スーパーチャージャーの仕組み
reproducibleTRD、エスティマ 向けにスーパーチャージャーチューニング
スーパーチャージャーとは過給機のことで、過給機を別の言葉に言い換えると「コンプレッサー」となります。エンジンの出力で過給機を動かすことで、圧縮した空気をシリンダー内に送り込めます。
自然吸気のエンジンは排気量に応じたエンジン出力になりますが、スーパーチャージャーを使って圧縮した空気をシリンダー内に送り込む仕組みを作ることで、低排気量であっても高い出力を発揮できるようになるでしょう。
軽自動車などのコンパクトな車に過給機を付けてエンジンの出力を大きくすることで、勾配のきつい登り坂も上りやすくなります。またスーパーチャージャーを取り付けることによって、排気量が持っている力以上の出力を得ることができるので、自動車がパワーを持つようになります。
■ターボチャージャーとは?
過給機には2種類あり、スーパーチャージャーとターボチャージャーがあります。ターボチャージャーとは、過給機の種類のひとつです。エンジンの排気力でタービンを稼働させ、タービンの力によってコンプレッサーを駆動させる仕組みです。
近年、ターボチャージャーの搭載車は増えてきており、現在日本で販売されている過給機搭載車はほとんどがターボチャージャーを採用しています。1979年に日産セドリック/グロリアにターボチャージャーが搭載されてから、数多くのターボチャージャー搭載車が生まれてきました。エンジンの排気によってタービンを動かして出力を得るターボチャージャーは、今後も多くの自動車に搭載され続けていくでしょう。
■スーパーチャージャーとターボチャージャーの違い
スーパーチャージャーとターボチャージャーは、作動方法が異なります。
エンジンの出力で過給機を動かすスーパーチャージャーとは異なり、ターボチャージャーはエンジンの排気で過給機を動かします。エンジンを動かすための力で過給機を動かすのではなく、エンジンを動かすことで発生した排気を利用して過給機を働かすのが、ターボチャージャーの仕組みです。
過給機にはターボチャージャーとスーパーチャージャーの2種類がありますが、エンジンの排気で動かすのがターボチャージャーです。
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スーパーチャージャーのメリット
【東京オートサロン05】マジェスタ スーパーチャージャー
現在は搭載されている車が減っていますが、スーパーチャージャーにはいくつかのメリットがあります。ここでは、スーパーチャージャーの代表的なメリットを3つご紹介します。
■1. 低回転時でも過給が可能
エンジンが低回転の状況であっても、スーパーチャージャーの場合は過給が可能です。なぜならスーパーチャージャーはエンジンの回転力を利用するので、低回転の場合でも過給ができるからです。
自動車が低速度であっても、きちんとスーパーチャージャーによる過給が行われるでしょう。一方ターボチャージャーはエンジンの排気を利用することで過給するので、低回転時ではタービンが作動せず、過給が始まらない場合があります。エンジンが低回転の場合でも、スーパーチャージャーは必ず作動するというメリットがあります。
■2. アクセルレスポンスが良い
エンジンの回転数で直接コンプレッサーを駆動させるため、スーパーチャージャーはアクセルレスポンスが良いです。エンジンを動かすと同時にコンプレッサーが回転するので、素早く過給が行われます。
ターボチャージャーの場合は排気を利用して過給するので、過給が発生するまでにラグが発生します。ターボチャージャーはターボラグが発生するためアクセルを踏んですぐには過給が発生しませんが、スーパーチャージャーの場合はアクセルを踏んですぐに過給が始まるでしょう。
スーパーチャージャーのデメリット
エッチ・ケー・エスは、駆動力に電動モーターを採用したスーパーチャージャ
ここでは、スーパーチャージャーによって発生するデメリット3つについてご紹介します。
■1. 重量が増える
スーパーチャージャーは、重量が増える原因となってしまいます。ターボチャージャーと比較して過給機のサイズが大きいため、重量のアップに繋がってしまいます。サイズの大きい過給機を搭載するには、過給機を搭載する部分も大きくしなければなりません。
そのため自動車の車両のサイズが大きくなってしまい、重量が増えてしまう結果に繋がります。重量が増えてしまうと重い車両を動かすためのパワーも必要になります。スーパーチャージャーは過給機のサイズが大きいので車両自体が大きくなり、重量が増えてしまう原因になります。
■2. ターボチャージャーに比べてパワーが劣る
スーパーチャージャーは、ターボチャージャーに比べてパワーが劣るといえます。エンジンの回転数で過給機を動かすスーパーチャージャーは、エンジンが高回転になった場合、過給機への負荷が高くなります。過給機への負荷がかかった状態では、パワーが発揮できません。
一方でターボチャージャーは、エンジンの排気により過給機を作動させるので、エンジンが高回転時でもパワーを発揮してくれます。過給機の動かし方によって、生まれるパワーに差が発生するのです。
■3. 最大出力に限界がある
スーパーチャージャーの場合、エンジンの最大出力に限界があります。理由としては、スーパーチャージャーはある程度の出力を超えると、コンプレッサーの効率が落ちてしまうからです。エンジンの回転数を上げても一定のところで出力損失が大きくなるので、内蔵したクラッチによってスーパーチャージャーをエンジンから切り離す場合もあります。
ターボチャージャーの場合は、エンジンの回転数を上げて速度を上げると排気量が上がり、それに伴って過給機も動きます。セッティング次第でより高回転域で爆発的なパワーを得られるターボチャージャーに比較すると、スーパーチャージャーではピークパワーが出しにくいといえるでしょう。
スーパーチャージャーは後付けできる?
メルセデスAMG車に採用されるギャレット・モーションの「Eターボ」
高い出力を得るためなど、スーパーチャージャーは後付けすることが可能です。スーパーチャージャーはターボチャージャーと異なり取り付けが簡単なので、車にパワーを持たせたい時にスーパーチャージャーを後付けすることが多いです。
■後付けの費用
スーパーチャージャーを後付けする際はスーパーチャージャー取り付け用の装置を購入する必要があり、50万〜100万円ほどかかると考えておくと良いでしょう。
取り付けるだけで過給機として作動しますが、取り付けは専門的な知識を持っていないと難しいでしょう。専門の業者や、自動車整備工場で取り付けてもらう必要があります。
■後付けして発生する影響
車自体のベースは変わらないため、スーパーチャージャーを後付けした場合に車自体に悪影響を及ぼす場合があります。スーパーチャージャーを取り付けることを想定してエンジンや車両を設計していないので、スーパーチャージャーの後付けが要因で不具合が出る可能性があるといえます。
特にスーパーチャージャーの後付けにより過給時の出力が向上することでエンジンが耐えきれなくなり、不具合が出ることが考えられます。スーパーチャージャーを後付けする場合は、不具合が発生することを想定して自己責任で行いましょう。
スーパーチャージャーの搭載車は少ない
今夏公開の映画、『ターボ』とコラボして製作されたターボカマロ
過去発売されていた国産車には、スーパーチャージャーが搭載されている車がいくつかありました。しかし現在、スーパーチャージャーの搭載車は非常に少なくなっています。国産車では、MAZDA3にのみ搭載されています。
スーパーチャージャー搭載車が少なくなった理由は、ターボチャージャーが技術革新によって低回転からでも作動するようになって来たためです。そのため低回転から作動するというスーパーチャージャーのメリットが薄れてしまったと言えます。
まとめ
《写真提供:response》【スバル R1 マイナーチェンジ】スーパーチャージャー
今回の記事では、スーパーチャージャーの概要とメリット・デメリットについてご紹介しました。現在スーパーチャージャーの搭載車種は減っていますが、アクセルレスポンスが良いなどのメリットもあります。
今後、スーパーチャージャーの良さを生かした自動車が発売される可能性もありますので、チェックしみてください。
スーパーチャージャーに関するFAQ
■スーパーチャージャーって、なに?
スーパーチャージャーは過給器の一つで、エンジンのパワーを使って過給器を回転させます。スーパーチャージャーのメリットは、低回転からでも過給ができるという点にあります。
■ターボチャージャーとなにが違うの?
ターボチャージャーは、クルマの排気ガスを使ってタービンを回すことで過給します。この点が、エンジンのパワーを使って直接過給器を回転させるスーパーチャージャーと違います。