大型特殊免許とは
大型特殊免許とは
大型特殊免許とは、大型の特殊車両を公道で運転できる免許のことです。大型特殊車両とは全長が12m以下で幅が2.5m以下、さらに高さが3.8m以下の車で、フォークリフトなどの工事車両や路面整備車両などが該当します。
大型特殊車両の走行には特殊免許の取得が必要となり、機械を動かし作業する場合は別に作業免許が必要になります。
大型特殊免許を持っていると乗れる車
大型特殊免許を持っていると乗れる車とは?
大型特殊免許を持っていると乗れる車は以下の4つに分けられます。
大型特殊車両
工事車両
路面整備車両
農耕車
それぞれ車両の詳細と合わせて紹介します。
■大型特殊車両
大型特殊車両とは、全長12m×全幅2.5m×全高3.8m以下の車です。具体的には、大型特殊車両に分類されるショベルカーやクレーン車以外に、小型特殊車両に分類されるトラクタやフォークリフトも運転が可能です。
大型特殊車両は道路運送車両法の別表第一(第二条関係)によると以下のように定義されています。大型車両についてもう少し知りたいという方は下記を参考にご覧ください。
一 次に掲げる自動車であつて、小型特殊自動車以外のもの
イ ショベル・ローダ、タイヤ・ローラ、ロード・ローラ、グレーダ、ロード・スタビライザ、スクレーパ、ロータリ除雪自動車、アスファルト・フィニッシャ、タイヤ・ドーザ、モータ・スイーパ、ダンパ、ホイール・ハンマ、ホイール・ブレーカ、フォーク・リフト、フォーク・ローダ、ホイール・クレーン、ストラドル・キャリヤ、ターレット式構内運搬自動車、自動車の車台が屈折して操向する構造の自動車、国土交通大臣の指定する構造のカタピラを有する自動車及び国土交通大臣の指定する特殊な構造を有する自動車
ロ 農耕トラクタ、農業用薬剤散布車、刈取脱穀作業車、田植機及び国土交通大臣の指定する農耕作業用自動車
二 ポール・トレーラ及び国土交通大臣の指定する特殊な構造を有する自動車
■工事車両
工事車両とは建設現場や路面整理、そして工事現場で使用する車で、ショベルカーやクレーン車、ブルドーザーの他、砕石をすくいあげるショベルローダーに、ダンプカーに積み込むホイールローダーなどが挙げられます。
ここで注意したいのが、大型特殊免許は公道を走るための免許なので、作業時には別途作業免許が必要になります。
■路面整備車両
路面整備車両とは、道に雪が積もった時に活躍する除雪車や路面にある細かいゴミを掃除機で吸い取りながら走る路面清掃車です。
■農耕車
農耕車とは、トラクタやコンバインなど、田畑を耕すときに使う機材が搭載された特殊車両です。
大型特殊免許を取得するまでの流れ
大型特殊免許を取得するまでの流れは?
大型特殊免許を取得するまでに、必要な条件があるのかどうか、そして取得するまでにかかる日数と費用についてご紹介したいと思います。
まずは、大型特殊免許を取得するには、教習所に通う方法と、運転免許試験場で試験を受ける2つの方法があります。
教習所は、通学か合宿かの2択になり、さらに普通自動車免許を持っているかどうかで日数も費用も変わってきます。
それぞれの免許取得までの流れについて見ていきましょう。
教習所で大型特殊自動車免許を取得するまでの流れ
教習所で大型特殊自動車免許を取得するまでの流れ
教習所に通って免許を取得する場合、以下の流れになります。
1.教習所に入校
2.適検性査
3.第一段階(技能・学科)
4.技能検定
5.第二段階(技能・学科)
6.卒業検定
7.運転免許試験場で適性検査・学科の試験
8.合格者には免許証の交付 ※不合格の場合は、再度運転免許試験場で受験
教習所に入校し、適性検査を受けた上で技能と学科の授業を受け、卒業検定を受けて晴れて運転免許試験場での受験が可能になります。
そして運転免許試験場で合格すれば免許証が交付されますが、不合格の場合、合格するまで運転免許試験場で受験しなければいけません。
上記は普通自動車免許を持っていない状態で、大型特殊免許を取る場合です。普通自動車免許を持っていると学科が免除になるため大幅に短縮できます。
具体的には、普通自動車免許を持っている場合は技能講習のみ6時間。普通自動車免許を持っていない場合は、学科が22時間、技能が12時間なので、28時間も少ない時間数で取得が可能です。
その違いについては以下の表をご覧ください。
普通自動車免許所有 | 所持免許なし | |
学科 | 免除 | 22時限 |
技能 | 6時限 | 12時限 |
普通自動車免許所有 | 所持免許なし | |
学科 | 免除 | 22時限 |
技能 | 6時限 | 12時限 |
合宿で大型特殊免許を取得するまでの流れ
合宿で大型特殊免許を取得するまでの流れ
次に合宿で大型特殊免許を取得する流れについて説明します。
1.入校式
2.適性検査
3.第一段階
4.技能検定
5.第二段階
6.卒業検定
7.卒業式
8.運転免許試験場で適性検査・学科の試験
9.合格者には免許証の交付 ※不合格の場合は、再度運転免許試験場で受験
普通免許を持っている場合は3泊4日、普通自動車免許を持っていない場合は6泊7日かかります。
朝昼晩の食事の他、18時以降は授業を組んでいない教習場が多いので、勉強や自分の時間として自由に使うことができます。
一発試験で大型特殊免許を取得するまでの流れ
一発試験で大型特殊免許を取得するまでの流れ
運転免許試験場での一発試験は、時間と費用が短縮できます。流れとしては以下になります。
1.受験資格の審査
2.適性検査
3.学科試験 ※普通自動車免許保持者は学科試験免除
4.技能試験
5.合格者には免許証の交付 ※不合格の場合は、再度手数料を支払い受験
運転免許試験場での試験は、上記で紹介した教習所内での実技や学科がないため、1日で取得が可能です。警察庁の免許統計によると、令和3年の第一種大型特殊免許の受験者数は99,875人で合格者が77,373人で合格率は77%という結果が公表されました。
そのうち、学科試験が免除で技能試験を受けた、いわゆる一発試験の合格者は15,861人となり、合格率は20%と低くなっています。
一発試験の合格率からみても、事前に学習して望まないと一回で合格するのは難しいでしょう
大型特殊免許を取得する条件
大型特殊免許を取得する条件とは?
大型特殊免許を取得するにはいくつかの条件があります。普通自動車免許と同じですが、以下の項目に該当するかどうか確認してみましょう。
大型特殊免許を取得する条件はこちらをご覧ください。
・年齢:満18歳以上
・視力:両目で0.7以上(片目0.3以上)
・色彩識別能力:信号機の赤・青・黄が識別できる
・聴力:10mで90デシベルの警告音が聞こえる
大型特殊免許を取得するまでの日数の目安
大型特殊免許を取得するまでの日数の目安は?
大型特殊免許を取得する方法は3つあります。日数が短い順にすると以下のようになります。
1.運転免許試験場での受験
2.合宿で取得
3.教習所で取得
それぞれ、取得できる目安と特徴については以下をご覧ください。
最短取得日数 | |
運転免許試験場で取得 | 1日 |
合宿で取得 | 3泊4日+1日
※普通自動車免許保持者 |
教習所で取得 | 4日以上 |
運転免許試験場で受験する場合、平日のみの受験になります。普通自動車免許、二輪免許、準中型免許を持っている人は、学科試験が免除となり、技能試験のみの受験になりますが予約が必要となります。
手数料として6,100円必要になりますが、不合格だった場合、合格するまでこの金額を毎回支払わなければいけません。
1日は無理でも、数日かけて短期間で取りたいという人におすすめなのが教習所での合宿です。
最短3泊4日プラス運転免許試験場で受験を合わせると5日で取得が可能です。比較的料金は安く設定されていることや短期間で取れるというメリットはあるものの、まとまった休みを取らないと参加できません。卒業検定に不合格の場合、追加料金がかかることもあるので、期間内に勉強が必要となります。
最後は、教習所で大型特殊免許を取得するという方法です。
普通自動車免許を持っていて、なおかつ教習所で取得する場合、学科が免除となりますが技能を6時間受講します。仕事をしながら計画的に進められるという反面、予約がいっぱいで取れないということもあるため、予定よりも長くかかってしまうという可能性も否めません。
最短で大型特殊免許を取りたいなら、運転免許試験場での受験がおすすめですが、確実に取得を目指すなら合宿か通学で教習所に通う方が賢明です。
どちらもメリットとデメリットがあるので、先の見通しを立てた上で選ぶようにしましょう。
大型特殊免許を取得する費用の目安
大型特殊免許を取得する費用の目安は?
大型特殊免許は、どの方法を選ぶかによって費用も変わってきます。
費用がかからないのは運転免許試験場での受験で、次に合宿、そして通学での教習所の順になります。
それぞれの費用の目安は以下をご覧ください。
運転免許試験場で取得 | 6,100円 |
合宿で取得 | 80,000円~100,000円 地域・オプションにより異なる |
教習所で取得 | 180,000円~200,000円前後
普通免許保持:100,000円~130,000円前後 |
運転免許試験場では、手数料と試験車使用料、そして免許証交付料が必要です。合格できれば最安値の6,100円で取得することができますが、不合格の場合毎回、この料金が徴収されます。
合宿所は、地域や宿泊施設のグレードによってまちまちになり、教習所での取得は普通自動車免許を持っているかどうかで大きく異なります。
大型特殊免許を取得する場合の注意点
大型特殊免許を取得する場合の注意点は?
大型特殊免許を取得する場合の注意点は5つあります。
1.取得方法は3種類(一発・合宿免許・教習所)
2.それぞれのメリットとデメリットを知る
3.ライフスタイルに合わせて選ぶ
4.作業も予定しているなら作業免許も必要
5.事前に調べて確定を
大型特殊免許を取得するなら、どのような方法があるのかを把握した上で、それぞれのメリットとデメリットを知ることからはじめます。
仕事をしながら免許を取得するのか、それとも短期間で目指すのかでも変わってくるので、ライフスタイルに合わせて取得する方法を選ぶようにしましょう。
さらに、大型特殊免許を仕事に生かしたいという人は、作業内容によって作業免許も必要になるので、仕事内容によって日数や費用にも変わってきます。
これらは、事前に調べた上でいつくらいに免許を取得していたいのかでも選び方が変わってくるので、まずは本記事を参考に手段を確定するようにしましょう。
■作業免許が必要になる
大型特殊免許は公道を走るための免許なので、機械を操作する場合には別途作業用の免許が必要になります。
操作する機械にもよりますが、掘削・運搬・整備・積み込みなどの作業が該当し、大型特殊免許を持っている方が作業免許を取得する場合、講習時間は14時間(2日)で取得可能です。
大型特殊車両免許を持っていない場合は、大型特殊自動車免許を取得するための6時間がプラスされるので、合計で20時間の受講を経て免許が取得できます。
大型特殊免許を持っているかどうかで、受講時間が変わってきます。計画的に受講する日を決めて学習するようにしましょう。
まとめ
ライフスタイルに合わせた免許取得プランを立てましょう
大型特殊免許で乗れる車と、免許取得までの流れについて紹介しましたが、どの方法を選んだらいいのかイメージできたでしょうか。早く免許を取って仕事に生かしたいと思う人もいるかもしれませんが試験に合格しないと免許が交付されません。これなら続けられそうというものを選択して、免許を取得する第一歩を踏み出しましょう。