整備士の仕事
整備士
自動車整備士とは、同名の国家資格を持ちその能力を活かして自動車の整備・点検や、修理を行う職種です。車のトラブル時の対処と平時の点検・検査が主体で、ともに自動車が万全な状態で走れるように尽力します。
自動車整備士の仕事の1つには、定期的な点検整備が挙げられます。トラブルを未然に防ぐために、傷んだ箇所の修理や消耗した部品の交換など点検作業を行うことは不可欠です。
この自動車の定期的な点検・整備を行うことを車検と呼び、自動車にとって非常に重要な整備の1つです。
運転中のエンジンの不調やタイヤの破裂など、急な事故・故障の際の緊急整備もその1つに挙げられます。電気系統やエンジンの点検をして異常のある箇所を特定し、部品の交換や修理を行うのが主な作業です。
自動車の核となる箇所の機械的な部品を分解して、故障した箇所を修繕する分解整備も大事な作業です。特にエンジンやミッションなどが多く、この整備自体はオーバーホールとも呼ばれています。
他にもお客様に自動車の状態を説明したり、トラブル回避のアドバイスも自動車整備士の重要な仕事です。
整備士になるためには資格が必要
自動車整備学校(群馬自動車大学校)
自動車整備士の職に就いて整備作業をするためには、国家試験を受験して合格する必要があります。受験するのは自動車整備士試験(自動車整備士技能検定)であり、車種や等級ごとに区切られています。
最初に専門学校等へ入学するか、整備工として1年間の実務経験を重ねてから三級整備士の資格を取得して、実務経験を重ねて二級へとステップアップするケースが多いです。
国家試験を受けるためには、専門学校への入学や整備工場への就職などいくつかのルートがあります。
自動車整備士の等級や車種で扱える作業が変わるため、どの時期に資格を取得するかを計画しておきましょう。
■整備士専門学校
数ある自動車整備士へのルートのうち最も近道とされているのが、整備士専門学校に通うという方法です。通常であれば三級から順に受験しますが、専門学校に通えばいきなり二級の受験資格が得られます。
また受験の際の学科試験と実技試験のうち、実技試験を受ける必要がなくなるのも大きなメリットです。
加えて独学で受験するよりも圧倒的に合格率が高いことも、専門学校に通う上での魅力となっています。校内にてディーラーの見学会や企業説明会が行われており、就職に有利な点も大きなアドバンテージです。
■実際に整備工場で働きながら整備士になる方法
工業高校や大学の機械科・自動車科、専門学校を卒業しなくても自動車整備士の職に就くことはできます。1年以上の実務経験があれば三級自動車整備士の受験が可能だからです。
たとえば普通高校を卒業して、整備工場に就職して1年以上現場経験を積めば受験資格が得られます。もちろん、二級や一級に関しても同じく現場にて実務経験を重ねることによりキャリアアップが可能です。
なお等級が上がるごとに、要求される実務経験の年数も一緒に上昇していくため注意が必要です。加えて、実技経験が免除されないため、実技と学科試験の両方とも合格しなければなりません。二級整備士の試験に挑戦するには三級に合格した後に、さらに3年以上の実務経験の積み重ねを要します。
同様に一級にチャレンジするには二級合格後に3年以上の経験値を積まなくてはなりません。
整備士国家試験
自動車整備学校
自動車整備士の職に就くには、国土交通省が実施する自動車整備士国家試験を受験する必要があります。事故防止をはじめ自動車の安全確保と、整備従事者の能力向上を目指し技能検定規則として制定されました。
道路運送車両法第55条に基づいて試験が実施され、合格すると国土交通大臣より合格証書が交付されます。
三級には自動車ガソリンエンジン整備士とジーゼルエンジン整備士の他に、二輪自動車整備士と自動車シャシ整備士という部門があります。名称が少し変わるものの、二級でも同様にガソリン・ジーゼルやシャシ整備、二輪といった区分です。
なお一級に関しては小型自動車整備士のみであり、他の種類に関しては実質二級が最上となっています。
国土交通省による自動車整備士技能検定試験自体は毎年実施されていますが、近年では二級自動車シャシ整備士の実施のみに限られており、二級のその他の区分の資格や、一級や三級の整備士資格を取得するには、民間試験の自動車整備技能登録試験に合格する必要があります。
この技能登録試験は、学科・実技試験に合格することで、対応する国家試験がそれぞれ免除になります。
受験する際は国家試験と同様の受験資格を満たすことが必要となり、試験ごとに違いはありますが、一定期間の実務経験年数や、整備士養成施設などを卒業していることなどが求められます。
技能登録試験の学科試験の内容は、車の構造・機能や点検・修理に関してなどの科目に分かれており、それぞれに4択のマークシート方式で回答します。
各試験で1問1点なのは変わりませんが、試験時間と出題数は、三級と二級シャシ整備士の試験では60分30問、そのほかの二級の試験は80分40問、一級の試験は100分50問と問題数が増えていきます。
実技では基本工作や分解と点検、修理や整備用の計量器・工具の取り扱いを測定されますが、級が上がっていくほど難易度が上がります。
整備士の給料は?
自動車整備士
自動車整備士の主な就職先としては、国内・海外の自動車メーカー系ディーラーや町工場などが多いです。他に就業の形としては派遣社員やアルバイト、修理工場・町工場の開業という道もあります。
ただ開業する上で認証工場の条件を満たし、少なく見積もっても数千万円程度の開業資金が必要です。
整備士の平均年齢は37.6歳で平均月収は約30万円、平均年収は440万円程と言われています。もちろん働き始めの若手である20代と、40〜50代のベテラン世代とは収入面で多少差はあります。
しかし各社での上下幅が狭く、他の職種と見比べてみても比較的安定した職種と言えるでしょう。大手の自動車メーカー系列のディーラーともなれば、初任給は20万円前後の会社が多いです。同様に海外のメーカー系列のディーラーも、初任給や月収・年収は高い傾向にあります。
社会保険や財形貯蓄など福利厚生も充実していますが、その分競争率も高いというのが大きな特徴です。年収は1,000人以上の規模であれば約500万円と、やや高めの年収となるケースが多いです。
町工場や中小ディーラーでは、その規模にもよりますが初任給は15〜17万円台となる企業もあります。
整備士資格を取得していれば、基本給の他にも手当が用意され給与面で優遇されるのが一般的です。所持している整備士資格の等級によってその額が変動し、特に一級には高額手当となる場合もあります。
まとめ
整備用部品
自動車整備士として活躍するには、年に2回実施されている国家試験に合格する必要があります。
受験資格を得るには現場で1年以上の実務経験を積むか、専門学校などで教育を受ける方法が一般的です。専門教育を受けることで、実技試験が免除されるため合格を目指す上で非常に有利になります。
ただ専門的な高校・大学などに通学しなくても、現場で勤務しながら受験することも可能です。等級に応じた年数の実務経験を積めば、誰にでも受験が可能であるため就職してからでも遅くはありません。
近年では人手不足から学歴や経験を問わず積極的に採用している職場もあるため、ぜひ探してみましょう。