松本走りとは?
車線変更
本来、道路交通法では交差点内において直進車・左折車が優先とされていますが、それを無視した運転のことを松本走りと言います。
その運転は右折であるにも関わらず、本来優先であるはずの対向車線の直進車や左折車が、交差点に入って来ているにも関わらず、無理矢理に右折をするなど危険極まりない行為になります。一歩間違えれば、大事故につながるのは火を見るよりも明らかです。
なぜ松本走りと呼ばれるのか?
スピード違反
「松本走り」=別名「松本ルール」は、長野県松本市で10年以上前から指摘されている危険な運転ことを指します。松本市ならではの交通事情もあり、このような行為が横行するようになったと言われています。
実際に松本市ではこの運転による事故が多発しており、平成26年〜29年の4年間に松本市で発生した右折時の事故件数統計を見ても300件以上にものぼります。多少の増減はありますが減少傾向には至っていません。
■なぜ松本走りが定着してしまったのか?
なぜここまで定着してしまったのか?その理由として挙げられているのは、松本市が城下町であるため道幅が狭かったり込み入った道路事情によるものだと考えられています。
渋滞になった際、迂回路を探し走行することになり、そこから抜け出すために危険な右折が横行することにつながっています。このように、松本市特有の道路事情によって定着する要因になったと言われています。
■松本走りの具体例
具体的な例としては、無理な「右折」となります。対向車線の直進車が来ていても関係なく右折する、左折車が来ていてもちょっとした隙をみて右折する、信号が赤になっても前の車に続き右折する、信号が青になっていないのに発進し右折する、といった危険なものとなっています。
また、横道から他の道へ右折しながら合流をする際も、一般的には合流する側の車線に車が来ないときにサッと入ります。しかし、松本走りの場合は左の車線があいた際に進み、右が空いたら合流するため右があくまで左の車線をせき止めてしまいます。
その他にも右折する際に方向指示器を出さない、後方確認をしない、などの運転マナーの悪さがあげられています。
全国にある危険なご当地ルール
松本市のいわゆる「松本走り」と同様に、全国各地で「ご当地ルール」と称して、地域の特性などによって各地域による独特の交通事情やマナーも存在します。
ちなみに運転マナーと言ってはいますが、ほとんどが道路交通法に反するもので、「ルール」や「マナー」と呼ぶような良いイメージのものではありません。
松本市のほかに「伊予の早曲がり」、「岡山ノーウィンカー」、「茨城ダッシュ」、「名古屋走り」などが挙げられます。そのほとんどが、当たり前のように現地では認識され行われているのが現状となっています。
実際に、これらの走行が原因で交通事故も多発しメディアなどでも報じられており、警察や自治体などでも対策を講じていますが、根本的な解決には至っていません。
■名古屋走り
愛知県の名古屋市やその近辺で見られます。その特徴として挙げられるのは以下の通りです。
〇フェイント
交差点の前において、渋滞から抜けるために右折の車線に入りますが、交差点の直前で直進の車線に戻ったり、信号が赤になった途端に右折の車線で待っている車を追い越したりして、交差点に入り込み直進する。
〇車線
車線をまたぎ走行し、左端の車線を追い越し車線にする。路上駐車をしている車がいるため、車線をまたぎ走行スペースを確保します。さらに左端の車線でなくても、またぎ走行をしている車も多くみられます。
〇信号や速度
赤信号であっても、切り替わった直後であれば交差点に入ってくる、交差点に入ってはいなくても停止線で止まり切れず、横断歩道にはみ出して停止します。また、スピード超過もその特徴とされています。
〇追い越しや割り込み
右折車線の先頭車を直進車線から入りこみ追い越しをかける、1台分の車間距離でも割り込みをします。割り込みをさせないために、車間距離をほとんど取らないドライバーが多くいます。
■茨城ダッシュ
こちらも茨城県の水戸市を中心に、横行している危険な走行となります。交差点より手前で停止している際に、信号が青に変わると同時にとんでもないスピードで交差点に入り込み、対向車線の直進車よりも先に右折する行為となっています。
少しでも出だしが遅かったり、対向車線の直進車が速い場合は、衝突事故を避けられないとても危険な走行となります。
■伊予の早曲がり
上記と同様の走行となりますが、交差点での危険な右折のことを指します。違いは、その地名によるものだけで主に愛媛県で多く見られる違反行為となります。交差点での無謀な右折は、大きな事故を引き起こす原因となります。
事故とならないまでも違反行為としては当然、対向車線の直進車が優先となっている道路交通法では、「道路交通法第37条」で違反と定められているため罰則が課せられます。
■岡山ノーウィンカー
こちらは、岡山県でのローカルルールと言われている行為となります。方向指示器(ウィンカー)を出さないで左右折する、直前になって出す、出すが1度だけ、など方向指示器に関する違反行為となっています。
その理由としては、にわかには信じられないのですが方向指示器を出すのが恥ずかしい、という何ともよくわからない理由ですが、それが当たり前となっているというのが地域性なのでしょうか。
他の地域では見ることがないのですが、岡山県内では交差点の手前に、「★合図」と方向指示器を促すマークが使用されています。このような対策が取られているのも、その地域ならではのあまりよろしくない特色といえるでしょう。
また、方向指示器だけでなくスピード違反も多発しており、マナーの悪さが習慣化されているのも特徴的な点だといえます。
交通ルールは自分だけの為ではない!
交通ルール無視は事故の原因
交通事故を起こしてしまうと、運転手だけでなく、その相手の家族や自分の家族までも不幸にしてしまいます。交通事故をおこさないためにも、やるべきことは交通ルールやマナーを厳守することがとても大切となります。
基本的な交通ルールは日本全国で統一されているにも関わらず、ご当地ルールと呼ばれる危険な走行が当たり前のように行われることで、車だけでなく自転車や歩行者までも巻き込まれてしまう重大な事故が現実で起こっています。
交通事情や地域の特性によって、横行する違反行為を恥ずかしい行為として認識することや、基本的な交通ルールを一人一人が守ることで、あってはいけない重大事故を防ぐことにつながります。
それぞれの地域や自治体・警察なども様々な対策を講じていますが、事故が減っていないことが現状となっています。根本的な解決策と、ドライバーの思いやりや優しさからくる走行が求められます。
この地域はこういう走行が当たり前だから、と当然のように違反行為をするのではなく、大切な方を守るためにも、法律で定められたルールをきちんと守るべきではないでしょうか。
まとめ
検問
ご当地ルールという呼称で認知されている違反行為も、その地域や交通事情によりそのようなことが当然に行われている状態は改善されるべきだと言えます。ここではこれが当たり前という考えを改め、恥ずかしいことであるという認識を持って改善されることが望まれます。
重大な事故をこれ以上増やさないためにも、自治体や地域・警察などの根本的な解決策と、個人の心がけが最大の安全策と言えるでしょう。