オービスとは?
オービスについて知ろう
オービス(自動違反取締装置の通称)とは、公道を走行する自動車の速度違反を検知して記録するための装置です。レーダーなどで車両の速度を計測し、一定以上のスピードであれば自動的に写真を撮影されます。
写真によりナンバー・車種・運転者の顔などが識別され、数日後に通知書が届くので、決められた場所に出頭する必要があります。
オービスが設置されるのは主に幹線道路や高速道路などで、速度違反が原因の事故が多発する場所などが選ばれます。
日本では高速道路に設置されているケースが多いですが、設置箇所の手前に警告標識が立てられています。オービスは単に速度違反を取り締まるだけでなく、事故を未然に防ぐ役割も果たしています。
オービスには種類がある
最新型オービス
一口にオービスといっても車速の計測方法や記録装置などに違いがあり、いくつかの種類が存在します。
日本の警察が採用しているオービスの装置は主に6種類で、設置場所や運用方法の点で違いがあります。ある程度の知識があれば、見た目で種類の違いを判別することができるでしょう。
■【タイプ1】LHシステム
LHシステムは定置式のオービスの中では高性能を誇る装置のひとつで、高速道路などに多く用いられています。
LHシステムのLとはループコイルのことで、路面に埋め込まれたコイルから発生する磁場の乱れで車速を検知します。一定以上の速度だと、頭上に設置されているカメラが自動的に違反車両を撮影します。
LHシステムは鉄の塊である自動車が通過すると磁場の乱れにより車速を測定する仕組みで、レーダーは使用しません。このため、カーショップなどで販売されている検知器を使用しても識別することができません。
頭上に設置されている装置は撮影用のカメラのみで、一見して見分けがつきにくいという特徴もあります。
■【タイプ2】レーダー式
レーダー式のオービスは昔から使用されてきたタイプで、レーダーを照射して車速を測定します。速度違反を検知すると、従来のフィルム式カメラで自動的に撮影される仕組みです。
レーダー式だとカーナビなどで検知することが可能で、フィルム式なので枚数が限られます。メンテナンス性や維持費などの問題があることから、最近はLHシステムなどへの交換が進められてします。
■【タイプ3】ループコイル式
ループコイル式はLHシステムと同じように道路上にコイルが埋め込まれていて、磁場の変化を検知して車速を測定する仕組みです。
LHシステムと違う点は、LHシステムで撮影された違反車両の画像は管理センターに即時デジタル送信されるのに対して、ループコイル式は違反車両の撮影をフィルムで行なっていることでした。
現在では、LHシステムと同じくデジタル送信を行うシステムに改修されているものもあります。
レーダー探知機でも検知することができずカメラが見えにくい場所にあることもあるので、ドライバーによっては大きな脅威です。
■【タイプ4】新Hシステム
新Hシステムは頭上に設置されたアンテナから発射されるレーダーで速度を計測し、違反を検知するとデジタルカメラで撮影されます。
フィルム式カメラのように撮影可能な枚数が制限されず、メンテナンス性が良いという特徴があります。
高速道路や幹線道路などに設置されていることが多く、電波を発射するためのアンテナを収めた白い箱が付いています。新Hシステムのセンサーはレーダー式ですが、車上の検知器が反応しにくいように工夫されています。
■【タイプ5】新型小型オービス
新型小型オービスは名前の通り、装置が小型・軽量であるという特徴があります。レーザー(光)を使って車両の速度を測定し、制限速度が時速30の生活道路などで使用されます。
この装置は2016年頃から運用が始められ、2020年中には日本全国に配備が完了するとみられています。新型小型オービスは装置が小型なので、狭い場所にも設置することが可能です。
このため、通学路や住宅地などの生活道路で使用される見込みです。
■【タイプ6】移動式オービス
移動式オービスは、持ち運びが可能な小型・軽量タイプの装置であるという特徴があります。
ワンボックスタイプの警察車両などに搭載されていることが多く、場所を変えて取締りが行われます。
オービスは何km/hオーバーで反応する?
気になる速度について
法律上は制限速度を僅かでも超えるとスピード違反になりますが、実際は一定以上を越えていないと検挙されることは少ない様です。オービスについても同じで、制限速度を大幅に超過している場合にのみ写真撮影が行われる仕組みになっている様です。
どれくらいの速度超過で検挙されるかは公開されていませんが、基準となる制限速度との速度差は一般道で時速30キロ、高速道路は時速40キロオーバーだといわれています。
高速道路の制限速度は時速100キロ(一部地域は120キロ)なので、写真撮影が実行されるのは時速140キロ以上ということになります。このことから、オービスはかなり悪質な速度違反を取り締まるための装置であることがわかります。
ところが、近年配備が進んでいる新型小型オービスでは、生活道路での速度違反に伴う事故を防ぐという目的もあってか、制限時速15キロオーバー未満であっても取り締まり対象となる例が増えているとのことです。
オービスが光ってしまったらどうなる!?
移動式オービス
速度違反にはいくつかの種類があり、軽微な場合は罰金と違反点数が付くだけで済みます。ただし、制限速度を大幅に超過すると重い処分を受ける恐れがあります。
オービスが光って撮影された場合は大幅な速度超過に該当するので、免許停止や取り消し処分を受ける可能性が高いといえます。
速度違反の程度が悪質と判断されると、逮捕されて刑事裁判を受けることもあります。
■違反点数は?
オービスが光るほどの大幅な速度違反をした場合の違反点数ですが、一般道(30km/hオーバー)だと6点または12点です。高速道路でも、6点(40~49km/hオーバー)または12点(50km/h以上)が加点されます。
違反点数が6点以上で免許停止処分、12点以上(50km/hオーバー)で免許取り消し処分となります。オービスが光ってしまったら、免停または免許取り消し処分の可能性が高いといえます。
■反則金は?
一般道で30km/h以上の速度超過で検挙されると、反則金は2~10万円の範囲です。
金額は簡易裁判所で決定されるので、普通のスピード違反とは違う手順で通知されます。
高速道路の場合も反則金は簡易裁判所で決定されますが、35〜39km/hオーバーの反則金(3万5千円)よりも高額です。
■オービスの光る位置はどこ?光り方は?
オービスが光る位置は、種類によって異なります。
前述の6タイプでわけると、レーダー式、ループコイル式、新型小型オービス、移動式オービスは一般的に路肩(左右どちらか)で光り、LHシステム、新Hシステムは車線上部か斜め上で光ります。
運転中にオービスのタイプをじっくり確認するのは難しいので、路肩か車線上部が光ると覚えておくといいでしょう。フラッシュは一瞬ですが、撮影の瞬間はかなり激しく点灯します。
■オービスの光りの色は?昼間でも気づくのか?
オービスのほとんどは赤色に光りますが、白色に光るタイプもあります。
このうち固定式オービスのほとんどは赤く強く光るタイプです。かなり強いフラッシュですし、人の目に見える可視光線のうち赤がもっとも人間の目に認知されるので、昼間でもほぼ気が付くでしょう。
一方、可搬式オービスの中には白く光るタイプのものがあります。白色は赤色に比べて認知しにくい色ですが、フラッシュはかなり強いので、昼間でも気がつく人は多いはずです。
■通知書は何日後に届くのか?届いたらどうすればいいのか?
通知書は早ければ数日程度、遅いときで1~2ヶ月かかることが多いようです。
通知書の発送タイミングに差がある主な理由は、オービスの撮影方式です。デジタル方式であれば、撮影されたデータは回線を通じて即座に警察に送られるので、通知書の発送タイミングが早くなります。
また、フィルムを使って撮影された場合、フィルムを回収してから写真を現像し、その後に通知書を発送するので届くまでに時間がかかります。
■通知書が届かない場合はあるのか?その確率は?
オービスが光ったとしても、通知書が届かないケースがあります。考えられる理由は、「撮影に失敗した」、「旧式オービスでフィルム切れだった」、「点検のために光らせているだけだった」などです。
速度超過してオービスが光っても通知書が届かないのは稀です。近年は撮影精度が高く、フィルム切れがないデジタルカメラを使ったオービスが増えているため、通知書が届かない確率は低くなったといえるでしょう。
オービスに対する心の準備
スピードの出し過ぎには注意
オービスは気づかない間に速度超過を検知して記録されるので、ドライバーにとっては脅威に感じるかもしれません。
それでもきちんと備えをしていれば、過度に恐れる必要はありません。ここからは、オービスに対する対策を見て行きましょう。
■まずは、予告看板を見逃さないようにしよう
オービスは悪質な速度違反を検挙することに加えて、事前に予告することで事故を未然に防ぐという役割もあります。ドライバーに周知する目的で、少し手前に予告看板が設置されているケースが少なくありません。
固定式オービスが設置されている場合は予告看板が立てられているので、これを見逃さないようにすることが大切です。
■オービス設置位置を察知する方法3選!
固定式オービスだと予告看板が設置されていますが、具体的にどこにあるのかは分かりません。移動式の装置だと予告看板が設置されていないケースもあります。
ここからは、オービスが設置されている場所を察知するための具体的な方法をご紹介します。
レーダー探知機を利用する
今でも速度の計測にレーダーを使用するタイプのオービスが使用されており、レーダー探知機で検知することができる場合があります。
カー用品店には車載用のレーダー探知機や、レーダー検知機能付きのドライブレコーダーなどが販売されています。
また、近年のレーダー探知機は、オービス設置位置のGPS情報がデータベースとして登録されており、レーダーを使用しないタイプのオービスであっても事前に察知することができます。
対応するナビのオービス位置案内を利用する
高速道路や幹線道路上には、道路標識などと一緒にオービスが設置されている場合があります。設置場所は固定されており、一部のカーナビや地図アプリには位置が登録されています。
そのため、オービスの設置案内の機能を備えたカーナビや地図アプリを活用する方法があるでしょう。
オービス位置共有アプリを利用する
オービスの位置や速度違反の取り締まり情報を共有するスマホアプリがあり、このようなアプリを活用する方法もあります。移動式のオービスだと予告看板が設置されておらず、カーナビにも登録されていません。
それでもユーザーが情報を登録して共有するアプリであれば、リアルタイムに速度違反の取締り情報が入手できます。
まとめ
安全運転を心がけよう
高速道路や幹線道路に設置されているオービスの多くは、かなり悪質な速度違反を取りしまる目的で使用されています。
常識的な速度で安全運転をする場合は怖がる必要はありませんが、予告標識を見逃さないようにすることが大切です。
速度を守り安全運転を心がけましょう。