ノーメンテの人も多い?!忘れられがちな「ワイパー」
《画像提供:Response 》ワイパー展開時の様子
車は、定期的なメンテナンスや交換が必要な部品の集合体です。車関連のメンテナンスといえば、オイル交換やタイヤ交換はイメージがつきやすいですよね。
しかし、そんなメンテナンスを必要とする部品の中で、視界を確保するという重要な役目を負いながら、普段はあまりチェックされていないことも少なくない部品が「ワイパー」です。
ワイパーは、1890年代に現在使われているものと同様なものが特許申請されたとされており、もう100年以上基本的な形を変えていないことがわかります。当初手動で動かしていたワイパーも自動化が進み、現在ではほぼ全ての車種が電動モーターを利用したワイパーを装備しているので、スイッチ一つで水滴や汚れを拭き取れる便利な部品です。
晴れた日だけでなく、雨や雪の日こそ、濡れたり凍えたりすることなく快適に移動できる車のありがたみを痛感するというもの。しかしそのような悪天候時に、正常な状態のワイパーでないと前方や後方のクリアな視界を確保するのが難しいこともあるでしょう。
ワイパーのメンテナンスを怠っていると、視界が確保できずに安全運転できないことにもつながりかねません。
ワイパーは、カー用品店などで購入しても数千円程度と廉価ですし、そのお安さと交換の手軽さに対して、交換後の満足感や機能向上度が非常に大きいコスパに優れた部品。これまでワイパーのメンテナンスに取り組んだことのない方でも、ぜひ一度チャレンジしていただきたいものです。
■ワイパーを構成するのは主に2つの部品!ブレードとアーム
《画像提供:Response 》マルエヌ 自己撥水ワイパー ポップコートシリーズ
「ワイパー」と呼ばれる部品は、車のフロントウィンドウと車種によってはリヤウィンドウに備えられている、先端にゴムのついた棒状の部品のことというのは、多くの方がご存知のはず。雨のたびに使用する部品ですので、使用頻度も低くないですよね。
そんなワイパー、根本から先端のゴムまでを総合して「ワイパー」と呼ばれることが多いものの、詳しく見ていくと「ワイパーブレード」と「ワイパーアーム」という主に2つの部品の組み合わせとなっています。
このうちワイパーアームは、車の車体から伸びる棒状の部品のこと。経年劣化で塗装が剥がれるなどの事例もありますが、基本的には交換が必要なものではありません。
一方、ワイパーブレードは劣化が進みやすく交換が必要な部品。ワイパーブレードは、ウィンドウの曲面にゴムを密着させる役割を持つほか、スムーズな形状変化に必要な構造をしており、動きが渋くなると拭き取り性能に大きく影響します。
■ブレード交換とゴム交換、費用や状態に応じて使い分けよう
《画像提供:Response 》カーメイト 撥水エアロブレード 解説
ワイパーブレードの先端に取り付けられたワイパーゴムも、ゴム製品だけあってたとえ使用頻度が少なくても劣化が進みます。ワイパーブレードのフレーム部よりもワイパーゴムの方が劣化スピードが速いので、ワイパーゴムのみの交換も可能となっています。
ワイパーの拭き取り性能が落ちてきたなと思ったら、多くの場合はワイパーゴムの交換のみで解決します。ワイパーゴムは比較的廉価で、数ヶ月ごとに交換しておくと安心ですね。
劣化状態がイメージしやすく、拭き取り性能の悪化として分かりやすいワイパーゴムに対して、ワイパーブレードの劣化というのはイメージがつきにくいかもしれません。しかし、ワイパーブレードも経年劣化で機能がだんだんと低下していくものです。こちらは1年に1度の交換など、交換サイクルを決めておくといいでしょう。
■ここ最近は「かくれんぼワイパー」増加中!メンテを忘れずに
《画像提供:Response 》ホンダ e(フロントウィンドウ用ワイパーがコンシールド型)
最近新しい車を見かけたら、なんとなくスッキリ感が強いように感じませんか? その印象は外装のデザインだけでなく、新型車で増加中の「コンシールド型」ワイパーが理由の一つかもしれません。
ワイパーといえば未使用時でもフロントガラス上にはっきりと露出するレイアウトが一般的だったものの、近年ではコンシールド型として、フロントワイパーならボンネット下に、リヤワイパーならリヤスポイラー下部などに、ワイパーを隠すように収納する設計が増えてきているようです。
スタイルがスッキリするだけでなく、空気抵抗の低減にも役立っているとされるなど、メリットばかりのようなコンシールド型ワイパー。しかし、普段は目視できない分、メンテナンスを忘れないように気をつけておきたいところです。
またワイパー交換時には、ワイパーをメンテナンスモードにするなどの特殊な手順が必要となりますので、取扱説明書などで事前に確認をしておきましょう。
雨が拭き取れない劣化ワイパーで運転はNG!交換目安は?
■悪天候時こそ視界はしっかり確保したい!ワイパーの重要度高し
PIAA フラットスノー シリコート
雨が降ると前が見にくくて運転が怖い、とお感じの方も少なくないことでしょう。もしかすると、その視界の悪さは劣化したワイパーによるものかもしれません。
正常な状態のワイパーなら、水が滲んだり拭き残しが残ったりすることなく、スムーズかつしっかりと水滴を拭き取ってくれるので、悪天候時でもクリアな視界が確保できます。
ワイパーを動かしても水滴がべちゃっと残ってしまうようなら、ワイパーの劣化が進んでいる可能性が大きいでしょう。
■劣化したワイパーだと車検に通らないって知ってた?
《画像提供:Response 》NWB ワイパー点検ポイント(IAAE 2019 出展内容)
ワイパーの劣化は、運転に支障があります。そのため、道路運送車両法の保安基準によってワイパーの拭き取り性能などに基準が設けられています。
保安基準は、車検の際に検査基準としても用いられるもの。そのため、劣化して拭き取り性能が落ちたワイパーでは車検に通らなくなってしまうのです。
そのため、カーディーラーや整備工場に車検をおまかせしているなら、車検の際にワイパー交換が行われているケースも少なくありません。
車検を通すためだけでなく、普段の安全運転のためにも、定期的かつ早めのワイパー交換をしておきたいところですね。
■ワイパーの交換目安は?早めの交換がオススメ!
《画像提供:Response 》マルエヌ ミューテクノ エアロデザイン
ワイパーは、その車の使用環境や、雨などへの遭遇頻度、ワイパーの作動回数などによっても寿命が大きく異なります。
ワイパーゴムは、紫外線や高温などもワイパーゴムの大敵ですし、たとえ一度も動かしたことがなかったとしても経年劣化でゴムの硬化などが進みます。ワイパーブレードは、劣化によって機能が大きく落ちることは少ないものの、保管状況などによってはサビが発生したりなどの可能性もあります。
そのため、「半年に1度ワイパーゴムの交換、1年に1度ワイパーブレードの交換」をひとつの目安としておくことで、良好な視界の確保が確立されるでしょう。
久しぶりにワイパーを動かしたら拭きムラだらけで交換したい!と思っても、次に車を使用する際には忘れてしまっているということもありそう。劣化を実感してから交換するのではなく、定期的な交換をスケジュール化しておくのがおすすめです。
ワイパーをDIYで交換!手順をご紹介
■ワイパーブレードごと交換する手順はこちら
ワイパーブレード 交換の様子
ワイパーの作動時に、がたつきや拭きムラが感じられるようなら、ワイパーブレードごとの交換がおすすめです。今までワイパーブレードの交換作業を経験したことがないと、難しい作業のように思われがちですが、数分程度で完了するシンプルな工程ですので、DIYでもチャレンジしやすいです。
まず、停止した通常状態のワイパーアームを、フロントウィンドウから離すように立てましょう。ワイパーアームが常にボンネットの外に露出したタイプならグイッと引き起こすだけでOKですが、コンシールド型ワイパーなど設置位置や形状によっては、通常状態から引き起こすとボンネットなどに干渉して傷がついてしまうおそれもあります。
事前にワイパーメンテナンスモードなどにしておくなど、事前準備が必要かどうか、車両の取扱説明書などを確認しておきましょう。
ワイパーブレードは、ワイパーアームの先端にフックで取り付けられているだけです。なので、現在ついているワイパーブレードをフックに固定しているつまみを引き起こし、アームを片手で持ちながらワイパーブレードをアームの根本方向に引き下げると、取り外すことができます。
取り外せたら、交換するワイパーブレードを反対の手順で取り付けていくだけです。
取り付けが完了したら、取り付けに問題がないか確認してから、ワイパーがフロントウィンドウに接するように寝かせ、実際にワイパーを作動させて問題がないかどうかをチェックしたら、作業終了です。
ワイパーブレードの交換は、意外と簡単そうに思えてきませんか。交換用ワイパーブレードは、カーディーラーだけでなくカー用品店やホームセンターなどで気軽に購入できますので、DIYでもチャレンジしやすいです。
手間をかけたくないなら、カーディーラーやカー用品店などでワイパーブレードを購入し、交換を依頼することもできます。
■ワイパーゴムだけ交換する手順はこちら
マルエヌ ミューテクノ替えゴムシリーズ URFT/URFHシリーズ
ワイパーゴムの交換にも、ワイパーブレードの取り外しが必要になります。ワイパーブレードの取り外しまでは、先ほどご紹介したワイパーブレードの交換手順を参考にしてみてください。
ワイパーブレードを取り外した状態での作業となりますので、ワイパーアームが不意に倒れてガラスにダメージを与えたりしないよう、通常位置に戻してタオルなどを挟んでおくと安心です。
取り外したワイパーブレードから、古いワイパーゴムを引き抜き、交換用の新しいワイパーゴムを差し込むだけと手順自体は簡単。ワイパーゴムがワイパーブレードに取り付けられている溝をよく確認すると、溝が外側まで続いている側と、溝が途中で止まっている側があることがわかるはずです。
ワイパーゴムは、ほとんどの場合はこの溝が途中で止まっている側のストッパーによって固定されているだけなので、こちら側をしっかり持ち、グッと力を入れれば引き抜くことができます。
交換用のワイパーゴムの方向に注意しながらワイパーブレードに差し込み、ロックが効くまで押し込むことで交換は完了です。
この時に、交換用のワイパーゴムのガラスに接する面はできるだけ触らないようにしましょう。ワイパーゴムのコーティング成分などが落ちてしまうだけでなく、手が汚れてしまう原因にもなります。
ワイパーゴムの交換が終わったら、あとはワイパーブレードを車両に戻し、正常に動くかどうか確認をすれば作業は終了です。
交換用ワイパーゴムも、カー用品店やホームセンターなどで廉価に購入できますし、カー用品店などで交換を依頼することもできます。
まとめ
ボッシュ エアロツイン ワイパーブレード
ワイパーの交換手順についてご紹介してきました。やったことがなくて怖い!と思われがちなワイパー交換も、一度体験するとその手軽さが分かるはずです。
拭き取り性能が劣化したワイパーを我慢しながら使用したりせず、ご自分でチャチャっと交換することで、雨の日のドライブも安全安心ですね。
よくある質問
■ワイパーってメンテナンスが必要なの?
必要です。ワイパーがガラスと接する部分はゴムなので、たとえ使用頻度が少なくても劣化が進み、いざ必要な時にきちんと水滴を拭き取れないということにもつながりかねません。また、劣化が著しく進んだワイパーは保安基準適合外となり、車検にも通らなくなります。
■ワイパーが劣化してきたら、ガラス撥水剤を施工すると直るの?
ガラス撥水剤は小雨などに対して視界を向上させる効果がありますが、ワイパーがガラスと接する部分はゴムでできており、ガラス撥水剤などで拭き取り性能が復活することはありません。そのため、劣化したワイパーは交換が必要となります。