ホイールナットってなに?
《写真提供:response》鍛造アルミホイール「MDCF」とホイールナット
ホイールナットとは、車体にホイールを取り付け、固定するための部品です。ボルトと組み合わせて、締め付けや固定するもので、ナットは「めねじ」となっています。ホイールナットは、サイズや必要な数がクルマによって違うため、適正なものを選び、使用することが重要です。
本格的なクルマのメンテナンスは、ディーラーや修理工場に任せている方でも、夏タイヤとスタッドレスタイヤの交換、夏タイヤのローテーション、といった作業は自分でおこなうという方も少なくないでしょう。そういうわけで、ホイールナットは比較的扱う可能性の高いクルマの部品です。
今回は、ホイールナットのタイプ、形状、素材の違い、そしておすすめのホイールナットをご紹介します。
ホイールナットのタイプ
■袋タイプ
《写真提供:AC》袋タイプのナット
袋タイプとは、ナットの片面を閉じられており、ねじ穴が貫通していないナットのことです。キャップナット、化粧ナットと呼ばれることもあります。
このタイプのナットは、締め付けたボルトやビスの先端が露出しないため、安全性が高いという特徴があります。また、ホイール穴をふさぐため、雨による錆を防止でき、汚れも防いでくれます。そして、装飾性が高いので、愛車の足回りのドレスアップを図りたいときに役立ちます。
■貫通タイプ
《写真提供:AC》貫通タイプのホイールナット
貫通タイプのホイールナットは、文字通り、穴が貫通しているタイプのナットです。
メリットは、袋タイプと比べて、価格がややリーズナブルなところ。さらに、袋タイプがボルトの長さに合わせてナットを選ばなければならないのに対して、ボルトの長さに関係なくきちんと閉められることです。
ただ、装飾性は袋タイプのほうが断然高いため、貫通タイプは主に、スチールホイールの装着、ホイールキャップと組み合わせる、といったケースで使用されることが多いようです。
ホイールナットの代表的な形状
《写真提供:response》originalニスモのロゴ入り『ホイールナットセット』『エアバルブキャップセット』
ホイールナットは、「座面」に合わせた形状を選ぶ必要があります。
座面とは、ナットとホイールが接触する面のこと。その違いに合わせて、ホイールナットには大きく分けて、「60°テーパー座」、「平面座」、「球面座」の3種類があります。
■60°テーパー座
「60°テーパー座」は、日本では最もポピュラーなタイプのホイールナットで、日本国内で流通しているホイールとナットの多くに採用されています。とくに、トヨタやホンダの純正ホイールなどを除く多くのアルミホイール、とくに社外アルミホイールでは、そのほとんどが60°テーパー座と言われています。
形状は名前の通り、ホイールとナットの接触面が斜めにカットされています。この接地する座面が60°なので、「60°テーパー座」という名前になっています。
■平面座
「平面座」は、取り付け座面が平面になっている規格のホイールナットです。平面座のメリットは、ホイールとナットの接する部分が、線ではなく面になるため、摩擦に強く、ホイールをしっかり固定できるところ。
この平面座ホイールナットを採用しているのは、国内メーカーだとトヨタ自動車です。一部例外もありますが、多くのトヨタ製純正アルミホイールで平面座が使用されています。
■球面座
「球面座」は、テーパーナットのテーパー部分が、球状になっているものです。この球面座ナットは、ホンダ車の純正アルミホイールに多く使用されています。メリットは、テーパーナットよりもホイールとの摩擦力が生まれやすいため、ナットが緩みにくいこと。
見た目は60°テーパー座と似ていますが、基本的には互換性がありません。ですから、購入や取り付けに際しては、注意が必要です。もし60°テーパー座ナットと間違えて使用してしまうと、接触面が少なくなってしまい、ナットに緩みが出やすくなります。
ホイールナットにはどんな素材が使われているの?
《写真提供:AC》タイヤ交換
■スチール
スチールは、多くのホイールナットに使用されており、これから取り上げるジュラルミン、クロモリ、チタンと比べても、流通量が多い素材です。
メリットは何といっても、他の素材に比べて価格が手頃なところ。それでいて耐久性が高く、頑丈で壊れにくいため、人気となっています。一方、塗装の表面処理具合によっては、経年劣化を起こして錆びやすい素材でもあります。
とはいえ、安全性とコストパフォーマンスを求めるのであれば、バランスの良いスチール製がおすすめです。
■ジュラルミン
ジュラルミンは、アルミニウム合金の一種で、アルミの強度を高めたものです。環境にもよりますが、その強度は鉄鋼材料に匹敵するといわれています。加えて、ジュラルミン素材は「軽い」という特徴をもっています。そのためジュラルミンケースは、重要な書類を入れたり、現金輸送に使用されたりしています。
ジュラルミン素材のホイールナットはカラーが豊富で、シルバー色以外のホイールナットをお探しの方には、必見の素材。軽量なので、長い目で見れば燃費向上も期待できます。ただし、軽量がゆえにナットが緩みやすいという弱点も持っており、定期的なメンテナンスが必要です。
■クロモリ
クロモリとは、クロームモリブデン鋼の略称で、クロムとモリブデンを配合した炭素鋼合金のことです。
クロモリは、通常の鉄よりも錆びにくく、丈夫な素材です。実際、相当な荷重のかかるロードバイクのフレームやレーシングナットに数多く使用されており、耐熱性や強度にも優れています。スチールと比べると、価格が高くなりがちなので、ホイールナットにこだわりたい方が選ぶ素材となってくるでしょう。
■チタン
チタンは、錆びにくく、強度があり、しかも軽量、という高品質な金属です。
当然、チタンで作られたホイールナットは高い性能を発揮します。ただし、性能が高いぶん、チタン製のホイールナットは、価格もかなり高め。それでも品質の高いホイールナットをお探しであれば、チェックしたほうがいい素材です。レーシング用途でも使用されており、品質は折り紙つきです。
ホイールナットおすすめ5選!
■Bull Lock (0651B-19)協永産業
一般自動車からレーシング用の高性能なホイールナットにいたるまで、さまざまな種類のホイールナットを提供している国内メーカーの協永産業。「KYO-EI」ブランドとしても広く知られており、高度な鍛造技術と実績で、確かな信頼を確立してきました。
この「ブルロック(0651B-19)」は、通常のホイールナット16個に加え、盗難防止用ロック4個がセットになっており、アルミホイール盗難の防犯対策となっています。もちろん、この盗難防止で絶対に大丈夫とは言い切れませんが、せっかくホイールナットを交換するのであれば、防犯対策がなされたこちらの商品は、おすすめです。
価格も、2021年4月現在、実売価格が3,000円台で、お求めになりやすいものとなっています。
■17HEXロック&ナットセット(74082000000CP)RAYS
日産 GT-Rなどの純正ホイールも製作しているレイズ。「17HEXロック&ナットセット」は、しっかりとした作りで、高級感さえ漂わせます。
よく見ると、レイズのロゴがさりげなく入っており、RAYSホイールを装着しているクルマにも、少しのドレスアップを図りたい方にも、おすすめの商品です。
■マックガード ロックナット(MCG-34212)マックガード
マックガードは、ホイールおよびタイヤの盗難防止用品で有名なブランドです。特徴は、ナットの頂部に彫りこまれた花柄のパターン。
コンピューターにより作図・管理されており、専用キーなしに緩めることは困難とされています。ですから、市販の工具を使って無理やり取り外すことが難しく、高価なホイールを履いている愛車には、おすすめの選択肢です。
■レデューラレーシングシェルタイプナット(ロック&ナットセット)KYO-EI
スチール製コアナットに、鮮やかなカラーアルマイト表面処理を施したアルミシェルを取り付ける構造のホイールナットです。
鮮やかなブルーは、シルバーやブラックのホイールにも映え、ドレスアップはバッチリ。アルミシェルのおかげで、コアナットに傷がついても見た目には分からないので、タイヤ交換などの際にも安心でしょう。
■ハイセキュリティロックナット M12X1.5 21H ストレート (MCG-31256)マックガード
トヨタでは、ディラーオプションにも採用されているマックガード。
「まさかホイールが盗まれることなんて…」と思いたいところですが、万が一のことを考えると、安心のためにはこれくらい本格的なほうがおすすめです。
落ち着いたデザインと色合いで、メーカー純正ホイールにも、こだわりの社外アルミホイールにも、よく似合うことでしょう。
まとめ
《写真提供:AC》ホイールナットをよく選ぼう
今回は、ホイールナットについてまとめました。タイプ、形状、素材によって、さまざまな種類のホイールナットがあります。ぜひ愛車にピッタリのホイールナットを探してみてくださいね。