軽油とは?
軽油って何?
まずは軽油とは何かをご紹介します。軽油とガソリンの違い、なぜ安いかなどを解説しますので、普段軽油を使っていない方も理解しておくと良いでしょう。
■軽油ってそもそも何?
軽油は、ガソリンや灯油と同じで原油を蒸留して抽出される石油精製品です。常圧蒸留装置を使い、沸騰する温度ごとに燃料を分けています。日本に輸入される原油は、中東の原油が多く硫黄分が多く含まれています。そのため、水素化脱硫装置を使い、不純物を取り除いています。
軽油の使い道は主に、ディーゼルエンジンの燃料です。ディーゼルエンジンは車だけでなく船舶などの広い分野で使われています。
■軽油とガソリンの違いは?
軽油もガソリンも、原油を蒸留して作られるものですが、その違いは沸点温度です。軽油の沸点温度は240℃~350℃、ガソリンは35℃~180℃となっています。このように、同じ燃料でも沸点温度に大きな差があるのです。
低温でも沸騰するガソリンは、非常に引火性が高く、プラグがスパークすることによってエンジンを起動させます。反対に軽油は、着火点が低く、圧縮による自然発火によってエンジンを動かしています。
■軽油はなぜ安い?
ガソリンスタンドを利用すると、レギュラーガソリンよりも軽油の方が安くなっている場合が多くあります。ガソリンよりも軽油が安い理由は、税金の影響です。ガソリンにはご存知の通り、ガソリン税というものがかかっています。
ガソリン税は、揮発油税(1Lあたり48円60銭)と地方揮発油税(5円20銭)を合わせたものです。一方の軽油には、軽油取引税の32円10銭が加算されています。このため現状では、ガソリンと軽油には税金で21円70銭の税金差が生じているのです。
税金を引いた場合の価格を比較すると、下記のようになります。
レギュラーガソリンの店頭価格が145円とすると、145-(48.6+5.2)=91.2円
軽油の価格が125円だとすると、125-32.1=92.9円
単純な本体価格では、軽油の方がガソリンよりも高くなっています。
軽自動車は軽油で走れるの?
軽自動車には使える?
ここまでガソリンと軽油の違いを紹介してきました。これまでに1度は「軽自動車も軽油で走るのではないか」と考えたことはありませんか?
そこで、ここでは軽自動車は軽油で走るかについてご紹介します。
■軽自動車はガソリンで走る
結論から言うと、軽自動車は軽油では走りません。
軽自動車も、一般的な乗用車と同じくレギュラーガソリンで走るものが多いです。そのため、「安いから」「軽自動車だから軽油」という理由で軽自動車に軽油を入れてしまうと、思わぬトラブルを引き起こす可能性があります。
軽自動車はガソリンで走るということを、しっかり覚えておきましょう。
■軽油をガソリン車に入れてしまうとどうなる?
軽油とガソリンはそれぞれ異なる性質を持っています。そして、エンジンもそれぞれの特性に合わせて作られているのです。したがって、燃料の入れ間違いは、トラブルの原因になります。
ガソリン車に軽油を給油してしまうと、元々残っていたガソリンと軽油が混ざり合い、エンジン出力が低下、さらにはアイドリングの不調を引き起こします。また、給油ぎりぎりで軽油を入れると、軽油を燃焼させられないので、黒い排気ガスが発生する場合もあります。
最初にガソリンタンクに残っているレギュラーガソリンが消費され、レギュラーガソリンがなくなり軽油が供給されると、点火プラグにすすがつくため、不完全燃焼を起こして、着火性能が落ちます。そのまま不完全燃焼の状態が続くと、燃焼が出来なくなってしまうため、エンジンは完全に停止してしまうのです。
このため、ガソリン車に軽油を誤って入れてしまった場合は、速やかな対処が求められます。
■ガソリン車に軽油を入れてしまったときの対処法
ガソリン車に軽油を誤って入れてしまった場合は、タンクから軽油を抜く作業が必要になります。そのため、自分自身では対処しきれないので整備工場やJAFなどの業者に依頼することになります。
また、軽油を入れて走行した場合は、異変に気付いた場合にはすぐに停車して、エンジンを止めて下さい。その後、JAFなどに連絡してレッカー移動を頼みます。レッカー移動された車は、整備工場に運ばれ修理を行います。ガソリンタンクの軽油を抜き、洗浄します。その後、ガソリンを給油しエンジンがかかれば問題ありません。
ただし、経由を抜いてから洗浄後、ガソリンを注入してもエンジンがかからない場合、部品交換なども必要になります。場合によっては、エンジンを分解し、パーツごと洗浄、部品交換をして組み直すなどの工程が必要にある場合もあります。
こういった大規模な修理になると、費用は数十万円に及ぶこともあります。軽自動車の修理代としては高額なため、諦めて廃車にするケースも少なくありません。1回軽油を入れてしまうだけで、取り返しのつかない事態に繋がってしまいます。特に、セルフスタンドなどを利用する際は、細心の注意を払いましょう。
軽油で走る車
軽油で走る車はどんな車?
先ほど解説したように、軽自動車は軽油では走りません。では、軽油で走る車はどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、軽油で走る車の特徴と、具体例をご紹介していきます。
■軽油で走るのはディーゼル車
前提として軽油で走るのは、ディーゼル車です。ディーゼルという言葉は、ディーゼルエンジンを発明したルドルフ・クリスチャン・カール・ディーゼル氏の名前からとったものです。
ガソリン車とはエンジンの仕組みが異なり、ディーゼル車にガソリンを使用することはできません。やはりガソリン車にはガソリンを、ディーゼル車には軽油を入れる必要があるということです。
ディーゼル車の特徴
ディーゼル車の特徴としては、ガソリンよりも燃料代が安価なことがあげられます。またガソリンエンジンよりも低回転域でパワフルな点もポイント。そのため、大型車などのパワーが必要な機械などに幅広く使われています。また、燃費もよく長距離を走り続ける際には、ガソリン車と比較しても優れた燃費を発揮します。
ただし日本の道路では、止まったり進んだりを繰り返すため、基本的に燃費は悪くなってしまうのです。そのため、面積の狭い日本には向いていないと考えられ、一般的な乗用車向きのディーゼルエンジンの開発は、あまり進んでいないのが現状です。
■ディーゼル車の種類
ディーゼルエンジンは、大きな自動車でも動かすことができるので、一般的に大型車両で使われることが多いです。
また最近では通常のディーゼル車に比べて排出されるガスが綺麗な、クリーンディーゼルが登場しています。ディーゼル車のメリットである燃費の良さはそのままに、音のうるささや環境への悪影響をテクノロジーの進化によって解決しました。
こうした動きもあり、大型車だけでなく乗用車にもディーゼルエンジンが広がっています。
身近にあるディーゼル車としては、以下のものが挙げられます。
乗用車
クリーンディーゼルを搭載した乗用車は、国内外の有名メーカーから販売されています。
ガソリンに比べて低価格な軽油を使用するため、走行コストを抑えられるのが特徴です。また、耐久性が高いため長持ちするなどのメリットもあります。
こういった理由から、乗用車においてもディーゼル車人気は高くなってきているのです。
代表的なクリーンディーゼル車としては、国産車ではマツダ車が多くの車種にクリーンディーゼルエンジンを設定しているほか、トヨタのランドクルーザープラドなどが挙げられます。
輸入車ではメルセデス・ベンツやBMW、フォルクスワーゲンなどの名門メーカーからも高性能なクリーンディーゼル車が登場しています。
クリーンディーゼルの登場によって乗用車にもディーゼルエンジンを搭載する車種が増えており、今後の動きに注目が集まっています。
トラック
ディーゼルエンジンで動く自動車のなかでも、トラックはその恩恵をたくさん受けている車種といえるでしょう。なぜディーゼルエンジンがトラックに向いているかというと、耐久性が高く、構造が簡単だからです。しかもトルクがあるので、重いものを運ぶトラックにも最適といえます。
また一般道路以外にも、工事現場など様々なところで使われるため、耐久力が高いというのもポイント。排気ブレーキなどを装備することでブレーキ性能も優れており、荷物を積んでいてもしっかりとブレーキが効くというのも、トラックにディーゼルエンジンが使われている理由です。
このような理由があるため、業務用のトラックの大半はディーゼルエンジンを使用しています。
バス
大型バスもディーゼルエンジンを積んでいる場合が多いです。バスは利用客を目的地へ安全に運ぶ役割を担っています。大勢の人を乗せて走るため、車体が大きくなっているのです。そのため、小型のバスなどにはガソリン車がありますが、大型になればなるほど、ディーゼルエンジンを搭載している確率が高くなります。
最近では、環境を考慮したハイブリッド燃料などを使ったバスが開発されていますが、まだまだディーゼル式のバスがたくさん走っています。
まとめ
軽油の入れ間違いに注意しよう
ガソリンスタンドで必ず目にする軽油ですが、ディーゼルエンジンを搭載した乗用車以外は利用できないことがお分かりいただけたと思います。またガソリンエンジンの軽自動車には軽油は絶対に入れてはならず、ほとんどの場合はレギュラーガソリンを入れることになります。
くれぐれも、軽自動車だからといって、軽油をガソリン車に入れないようにしましょう。今回ご紹介した通り、軽油をガソリン車に入れてしまうと故障の原因になり、最悪の場合、廃車につながることもあります。
軽油は、トラックやバスなど私たちの生活になくてはならない車両に使われる燃料です。正しい知識を頭に入れておき、間違った使い方をしないように気をつけましょう。