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世界を驚愕させたトヨタ セルシオ! その歴史を振り返る!

世界を驚愕させたトヨタ セルシオ! その歴史を振り返る!

トヨタ セルシオ/レクサス LSは、レクサスブランドを世界レベルまで押し上げた張本人であり、欧米で確立されたブランド力を持つ高級車メーカーを震撼させたと言います。今回は、世界が驚いた日本の高級車、セルシオについて見ていきましょう。

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⏳この記事は約3~4分で読めます。


あの「レクサス」を有名ブランドに押し上げた車、セルシオ

トヨタ セルシオ(1989年型) カタログ

トヨタ セルシオ(1989年型) カタログ

今でこそレクサスといえば高級車ブランドの定番ですが、実はブランドの始まりは80年代終盤と、まだ30年ほどしか経っておらず、高級車の世界ではまだまだ若手ブランド。

そんなレクサスの評判を、世界レベルのブランドへ持ち上げた車こそ、今回ご紹介するトヨタ セルシオ/レクサス LSなのです。

安値で信頼性が高いことで海外でも人気を博していた日本車が、ついにセルシオのようなワールドクラスの高級車を作ったことから、競合各社は大パニックに。ライバル比で割安だったことはそのままに、独自の世界観と高級感の演出に成功していたからです。

たった1台の車でどうやってそんなことを成し遂げたのか。そしてその後、どのように進化していったのか。

詳しく見ていきましょう。

3代続いたフラッグシップ、セルシオの歴史をまとめました

アメリカではレクサスのブランド開業時のラインナップとして発売されたLSですが、日本国内ではトヨタブランドのフラッグシップとして、「セルシオ」というブランニューの車名で登場しました。

初代から3代目、それに現行のレクサス LSまで、魅力をご紹介していきます。

トヨタ セルシオ(初代):1989〜1994年

トヨタ セルシオ(1989年)

トヨタ セルシオ(1989年)

初代セルシオの凄さは、高級車ブランドという、新規参入など無理と思われていたマーケットをこじ開けることに成功し、高品質なイメージを顧客に与えることに成功した点に尽きます。

これは、開発時の綿密なマーケティングリサーチの賜物とされており、トヨタのリサーチ力の高さには驚かされます。

北米市場がメインではありましたが、高級車ユーザーが求めるものをしっかり把握し、具現化することに成功したからこそ、高い評価を得たのでしょう。

有名な、シャシダイナモ上で走行しているレクサス LSのエンジンにシャンパングラスを載せるCMでも分かるとおり、振動や騒音が伝わってこない、静かで落ち着いた室内空間という特徴は、現在のレクサスにも受け継がれる部分ですね。

レクサス LS400(1990年型 日本名セルシオ) インテリア

レクサス LS400(1990年型 日本名セルシオ) インテリア

日本では、セルシオ登場以前のトヨタブランドのハイエンドカーは、フォーマル用途で運転手付きが前提となるセンチュリーを除けば、クラウンが最高級となっていました。

しかし、世はバブルの好景気。クラウンと直接対抗していた日産 セドリック/グロリアをベースにした豪華モデル、日産 シーマが爆発的な人気を得ていたこともあり、当初導入予定のなかったレクサス LSが、日本向けにリファインされてトヨタ セルシオとして登場しました。

セルシオは国産車では珍しく、トヨタとセルシオのエンブレムが貼り付けられるのみで、グレード名などを示すエンブレムをボディに貼り付けないなど、それまでの日本の高級車像とは異なった国際派の趣で登場しました。

レクサス LS400(1990年型 日本名セルシオ)

レクサス LS400(1990年型 日本名セルシオ)

セルシオ以降のトヨタ車・レクサス車に大いに影響を与えた、滑らかな曲線と伸びやかな直線で成り立つ外装デザインもまた、既存の高級車との違いを感じさせる部分でした。

路面状況に応じて減衰力を瞬時に変更できるピエゾTEMSサスペンションの搭載や、自発光式メーターなどの先進的な装備が充実していたことや、V8エンジンの余裕ある動力性能もあり、日本の高級車ユーザーからも高評価を得て、瞬く間に大人気車種となりました。

トヨタ セルシオ(初代)のスペック

【トヨタ セルシオ C仕様 Fパッケージ装着車(1993年型)】スペック表
ボディサイズ(全長×全幅×全高)4,995mm×1,830mm×1,410mm
ホイールベース2,815mm
最大乗車定員5名
車両重量1,830kg
燃費10・15モード:7.2km/L
エンジン種類V型8気筒 3,968cc
エンジン最高出力191kW(260PS)/5,400rpm
エンジン最大トルク353N・m(36.0kg・m)/4,600rpm
駆動方式後輪駆動(FR)
トランスミッション4速AT
(1993年8月 トヨタ セルシオ カタログより)

トヨタ セルシオ(2代目):1994〜2000年

2代目セルシオは、初代からのキープコンセプトで登場しました。それはエクステリアで最も顕著となっており、特に前期型ではフロントグリルとヘッドランプが連続したデザインが踏襲されたこともあって、初代と2代目の見分けが難しいものでした。

しかし、ボディ全体としてみれば、やや肩に力が入ってよりフォーマル感が感じられるようになったほか、ホイールベースの延長による後席空間の拡大がされるなど、初代での細かな不満点を余すところなく改善した、熟成モデルともいえるでしょう。

フロントフェイスの代わり映えのしなさはユーザーからも不評だったとみえ、後期型になるとより現代的な異形ヘッドライトに変更。光源もより明るい上に白色に近いディスチャージランプへと改善されるなど、一気に近代化が進みました。

エンジンは型式が初代と共通ながらパワーアップし、また後期型ではオートマチックトランスミッションが5速に増段されるなどし、さらに余裕のある動力性能に磨きをかけました。

トヨタ セルシオ(2代目)のスペック

【トヨタ セルシオ C仕様 Fパッケージ装着車(1998年型)】スペック表
ボディサイズ(全長×全幅×全高)4,995mm×1,830mm×1,415mm
ホイールベース2,850mm
最大乗車定員5名
車両重量1,800kg
燃費10・15モード:8.2km/L
エンジン種類V型8気筒 3,968cc
エンジン最高出力206kW(280PS)/6,000rpm
エンジン最大トルク402.1N・m(41.0kg・m)/4,000rpm
駆動方式後輪駆動(FR)
トランスミッション5速AT
(1998年8月 トヨタ セルシオ カタログより)

トヨタ セルシオ(3代目):2000〜2006年

トヨタ セルシオ(2001年型)

トヨタ セルシオ(2001年型)

初代から続いた2代目での継続路線をやめ、一気にデザインが変更されたのが3代目。

曲面で構成されつつも90年代の車であることを感じさせる角張った印象もあった初代や2代目に替わり、滑らかなボディラインがエレガントでありつつ、高められた全高もあってより存在感を感じさせるエクステリアデザインになりました。

ハイテク装備が大幅に増えたのもこの3代目から。豪華仕様では足元照明付きのドアミラーが後退時に自動で傾きを変えたり、全ドアにイージークローザーが装備されるなど、現代の高級車らしい装備を率先して持ち合わせていました。

トヨタ セルシオ(2001年型)ダッシュボード

トヨタ セルシオ(2001年型)ダッシュボード

ユニークな装備では、エアコンのルーバーが自動で左右に振れる、「インテリジェント スイング レジスター」があります。自動で動くルーバー自体はもっと昔からあり、セルシオが初搭載車ではないのですが、コンピューター制御で実際の車内状況に対応できた点がポイントです。

乗員の状況や室温に応じて振り角を自動制御するこの機能、例えば冷房時は、エアコン作動当初は乗員に向けて効率的に体を冷やしてくれ、室温が落ち着いてきたらスイングを開始するなど、賢い作動となっていたようです。夏場にエアコンが苦手な方にはぴったりの機能かもしれません。

近年では現行型クラウンにもスイングする吹き出し口が装備されているのですが、なかなか高級車から大衆車には降りてきてくれない装備です。

トヨタ セルシオ(2000年型)

トヨタ セルシオ(2000年型)

また、エンジンやトランスミッションも大幅に変更。ついに排気量を拡大して新たに4.3リッターとしたV8エンジンは、排ガス規制に対応するエコさを持ち合わせながらも、280PSの高出力と、43.8kg・mの高トルクを獲得していました。

初代からスペック表を見比べていただくと分かるとおり、出力は向上しているのに、カタログ燃費も同様に向上しているのは、技術の進歩が見て取れる部分ですよね。

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トヨタ セルシオ(3代目)のスペック

【トヨタ セルシオ C仕様 Fパッケージ インテリアセレクション(2004年型)】スペック表
ボディサイズ(全長×全幅×全高)5,015mm×1,830mm×1,470mm
ホイールベース2,925mm
最大乗車定員5名
車両重量1,870kg
燃費10・15モード:8.9km/L
エンジン種類V型8気筒 4,292cc
エンジン最高出力206kW(280PS)/5,600rpm
エンジン最大トルク430N・m(43.8kg・m)/3,400rpm
駆動方式後輪駆動(FR)
トランスミッション6速AT
(2004年7月 トヨタ セルシオ カタログより)

【番外編】レクサス LS(セルシオ含めて5代目):2017年〜現在

《写真提供 トヨタ自動車》レクサス LS(アドバンスド ドライブ)

途中、日本でのレクサスブランド開業後に導入されたLS460を挟み、現在では5代目となるレクサス LSが販売されています。

まず驚くべきは見た目の変化かもしれませんね。高級感はありつつも抑えめ、控えめのデザインだったLSは、4代目後期から5代目にかけて、かなりアグレッシブでスポーティなデザインへと変貌しています。

全長が先代のロングボディモデル以上に長くなったこともあり、国内での取り回しにはやや難もありそうな国際派ボディになりました。

開発時には、ジェームズ・ボンドが運転してもサマになるセダンというイメージもあったそうで、そう言われてみれば、高級感とスポーティさの組み合わせは彼にぴったりかもしれません。

ただ、派手にするだけでなく、緻密なデザインと構造のフロントグリルなど細部へのこだわりも随所に見て取れる点は、やはりレクサスらしい本質を維持できているといえるでしょう。

《写真撮影 雪岡直樹》レクサス LS500h エグゼクティブ(銀影ラスター)

インテリアも一気に世界観が変貌しました。4代目では、3代目までとの連続性も感じる横方向のダッシュボードと縦方向のセンターコンソールが融合したシンプルな形状でしたが、現行型では水平方向の広がり感を重視したデザインに。

用いられる素材などの高級感はセルシオ時代から持ち合わせていましたが、デザインでも勝負に出た点は、5代目LSの最も大きな特徴の一つです。

5代目LSはトヨタの先進技術のショールームともなっていて、2021年4月には高度運転支援技術「アドバンスド ドライブ」を搭載しました。

アドバンスド ドライブを装備したLSは、特に高速道路において、ドライバー監視のもと、実際の交通状況に応じて車載システムが適切に認知、判断、操作を支援し、車線・車間維持、分岐、車線変更、追い越しなどを行いながら、目的地に向かって分岐までの運転を支援します。

なんと、先行車の追い越しの提案までクルマが自動的にやってくれる先進っぷりで、高速道路では状況の監視以外はトライバーのやる事が無くなってしまいますね。

《写真提供 トヨタ自動車》レクサス LS アドバンスト ドライブ 追い越し提案

パワートレインでは、ガソリンエンジンは初代・2代目よりも排気量が小さい3.5リッター V型6気筒ツインターボエンジンへダウンサイズされたほか、4代目で新たに設定されたV8エンジンのハイブリッドシステムも、5代目ではV6エンジン ハイブリッドに縮小。

年々厳しくなる環境規制に対応しつつ、パワフルさも忘れない、ブランドのフラッグシップらしい余裕のあるパワートレインとなっています。

ただし、その進化には代償もあり、お値段は驚きの1,700万円超。ここまでご紹介してきた歴代セルシオも、それぞれの最高価格級グレードをご紹介しているのですが、3代目では2倍超、初代からは3倍に迫ろうかという価格の高騰っぷりです。

選ばれたオーナーしか体験できない、究極のハイエンドカーへと変貌しています。

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レクサス LS(5代目)のスペック

【レクサス LS500h エグゼクティブ AWD】スペック表
ボディサイズ(全長×全幅×全高)5,235mm×1,900mm×1,460mm
ホイールベース3,125mm
最大乗車定員5名
車両重量2,390kg
燃費WLTCモード:12.6km/L
エンジン種類V型6気筒 3,456cc
エンジン最高出力220kW(299PS)/6,600rpm
エンジン最大トルク356N・m(36.3kgf・m)/5,100rpm
モーター種類交流同期電動機
モーター最高出力132kW(180PS)
モーター最大トルク300N・m(30.6kgf・m)
駆動方式四輪駆動(AWD)
トランスミッション電気式無段変速機(マルチステージ)
(2020年9月現在 レクサス公式サイトより)

トヨタ セルシオといえばVIP仕様のカスタマイズ!

トヨタ セルシオ ヴァルド・インターナショナルパーツ装着車(東京オートサロン2005 出展車両)

トヨタ セルシオ ヴァルド・インターナショナルパーツ装着車(東京オートサロン2005 出展車両)

セルシオといえば、その快適性で要人の移動車両に使われることもしばしばある車でしたが、一般人でもそのステータス性の高さは魅力的ですよね。特に、トヨタのフラッグシップという位置付けもあり、「VIP」と呼ばれるカスタムシーンでは定番の人気車両となっていました。

車高をベタベタに下げ、大径のホイールをフェンダーギリギリに装着するなどが定番となるVIPカスタムでは、3世代ともにセルシオは大人気に。

新しい世代が登場しても、旧世代車に新世代車の部品を流用してフレッシュな見た目のセルシオを実現してしまう場合もあり、それぞれのセルシオに誇りと自信を持っているカスタムビルダーが多く見られるのも、セルシオの特徴かもしれません。

レクサス LS400(右、1990年型 日本名セルシオ)、レクサス LS500(左)

レクサス LS400(右、1990年型 日本名セルシオ)、レクサス LS500(左)

まとめ

トヨタ セルシオと、後継のレクサス LSについて詳しくご紹介してきました。やはりそのメーカーのフラッグシップともなると、開発にかけられた気合の違いが車からも伝わってくるような、気迫を感じる仕上がりですね。

今現在、国内にもレクサスが導入されたことで、トヨタ車のトップラインはクラウンに逆戻りしていますが、セルシオのもつ威厳や高品質は、いつまでも語り継がれることでしょう。

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トヨタセルシオに関するFAQ

初代セルシオは、何がそんなに凄かったの?

初代セルシオは、その「滑らかさ」がメルセデス・ベンツをはじめとする世界の高級車に衝撃を与えました。騒音や振動を徹底的に抑え込んだ滑らかな乗り心地は、まさに初代セルシオだけのもので、他の追従を許しませんでした。そんなLSが、北米市場では他の高級車よりもリーズナブルな価格で発売されたのですから、他の高級車メーカーは慌てて初代セルシオを購入して、テストしたり、全部バラしたりしてその秘密を探ろうとしました。

セルシオの中古車って、どんな感じ?

セルシオは、もっとも新しくても2006年モデルとなり、すでに16年が経過している事から、中古車価格はだいぶこなれていて、2022年3月現在での平均価格は87万円となっています。値段が高い個体は、ワンオーナー車だったり、走行距離が極端に少なかったりという個体がほとんどです。また、VIPカー仕様にカスタマイズマイズされた個体も沢山あるので、その方面からも探してみると面白いかもしれません。

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