憧れの高級感!アメ車とは?
キャデラック エスカレード
アメ車とは、アメリカの自動車メーカーが製造した車のことを指します。ボディサイズやエンジンの排気量が大きく、頑丈に作られているため燃費が悪く小回りが利きませんが、多少乱暴に扱っても壊れないタフな作りとなっていることが特徴と言えます。
そのためアメリカ国内に広範囲に網羅されているハイウェイでの快適なクルージング力と、未舗装路もまだまだ残る田舎道における悪路走破性を両立させることが可能となっています。
ゆとりを感じさせる大らかなデザインが主流だったアメ車ですが、メーカーによって異なるものの、近年では大胆でシャープなデザインが特徴的。
また、スポーツタイプのアメ車では、量感溢れる厳ついスタイルと溢れるトルク感のエンジンの組み合わせで「マッスルカー」の異名を持つものも。
いずれにせよアメリカンテイストを連想させるデザインや、ゆとりのある室内空間などが、アメ車の大きな魅力です。
■アメ車が燃費悪い・故障続き・扱いにくいは昔の話!
テスラ モデルS
アメ車といえば大排気量エンジンだから燃費極悪で、すぐに故障しちゃって、高速道路はいいけど街中では扱いにくくて大変!なんてイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、近年ではアメ車の進化が著しいことは注目しておく必要があるでしょう。
概して高品質と評される日本車や欧州車などに対抗するべく、アメ車もクオリティアップに余念がありません。近年アメ車メーカーでは自動運転技術などの開発が広く進められているなど、先進装備が多く揃えられている印象も強く、自動車の組み立て精度や室内の質感などでも向上が認められるでしょう。
また、日本仕様車専用にナビシステムを開発するなど、自動車に対する評価基準の高い日本人向けの改良も数多く見られ、日本国内でもアメ車がどんどん活躍できる実力が、現代のアメ車には揃っていそうです。
アメ車ならではの魅力ってどこ?欧州車や日本車と比べてみた
キャデラック CTS-V
日本で「輸入車」と言えば欧州車を指すことが多いですが、アメ車には欧州車にはない魅力が多くあります。それは他に類を見ないデザインで、一目で「外車」と分かる個性こそがアメ車の最大の特徴と言えるでしょう。
他の車とは一線を画したラグジュアリー感もアメ車ならではのもので、広々とした室内はアメ車でしか味わうことができません。ドライビング時の力強さと心地よさが相まって、アメ車だけの特別な高級感を感じることができます。
スポーティな走行性能がフィーチャーされがちな欧州車とは違い、アメ車はゆったりと落ち着いたハイウェイクルーズや外乱を室内に伝えない優れた乗り心地こそが持ち味。アメリカと比べると国土の狭い日本であっても、その魅力はしっかり実感できることでしょう。
また、アメ車と日本車とを比べると、最近では意外と似てきているような印象もあります。特に高級車ブランドにおいては、独自のスタイルをそれぞれが確立しているものの、エッジの利いたデザインやスポーティさの訴求などに近さを感じさせます。
日本車はハイブリッド技術など低燃費技術に一日の長があるイメージも強いですが、アメ車もダウンサイジングターボを積極的に採用するなど追随。さらに、内燃機関だけでなく電気自動車に関して世界トップクラスの実力を持つテスラを擁するなど、環境技術でもアメ車は侮れません。
現行車もいいけど、古いアメ車も味がある
現行アメ車の高性能さも注目しておきたいところですが、アメ車そのものの個性が薄れてきており、段々と欧州車や日本車と差がなくなってきている感じも受けるかもしれません。
これは、戦後の華やかなりし頃のアメ車や、近代で「ワークホース」として活躍してきた商用アメ車など、個性が濃ゆいモデルの印象が強いせいもあるかもしれませんね。軽くご紹介していきます。
■輝きが今も薄れない、アメ車の旧車
フォード F-1 ホットロッド(マルトコ板金自動車ショウ2012 出展車両)
輝きが薄れることは「アメ車」に関してはあまりなく、人気の車種で旧車であればあるほど、かえって高値で取引されています。
勿論それは旧車と呼ばれる車が稀少車であり、これはなにもアメリカに限ったことではなく日本ではアメリカ以上に「アメ車」の価値は高まります。品数の少なさから当然のことなのかも知れません。
「アメ車」の魅力は時代を超えて今も色褪せることなく、「アメ車」好きの人々に脈々と受け継がれていきます。
メッキがふんだんに用いられテールフィンが高々と掲げられたド派手なクラシックカーや、ホットロッドなどのチューニング文化も人気があるなど、旧車とひとくくりにするには難しいほどに幅広いジャンルがあるのも、アメ車の旧車の醍醐味でしょう。
■日本でも大人気だった、80〜90年代のアメ車
シボレー アストロ
円高という後押しもありながらも、アメ車ならではの魅力が日本でも広く受け入れられ、日本でアメ車ブームを生むまでに至った1980〜1990年代。
特にブームの立役者といえそうなのがシボレー アストロで、カスタムのしやすさなどもあってか大人気車種となっていました。
もう少し時代を遡れば、アウトドア志向の高まりに対応した1980年代後半のRVブームでは、ジープ チェロキーが大ヒットしたことも注目しておきたいところ。
これらの1980〜1990年代のアメ車は、まだクラシックと呼ばれるほどは古くないものの、その分エアコンやパワステなど普段使いしやすい現代的な装備がしっかり備わるのがポイントです。もしかすると現行車よりもアメ車としての味が濃い!と感じられるかもしれませんね。
今回のラインナップ
本記事でのアメ車メーカーラインナップ
日本でも新車で買えるアメ車メーカー | アメリカのアメ車メーカー |
キャデラック | フォード/リンカーン |
シボレー | クライスラー/ダッジ/ラム |
ジープ | ビュイック |
テスラ | GMC |
アメ車最新事情まとめ!日本でも新車で買えるアメ車たち
シボレー・カマロ の2020年モデル
現在のアメ車はグローバル化によりアメリカ国内だけではなく世界で売れるように多様化しています。特に2000年代に入ってからその傾向は顕著で、大手自動車メーカーもコンパクトかつ内装を重視しており、女性をターゲットとした車種も登場するようになりました。
デザイン的にはスケールの大きなアメリカを感じさせてくれますが、実際に運転してみると取り回しもしやすくとてもフレンドリーな印象です。内装も無骨な感じから爽やかで明るい印象に大きく変化しているため、昔のアメ車とは180度違うような雰囲気になっています。
大排気量が魅力のアメ車も時代に合わせて進化しており、気筒休止が広く普及して大幅に燃費が改善されました。
クルーズコントロールや車線逸脱警報などのドライビングアシストも充実しており、運転もしやすくなっています。
■キャデラック
キャデラック エンブレムデザイン
キャデラック XT6
アメリカを代表する高級車ブランド「キャデラック」は、ゼネラルモーターズの中でも最高級に位置付けられる老舗ブランドです。
その始まりは1902年と長い歴史があり、その名称は現在のモーターシティであるデトロイトを開拓した貴族の「カディヤック伯爵」に因んで命名されました。
アメリカの歴代大統領の専用車に採用されたブランドで年代ごとにトレンドを生み出しましたが、特に50年代以降の長い車体とテールフィンのデザインはアメ車の象徴にもなっています。
現在でも、アメリカ大統領専用車としてここ数十年選ばれ続けているなど、特別な存在感を持つブランドであることがわかります。
現在の代表車種は「XT6」などのSUVラインで、モダンでシャープなデザインと、先進装備満載の快適な室内空間が持ち味。とはいえセダンもラインナップし続けている点もポイントで、これぞアメ車!と思わせるような圧倒的高級感が感じられる端正なデザインが人気です。
■シボレー
シボレーのロゴマーク
シボレー コルベット クーペ
1911年に創業された「シボレー」は累計2億台を超える車を生産し、これまでに世界140ヶ国以上で販売された世界有数のカーブランドです。1927年には日本でも現地生産を始めるなどつながりが深く、その「蝶ネクタイ」と呼ばれるエンブレムに人気が集まりました。
カマロやアストロなど数多くの人気車種がありますが、中でも「コルベット」は60年を超える長い歴史を持つシボレーのフラッグシップカーです。
優れた加速力と荒々しいエンジン音などシボレーが誇る名車で、初代から現行型まで一貫したこだわりのロングノーズが印象的です。
特に1963年式のみにしかない「スプリット・ウィンドウ」は、ルーフからリアエンドに向かって走るフレームで2つに分断された独特のデザインとなっており、希少価値が高いビンテージカーとして高い人気を誇っています。
現在日本市場では、カマロとコルベットというスポーツカー2台のみのラインナップとなっているのが寂しいシボレーですが、最新型でミッドシップレイアウトに転向したコルベットは、新たに右ハンドル仕様が設定されるなど、注目を浴びています。
■ジープ
ジープ・グランドチェロリー リミテッド
ジープ レネゲード 4xe
もともと第二次世界大戦においてアメリカ陸軍の軍用車両として開発された「ジープ」は、悪路でもパワフルに走れる抜群の走行性と高い持久性能が魅力です。
車体が大きく室内も広々としており、大量に荷物を収納できるためアウトドアやスポーツ好きの愛車として非常に人気があります。
悪路ばかりではなくオンロードでもキリッとした走りが魅力で、スピードを出してもハンドリングが自然で高い安定感があります。
定番の黒や深緑を始め、赤や黄色など明るいボディカラーも評判です。クロスカントリーはもちろん乗用車としても高い人気を誇る一台です。
現在では、よりコンパクトで日本国内でも扱いやすい「レネゲード」が人気を集めています。サイズだけでなく、若々しいデザインにも注目ですね。
■テスラ
テスラ エンブレム
テスラ モデルX
なかなかヒットする車種が生み出されなかった電気自動車の世界において、2006年に2人乗りスポーツEV「ロードスター」のプロトタイプを公開、2008年には同車の市販開始によって大いに話題を呼んだのがテスラモーターズです。
走行可能距離の短さへの不安と充電網不足という、EV立ち上げ時期ならではの課題を、自社による充電網「スーパーチャージャー」の積極的な整備によって克服し、世界中でEV最大手として人気のテスラ。日本でも、より価格とサイズが抑えられたモデル3の発売以降、見かける頻度も高まっています。
EVならではのフロントグリルレスの独特な表情は、新しいアメ車としての威厳を感じさせるような印象です。
現在テスラは、セダンとSUVの2系統で計4車種を市販しているほか、北米でポピュラーなピックアップトラックをEV化する「サイバートラック」、大型トレーラーヘッドをEV化する「セミ」、2代目「ロードスター」など、今後もまだまだラインナップ拡張が予定されており、注目したいところですね。
輸入しちゃう?アメリカ本国にはこんなメーカーも
■フォード/リンカーン
フォード F-150ライトニングプロ
自動車の大量生産を「モデルT」で1908年に確立するなど、アメリカだけでなく世界中の自動車メーカーへ影響を与えた非常に有名なアメ車メーカーが「フォード」です。1922年に買収した「リンカーン」も高級車ブランドとして有名で、過去には大統領専用車として長く用いられてきたこともあるほどです。
近年では新技術の採用に積極的という面もあり、大排気量・多シリンダーエンジンがポピュラーな北米市場でダウンサイジングターボ「エコブースト」を積極展開したり、ベストセラーピックアップトラックである「F-150」のボディやベッド部にアルミを採用して大幅な軽量化を実現したりしてきました。直近では、F-150のEV仕様「F-150ライトニング」も大いに話題を呼びました。
さらに、欧州や中国に開発拠点を持つなど、現地のニーズに合わせたきめ細やかな商品展開も定評があります。
日本への輸出を1905年に開始、現地生産を1920年代に始めるなど、日本との関わりも歴史が深くファンも多いフォードなのですが、残念ながら2016年で日本市場からは撤退してしまっています。
■クライスラー/ダッジ/ラム
ダッジ チャレンジャー ヘルキャット
1925年に誕生した「クライスラー」は、固定的なデザインが大きな魅力です。多くの自動車メーカーでは空気抵抗や室内空間を重視したデザインを取り入れていますが、クライスラーは古き良きアメリカを連想させるようなゴツゴツしたデザインの車が持ち味といえます。
傘下としていたダッジやラムでも、力強いデザインがそれぞれ特徴的です。また、日本への正規輸入が続けられているジープも、クライスラーのブランドのひとつでした。
2009年には折りからの不景気のあおりもあって経営破綻してしまうなど、近年は波乱の時代となっているクライスラーグループですが、2014年にはイタリアの自動車メーカー「フィアット」の完全子会社となり、さらに2021年には欧米をまたぐ大規模自動車グループ「ステランティス」の一員となることで、今後のよりグローバルな活躍が期待されます。
クライスラー、ダッジ、ラムの3ブランドは日本に正規輸入がされていませんが、アメリカ本国などではまだ販売が続けられており、独特のキャラクターのファンも多いようです。
■ビュイック
ビュイック GL8(2016年モデル)
ゼネラルモーターズの中でも、キャデラックよりも下位ながら、シボレーよりも上位というやや複雑な位置付けとなるビュイックは、前身が1899年創業とかなり歴史の古いブランドです。
戦前・戦後と、高級感のあるセダンタイプの車種で人気を集めたブランドではありますが、現在北米市場ではSUV専売となるなど、他ブランドとの棲み分けのためもあってか割り切った展開が続けられています。
ビュイックで特徴的なのは、中国市場での非常に高い人気であり、ラインナップとしても中国市場を重視している様子がうかがえます。中国市場での新型車投入のペースも早く、現地ニーズに対応してセダンタイプもラインナップが継続されているなど、細やかな商品展開が人気の秘訣かもしれませんね。
こちらも正規輸入は現在されていませんが、北米仕様車を並行輸入販売している場合があるようです。
■GMC
GMC シエラ デナリ(ロサンゼルスモーターショー2015 出展車両)
ゼネラルモーターズの中で、ピックアップトラックやSUV、商用車に注力するブランドがGMCです。ピックアップトラックやSUVでは基本的にどの車種もシボレーとプラットフォームを共有しており、内外装をGMC独自の意匠としています。
GMCで注目しておきたいのは、高級ラインの「デナリ」でしょう。北米大陸最高峰であるアラスカ州の山「デナリ」と同じ名前を持つ同ラインは、各車種の最高級グレード扱いとなっており、迫力のあるメッキグリルや豪華な仕立ての内装などが特徴です。
デナリの独特な押し出し感にはファンも多く、日本国内でも並行輸入車を見かけることもあります。
まとめ
フォード エクスプローラー XLT エコブースト
大排気量のエンジンが生み出す力強いトルクと大柄なボディが特徴のアメ車ですが、現在の流行の波に従ってダウンサイズ傾向にあり日本でも乗りやすくなりました。
無骨なデザインばかりではなくスポーティーなデザインも数多く登場していますが、アメ車最大の魅力である押し出しの強いデザインと存在感は失われていません。
欧州車よりも価格も控えめで手の出しやすいことも魅力のアメ車。今後ますます注目を集める存在になりそうです。
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よくある質問
■アメ車ってどういう意味?
「アメ車」とは、アメリカのメーカーやブランドが販売する車のことを指します。日本のメーカーやブランドが販売する車が「日本車」と呼ばれるのと同じですね。アメ車は、戦前・戦後の自動車産業において中心的存在となっていたなど深い歴史を持つほカ、独特の雰囲気や余裕のある動力性能で現在でも人気があります。
■アメ車ってよく壊れるの?
ひと昔前のアメ車は、アメリカ国内で日本車などの輸入車に対抗すべく、限界ギリギリと思われるようなコストカットを続けていた時期があるなど、信頼性の面で低迷した時期がありました。また、日本とアメリカでの自動車の使用環境の違いなどもあり、アメ車を日本で乗るなら気をつけたいポイントがあるのも事実。しかし近年では、アメ車もグローバル化が大いに進むなど進化しており、信頼性の向上が多くのユーザーに実感されているようです。
■アメ車は運転が難しいの?
アメ車といえばどデカいボディのイメージがありますよね。日本車よりも大きめなボディサイズの車も多く、街中では運転がしにくそうに思われるかも。しかし、意外なほどにコンパクトなアメ車もラインナップが増えてきていますし、大型のモデルでも周囲が確認できるサラウンドビジョンなどのアシスト機能が備わったりするなど、慣れてしまえばスイスイ運転できるでしょう。