はじめに
BMW新型SAVの「X2」ですが、先週X2デビューフェアではBMWの各ディーラーは大盛況だったそうです。
そんなBMW X2についてレスポンスがBMWジャパンのBMWブランド・マネジメント・ディビジョンプロダクト・マーケティングプロダクト・マネジャーの丹羽智彦氏にインタビューを行った記事が興味深かったので紹介します。
BMW X2の開発意図
BMW X2の開発意図は市場ニーズと、BMWとしての新たな顧客獲得を目指してエッジの聞いたX2を開発したそうです。
ビー・エム・ダブリュー(BMWジャパン)BMWブランド・マネジメント・ディビジョンプロダクト・マーケティングプロダクト・マネジャーの丹羽智彦氏(以下敬称略):BMW X2が属するコンパクトなプレミアムカーセグメントが世界中で拡大していますので、そこにお客様のニーズがあります。
また、SUV、我々でいうところのSAV全体のセグメントは既に確立して来ましたので、そこでの新しい顧客開拓の必要性を感じ、新しい商品が必要だと考えました。社長もコンパクトセグメントの中のコンクエストという表現をしていますように、そのセグメントを取りに行くという商品が必要であることから、あえてエッジーなクルマを出したのです。
----:つまりSUVのクーペが欲しかったということですか。
丹羽:SUV市場が確立されていますので、その中で競合他社はいろいろなことを考えています。例えばコンバーチブルタイプやクーペタイプなど新しいデザインを試しています。
我々としては『X6』から始まるBMWのSUV+クーペのコンセプトはコンパクトセグメントでも必要と考えていました。ただし、単にX6のサイズを小さくするだけですと後席が狭くなってしまいますので、X2ではより良いバランスを取るために、他のモデルと比べるとルーフラインはあまり極端に落としていません。
X2のボディサイズは、全長4360mm、全幅1824mm、全高1526mm、ホイールベース2670mmと全高が低いのが特徴的ですね。
ちなみに、「X1」は全長4439mm、全幅1821mm、全高1612mm、ホイールベース2670mmなので比較すると、X2は全長が約80mm短く、86mm背が低くなっています。
Xシリーズの偶数モデルのSUVクーペですが後部座席の居住性を削る方向ではなくルーフラインをあまり落とさず、後部座席居住性も確保しているのは嬉しいですね。
なにより立体駐車場に入るSUVということで駐車場事情的にSUVを諦めていたそうには非常に嬉しいサイズ感ですね。
X2の展示車の前で「うちのマンションの駐車場に入るサイズってのがいいね!」という営業と客が話しているのも耳にしました。
差別化という点では非常にうまくいっているのではないかとおもいます。
CピラーにBMWエンブレムなど新デザイン採用の理由
X2の大きな特徴の一つと言っても過言ではない、CピラーのBMWエンブレムですが、50年前に発売されたBMWクーペの名車「BMW3.0CS」へのオマージュで50年ぶりの復活となります。
M Sport Xという新たなXシリーズ専用のMスポーティグレードも用意し、フロントデザインやキドニーグリルも特徴的なデザインとなっています。
筆者としては非常にアグレッシブでスタイリッシュにうまく仕上げてきたなと感じます。
----:そのようにしてSUVとしての機能性を確保しているのですね。デザイン面ではフロント周り、特にキドニーグリルは新たなトライとなっていますが、なぜこのX2で採用されたのでしょう。
丹羽:この新キドニーグリルは、伸びているセグメントの中で新しい顧客を開拓すると共に、新しいコンセプトを提供することも必要だということで採用したエレメントのひとつです。その他にもCピラーのBMWのロゴもそうですし、Cピラーにホフマイスターキンクを入れながらショルダーラインを極端に蹴り上げるラインを採用するなど新しいエレメントを入れることによって、他のXシリーズとの差別化を図っているのです。
----:BMWの傾向として新しいグリルなどを採用した場合、それ以降他のクルマでも展開されることが多いのですが、今回はどうなのでしょう。
丹羽:現場ではまだそこまでは考えていないようです。確かに7シリーズで入れた技術、例えばキドニーグリルのフラップ技術を、5シリーズに採用するなどの流れもありますが、今回のデザインに関しては、X2の差別化という意味付けが第一のようです。
X2のターゲットユーザーは?
X2のメインのターゲットユーザーは30代後半だそうです。
X1は40代中盤くらいがメインターゲットなので、デザインもアグレッシブでチャレンジングなデザインになったようですね。
ライフスタイルや家族構成などは違うかもしれませんが、年齢だけだと1シリーズのターゲットユーザーと被るかもしれませんね。
----:X2のターゲットユーザーは“ミレニアル”ということです。このターゲットは世界共通のことなのですか。
丹羽:はい。『X1』よりも若い層を狙うのかX2なのです。それは世界的に変わりません。
----:X1の年齢層はどのくらいなのですか。
丹羽:X1はおよそ40代中頃です。それに対しX2は30代を狙いますが、実質的には30代後半になるでしょう。
----:どのメーカーもこのあたりの層を狙っていますし、かなりマーケティング戦略としては難しいですね。
丹羽:はい、全てを賄うSUVであればもう少し上の層でもいいでしょう。しかし、年齢的には若くても、例えば都心で結婚はしているがまだ子供はいないとか、若くしてビジネスを立ち上げてという方々がいる層があります。そういった方々は個性を主張しますので、そこをターゲットに、我々としては今まであるものとは違うものを出すことで、目を向けてもらう、そして我々としてもそういった方を取り込みたいと考えているのです。その結果として、新しいデザインエレメントなどを取り入れました。
ブランドフレンドに香取慎吾氏を起用した訳は?
BMWのブランドフレンドとしては5シリーズで中田英寿氏を起用したり少しずつ人を押し出した訴求を増やしてきています。
今回X2では元ジャニーズの香取慎吾氏を起用してきて筆者も少し驚きました。
BMWとしてはブランドフレンドを通してライフスタイルの提案もイメージさせたい戦略のようです。
今回香取慎吾氏を起用したのはSNSなどの反応を見ると新しい層にアピールと言う面では成功と言えるのではないでしょうか。
----:他のインポーターもそうなのですが、このあたりの層を狙うクルマではほぼ同じようなことをお話しされますね。いちばん取りにくいところであるがゆえに、取りたいところでもありますから。
そこで、そのいずれとも差別化する必要は絶対に出て来るのですが、X2ではそのあたりをどう考えていますか。ひとつはマーケティング戦略的にどう他と違うクルマなのかを訴求していくこと、そしてもうひとつはクルマそのものとして他のクルマとは違うことを認識させていくかです。
丹羽:そういった全てのことを含めてブランドフレンドとして香取慎吾さんを起用したのです。香取さんは決して全ての新しいものを作っている人ではありません。ジャニーズという枠の中にいた人で、その後、独立して新しい世界を自ら築いていこうと思っている人なのです。
----:最初に香取慎吾さんが出るということを聞いた時に、少し驚きました。これまでBMWはあまり“人”を前面に出しての訴求はしてこなかったように思うのですが、いかがでしょう。
丹羽:最近は少し増えてきており、5シリーズで中田英寿さんや、7シリーズではシェフのジョエル・ロブションさんにも出てもらっています。
BMWはこれまで車、くるま、クルマ……、でしたが、近年はそれだけではく、違う方向も模索しています。
ビー・エム・ダブリュー広報部企業&社内広報シニア・スペシャリストのイードゥ・チャーリーン氏(以下敬称略):BMWはクルマだけではなくモビリティというサービスを提供しています。
そしてそれを見せるためにクルマだけではなく、そのクルマを所有することでのライフスタイルを見せていきたい、ブランドフレンドなどを通してライフスタイルを感じさせていきたいと考えているのです。
香取慎吾がBMWのブランドフレンドに!新型X2 発売時期・価格・スペック情報
https://matome.response.jp/articles/1545ビー・エム・ダブリュー(BMWジャパン)は4月16日、BMWのブランド・フレンドとして、元SMAPの香取慎吾と契約したことを発表しました。なぜ香取慎吾が選ばれたのか?その理由は、X2のコンセプト「UNFOLLOW」にありました。ブランドフレンドに就任した香取慎吾のコメント、そして新型X2情報をまとめました。
BMW X2の競合モデルは?
BMWとしては競合は、メルセデス・ベンツGLA、レンジローバー「イヴォーク」を想定しているそうです。
競合比較としては機能性に加えて、BMWらしい走りの面で差別化を強調しており、
BMWとしては一般道としての走りがスタートであり、そこは妥協をしていません。という力強い言葉でインタビューを締めくくっていたのが印象的です。
インタビューでは挙がっていませんが、同時期に発売されたボルボ「XC40」もかなりの競合になるのではないかと感じます。
XC40の完成度の高さはジュネーブモーターショー2018で欧州カーオブザイヤー2018を受賞しており折り紙付きですし、受注が増えすぎて納車が間に合わないという事態になっています。
XC40と比較すると安全面や荷室などのユーティリティ面では少々分が悪く、X2はブランドや、走りの面で強みがあると感じますので、筆者としても早く試乗してみたいと感じます。
----:クルマとしての差別化はどうでしょう。
丹羽:日本ではメルセデスベンツ『GLA』、ヨーロッパではレンジローバー『イヴォーク』が競合になるでしょう。
メルセデスに関しては我々とはスタンスが違う商品だと思っています。似たようなコンセプトに最終的には辿り着いていますが、スタートポイントが違うがために強みと弱みが違うようです。GLAは『Aクラス』の派生モデルとしてスタートして、それの車高を上げてという認識です。
一方BMWはXモデルの一部として考えていますので、ルーフ形状などでSUVとしての高い機能を、残念ながら一部を失ってはいるものの、犠牲にするところまではいっていません。その結果、後席の居住空間はこのセグメントの中では空間を確保出来ている数少ないクルマですし、ラゲッジルームに関しても競合よりは十分なスペースを確保しています。
BMWとしては一般道としての走りがスタートであり、そこは妥協をしていません。そこをベースにSUVとしてのユーティリティが求められている時代の中で、SUV、SAVの必要性から台数を伸ばしていますので、やはり切り口の違いがあるのです。
ボルボの新型コンパクトSUV・XC40新型が3月28日より発売されました。ボルボにとって初となる3気筒エンジンを搭載したほか、PHVの設定も!?本記事では新型XC40の気になる最新情報をお届けいたします。
最後に
新型X2ですが、デビューフェアではディーラーの駐車場が溢れるくらいので店舗もあるようで、順調な滑り出しになるのではないでしょうか。
やはりBMWなので筆者としては走りが気になります。試乗車が入ったら乗ってみたいと思います。
X2は価格的にも低めに抑えられており、かなり戦略的な価格設定になっています。
ディーゼルモデルの導入予定はなく、ガソリンモデルのみとなりますが、X2のキャラクター的にガソリンエンジンで高回転まで回して楽しむ歓びがありますのでディーゼルモデルはX1に任せてX2は走りに振ったBMWジャパンの戦略がどうでるか楽しみですね。
ボディカラーは黄色系のゴールドに輝く「ガルバニック・ゴールド」のX2のイメージが強いですが、あまり目立つのをよしとしない日本のユーザーにはどのように受け入れられるかも気になります。
ボディカラーとしては日本ではやはり黒や白が人気になりガルバニックゴールドはちょっと苦戦するのではないかなと危惧しています。
個人的には、スタイリッシュなX2を選ぶならちょっと冒険してガルバニックゴールドを選んでみたいなと思います。
BMW X2のインタビュー全容はレスポンスの以下の記事にてご覧ください。