ハンドリングも軽やか。大きめのボディですが、小回りもスムーズなこともメリットといえます。
■トヨタ アルファード
トヨタ アルファード
アルファードは、LLクラスのミニバンです。高級感、車内の快適さ、高い走行性を兼ね揃えており、非常に人気となっています。
広々とした車内は極めて居住性が高く、高級ミニバンらしく上質な仕上がり。さらに、床下には多くの荷物を収納可能な床下収納があります。
安全機能も充実しており、周囲の障害物を検知する機能やブザーによって衝突の危険性を知らせる機能を搭載しています。他にもブレーキアシストや車線逸脱防止機能も備わっているなど、まさに至れり尽くせりのミニバンといえるでしょう。
まとめ
ホンダ ステップワゴン
ミニバンは現在、非常に人気の車種となっています。特にファミリー層に人気が高く、家族で出かける際などによく使われています。
ミニバンといっても、多くの人や荷物を載せられる大きなものから小回りの利くコンパクトなものまで幅広く販売されています。なかには、狭い道にもぴったりなサイズの車もあるのです。
ミニバンは非常に多くの車種が販売されておりそれぞれ特徴が大きく異なりますので、自分にぴったりのミニバンを選んでくださいね。