結論:オールシーズンタイヤは「スノーフレークマークの有無」と「氷上性能の限界」で選ぶ
結論から言うと、オールシーズンタイヤを比較するときに見るべきポイントは2つです。1つは、タイヤの側面に刻印されている「スノーフレークマーク」(正式名称:3PMSF、スリーピークマウンテンスノーフレークマーク)の有無。これがあれば、高速道路の冬用タイヤ規制区間を通行できます。もう1つは、氷上性能の限界です。オールシーズンタイヤは、雪道にはある程度対応できても、凍結した路面ではスタッドレスタイヤに明確に劣ります。
この記事では、ミシュラン・グッドイヤー・ダンロップ・ヨコハマ・トーヨー・ファルケンなど主要メーカーの現行オールシーズンタイヤを、スノーフレークマークの有無を中心に比較し、スタッドレスタイヤとの性能差、選び方までまとめました。
オールシーズンタイヤとは?
オールシーズンタイヤは、夏用タイヤとスタッドレスタイヤ(冬用タイヤ)の中間的な性能を持ち、季節ごとの履き替えなしで通年使用できるタイヤです。ドライ・ウェット路面では夏用タイヤに近い性能を保ちながら、軽い積雪にもある程度対応できるよう設計されています。
JAF(日本自動車連盟)は公式サイトで「オールシーズンタイヤは、晴天・降雨時ではノーマルタイヤ(夏用タイヤ)に近いグリップ力を、雪道においてはノーマルタイヤよりも強いグリップ力を持っています」と説明しています。ヨーロッパでは冬季のタイヤ規制に対応する手段として普及していますが、日本では季節ごとの履き替えが一般的だったこともあり、認知度はまだ発展途上です。
スノーフレークマーク(3PMSF)とは?冬用タイヤ規制との関係
スノーフレークマーク(3PMSF=Three Peak Mountain Snow Flake)は、国際的な基準を満たす雪上性能を持つタイヤに刻印されるマークです。国連欧州経済委員会(UNECE)の基準に基づく厳格な試験に合格したタイヤだけが表示でき、日本の高速道路における「冬用タイヤ規制」でも、このマークが全輪に付いたタイヤであれば、スタッドレスタイヤと同様に通行が可能です。
ただし注意が必要なのは、より厳しい「チェーン規制」が発動された場合です。この場合はスタッドレスタイヤと同様、オールシーズンタイヤを装着していてもチェーンの追加装着が必要になります。また、道路の状況によっては冬用タイヤ規制下でもオールシーズンタイヤでの通行が認められないことがあるため、大雪が予想される場合は道路管理者の情報を確認してください。
夏用タイヤ・スタッドレスタイヤとの違い
3種類のタイヤの違いを整理すると、次のようになります。
・夏用タイヤ(サマータイヤ):ドライ・ウェット性能、燃費性能、静粛性を最も重視した設計。氷雪路面ではほとんどグリップしません。
・オールシーズンタイヤ:夏用タイヤに近いドライ・ウェット性能を保ちつつ、軽い積雪にもある程度対応。凍結路面では性能が大きく落ちます。
・スタッドレスタイヤ(冬用タイヤ):低温でも硬くなりにくいゴムと深い溝で、雪道・凍結路面でのグリップ力を最優先。その分、ドライ路面での操縦安定性や燃費性能、ロングライフ性能は夏用タイヤに劣る傾向があります。
価格については、オールシーズンタイヤは夏用タイヤやスタッドレスタイヤと大きく変わらない水準の製品が多く、季節ごとに2セット保有・保管する必要がないぶん、トータルの費用や手間を抑えられるのがメリットです。
主要メーカーのオールシーズンタイヤを比較
2026年9月時点で、各メーカー公式サイト・販売店情報で確認できた乗用車用オールシーズンタイヤの現行モデルを、スノーフレークマークの有無を中心に紹介します。
ミシュラン CROSSCLIMATE 2(クロスクライメート2)
フランスのミシュランが展開するオールシーズンタイヤの主力モデルで、2021年10月に発売されました。スノーフレークマーク(3PMSF)を取得しており、日本の高速道路冬用タイヤ規制下でも走行可能です。ドライ・ウェット性能や静粛性、ロングライフ性能を重視したつくりで、Vシェイプのトレッドパターンによって雪上での安定感も確保しています。タイヤ通販サイトのタイヤフッドでは、2026年9月時点で最安値1本15,730円〜(サイズにより変動)で確認できました。
グッドイヤー Vector 4Seasons Gen-3(ベクター フォーシーズンズ ジェンスリー)
世界で初めてオールシーズンタイヤを発売した老舗、グッドイヤーの最新モデルで、日本では2022年8月に発売されました。サイドウォールに「M+S」表記とスノーフレークマークの両方が刻印されており、日本の冬用タイヤ規制時にも走行可能な冬用タイヤとして認められています。前モデルの「Vector 4Seasons Hybrid」からトレッドパターンが刷新され、耐摩耗性能が高められているのが特徴です。
ダンロップ SYNCHRO WEATHER(シンクロウェザー)
住友ゴム工業のダンロップブランドから発売されているオールシーズンタイヤで、公式サイトでは「晴・雨・雪・氷のあらゆる路面にシンクロする」タイヤとして紹介されています。スノーフレークマークを搭載し、冬用タイヤ規制時にも走行可能です。国際的な氷上性能テストに合格した証である「アイスグリップシンボル」も備えていますが、公式サイトでも「チェーン規制時は、スタッドレスタイヤと同様にシンクロウェザーもチェーンを装着しなければ走行できません」と明記されています。2026年9月時点で、155/65R14サイズが1本14,190円(税込)で販売されているのをタイヤ販売店サイトで確認しました(サイズにより価格は異なります)。
ブリヂストン WEATHER CONTROL A005 EVO(ウェザーコントロール A005 エボ)
ブリヂストンが欧州向けに展開しているオールシーズンタイヤで、3PMSF認定を取得しています。2020年7月から欧州で発売され、15〜21インチの94サイズを展開。EUタイヤラベルのウェット性能でA評価を獲得しているモデルもあります。
ただし2026年9月時点で確認したところ、ブリヂストンの国内向けタイヤサイト(tire.bridgestone.co.jp)の乗用車ラインアップには、WEATHER CONTROL A005 EVOの掲載が見当たりませんでした。国内のタイヤ専門通販サイトでは2024年製の在庫が扱われていますが、ブリヂストンが日本国内で正式に展開する主力ラインアップとしては、2026年9月時点では確認できていません。購入を検討する場合は、販売店に日本国内での取り扱い状況を個別に確認することをおすすめします。
ヨコハマ BluEarth-4S AW21(ブルーアース フォーエス エーダブリュー ニーイチ)
横浜ゴムが2018年のジュネーブモーターショーで発表し、日本では2020年1月9日から本格販売を開始した乗用車用オールシーズンタイヤです。スノーフレークマークを取得しており、冬用タイヤ規制区間を通行できます。オールシーズンタイヤ専用の方向性トレッドパターンを採用し、晴れ・雨・雪それぞれの路面に対応する設計です。ヨコハマ公式サイトでも「スタッドレスタイヤではないため、凍結路面や過酷な積雪路面ではスタッドレスタイヤを装着してください」と注記されています。
トーヨータイヤ CELSIUS(セルシアス)
トーヨータイヤが2015年から北米・欧州で展開してきたオールシーズンタイヤで、日本には2020年11月に新たに13サイズが追加され、全19サイズの展開となりました。公式サイトによると、スノーフレークマークが刻印され、国連欧州経済委員会の厳格な基準を満たしたシビアスノー要件対応タイヤです。左右非対称のトレッドパターンで、降雪時のスノー性能とドライ・ウェット性能の両立を図っています。公式サイトでは「気象条件等によっては、オールシーズンタイヤでは冬用タイヤ規制時に走行できないことがあります」とも注記されており、通行可否は道路管理者への確認が推奨されています。
ファルケン EUROWINTER HS449(ユーロウィンター エイチエス449)
住友ゴム工業のファルケンブランドが展開するオールシーズンタイヤです。セダン・ミニバン・コンパクトカー・軽自動車向けに展開されており、M+Sマークとスノーフレークマークの両方を備えた冬用タイヤとして分類されています。タイヤ販売サイト(tires.jp)で2026年9月時点に確認したところ、155/65R14サイズが1本12,110円(税込)で販売されていました(サイズにより価格は異なります。なお、ファルケン公式サイトには本稿作成時点でアクセスできなかったため、この情報は販売店サイトでの確認によるものです)。
サイズ展開は軽自動車からSUVまで拡大中
オールシーズンタイヤは、以前は輸入車向けの大径サイズが中心でしたが、近年は軽自動車やコンパクトカー向けの小径サイズを追加するメーカーが増えています。トーヨータイヤのCELSIUSは2020年11月の追加で国内向け全19サイズとなり、ヨコハマのBluEarth-4S AW21も軽自動車サイズを含むラインアップに拡大されています。SUV向けに専用パターンを用意しているブランドもあるため、自分の車のタイヤサイズで展開があるかを、各メーカーの公式サイトやタイヤ通販サイトのサイズ検索で確認してから検討するとスムーズです。
オールシーズンタイヤとスタッドレスタイヤ、氷上性能の差はどれくらい?
スノーフレークマーク付きのオールシーズンタイヤでも、凍結した路面での性能はスタッドレスタイヤに及びません。JAFが2017年に実施した制動距離テストでは、圧雪路でスタッドレスタイヤが17.3m、オールシーズンタイヤが22.7m、凍結した氷盤路ではスタッドレスタイヤが78.5m、オールシーズンタイヤが101.1mという結果が出ています。氷盤路での差は22.6mで、車1台分以上の距離に相当します。
ブリヂストン公式サイトも、オールシーズンタイヤについて「凍結した道路においては夏タイヤと同様に滑りやすい」とし、凍結路での性能比較表でスタッドレスタイヤを「◎」、オールシーズンタイヤを「×」としています。積雪・凍結が多い地域での冬季の常用には、オールシーズンタイヤではなくスタッドレスタイヤが基本です。
オールシーズンタイヤの寿命と交換の目安
オールシーズンタイヤも、夏用タイヤと同様に使用に伴ってゴムが硬化し、性能が落ちていきます。交換の目安として一般的に言われるのは、次のようなポイントです。
・スリップサイン(残り溝1.6mm)が出たら、法令上そのタイヤは使用できません。ただし制動性能の観点では、残り溝4mm前後を交換の検討ラインとする資料もあります。
・製造からの年数がおおむね4〜5年を超えたら、走行距離や保管状況にかかわらず、ひび割れや硬化の有無を点検する。
・側面(サイドウォール)のひび割れ、偏摩耗、傷の有無を定期的に確認する。
オールシーズンタイヤは通年で装着し続けるぶん、季節ごとに履き替えるタイヤより摩耗が早く進みやすい点にも注意してください。
オールシーズンタイヤが向いている人・向いていない人
向いているのは、次のような人です。
・降雪が年に数回程度で、凍結路面をほとんど走らない地域に住んでいる
・タイヤの保管スペースがなく、季節ごとの履き替えの手間を減らしたい
・突然の降雪に備えつつ、普段はドライ・ウェット性能を重視したい
向いていないのは、次のような人です。
・積雪や路面凍結が日常的に起こる地域に住んでいる、または冬にそうした地域へ出かける機会が多い
・アイスバーンでの制動性能を最優先したい
・チェーン規制の対象区間を頻繁に通行する(スノーフレークマークがあってもチェーンは別途必要)
迷った場合は、お住まいの地域の気象庁平年値で「5cm以上の積雪があった日数」を確認するのも1つの方法です。年間で数日程度ならオールシーズンタイヤ、10日を超えるようであればスタッドレスタイヤが基本の選択肢になります。
オールシーズンタイヤもCARTUNEタイヤで探せる
レスポンス・カーナリズムと同じイードが運営するタイヤ通販「CARTUNEタイヤ」では、オールシーズンタイヤを含む各メーカーのタイヤをサイズ・メーカー別に検索できます。1本から購入でき、購入したタイヤを取付店へ直送することもできるため、気になるモデルを見つけたら近所の取付店に直送して交換してもらう、という使い方も可能です。
おすすめのオールシーズンタイヤも紹介しています
3PMSFマークの見方や価格帯をさらに詳しく知りたい場合は、マガジン記事「オールシーズンタイヤおすすめ」もあわせてご覧ください。
まとめ
オールシーズンタイヤを選ぶときは、まずスノーフレークマーク(3PMSF)の有無を確認してください。これがあれば冬用タイヤ規制区間を通行できますが、チェーン規制時は別途チェーンが必要な点は各メーカー共通です。ミシュラン・グッドイヤー・ダンロップ・ヨコハマ・トーヨー・ファルケンはいずれもスノーフレークマーク付きの現行モデルを国内展開している一方、ブリヂストンのWEATHER CONTROL A005 EVOは2026年9月時点で国内公式サイトでの掲載が確認できませんでした。
そして、どのメーカーを選んでも、凍結した路面での制動性能はスタッドレスタイヤに及びません。積雪・凍結が日常的な地域では、オールシーズンタイヤではなくスタッドレスタイヤを基本にしたうえで、履き替えの手間を減らしたい人や降雪が少ない地域の人がオールシーズンタイヤを選ぶ、という住み分けで考えるのがおすすめです。
オールシーズンタイヤに関するFAQ
オールシーズンタイヤはスタッドレスタイヤの代わりになりますか?
軽い積雪程度なら対応できますが、凍結した路面での制動性能はスタッドレスタイヤに明確に劣ります。JAFの制動距離テストでは、氷盤路でスタッドレスタイヤ78.5m、オールシーズンタイヤ101.1mという結果が出ています。積雪・凍結が多い地域での冬季の常用には向きません。
オールシーズンタイヤは冬用タイヤ規制の道路を走れますか?
スノーフレークマーク(3PMSF)が全輪に付いたオールシーズンタイヤであれば、冬用タイヤ規制区間を通行できます。ただし、より厳しい「チェーン規制」が発動された場合は、オールシーズンタイヤを装着していてもチェーンの追加装着が必要です。
オールシーズンタイヤの寿命はどれくらいですか?
製品や使用環境によって幅がありますが、夏用タイヤと同様に製造からおおむね4〜5年、もしくは残り溝やひび割れの状態を基準に交換を検討するのが一般的です。定期的に溝の深さと側面のひび割れを確認してください。
どのメーカーのオールシーズンタイヤを選べばいいですか?
メーカーごとに、ドライ・ウェット性能を重視したもの、氷上性能を意識したものなど傾向が異なります。まずはお住まいの地域の降雪状況とスノーフレークマークの有無を確認したうえで、価格やサイズ展開を比較して選ぶことをおすすめします。
オールシーズンタイヤはロードノイズが大きいですか?
静粛性を重視したサマータイヤに比べるとロードノイズが目立つ製品もありますが、スタッドレスタイヤと比べれば静かな製品が多いです。近年は溝形状の最適化が進み、静粛性を高めたモデルも増えています。
軽自動車やSUVでもオールシーズンタイヤは選べますか?
選べます。以前は輸入車向けの大径サイズが中心でしたが、近年は軽自動車・コンパクトカー向けの小径サイズや、SUV専用パターンを用意するメーカーが増えています。購入前に、自分の車のタイヤサイズが各メーカーのラインアップにあるか、公式サイトやタイヤ通販サイトのサイズ検索で確認してください。


