アルカンターラとは?
アルカンターラのアンドレア・ボラーニョ社長
アルカンターラは日本とイタリアの化学メーカーの合弁会社の名前で、人工的に製造されたスエードがこれに該当しています。現在は高級ブランドの一つとなっているアルカンターラですが、実はイタリア発祥ではないのをご存知でしたか。
アルカンターラは今から約50年前の1970年(高度経済成長期へ突入していく時代)に日本のとあるメーカーによって未来の素材を開発するという意味で開発されました。
それまで牛や羊などの皮を使っていたものを人工的に製造することによりコストを下げることに成功したというのがそもそもの始まりで、前身がエクセーヌと呼ばれる名前でした。
その後は自動車メーカーが多数あるイタリアの化学メーカーと共同開発事業へ移行され現在へと至ります。
アルカンターラの素材
アルカンターラ オーグメンテッド・リアリティ
ポリウレタン(32%)+ポリエステル(68%)の比率で構成されており、汚れても洗濯がしやすく耐久性に優れています。
開発から14年後の1984年になってようやく、自動車にも採用されることになりました。ラリーカーなどでおなじみのランチアが販売している車種に導入されるようになったことがきっかけで、自動車でも素材として新たに活用できるということが証明されました。
それに追従する形でランボルギーニやベンツなどといった世界的にも有名なメーカーの自動車の内装などに採用されました。
最近では、国産車の内装でも導入されるなど、「逆輸入」されたのは、皮肉にも日本のメーカーが手掛けた人工スエードでした。
アルカンターラの特徴
アルカンターラが採用された内装
ここでは、アルカンターラの特徴についてお話します。高級感もさることながら難燃性にも力を注ぎ、1970年からの長きに渡るメーカー側の涙ぐましい努力により、燃えにくい素材として進化し続けてきました。
往年の車は本革を使っており、内装のイメージを高めるという意味でも重宝され、実際にその時代の車を運転された方ならば懐かしい話です。
今はこの素材が主流となっているものの、高価格ゆえに修正が基本的に効かないので、シート張替えなどは業者に依頼しておくとよいでしょう。
■アルカンターラの特徴その1
まず最初に挙げる点は、車に乗ってすぐに感じる高級感です。
この素材が人工皮革ゆえに通常の皮革製品に匹敵するほどステイタスが高いのですが、天然物と比べ安価であることから座席のシートに使われる比率が高くなっています。
■アルカンターラの特徴その2
天然素材の本革シートは、十分な耐久性は確保されているものの、使い方によっては表皮のヒビ割れが発生する場合があります。
アルカンターラについてはもともと高耐久性の素材であるだけでなく、バックスキン調であるため、ヒビ割れ等の心配をしなくてよいという特徴があります。
■アルカンターラの特徴その3
次に挙げるポイントは通気性です。比較的暑さを感じさせることがない冬から春と違い、夏場は気温が高くなることから蒸し風呂状態になり、運転中に体に不快感を感じることもあります。
しかし、この製品を使うことにより通気性の問題を解決してくれ、夏でも快適なドライブを提供することができます。
■アルカンターラの特徴その4
アルカンターラの特徴としてコストがかかることも挙げられます。コスト面では天然の素材と比べ安くなっていますが、通常のシートと比べ全般的に高いことから、低コストを約束できるという意味ではまだまだの段階です。
しかし、ハンドルだけ交換をするといった部分的な取り換えれば、費用を抑えながら新素材を部分的に楽しむこともできます。
アルカンターラの手入れ方法
シートのお手入れも忘れずに
天然の素材と比べ耐久性はあるものの、この素材に限らずメンテナンスをきちんとしておかないと汚れてしまい、車としての「価値」も下げてしまいます。
特に汚れやすいのがハンドルとシート部分で、日々車に乗って運転することで手垢などでだんだんと汚れていきます。
ここでは、アルカンターラのお手入れ方法についてご紹介します。
■準備するもの
アルカンターラをお手入れする際は、基本的に特別な洗剤などを必要ありません。準備する物として、タオル、バケツ、お湯、ブラシを準備しておくと良いでしょう。
また、タオルはシートを拭く先に色移りしないよう、プリント加工などがされていない無地のものを使うようにしましょう。
■お手入れ方法
方法については、お湯が入ったバケツにタオルを入れてから絞り、素材についたほこりをとった後こすりながら拭取るというきわめてシンプルなやり方です。
時間が経過するうちにお湯の温度が冷たくなると、汚れは落ちにくくなっていくので、タオルが少し冷えてきたなと感じたらその都度お湯で絞ってあげるとよいでしょう。
また、素材が完全に濡れてしまわないように注意する必要があります。
最後に柔らかいブラシで優しく丁寧にブラッシングしましょう。
このすべてを毎日する必要はないですが、アルカンターラの美しさを長く保ちたい場合は週に一回のペースでお手入れすると良いでしょう。
まとめ
ホンダ NSXのインテリア(セミアニリンレザー×アルカンターラ)
以上、アルカンターラについて紹介しました。
70年代初頭に登場した素材で、車の素材に使われるようになるまで約14年の長い期間を経て自動車の内装を中心に起用されたました。
素晴らしい人工皮革ゆえに汚れには敏感ですので、定期的にお手入れすることで美しい状態を維持して、洗練されたアルカンターラの素材をお楽しみください。