大型特殊免許の定義とは
大型特殊免許って何?
大型特殊免許は、工事用に用いられる特殊車両や農業用の車両、除雪や清掃などに使う整備用の車両の中でも、「大型特殊自動車」という区分に属する車を運転する際に必要な免許です。
大型特殊自動車は、小型特殊自動車の上限となる全長4.7m、全幅1.7m、全高2.0m(ヘッドガード等を備えた場合は2.8m)などの大きさや、速度などの規定を超えるものが主に分類されます。
■現場で作業する場合は大型特殊免許以外の資格も必要!
大型特殊免許を所持していれば、大型特殊自動車で公道を走行できます。しかし、大型特殊自動車は一般的には公道を走らせることが目的ではなく、現場で何らかの作業を行うことを目的としている場合がほとんどです。
クレーン車や1トンを超えるフォークリフトの操縦にはそれぞれ大型特殊免許とは別の専門資格が必要になるため、仕事などで現場作業に使いたい場合は注意が必要です。
また、道路には車両の重量制限や車高制限が設定されているケースも少なくありません。大型特殊免許を所持していても走行に許可申請を必要とする場合があるという点も意識しておくと良いでしょう。
ほかにも高速道路を走行できない、種類によっては牽引免許を求められることもあるなど、細かなルールが存在するため、事前に確認しておくことが大切です。
大型特殊免許で運転できる車の種類
どんな車が運転できる?
大型特殊免許で運転可能な車の一例として「フォークリフト」「ホイールローダー」「ラフタークレーン」などがあります。
フォークリフトは荷物を運搬するための車両で、物流センター内の倉庫などでよく用いられています。サイズが大きいものは大型特殊免許が必要ですが、場合によっては小型特殊免許で運転できるケースもあるでしょう。
ホイールローダーは建設現場でよく見かける車両で、土や砂利の投入や整地に使われるのが一般的ですが、除雪作業の際にトラックに雪を積み込んだり、農業でたい肥を切り替えしたりする役割を果たす場合もあります。
ラフタークレーンは荒れ地を走行するのに適しているクレーン車で、建設現場でよく見かけます。
■大型特殊免許で小型や原付の運転も可能
大型特殊免許を取得すると、トラクターやターレットなどの小型特殊自動車や、原動機付自転車(バイク)なども運転できます。
フォークリフトに関しても、「全長=12m以下、全幅=2.5m以下、全高=3.8m以下」であれば公道を運転可能です。
大型特殊免許を取得する方法は?
取得方法を知ろう
大型特殊免許を取得する方法は、複数から選択できます。
ここでは、具体的な方法を3種類紹介します。
■教習所に通う
教習所に通って所定の学科教習と技能教習を受講し、試験を受けて合格する方法です。大型特殊免許の学科試験は普通自動車免許を持っていれば免除となるため、必要となるのは6時限の技能教習のみとなるので負担が軽くなるでしょう。
中にはフォークリフトや移動式クレーン車などの資格をセットで学べるプランが用意されている教習所もあるため、現場での作業を考えている場合は事前によく検討しておくことが大切です。
■一発試験を受験する
一発試験とは、教習所などに通うことなく、運転免許センターに直接足を運んで試験を受験する方式のことです。上手く合格できれば費用や時間を節約できますが、何らかの事情で再取得を目指す方が受験するのが一般的で、新しく取得する方が選択するケースはあまり多くありません。
教習所を卒業すると技能試験は免除となりますが、一発試験ではどちらも必須受験となります(普通自動車免許を所持している場合は技能試験のみ)。大型特殊自動車はトレーニングを積まずに運転できるレベルに到達することは難しいため、新規受験者であれば、基本的には教習所の利用を検討することをおすすめします。
■合宿免許を利用する
学科教習と技能教習を受けるという点では教習所と同様ですが、日程を圧縮して数日間で全ての過程を修了する方式で、通常よりも短期間で免許を取得できるのがメリットです。
最終日の卒業検定試験を含めても4日前後なので、在職中であったり、取得を急いでいたりする場合でも取得しやすい方法と言えるでしょう。
大型特殊免許試験の内容
大型特殊免許の試験には学科試験と技能試験の2つの項目が用意されています。学科試験は文章問題が90問とイラスト問題が5問(1問につき3つの設問)の構成です。
普通自動車免許を取得済みの場合は学科試験が免除となり、技能試験に合格すれば免許を取得できます。
大型特殊免許の取得に必要な日数
取得にはどのくらい時間がかかる?
教習所を利用する場合、普通自動車免許を所有していないと学科教習に22時限、技能教習に12時限の受講が必要です。普通自動車免許を取得済みであれば、合計6時限の受講で卒業検定に進むことができ、運転免許センターの受験資格を得られます。
教習所で技能教習を修了していれば運転免許センターの技能試験は免除となるため、学科教習が免除されている場合は教習所の卒業検定に合格した段階で免許取得可能となります。
合宿であれば、3泊4日程度のプランが組まれるケースが多いでしょう。一発免許は試験日に直接受験するため、合格する能力があれば 短期間で取得できることになりますが、不合格になった場合は再受験するまでの期間がかかります。
大型特殊免許を取得するための費用はいくらかかる?
気になる費用は?
教習所を利用する場合は、普通自動車免許を所有している人としていない人で多少異なります。普通免許をすでに取得している場合は受講しなければならない教習の数がやや減少するため、10万円をやや下回る程度で取得できる可能性が高いでしょう。
取得していなければ、15万円~20万円程度かかるケースが多いです。合宿を利用する場合でも同様です。
一発試験で合格を目指すのであれば、必要経費は試験費用のみとなります。試験費用は受験料と試験車の利用費、免許証の交付代金を合計して6,000円~8,000円程度が多い傾向にあります。
地域によって変動するため、あらかじめ受験予定の運転試験場の費用を確認しておくことをおすすめします。
■再就職を目指すなら給付金制度を使える場合もある
再就職を目指す目的で大型特殊免許を取得する場合は、「教育訓練給付金制度」を利用できる可能性があります。再就職を目指す過程でかかる教育費用などを支援する制度で、最大10万円の給付金を受給できます。
フォークリフトや移動式クレーン車の教習が支援の対象となるケースもあるため、自分が対象になるかどうか事前に調べておきましょう。
雇用保険に1年以上(2回目以降の申請は3年以上)加入していること、離職している場合は離職日から1年に満たないことが条件となります。ただし、試験の不合格などによる再教習は対象外となるので注意が必要です。
大型特殊免許の受験の難易度
文章問題が1問につき1点、イラスト問題が1問につき2点の配点です。イラスト問題については、3つの設問を全て正解して2点獲得できるため、完答しなければ点数になりません。
100点満点のうち合格点は90点以上です。問題の内容は普通免許試験と同様なので、大型特殊免許だからといって特別な問題が出るわけではありませんが、一発試験で合格するのは難易度が高いと言えます。どちらかと言えば、教習所で基礎知識を学んでから取得する方が安心でしょう。
大型特殊免許試験の合格率
最後に、大型特殊免許試験の合格率を簡単にまとめました。
■教習所に通った場合
警察庁の運転免許統計によれば、教習所を利用した人の2015年度のデータは「受験者数:36,618人」「合格者数:36,352人」となっており、ほとんど全ての人が試験に合格しています。
過去10年ほどを参照しても平均的に90%以上の人が合格しているため、教習所を修了できるレベルに到達していれば、合格は難しくないと言えるでしょう。
■一発試験を受けた場合
一方で、一発試験を受けた人の2015年のデータは「受験者数:19,500人」「合格者数:9,553人」となっており、合格率は49.0%にとどまります。
やはり事前準備のない一発試験は難易度が高めになる傾向にあると言えます。
まとめ
大型特殊免許を取得して仕事の幅を広げよう
大型特殊免許の取り方や費用感、難易度や試験内容についてお伝えしてきました。大型特殊免許の試験は学科試験と技能試験がありますが、普通自動車免許を持っていれば学科試験が、教習所を修了していれば技能試験がそれぞれ免除となります。
多少まとまった費用はかかりますが、一発試験の合格率が低いことを考えると、教習を受けて万全の状態で試験を受けた方が望ましいでしょう。合宿は短期間で比較的安価に免許を取得できるため、費用を節約したい方や取得を急ぐ方は合宿の利用も選択肢のひとつです。