チャリより楽、車より激安!注目度高まる「原付」
プジョー ジャンゴ50スポーツ
コロナ関連の混乱がまだまだ収まりそうにない昨今、通勤や通学に電車やバスなど公共交通機関を利用するのではなく、自転車や自家用車などを利用している方も増えているといわれています。
とはいえ、自家用車は駐車場代など維持費もかさむためおいそれと購入は難しいものです。その点自転車は扱いやすさが抜群なものの、ある程度以上に距離があったり、起伏の激しいエリアにお住まいの方では、やや面倒さも先行する印象ですよね。
自転車並みの機動力がありつつ、自動車のような機械任せで楽々と加速できる乗り物があったなら、とお思いの方も多くいらっしゃるかもしれません。そんな方にぜひおすすめしたいのが、「原付」と呼ばれる原動機付自転車です。
車両重量で100kg以下程度のものが多いなど扱いやすさは抜群ですし、都市部でも駐輪場は豊富に用意されていることも多く駐車も楽々。それでいてスロットルをひねるだけで加速が可能ですし、多くの車種ではシート下にトランクスペースまで備えているという、マルチな才能のある原付は、ここ最近注目度が高まっています。
ちょっとした移動を楽にしてくれる原付は、あなたの通勤通学やお買い物のアシとして、最適解かもしれませんよ。
■「原付」とは?原付二種とは違うの?関連法規をチェック
《画像提供:Response 》ヤマハ NMAX125(原付二種)
正式には「原動機付自転車」と呼ばれる原付は、自転車と名前に入っていることから混乱してしまいそうになりますが、具体的には排気量50cc以下の二輪車のことを指します。近年では電動バイクが市場で存在感を増していますが、電動機の場合は定格出力が0.6kW以下のものが原付にあたります。
二輪車としては最小クラスの区分けとなる原付は、現在では主に足元がフラットに取られたスクータータイプのものが数多くラインナップされています。過去にはスポーツタイプの原付なども存在したのですが、市場の縮小に伴って近年ではラインナップされていません。
最近注目度が高まっている二輪車としては「原付二種」も挙げられますが、こちらは排気量で50ccを超え125cc以下、電動機では0.6kWを超え1.0kW以下のもので、原付と比べると一回り大きな車格の別物です。ややこしいことにどちらも原付と呼ばれることもあるため、はっきりと区別するために、50cc以下/0.6kW以下の車両のことを「原付一種」と呼んだりすることもあります。
このややこしさは、道路交通法では50cc/0.6kW以下の二輪のものを原動機付自転車と呼ぶのに対し、道路運送車両法では二輪のものでは125cc/1.00kW以下のもの、それ以外の車両では50cc/0.6kW以下のものを原動機付自転車と呼ぶことによって発生しています。
本稿でご紹介していく原付は、運転には原付免許が必要となるほか、当然ながらヘルメット着用が義務となっているなど、サイズが小さいとはいえより大型の二輪車と同等に規制がかかっています。
■実はもう原付に乗れるかも?!普通自動車免許などで運転が可能です
原付は、より大型のバイクを運転することのできる普通二輪免許や大型二輪免許を取得していると運転できる、というのはイメージしやすいと思いますが、意外なのは、普通自動車免許などをお持ちの方でも運転することができる点です。
今現在普通自動車免許は持っているけど、もっと気軽に通勤通学したいから原付が欲しいな、とお思いの方がいたとすれば、もうすでに原付を運転できる免許を持っているので、あとは車両を手配するだけとなります。
原付のメリットとデメリットを徹底解説!
■メリット:初期費用から維持費まで安い!小回り性能ピカイチ
原付最大のメリットは、車両価格の低廉さと維持費の安さかもしれません。50ccのスクーターなら、新車でも税抜10万円台から手に入れることが可能ですし、中古車も豊富に在庫されているのでデザインや価格帯などで選びやすさが際立ちます。
また、車両価格が安いだけでなく、税金や保険料などの維持費も格安な点も原付の美点です。特に任意保険は、自動車保険の「ファミリーバイク特約」を利用すると割安に上がります。
ファミリーバイク特約は、自動車の任意保険に付帯させることのできる特約で、その自動車の記名被保険者本人、その配偶者、同居の親族、別居の未婚の子まで補償の対象となるので、学生さんであれば親御さんの自動車保険を切り替えてもらうだけで保険の安心感を得ることができます。
またその他のメリットとしては、車体サイズが小さく軽量であることから、走行中の小回り性能だけでなく、原付を降りた後の取り回し性能が抜群であることも挙げられるでしょう。都市部では自転車駐輪場に原付も駐車可能なところも多いですので、その機動性を活かしてキビキビとお出かけができます。
■デメリット:公道走行時のルールが厳しい、ラインナップ縮小中
廉価で扱いやすい原付ですが、実際に公道で運転する際には、より大型のバイクや自動車などと比べても非常に厳しいルールに従う必要がある点はデメリットといえそうです。中でも原付は法定最高速度が30km/hである点や、3車線以上の交差点など一定の条件のもとでは二段階右折をしなければならないことなどは有名ですよね。
原付は自動車専用道路や高速道路には元から進入禁止とはいえ、幹線道路など通行が許されている道路でも原付は30km/hまでしか出せず、周囲の交通とのスピード差が大きくなりがちで、恐怖感を感じる方もいます。
また二段階右折は、標識や標示で予告がある交差点ばかりではなく、ライダーの判断が求められる点も難しいところ。原付に乗ったことのない人ではあまりイメージがつかみにくいその右折方法は、後続車両などをびっくりさせてしまうこともありそうです。
さらに、近年ではこれらの厳しい制限を嫌ってか、原付販売台数の大幅な下降が囁かれています。そのため、各二輪車メーカーは50ccではなく125ccクラスに注力している印象もあり、新車で選べる50ccクラスのラインナップがどんどん縮小している印象もある点も、デメリットといえそうです。
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■原付免許の取得費用目安、なんと1万円以下で取得可能!
原付免許の取得に必要となる費用は、合わせても1万円以下。試験受験料が1,500円、原付講習の受講料が4,500円、原付免許の交付手数料が2,050円が標準的となっており、合計で8,050円となります。
お住まいの都道府県によっては必要な費用が異なる場合もありますので、確認しておきたいところです。
取得費用がかなり低く済むため、学科試験の過去問題集を購入してもまだ1万円内に収まりそうですので、総合的に見ても非常にリーズナブルに取得できる運転免許といえるでしょう。
■原付免許は何歳から取れる?必要な資格は?
普通自動車免許は18歳以上でないと取れないのに対し、原付免許は16歳から取得が可能です。事前に他の免許での運転期間なども必要となりませんので、16歳以上の方ならすぐに受験することが可能です。
年齢以外に必要な資格としては、聴力や色の判断、身体機能障害がないこと、視力が両眼で0.5以上、などがあります。
■原付免許は最短1日で取得可能だが、地域による違いには注意
原付免許は、最短では1日で取得が可能です。地域によっては、運転免許センターで適正試験と学科試験に合格すると、そのまま同じ施設で原付の乗り方などに関する「原付講習」を受講でき、講習終了後には免許を交付してもらえます。運転免許センターの場合、免許の即日交付に対応していることがほとんどです。
原付免許は受験日が平日のみであり、試験実施時間も午前と午後の1回ずつという場合がほとんどで、場所によっては午前のみという場合もあります。そのため、スムーズに学科試験に合格すれば半日程度で免許取得ができますが、学科試験で不合格となってしまうなどすると、場合によっては別日に再受験が必要となる場合もありそうです。
また、学科試験には合格したけどその日はどうしても予定が忙しい、という方なら、原付講習のみ別日に受講することも可能です。その場合は、原付講習の受講を終えた日に免許が交付されることになります。
直接運転免許センターに直行できる地域と、前もって原付講習を受けておく必要のある地域に分かれる
地域ごとに、運転免許センターで原付講習まで行うところと、原付講習を事前に自動車教習所等で受講しておく必要があるところで分かれていますので、お住まいの地域の運転免許センターが原付講習に対応しているかどうかは事前に確認が必要です。
運転免許センターで原付講習に対応しておらず、教習所での原付講習受講が必要となる地域では、原付免許試験を受験する際に必要なものとして、原付講習終了証明書が挙げられている場合もあります。
前もって原付講習を受けておく必要があるこれらの地域では、原付免許取得に必要となる費用総額は約8,000円程度と他地域と大きく変わりませんが、原付講習は3時間程度かかるので、当日中に運転免許センターに移動して試験を受験することは難しく、日程としては最低2日かかるようになります。
原付講習終了証明書は、受講を終えてから1年間有効となっていますので、有効期間の間に学科試験に合格する必要があります。
■学科試験と適性試験は、運転免許センターなどで受験しよう
適性試験と学科試験は、運転免許センターで受験することができます。免許取得済みの方が更新に訪れることも多い運転免許センターですが、お住まいの地域によってはちょっと遠めの場所にしかないこともあるかもしれません。事前に場所をチェックしておくと安心です。
また、地域によっては最寄りの警察署などでも受験が可能な場合もあります。お住まいの地域の警察署で対応しているかどうか、一度問い合わせてみてもよいでしょう。
運転免許センターでの受験は、平日のみという点にも注意しておきたいところ。受験受付は基本的に午前と午後の2回のみなので、貴重な平日を無駄にすることのないよう、スムーズな受験と合格を目指したいところですね。
落ちると時間もお金ももったいない!目指せ一発合格
原付免許の学科試験は、簡単に合格できそうなイメージもあるかもしれませんが、事前に交通ルールなどを学習していない状態では合格はかなり難しいものです。不合格になってしまうと、再受験時に受験料1,500円程度がまた必要になってしまいます。
原付免許の過去問題集などは書店などでも購入が可能で、1,000円以下程度の価格で販売されています。不合格になって再受験をするよりも、問題集を購入する方が安上がりですし、再受験にかかる時間ももったいないですので、過去問題集などを使って交通ルールなどをきちんと学習しておきたいところです。
原付免許の学科試験は、50点満点で45点以上で合格となります。
■学科合格後は、原付講習を受ければその場で免許交付!
学科試験に合格し原付講習を受講すれば、晴れて原付免許が交付されます。
先述の通り、学科試験受験前に原付講習の受講終了が求められる地域などもありますので、お住まいの地域がどのような仕組みになっているのか、しっかりと調べておくことが大切です。
免許取れたらこんな原付はいかが?注目の原付を3台ご紹介
■ヤマハ ビーノ:テレビ番組やアニメでお馴染みのキュートさ
ヤマハ ビーノ
丸みを帯びたフォルムが愛らしく、カラーリングもおしゃれな原付スクーターがヤマハの「ビーノ」です。レトロなデザインが印象的なこともあってか、テレビアニメの劇中車として登場したり、バラエティ番組で電動仕様の「イービーノ」が用いられているなど、知名度も高めですよね。
初代の発売は1997年で、デザインと使い勝手を武器に長期間にわたって人気を維持しています。現行モデルでは、原付とはいえ車両前方のグローブボックス内にアクセサリーソケットを備えるなど、現代的な使い勝手も忘れていません。
ベーシックなスクーターを探しているけど、ちょっぴり見た目にもこだわりたい。ビーノはそんな方にぴったりな選択肢となっています。
ヤマハ ビーノのスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 1,650mm×670mm×1,015mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 1,180mm | |
シート高 | 720mm | |
最大乗車定員 | 1名 | |
車両重量 | 81kg | |
燃費 | WMTCモード:58.4km/L (クラス1・1名乗車時) | |
エンジン種類 | SOHC単気筒ガソリン 49cc | |
エンジン最高出力 | 3.3kW(4.5PS)/8,000rpm | |
エンジン最大トルク | 4.1N・m(0.42kgf・m)/6,000rpm | |
トランスミッション | 無断変速 | |
新車価格 | 185,000円(消費税抜) |
■ホンダ クロスカブ50:際立つワイルド感!一味違う50cc
ホンダ クロスカブ50 くまモンバージョン
スクーターでもなく、スポーツタイプのようなまたがり方でもない「スーパーカブ」は、ホンダが誇る世界で最も生産された二輪車です。そんなスーパーカブの独特のフォルムを存分にアピールしているのが、レッグシールドを無くしたことで軽快な印象の「クロスカブ」です。
クロスカブには、標準のスーパーカブと同じく50ccと110ccの2種類の排気量が設定されているので、特別感のあるルックスを原付免許でも運転できる点が嬉しいところです。
カブならではの高効率性や、ガッチリとしたリアキャリアの使い勝手の良さはそのままですので、通勤通学に、レジャーにと、幅広く活躍してくれることでしょう。
ホンダ クロスカブ50のスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 1,840mm×720mm×1,050mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 1,225mm | |
シート高 | 740mm | |
最大乗車定員 | 1名 | |
車両重量 | 100kg | |
燃費 | WMTCモード:69.4km/L (クラス1・1名乗車時) | |
エンジン種類 | SOHC単気筒ガソリン 49cc | |
エンジン最高出力 | 2.7kW(3.7PS)/7,500rpm | |
エンジン最大トルク | 3.8N・m(0.39kgf・m)/5,500rpm | |
トランスミッション | 常時噛合式4段リターン | |
新車価格 | 270,000円(消費税抜) |
■ホンダ ジャイロキャノピー:屋根付き3輪バイク、原付免許で乗れます
《画像提供:Response 》ホンダ ジャイロキャノピー
デリバリーサービスのプロ御用達となるお仕事原付がこちらの「ジャイロキャノピー」。その名の通り、キャノピー形状のウインドスクリーンとルーフを備えているので、バイクは雨の日に濡れるから…と敬遠していた方にもピッタリな車種となっています。
その上、後輪を2輪とした「スリーター」と呼ばれる3輪タイプなので、雨の日のグレーチングなど、バイクではヒヤッとしてしまうシーンでも安定感があります。もちろん車種としては原付扱いですので、維持費の安さなどはそのままです。
ビジネス向けの車両、さらに原付では稀な3輪仕様という特別性もあって、価格設定はかなり高め。また中古車市場でも近年ジャイロキャノピーをカスタムして乗る方が増えてきており、相場は高めで推移しています。
ホンダ ジャイロキャノピーのスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 1,895mm×660mm×1,690mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 1,410mm | |
シート高 | 700mm | |
最大乗車定員 | 1名 | |
車両重量 | 139kg | |
燃費 | 30km/h定地燃費値:54.5km/L | |
エンジン種類 | SOHC単気筒ガソリン 49cc | |
エンジン最高出力 | 3.4kW(4.6PS)/7,500rpm | |
エンジン最大トルク | 4.4N・m(0.45kgf・m)/7,000rpm | |
トランスミッション | 無断変速 | |
新車価格 | 519,000円(消費税抜) |
原付は性能も規則も窮屈?原付二種で広がる世界も見逃せない
ホンダ CB125R
原付に乗り始めると、30km/h制限や二段階右折が面倒だし、上り坂でももっとぐいぐい加速してほしい!と感じてしまうシーンもあるかも。原付に不足を感じたなら、一つ上の原付二種へステップアップすることを検討してみてもよいでしょう。
排気量やパワーだけでなく、車格的にもひとまわり大きくなる原付二種は、法定最高速度が60km/hと現実的なものになるほか、右折方法は小回り右折、二人乗りも可能と、原付のネガポイントをことごとく改善することができ、それでいて原付と同じくファミリーバイク特約でカバーされるので維持費も格安となっています。
また車種構成としても、近年人気の原付二種はキャラクター別にラインナップが豊富。定番のスクーターから本格派スポーツタイプのものまで、好みに合わせて選びやすくなる点もうれしいポイントです。
まとめ
ヤマハ ビーノ(手前)と京王電鉄(奥)
原付の免許取得に関する情報をまとめてご紹介してきました。
短期間・格安で取得が可能な原付免許は、運転免許の入門としてもぴったり。原付免許を取得して相棒の原付を手に入れれば、あなたもライダーの仲間入りです。それまでとは違った景色を、リーズナブルに体感できることでしょう。
よくある質問
■原付を運転するには原付免許が絶対に必要なの?
原動機付自転車の運転は、原付免許だけでなく、普通二輪免許や大型二輪免許、または普通自動車免許などを持っている場合でも可能です。そのため、上位扱いとなるこれらの免許をお持ちの方が原付を運転する際には、原付免許を新規に取得する必要はありません。
■原付免許って取得が難しいの?
学科試験の合格率は受験者の50%以下となる場合も多いようですし、時に30%程度となる場合もあるようです。原付免許には実技試験がありませんので、学科試験対策をきちんとしておけば、スムーズに合格することができるでしょう。