トヨタ ハイラックスとは
≪写真提供:response≫トヨタ ハイラックス
車にはさまざまなカテゴリーがありますが、中でも近年特に高い人気を集めているカテゴリーがSUVです。現在ではSUVの解釈はかなり広くなっており、オフロード車のようなデザインを採用したモデル全般がSUVと呼ばれるようになりました。
しかし、もともとはアメリカでアウトドアなどのレジャーを楽しむために使用されてきたピックアップトラックをベースとした背の高いステーションワゴン風のモデルなどのことを指す言葉です。現在では悪路走破性を向上させたモデル全体をSUVと呼ぶような風潮もあり、ハイラックスのようなピックアップトラックもSUVに分類される場合があります。
アメリカでは非常に人気が高く、生活に密着した車にもなっているピックアップトラックですが、日本での市場規模はそれほど大きくはありません。中型以上のトラック以外で多くの荷物を載せることができる車といえば、日本では軽トラや軽バンが中心であり、ピックアップトラックが選ばれることはあまりありません。
そのため、日本の自動車メーカーでもピックアップトラックの製造を行っていても国内ではなく北米やオーストラリアといった海外をターゲットとしており、日本では販売されていないケースがほとんどです。
そんな中、2021年現在で唯一日本国内で正式に販売されているピックアップトラックがトヨタ ハイラックスです。海外市場で長年にわたって販売され続けてきた人気モデルですが、日本市場に再登場したのは2017年のことでした。実に13年ぶりの日本市場復活となり、当時大きな話題を呼びました。
ここではまず、トヨタ ハイラックスとはどのような車なのかについてご紹介します。
■世界で愛されるピックアップトラックスタイルのクロカン
ハイラックスの最大の特徴は、一般的なトラックとは異なりフロントボンネットが長く突き出したデザインになっている点です。これはピックアップトラック全般の特徴にあたりますが、日本市場においては唯一無二のスタイルで圧倒的な存在感を放っています。
ハイラックスはスタイルが独特であるだけでなく、シャーシにはラダーフレーム式を採用した非常にタフな車に仕上がっています。駆動方式は機械式パートタイム4WDで、仕様は完全に本格的なオフロード車です。実際に、海外市場では本格クロスカントリー車として人気のランドクルーザーに近いモデルとして愛されてきました。
海外向けモデルとしてデザインされていることもあって、サイズはかなり大きめですが迫力満点。後部は荷台になっていますが、コンパクトタイプのトラックとは異なり、十分な広さの後部座席も備えられています。
■ダカールラリーも走破した実力
ハイラックスの走行性能の高さは、ダカールラリーでも証明されています。現行ハイラックスは2021年1月に開催されたダカールラリー2021にも参戦。全13日間、走行距離4400kmを見事に走破しました。
どんな環境も走破できる本格クロスカントリー車であることを証明しています。
■ピックアップトラックとは
ピックアップトラックは、80年代頃までは日本でもさまざまなシーンで活躍していました。現在のように自家用車としてではなく、商業車としての需要が大半を占めていましたが、多くのメーカーのピックアップトラックが日本中で見られました。
しかしボンネットが出ていないコンパクトなトラックの方が同じ荷台のサイズでも全長を抑えることができ、小回りが利くといったメリットから人気を集め、ピックアップトラックはほとんど姿を消してしまいました。
こうしてピックアップトラックは姿を消してしまったものの、その独特のスタイルから今度は商業車ではなく、趣味性の高い自家用車として人気を集めるようになりました。そこで、特に注目されたのがハイラックスなどの非常に高い走破性能を持つモデルです。
■SUVとクロカンの違い
先ほども少し触れましたが、近年では高めの車高を持つオフロード車タイプのモデル全般がSUVと呼ばれ人気を集めています。そのため、「ハイラックスもSUVなのか?」と思われる方も多いかもしれません。
ハイラックス高い走破性能を誇り、アウトドアレジャーなどにも使用できますので広義ではSUVに分類することができるでしょう。しかし、SUVはよりオフロード走行に特化しています。そのため、正確にはオンロードよりもオフロードを走行する前提で設計されたクロスカントリー車にあたります。
ハイラックスのデメリット
≪写真提供:response≫トヨタ ハイラックス
ここまでハイラックスの魅力をご紹介してきましたが、このモデルにはデメリットも少なくありません。
そこで、ここからはハイラックスのデメリットをご紹介します。
■日本の道路事情では大きすぎるサイズ
ハイラックスの最大のデメリットはサイズです。フロントボンネットが突き出している上に荷台も備えていることから全長が非常に長く、5.3mを超えてしまいます。さらに悪路走行に対応するための全高も非常に高くなっており、横幅もワイドなので日本の道路市場を考えると大きすぎるサイズであると言えます。
狭い道の走行はもちろんのこと、高さ制限のある立体駐車場などの利用も困難です。
また、このサイズに慣れなければ運転が難しいという点も頭に入れておくべきでしょう。特に、日本市場で人気の軽自動車やコンパクトカーに慣れている人の場合、勝手も感覚もまるで違います。前方が大きく突き出していることもあって、普段から大きめのミニバンなどに乗っている方であっても運転に難しさや怖さを感じてしまうかもしれません。
運転のしにくさに関しては、最終的には「慣れ」の部分が大きく影響します。確かに最初は運転しにくく感じられるかもしれませんが、毎日運転していると感覚を掴めるでしょう。
ただ、運転技術は人によって異なりますので、購入前に実際のサイズを確認しておくことは重要です。
■毎年車検が必要な1ナンバー登録
ハイラックスなどのピックアップトラックは1ナンバー登録となります。そのため、毎年車検を通す必要があります。この点がピックアップトラックの購入をためらう理由になっているという方も多いでしょう。また、高速料金も高額になるためランニングコストは決して低いとは言えません。
自動車税と重量税に関しては貨物車登録となるので、普通車と比較すると安くなるというメリットもありますが、毎年の車検費用のことを考えるとマイナスになってしまう可能性が高いです。
コスト面に関しては法制度なので受け入れるしかありません。購入前に年間にどのくらいの維持費が必要となるのかを計算しておくと良いでしょう。
■オンロードでの走行性能
近年ではオフロードの走行が可能なSUVでもオンロード走行の性能が重視されています。そのため、スタイルとは裏腹にシャープでキビキビとした走行を楽しめるモデルが主流です。
それに対して、ハイラックスはあくまでクロスカントリー車として設計されていますのでオンロードでの走行性能は決して高いとは言えません。居住性もやや犠牲になっており、近年の乗り心地の良いSUVをイメージしているとがっかりしてしまうかもしれません。
ただ、ハイラックスもマイナーチェンジのたびに居住性も改善されており、極端に乗り心地が悪いというわけではありません。また、走行性能に関してもパワーは十分にあるので高速道路などでも余裕を持った走行が可能です。
また、人によっては操作へのレスポンスの遅さといったデメリットがこの車ならではの「味」だと感じられるケースもあります。単純な走行性能や操作性のみでなく、その車ならではのクセを感じながら運転を楽しめる方にとってはメリットであるとも言えるかもしれません。
ハイラックスの価格、燃費は?
≪写真提供:response≫トヨタ ハイラックス(海外仕様)
ハイラックスの購入を検討しているのであれば、やはり気になるのは価格や燃費といったコスト面ではないでしょうか。
そこで、ここではハイラックスの新車価格や中古車市場価格、そして燃費などをご紹介します。
■グレード別の新車価格
ハイラックスのグレード展開はとてもシンプルでベースグレードと上位グレードの2種類です。
まず、ベースグレードのXは3,155,455円(税抜)です。そして上位グレードのZが3,523,636円(税込)となっています。
グレードによって装備などは異なっていますが、パワーユニットや基本的な使用は同じなので、予算と必要な装備を考えて選びましょう。
※価格は公式サイトより(2021年5月時点)
■ハイラックスの中古車市場価格
ハイラックスは人気は高いものの、日本市場ではそれほど売れた車というわけではないため中古市場の台数はそれほど多くはありません。その希少性もあって、価格はかなり高めです。
2017年に日本市場で復活する前の古いモデルでも車体価格が100万円を超えるものが多くなっています。現行モデルになるとさらに人気が高いため、300万円を超えるものも少なくありません。そのため、中古でもあまりお得感はないかもしれません。
このあたりは特殊なモデルなので仕方ないでしょう。
■ハイラックスの燃費
ハイラックスの燃費はいずれのグレードでもWLTCモードで11.7km/Lとなっています。最近では大型SUVでも燃費性能が高いモデルが増えていることもあり、ちょっと物足りないと思われるかもしれません。しかし、高いオフロード走行性能を誇る本格クロスカントリー車としては決して悪くない数値です。
※情報は公式サイトより(2021年5月時点)
まとめ
≪写真提供:response≫トヨタ ハイラックス
ハイラックスは現在日本国内で正規ディーラーで購入できるピックアップトラックの数少ない選択肢のひとつです。そのワイルドなスタイルのみでなく、ダカールラリーを走破するほどの高い走行性能で世界的にも高く評価されるモデルです。
今回ご紹介したデメリットも頭にいれつつ購入を検討してみてはいかがでしょうか。