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ホンダのVTEC(ブイテック)とは?仕組みやテクノロジーを解説!

ホンダのVTEC(ブイテック)とは?仕組みやテクノロジーを解説!

ホンダの開発したVTECシステムは、エンジンの持つジレンマを解消する画期的なシステムです。今回は、そんなホンダのVTECについてご紹介します。

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VTECとは

VTECエンジン

VTECエンジン

VTEC(ブイテック)とは、ホンダが開発した4サイクルエンジン用の可変バルブタイミング・リフト機構です。

略称を1つずつ解説していくと、頭文字のVはVariable-valveであり可変バルブという意味を持ちます。次にTはTiming-and-liftでありそのままタイミング・リフト、EとCはそれぞれElectronicとControl-systemで機構の意味合いと理解すれば良いでしょう。

その名の通り、バルブの開き方を変えてエンジンのパフォーマンスを上げることが目的で生まれたシステムです。

VTECテクノロジー

VTECエンジン(ホンダ・シビックタイプR)

VTECエンジン(ホンダ・シビックタイプR)

4サイクルエンジンは吸気と圧縮、燃焼と排気という4つの行程で発生したエネルギーを動力に変換する仕組みです。

吸気と排気のセクションにおいて、エンジンの回転と同期してバルブを動かしますが、従来のエンジンでは低回転と高回転の時にバルブが動く量を臨機応変に変えるというのは不可能でした。

そのため本来エンジンとは、低速重視もしくは高速重視のどちらかに設定するしか方法はありません。

しかしVTECは回転数に応じて大きさが異なるカムとロッカーアームにより、バルブを動かしその分量を調節できます。さらには燃料混合気の吸気量を変化させ、効率的にパワーを引き出すことに成功しました。

VTECエンジンの歴史

VTECエンジンの開発が始まったのは、1984年のNCE計画からです。ホンダ社の研究員は、自然吸気でリッター100馬力を目指しました。5年の歳月を経て、1989年4月にデビューした2代目インテグラに搭載する形で華々しく登場したという訳です。

インテグラに搭載されたのは1.6LのVTECエンジンであり、最高出力160psに対して7600rpmという高回転域を見事に実現しています。

この機構のそもそもの発案は、技術者が焼鳥屋にてねぎまを焼く光景を目にしたことがきっかけで思いついたという逸話があります。串に刺した具材のうち、ねぎが回らないのに肉が回ったりその逆の現象が起きるのを見てヒントを得たのがきっかけです。

翌年の1990年9月に登場したNSXには3LのV6、DOHC-VTECが搭載されています。こちらはNAエンジンで、当時の自主規制の数値上限の目一杯である280psを達成するという偉業を成し遂げました。

なお5年後の1995年9月には、6代目シビックの1.5Lモデルにさらなる高性能なシステムを搭載させているから驚きです。低回転から中・高と3つの回転領域において、リフト量と吸気バルブタイミングを切り替えることができる仕組みです。

その後もホンダは開発と進歩を続け多くのモデルに採用し、2000年からはi-VTECエンジンと改称したものを搭載しています。

そして2013年11月にはVTEC技術と直噴ターボによる出力向上と、排気量ダウンを実現するVTEC TURBOが発表されています。

オートバイにも使われたVTEC

VTECは高回転および高出力が必要なスポーツタイプの二輪車用エンジンのために、HYPER-VTECを開発しました。直押しタイプのバルブ制御システムであり、エンジン出力だけでなく環境保護対策まで両立できる優れたエンジンです。

1983年には既に二輪車用のREV機構が開発されており、REVを4輪用と発展させVTECを作り上げています。ただスポーツタイプの二輪車用エンジンは、高回転および高出力が必要なためカムが直接的にバルブを駆動する直押し動弁系が主流です。

場合によっては10,000rpm以上の高回転域が必要となるため、また環境対策を両立させるためにバルブリフターに油圧機構を内蔵するという方法で解決させました。

4輪用を含めてもロッカーアームを通さないシステムは、当時は世界的に例のない技術でした。低中速域と高速域において、2から4バルブを切り替える仕組みです。

ロッカーアームを使用せずバルブリフター内でおさめることにより、動弁系の質量増加を控えめにして高回転域においても確かな作動性を保つ画期的な仕組みとなっています。力強い出力特性を実現した上に、なんと燃料消費率の向上まで実現したシステムです。

VTECエンジンが搭載されている車種

VTECエンジンが搭載車には、一般車としても馴染みの深いインテグラタイプR、スポーツ走行が楽しめるアコードやコンパクトカーの軽さを存分に活かしたフィットなどが代表的な搭載車両として挙げられます。

また、ホンダ50周年を記念したリアルオープンスポーツカー、S2000を忘れてはいけません。車体はもちろん、エンジンやミッションなどさまざまな機構がS2000専用という贅沢設計です。

ホンダのスポーツカーの象徴的な存在、シビックタイプRにもVTECは惜しみなく搭載されています。初代のEK9型では最高出力は185馬力を記録しており、当然ながらVTECの実力を存分に実感できる車種です。

新しい時代のターボエンジン VTEC TURBO

VTEC TURBOエンジン(ホンダCR-V)

VTEC TURBOエンジン(ホンダCR-V)

従来のターボエンジンは、パワーはあるものの燃費が悪いというのが自動車業界においての常識でした。しかし燃費の良さと爽快な走りを両立させる、VTEC TURBOの登場により事態は一変します。

1.5LのVTEC TURBOは、小排気量エンジンの燃費の良さをキープしたまま、ターボチャージャーに可変動弁機構と直噴システムを組み合わせることに成功しています。

その結果2.4Lエンジンをはるかに凌ぐ低速トルク、そして高回転までシームレスに伸びるパワーを実現するに至ったという訳です。高速道路はもちろんのこと、街中や坂道までさまざまなシチュエーションで爽快な加速を楽しめる仕組みです。

なお燃料はレギュラーガソリンのままでも、その性能を十二分に発揮できるというポテンシャルを持っています。

VTEC TURBOエンジン搭載車両

実際に搭載されている、2015年12月に発表されたホンダのシビック タイプRを例として見てみましょう。

新開発の2リッターVTEC TURBOエンジンを搭載しており、ターボチャージャーを組み合わせることで最高出力310馬力・トルク400Nmという歴代でも最高性能を発揮しています。小型のターボチャージャーでありながら排気側にVTEC、吸排気両方においてVTCを採用しました。

これにより、出力とレスポンスが非常に高い水準で両立可能です。過給レスポンスを高めつつ、排気ポンピングロスを低減させることによりさらなる燃費の向上が図れているのも大きな躍進です。

VTEC TURBOの性能

VTEC TURBOには、ホンダ独自のVTECをはじめとする可変動弁機構が採用されています。高流動燃焼を用いた直噴ターボによって出力が向上し、エンジンの排気量は逆にダウンさせました。

フリクション低減にも力を入れた結果、トップレベルの出力性能および環境性能を有しているエンジンです。排気量のバリエーションは2.0Lと1.5L、そして1.0Lといった3クラスが用意されています。

既存のハイブリッドテクノロジーや、ディーゼルエンジンのように今後は世界規模で発売される車種の特性に適合させていきます。2.0Lの4気筒直噴ガソリンターボエンジンは、最高出力280馬力以上と高出力を誇るクラスです。

ヨーロッパの排出ガス規制であるEURO6への適合も果たしており、出力と環境に配慮した革新的なエンジンです。1.5Lの4気筒および1.0Lの3気筒直噴ターボエンジンも、当然ながらVTECをはじめとした可変動弁機構が適用されています。

フリクション低減を極限まで落とし込んだ新骨格のエンジンを基準として、従来の自然吸気エンジンを超える高出力と低燃費を両立させた、次世代をリードするコンパクトエンジンです。

まとめ

進化型VTECエンジン

進化型VTECエンジン

高出力と低燃費の高次元な両立を図って、開発されたのがVTECです。リリースした後も改良を続け、新しいモデルと共にその進化を重ねてその度に優れたレスポンスと乗り心地を実現してきました。

何よりドライバー魂をくすぐり、高揚させるVTECのエンジン音は運転者に爽快かつ至福のドライビングを提供してくれます。排気量規制とエンジンのサイズダウンが主流になる中で、ホンダはこれからもそれらを乗り越えさらに新しい風を吹かせることでしょう。

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