ETCカードの利用履歴の確認手段は3つ
《写真提供:response》originalFeliCa一体型ETCカードを国内で初めて開発…大日本印刷
ETC(イーティーシー)は英語の「Electronic Toll Collection System」の略で、その名のとおり高速道路や有料道路の料金所で電子的に決済するシステムです。
ETCは電子決済のために料金所にストップする必要がなく、ドライバーに便利なシステムですが、通行料金を後から確認できるとさらに便利ですよね。しかしETCゲートでは、明細書や領収書などは発行されません。
もし費用を立て替えていたり、個人事業主で経費計上のために明細が必要ならば、領収書代わりにETCカードの利用履歴が必要になるでしょう。ではETCカードの利用履歴はどうすれば確認できるのでしょうか?
ETCカードの利用履歴を確認する手段は、「ETCカードの利用明細書で履歴を確認する」、「ETC利用履歴発行プリンターで確認する」、「ETC利用照会サービスで確認する」という3つの方法があります。
今回の記事で、これら3つの方法を詳しく解説します。
ETCカードの利用明細書で履歴を確認する
《写真提供:response》首都高入口
1つ目は、ETCカードの利用明細書で履歴を確認する方法です。
多くの方は、クレジットカードに付帯されているETCカードを利用されていると思いますが、毎月、利用明細が発行されます。この利用明細を確認すれば、ETCカードの支払いも確認でき、領収書代わりになります。
■ETCカードの利用明細書が届くタイミング
カード会社の利用明細書は毎月、カード会社の決済日に準じた日に発行されます。利用明細書を郵送で自宅に届くようにしているなら、毎月紙の形で届けられるでしょう。
ただし、各クレジットカード会社もペーパーレス化も進んでいますので、郵送は有料となっている場合もあります。
■ETCカードの利用明細書の特徴と注意点
クレジットカードの明細書には、利用日、使用した高速道路(NEXCO東日本などの会社名)、ETC利用額が記されていますので、ETCの利用日と照らし合わせれば明細になります。
ただしそれ以上の情報、たとえば利用区間やETC割引などは記されていません。確認できるのはあくまで金額だけなので、情報が少ないように感じるかもしれません。
また、ETCカードの利用以外にショッピングなどのクレジットカードの利用があると、明細用紙には一緒に印刷されてしまうので、見づらいという欠点もあります。
特別な手続きが必要ないので楽
多くのクレジットカード会社ではスマートフォン向けアプリを用意しており、特別な手続きもなく、簡単にカードの明細を確認できます。
さらにこうしたサービスでは、請求が確定した明細だけでなく、締め日を迎えていない未確定の利用も掲載してくれる会社があり、紙の明細書よりも早く確認できるでしょう。
もちろんアプリを利用しなくても、各クレジットカード会社の会員サイトにアクセスすれば、いつでも好きな時に確認できます。
注意したいのは、クレジットカードの利用明細の履歴が長期間は保存されないこと。必要に応じて、データをダウンロードするか、印刷しておくなどの対応が必要でしょう。
履歴データの反映に1~2ヶ月かかる
ETCカードの利用は明細書に反映されるまで、通常1~2ヶ月ほどかかります。
これは各高速道路会社からクレジットカード会社にデータが届くまでに時間がかかるためで、「すぐに履歴を確認したい、領収書代わりに活用したい」という方には不便です。
ETC利用履歴発行プリンターで確認する
《写真提供:response》ETC利用履歴発行プリンターも設置
2つ目は、ETC利用履歴発行プリンターで確認する方法です。
無料で利用できるETC利用履歴発行プリンターが、さまざまな場所に設置されています。それらの場所で、ETCカードを指して、データをプリントアウトして確認します。
■ETC利用履歴発行プリンターの設置場所
ETC利用履歴発行プリンターは、高速道路のSA(サービスエリア)やPA(パーキングエリア)に設置されています。ただし、すべてのSAやPAではないのでご注意ください。
その他、首都高速や阪神高速の事業所、アウトレットモール、イオンモール、オートバックスなどにも設置されています。
高速道路SA・PA
高速道路SA・PAで設置されている場所は、インフォメーションコーナー、コンシェルジュカウンター、休憩所が多いようです。
また場所によっては、公衆電話コーナー、多目的トイレ前、自動販売機横といったケースもあります。
詳しくは各道路事業者のホームページを見るか、各高速道路SA・PAのインフォメーションでご確認ください。
サービスエリア検索の検索結果です。全国の高速道路・サービスエリア情報サイト「ドラぷら」は、NEXCO東日本が運営しています。ドライブ旅行やお車でのお出かけの、楽しい思い出作りを演出します。
「ETC利用履歴発行プリンター」設置のお知らせ | ETCの正しいつかいかた | ETCの使い方 | ETC・割引案内 | 料金・交通 | 高速道路・高速情報はNEXCO 中日本
https://dc2.c-nexco.co.jp/etc/etc_guide/howto/printer.htmlNEXCO 中日本(中日本高速道路株式会社)公式サイト高速道路を利用した各種割引制度についての情報【「ETC利用履歴発行プリンター」設置のお知らせ】ページ。各種割引制度やETC割引、ETC各種サービス、ETCのご利用方法、速旅(はやたび)会員様向け情報がご覧になれます。
ETC利用履歴発行プリンターのご利用について | NEXCO 西日本の高速道路・交通情報 渋滞・通行止め情報
https://www.w-nexco.co.jp/etc/inquiry/NEXCO西日本,西日本高速道路,回数券標準約款のご案内です。
ETC利用履歴発行プリンター|料金・ETC・割引情報|首都高ドライバーズサイト
https://www.shutoko.jp/fee/etc_reference/printer/首都高速道路株式会社のETC利用履歴発行プリンターのページです。
ETC利用履歴発行プリンタ|阪神高速道路株式会社 ドライバーズサイト
https://www.hanshin-exp.co.jp/drivers/ryoukin/services/printer.html「ETC利用履歴発行プリンタ」を紹介しているページ| 阪神高速の主要なパーキングエリアには、「ETC利用履歴発行プリンタ」が設置され...
ETC利用履歴発行プリンター | ETC情報 | JB本四高速
https://www.jb-honshi.co.jp/customer_index/etc/printer/index.html本四高速(本州四国連絡高速道路株式会社)公式サイト | ETC情報 | ETC利用明細書が印刷できるETC利用履歴発行プリンターのご紹介と設置場所のご案内です。
オートバックス
数は少ないのですが、関東地区や関西地区のオートバックスでもETC利用履歴発行プリンターを設置している店舗があります。
わざわざ高速道路に乗らなくても、ETCカードの利用が確認できるので便利ですね。
■ETC利用履歴発行プリンターの使い方
ETC利用履歴発行プリンターの利用方法は簡単で、まずETCカードのICチップを上面にして、カード挿入口に挿入します。
ETCカードが正しく認識されると緑色のランプが点灯し、ディスプレイに履歴が表示されます。
その後、音声案内を参考に「進」ボタンや「戻」ボタンを使って印刷したい履歴を表示させます。
最後に「印」ボタンを押すと印刷されます。
■ETC利用履歴発行プリンターの特徴と注意点
カードの種類によって多少の違いはありますが、ETCカードに記録できる件数は最大100件程度なので、それを超える利用履歴は印刷できません。
また、多くの方が気になるかもしれないETCマイレージポイントは確認できないので、ETCマイレージ事務局に問い合わせる必要があります。
利用履歴をリアルタイムで確認できる
ETC利用履歴発行プリンターは履歴の反映がリアルタイムで、今回紹介する3つの方法の中でもっとも早く確認できる方法です。
ETCカードの利用明細書であれば、確認までに1~2ヶ月要することを考えると、非常に便利といえるでしょう。
通行料金が確定しているものだけ印刷可能
一方、ETC利用履歴発行プリンターは、通行料金として確定している分しか印刷できないデメリットもあります。
というわけで、高速道路でSAやPAに立ち寄って利用明細書を印刷しようとしても、まだ出口を通過していない状態なので確定した履歴の印刷はできません。
大量の明細を出力するには不向き
ETC利用履歴発行プリンターは、手軽に明細を確認できますが、大量の明細を印字するのには不向きです。
それは利用履歴全体が1枚の紙にまとまって印刷されるのではなく、個別に印刷されてしまうため。特に乗り継ぎ利用がある場合、利用明細書の印刷がかなりの枚数になってしまうでしょう。
たとえば首都高速や阪神高速では乗り継ぎ利用になることも多いかもしれませんが、入口料金所を通過し、乗り継ぎ出口、乗り継ぎ入口、料金所のない出口と通過した場合、この行程だけで4枚の利用明細書が発行されてしまいます。
加えて、こうした乗り継ぎ利用では、料金がまとまって記載されるのではなく出口ごとに料金が記載されるため、合計の通行料金を計算するためには各出口の料金を自分で合計する必要があります。
ETC利用照会サービスで確認する
《写真提供:response》ETC利用照会サービス
3つ目の方法は、各道路事業者が運営しているETC利用照会サービスで確認する方法です。
さまざまな形式のデータでダウンロードできるので、まとめて利用を確認したいときにおすすめです。
■ETC利用照会サービスとは?
ETC利用照会サービスとは、NEXCOなどが運営しているサービスで、インターネットを通じてETCカードの利用明細を確認できます。
登録は無料で年会費もかかりません。利用料金、通過日時、通行区間、ETC割引額なども参照できます。
■対象のETCカード
対象となるETCカードは3種類あります。
各クレジットカード会社が発行しているクレジットカード付帯の「ETCクレジットカード」、NEXCOや首都高速道路などの道路事業社が共同発行している個人向けのETCカードの「ETCパーソナルカード」、NEXCO東日本・NEXCO中日本・NEXCO西日本が大口・多頻度割引制度のために発行している「ETCコーポレートカード」の3種類です。
■ETC利用照会サービスの登録・利用方法
「ETC利用照会サービス」を利用するためには、ETC利用照会サービスの公式ホームページから事前の登録が必要です。
発行されるユーザーIDとパスワードを控えておき、同じ公式ホームページ内にあるログインボタンから進むと利用履歴を確認できます。
ETC利用照会サービスの登録方法
ETC利用照会サービスの公式ホームページにある「新規登録」から入り、以下のものを入力します。
・対象となるETCカードの番号
・メールアドレス
・過去の利用年月日
・車両番号(ナンバープレートの4桁の番号)
・19桁の車載器管理番号(識別番号)
入力が終わると登録は完了です。
ETC利用照会サービスでの履歴確認方法
ETC利用照会サービスの公式ホームページにある「ログイン」から入ります。
次にユーザーIDとパスワードを入力すると、利用明細のページが表示されます。さらに該当の月を選ぶと、明細が表示されます。
■ETC利用照会サービスの特徴と注意点
ETC利用照会サービスはパソコンでの利用を前提としたサービスのため、スマートフォンではスムーズに閲覧できない可能性があります。
またETC走行の有無に関わらず、最終ログインから420日間、ETC利用照会サービスのご利用がなかった場合は「解約予告のお知らせ」が送信されてしまいます。そのため、1年に1度はログインする必要があるでしょう。
レンタカーでも利用できる
事前登録に必要な情報さえあれば、レンタカーやカーシェアリングの車両でもETC利用照会サービスを利用できます。
とはいえ、レンタカーはいったん返却してしまうと車載器管理番号が分からなくなってしまうので、車両番号と車載器管理番号は必ず控えるようにしましょう。
複数のファイル形式でダウンロードできる
ETC利用照会サービスでは、目的にあったファイル形式でダウンロードできます。利用証明書はPDF形式に、利用明細はPDF形式とCSV形式に対応しています。
なお、ダウンロードできるデータは過去15ヶ月分なので、消えて困る情報は定期的にダウンロードしておきましょう。
コンビニのプリントサービスで印刷できる
利用証明書と利用明細の印刷には、コンビニエンスストアのプリントサービスも利用できます。
ローソン、ファミリーマート、ポプラグループは「ネットワークプリントサービス」、セブンイレブンは「ネットプリント」、ミニストップは「おきがるプリント」という名称でサービスが提供されています。
なお、印刷の際にはそれぞれ指定のプリント料金が必要になりますのでご注意ください。
事前登録していないと利用明細が確認できない
ETC利用照会サービスは事前登録(新規登録)がないと利用明細を確認できません。
ETCクレジットカードとETCパーソナルカードの場合は利用明細初期データを作成するため、ETC利用照会サービスの登録後、利用明細が表示されるまでに4時間ほどかかります。
一度も利用していないETCカードは登録できない
登録にあたって、ETCクレジットカードとETCパーソナルカードの場合は過去15ヶ月以内に少なくとも1度、ETCコーポレートカードの場合は過去62日間に少なくとも1度、ETC無線通行によりETCカードを使った高速道路の利用が必要です。
新規発行のETCカードが届いたので「すぐにこのサービスを利用しよう!」と思っても登録できないので、1度どこかで使ってから登録しましょう。
まとめ
《写真提供:response》
今回は、ETCカードの利用明細をどのように確認できるかについてまとめました。
確認する手段として、ETCカードの利用明細書で確認する方法、ETC利用履歴発行プリンターで確認する方法、ETC利用照会サービスで確認する方法があります。
どの方法にも、メリットとデメリットがありますので、比較検討して、自分に合ったサービスを検討してみてください。